• 陸上特殊無線技士の求人市場 2017年版

    公開日:2017年07月10日 最終更新日:2021年12月23日

    陸上特殊無線技士とは、無線設備の操作、監督を行う無線従事者の一種です。近年の、電波データ利用の増加や、第5世代移動システム(5G)の規格化進行により、求人の需要が高まるのではないかと予想される職種でもあります。そこで、陸上特殊無線技士の資格を活かした仕事内容や、2017年の陸上特殊無線技士の求人事情について調査してみました。

    1. 陸上特殊無線技士資格のおさらい

    陸上特殊無線技士とは、電波法に定められている無線電信や、無線電話などの、無線設備の操作、監督を行う無線従事者の一種で、国家資格になります。1990年の改正電波法令の施行により、無線従事者の資格は次の八種類に分けられています。

    • 総合無線通信士
    • 海上無線通信士
    • 海上特殊無線技士
    • 航空無線通信士
    • 航空特殊無線技士
    • 陸上無線技術士
    • 陸上特殊無線技士
    • アマチュア無線技士

    陸上特殊無線技士は次の4つに種別され、資格によって扱える範囲が異なります。

    • 第一級(一陸特)
    • 第二級(二陸特)
    • 第三級(三陸特)
    • 国内電信

    資格 操作の範囲
    第一級陸上特殊無線技士 一 陸上の無線局の空中線電力500W以下の多重無線設備(多重通信を行うことができる無線設備でテレビジョンとして使用するものを含む。)で30メガヘルツ以上の周波数の電波を使用するものの技術操作
    二 前号に掲げる操作以外の操作で第二級陸上特殊無線技士の操作の範囲に属するもの
    第二級陸上特殊無線技士 一 次に掲げる無線設備の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作
    イ 陸上の無線局の空中線電力10W以下の無線設備(多重無線設備を除く。)で1606.5kHZから4000kHzまでの周波数の電波を使用するもの
    ロ 陸上の無線局のレーダーでイに掲げるもの以外のもの
    ハ 陸上の無線局で人工衛星局の中継により無線通信を行うものの空中線電力50W以下の多重無線設備
    二 第三級陸上特殊無線技士の操作の範囲に属する操作
    第三級陸上特殊無線技士 陸上の無線局の無線設備(レーダー及び人工衛星局の中継により無線通信を行う無線局の多重無線設備を除く。)で次に掲げるものの外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作
    一 空中線電力50W以下の無線設備で25010kHzから960MHzまでまでの周波数の電波を使用するもの
    二 100W以下の無線設備で1215MHz以上の周波数の電波を使用するもの
    国内電信 陸上に開設する無線局(海岸局、海岸地球局、航空局及び航空地球局を除く。)の無線電信の国内通信のための通信操作

    1.1 資格取得方法

    陸上特殊無線技士は次の方法で資格を取得することが出来ます。

    (1)国家試験を受験する方法

    資格別に行われる国家試験を受験し、合格することで、資格を取得することができます。

    (2)養成課程を受講する方法

    総務大臣の認定を受けた「養成過程」講習を受講し、修了することにより資格を取得することができます。

    (3)認定講習課程を受講する方法

    総務省令で定める無線従事者の資格及び業務経歴を有する者が、総務大臣の認定を受けた「認定講習課程」講習を受講し、修了することにより上位の資格を取得することができます。

    (4)学校で無線通信に関する科目を修めて卒業する方法

    無線通信に関する科目を修めて大学、短期大学、高等専門学校、高等学校又は中等教育学校を卒業することにより、資格を取得することができます。

    1.2 難易度

    種別によって、試験の難易度は異なりますが、過去のデータでは以下のような合格率が出ています。

    平成27年度合格率
    • 第一級(一陸特):32.6%
    • 第二級(二陸特):77.9%
    • 第三級(三陸特):87.1%

    平成26年度合格率
    • 第一級(一陸特):30.3%
    • 第二級(二陸特):76.6%
    • 第三級(三陸特):85.4%

    この結果から、第二級、第三級は比較的難易度が高くないことが読み取れます。第一級は3割程度の合格率であることから、難易度は高めです。第一級は、上位資格であることから、資格取得後に従事する仕事の範囲が幅広くなります。業務でもより高い専門性が要求されます。そのため資格を有することで、就職に有利となりますが、それ故に、試験の難易度も上がります。

    2. ドローン検定と第三級陸上特殊無線技士の違いは?

    第三級陸上特殊無線技士の資格所持者は、無線基地局や、ドローンで使用する画像転送システムといった、陸上移動系の無線局の操作が可能になります。ドローン検定協会が運営する民間資格「無人航空従事者試験(ドローン検定)」は、主に、ドローンを使用する上での知識を図る試験内容で、上記業務の免許としては該当しません。

    無人航空従事者試験(ドローン検定)とは

    空港等の周辺の空域、人口集中地区の上空の飛行、夜間、目視外等において無人航空機を飛行させる場合等には、国土交通大臣の許可や承認が必要です。 ドローン検定では、無人航空従事者試験(ドローン検定)に合格された方に「無人航空機に関する飛行履歴・知識・能力を有することの証明書」を発行させて頂きます。 無人航空機の飛行に関する許可・承認申請手続きの際にご利用下さい。

    3. 資格別に見る職種

    資格の種別によって、扱える職種が異なります。第一級を取得すると、あらゆる無線設備の技術操作業務に対応できます。

    3.1第一級(一陸特)の職種

    電気通信業務用や、防災行政業務の固定局、無線測位局等すべての無線局、基地局の技術的操作
    ・ 携帯電話の基地局の設備操作
    ・ テレビやラジオの中継局、放送局の設備操作
    ・ 第2級・第3級の資格範囲に属する技術的操作
    など
    ※空中線電力500W以下の多重無線設備で30MHz以上の周波数の電波を使用するものの技術操作が対象 。

    3.2第二級(二陸特)の職種

    電気通信業務用や、放送局の固定局、無線測位局等すべての無線局、基地局の技術的操作
    ・ 気象レーダーの操作
    ・ スピード違反取り締まりレーダーの操作
    ・ 第3級の資格範囲に属する技術的操作
    など
    ※空中線電力10W以下の無線設備で1606.5kHzから4000kHzの周波数の電波を使用するものの技術操作が対象 。

    3.3第三級(三陸特)の職種

    一陸特・二陸特と比べて更に周波数の範囲が限られている無線設備の操作
    ・ タクシー、警察、消防の無線基地局での設備操作
    など
    ※25,010kHz~960MHzの電波を使用する空中線電力50W以下のもの、1,215MHz以上の電波を使用する空中線電力100W以下のものの技術操作が対象 。

    4. 2017年 陸上特殊無線技士の求人事情

    求人の需要が最も高い資格種別は、第一級陸上特殊無線技士です。その理由は操作可能領域の広さです。移動体通信求人として多く目にする携帯電話の基地局の業務は、第一級の資格所持者が条件に挙げられていることが多いです。また、近年ドローンの利用増加や、第5世代移動システム(5G)の規格化進行により、仕事内容が幅広くなってきています。

    4.1 移動体通信のお仕事

    移動体通信とは、私たちが日々利用している携帯電話や、PHSなど、無線通信を利用したサービスのことを指します。このサービスを提供する会社として、携帯電話事業者、PHS事業者、衛生通信事業者などが挙げられます。 自宅や、会社店舗に設置されている無線LANや、Wi-Fiは移動距離が狭いため、移動体通信には入りません。 仕事内容としては、主に通信を快適に行うために、ビルの屋上や、高台など見晴らしの用意場所に設置されている基地局に関する業務になります。

    4.1.1 移動体通信エンジニア

    大手携帯・通信事業者の基地局に関わる業務です。人々の暮らしをより良くするための最新技術に触れる機会も多く、日本の通信業界の一端を担うやりがいのある仕事内容です。

    【業務内容】

    ・ 新たに設置する基地局の設計業務
    ・ 基地局設計に伴う施工会社、施工主との打ち合わせ、資料作成、問い合わせ窓口
    ・ 工事の現場立会い、検査、確認
    ・ 基地局設置後の保守・運用
    ・ 無線機、バッテリの交換工事、故障、バージョンアップ対応
    など

    【歓迎される経験・スキル】

    第一級陸上特殊無線技士以上の資格所持者は歓迎されます。 資格を所持していなくても、Linux、UNIXなどのシステム知識、基本的な移動通信の知識、また、マンションやビルの電気設備工事の施工管理者経験も活かすことができます。 企業によっては、エンジニアとしての知識、経験があれば、就職後に会社で資格取得支援を行ってくれる場合もあります。

    4.1.2 映像系エンジニア

    ドローンの普及によって空撮や、映像撮影の需要が近年増加しています。またドローンに無線デバイスや、電波測定器を搭載することで、無線通信のネットワーク構築や、その調査を行う業務も多く見られるようになりました。これにより、注目されているのが、陸上特殊無線技士の資格を所持しているドローン操縦者です。 ドローンは、飛行距離が高いことから、通信性能が高く作られています。そのため、無線基地局同等管理ができる、操縦資格が必要とされる場合が多くあります。主な仕事はドローンを使用して、空間情報事業に必要とされる動画や画像の撮影、データの編集や加工、分析業務となります。 ドローンの操作や、3Dデータの加工など、最新技術やソリューションに興味がある方には、高いモチベーションで取り組める仕事です。

    【業務内容】

    ・ 電波塔の高さ測定のための、空中見通し調査、空中画像撮影
    ・ 電波塔やアンテナの点検のための空中撮影や、機器の劣化調査
    ・ ドローンに測定器を搭載し、空中からの電波測定
    ・ スポーツ試合等の空中からの画像、映像撮影
    ・ 撮影データの編集・加工・分析
    など

    【歓迎される経験・スキル】

    第一級陸上特殊無線技士以上の資格所持者は別途資格手当が支給される場合もあります。資格を所持していなくても、映像編集の経験者、3Dデータ加工経験者は歓迎されます。最新技術に高いアンテナを立て、それを駆使する意欲がある方は重宝されます。

    4.2 第5世代移動通信「5G」の規格化進行に向けた仕事

    スマートフォンの普及により、無線ネットワークが日常生活で必要不可欠となっています。特に、動画の視聴や、アプリケーションのダウンロードには無線ネットワークは欠かせません。今後、端末の使用数や、高速無線ネットワークの使用頻度はますます増加するでしょう。

    またインターネットを通じて家電や車といった、あらゆる「モノ」がネットワークにつながるIoT時代の本格的な到来も予測されます。そのためには、現在利用されている4G(第4世代移動通信)から、更に性能の高い通信速度が求められるようになりました。そこで、近い将来である2020年に向けて現在規格化が進行されているのが、5G(第5世代移動通信)です。

    4.2.1 5G(第5世代移動通信)とは

    5Gとは、次の3つの要素から成り立つ携帯通信の企画です。

    1. 高速大容量

    4Gと比べて10倍の速度で無線ネットワークを利用することができます。 これにより大きなデータの送信や、動画、アプリケーションのどダウンロードが素早くやりとりできるようになります。

    2. 他接続

    無線ネットワークで、同時にたくさんのものと接続することができます。今まで何か一つネットワークを接続すると、他のものが繋がらない、極端に速度が落ちる、人が多く集まる場所でネットワークが繋がらないといったトラブルを5Gは解消します。5Gは今後loTが生活の一部になることも予想した接続環境です。

    3. 低遅延

    近い未来では、無線ネットワークを利用した遠隔操作の性能が求められます。その際、遠隔先の操作が、遠隔元との間で遅延(時間差)が出ないよう、早いレスポンスを保証していきます。 総務省では2016年10月12日に「新世代モバイル通信システムの技術的条件」について、情報通信審議会に諮問し、新世代モバイル通信システム委員会にて2017年7月現在、計4回の審議が行われています。

    4.2.2 5Gの実現に向けた陸上特殊無線技士の需要

    5Gは、これから更に増加する電波の利用、IoT時代の通信ネットワークとして期待されています。大手通信会社では、既に5Gの実現に向けて環境測定実験もスタートしています。これによって、既存の基地局の技術的操作や監督、保守、運用を行う陸上特殊無線技術士が2020年を待たずして、需要が増える可能性が考えられます。

    4.3テレビやラジオの中継局、放送局の仕事

    主要民法テレビ局の中継局の保守管理や、設備機器操作は、テレビが安全に放送されるために、なくてはならない仕事です。

    【業務内容】

    ・ 中継局、放送局をモニターにて保守管理
    ・ 定期メンテナンス
    ・ 工事手配調整、立会い
    ・ 機器の配線作業
    など

    【歓迎される経験・スキル】

    第二級陸上特殊無線技士以上の資格が必要とされます。資格は所持しているが、まだ業務未経験者でもOKな企業もあります。資格所持に加え、テレビ中継局の知識や、放送関連機材操作知識や経験がある方も歓迎されます。

    5. 2017年 陸上特殊無線技士の求人数はどれくらい?

    求人検索「indeed」の2017年7月現在の陸上特殊無線技士求人数は602件でした。 求人企業は大手通信会社が多くを占めています。

    上記求人数の年収相場は次の通りです。
    年収相場:平均 397万円
    月収相場:平均 28.4万円

    雇用形態別の求人数は次の通りです。
    正社員:239件
    契約社員:150件
    派遣社員:101件

    この結果から、正社員としての転職活動を検討している場合、求人総数の約半分が正社員としての転職が期待出来ます。
    求人内容の多くが、「第一級陸上特殊無線技士」所持者を優遇していますが、転職先での一陸特資格取得支援制度が整っている会社も多くあります。仕事をしながら、第一級陸上特殊無線技士としてキャリアアップが出来るチャンスがあることにも注目したいところです。

    6. まとめ

    近年の、電波データ利用の増加や、第5世代移動システム(5G)の規格化進行により、陸上特殊無線技士の求人の需要が高まることが考えられます。5Gの規格化は2020年を目標としていますが、その実現に向けて2017年現在、大手通信事業者では、既に環境測定実験もスタートしています。またドローンを使った移動体通信操作など、陸上特殊無線技士が活躍する場が増えています。

    特に第一級陸上特殊無線技士は多くの求人で必要とされる資格であるため、第二級、第三級の資格取得者は、上位資格を目指すことで、求人の幅が広がります。2020年に向けて、陸上特殊無線技士は注目したい求人市場となり得るでしょう。

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