• 業務委託における源泉徴収とは。対象となる職種や還付金について解説!

    公開日:2021年09月01日 最終更新日:2021年12月22日

    フリーランスで働いていると、クライアントから業務委託契約を求められることがありますよね。その際源泉徴収って、みなさん具体的な内容はご存知ですか?本記事では業務委託契約や源泉徴収の基礎知識、対象となる職種、源泉徴収が必要な場合の計算方法などをご紹介します。正しく理解して、しっかり源泉徴収をおこなえるようにしましょう。

    1. 業務委託契約における「源泉徴収」とは

    まずは業務委託契約や源泉徴収の基礎知識について解説していきます。業務委託契約における「源泉徴収」とは何か、そもそも「業務委託」とは何か。しっかり基礎知識を身につけていきましょう。

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    1.1 そもそも「業務委託」とは

    業務委託とは「業務(仕事)」を「委託(他者に依頼して行ってもらう)」すること。「請負契約」もしくは「委任契約・準委任契約」の総称であり、クライアントがフリーランスや個人事業主に外注する際の契約形態のひとつです。

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    1.2 源泉徴収とは

    報酬や給与の支払者が、それらを支払う際に「所得税 (年間の所得にかかる税金)」を差し引き、代わりに納税することです。 本来であれば「申告納税制度」といって、所得を得る者が自ら申告して納税することが求められていますが、特定の所得に関しては源泉徴収制度が用いられます。

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    1.2.1 源泉徴収の基本的な流れ

    では、実際に源泉徴収はどのような形で進んでいくのでしょうか。例をもとに確認していきましょう。

    「フリーランスAさんがクライアント会社Bと業務委託契約を締結し、取引をしている」としましょう。
    この場合、クライアント会社BはAさんに源泉徴収額を差し引いた報酬を支払い、差し引いた所得税を国に納めます。
    クライアントからの報酬は源泉徴収によって税金が天引きされているため、手取りが少なくなっているように感じるかもしれませんが、面倒な税務処理をクライアントが代わりにやってくれたと考えると、なんだか得した気分になりますよね。

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    1.2.2 「所得税」と「源泉徴収」の違い

    源泉徴収は所得税の一種でありますが、どのような違いがあるのでしょう。
    わかりやすく表にまとめましたのでご覧ください。

    所得税 源泉徴収
    支払う人 所得者本人 給料や報酬などを支払った企業・人
    税金対象 年間の所得すべて 給与や報酬など一部の収益
    納付時期 年1回確定申告にて納付 原則毎月

    毎月納付する源泉徴収に対して、所得税は年一回の確定申告で納付します。

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    1.2.3 源泉徴収義務者とは

    所得税及び復興特別所得税を差し引いて、国に納める義務のある者を源泉徴収義務者と呼びます。前述した給料や報酬などを支払った企業・人も、源泉徴収義務者に入ります。

    源泉徴収義務者は会社や個人だけでなく、給与などの支払をする学校や官公庁、人格のない社団・財団なども対象です。源泉徴収義務者は、原則として給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納めなければならない決まりがあります。ただし、個人の場合には例外規定があります。

    参照:No.2502源泉徴収義務者とは|国税庁

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    2. 【フリーランスエンジニア向け】源泉徴収のチェックポイント

    フリーランスエンジニア向けの源泉徴収のチェックポイントについて、ここからはお話していきたいと思います。そもそもエンジニアの業務自体、源泉徴収の対象なのか分からない人もいるかと思います。下記を参考に、請求書や確定申告の準備をしてみてください。

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    2.1 エンジニアの業務は源泉徴収の対象?

    前述したように、個人事業主における、業務委託契約での主な源泉徴収の対象者は大きく8つの対象に分かれています。

    エンジニアの業務は8つの対象のいずれかに当てはまるのでしょうか?以下で詳しく解説していきます。


    2.1.1 講演や執筆、デザイン業務が発生している場合は対象

    「ITコンサルタントとして講演した場合の講演料」や「エンジニアとして仕事に関する記事を執筆したときの報酬」は源泉徴収の対象になります。このような仕事を引き受けた際は源泉徴収の対象になることを覚えておいてください。


    2.1.2 コーディングや開発は対象外

    一方で、エンジニアの主な仕事内容である、プログラミングやコーディング、サイト開発などの報酬は、源泉徴収の対象外となります。基本的にエンジニアとしての仕事は、源泉徴収される可能性が低いと捉えておいてよいでしょう。

    ただしデザイン料は源泉徴収の対象となります。サーバーサイドなど裏側の処理を担当するだけでなく、Webデザインも一括で担当する案件の場合は、クライアント企業と源泉徴収の取り扱いについてきちんと認識を合わせましょう。

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    2.2 源泉徴収の有無の確認方法

    上記のように対象か対象でないかが判断できる場合はよいですが、判断できない場合は案件ごとに確認することが可能です。


    チェック方法 詳細
    クライアントからの源泉徴収票があれば、源泉徴収されている 源泉徴収票が発行されている案件は源泉徴収済み。ただし支払元はフリーランスに対して源泉徴収票を発行する義務がないため、発行されていない場合もある
    支払金額と請求書を見比べ、満額かどうかチェックする 請求書に比べ、減額されているようであれば、源泉徴収されている可能性が高い。ただし支払いミスの可能性もある

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    3. 業務委託の源泉徴収の計算式

    では、業務委託による源泉徴収額は一体どのような計算方法で算出されているのでしょうか。以下で詳しく解説していきたいと思います。

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    3.1 源泉徴収の税率と計算式

    源泉徴収の税率は、報酬額により、2種類の計算式にわかれます。


    税率 源泉徴収額
    報酬額が100万円以下の場合 10.21% 【報酬額】× 10.21%
    報酬額が100万円を超える場合 ・100万円については10.21%
    ・100万円を超える金額については20.42%
    (【報酬額】– 100万円)× 20.42% + 102,100円

    参照:No.2792源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁

    案件ごとの報酬額で計算式が異なりますので、上記の計算式を参考に源泉徴収額を確認してみてください。

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    3.1.1 復興特別所得税について

    復興特別所得税とは、東日本大震災の復興に必要な財源を確保するための税金です。平成23年12月2日に被災地復興を支えるための財源確保を目的に特別措置法として創設されました。確定申告者は、復興特別所得税額を所得税と合わせて申告・納税しなければなりません。私たちは、税金を払うことで東北のみなさんの支援をしているのですね。

    参照:個人の方に係る復興特別所得税のあらまし|国税庁

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    3.2 源泉徴収の計算例

    源泉徴収の計算式を知ったものの、今イチピンとこないという方へ、具体的な報酬を挙げて計算例をご紹介します。自身の報酬と照らし合わせて計算の参考にしてみてください。


    3.2.1 原稿料が20万円の場合


    原稿料が20万円の場合
    20万円×10.21%=20,420円
    源泉徴収額は20,420円

    3.2.2 原稿料が150万円の場合


    原稿料が150万円の場合
    (150万円-100万円)×20.42%+102,100円=204,200円
    源泉徴収額は204,200円

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    3.3 源泉徴収における消費税の取扱い

    源泉徴収は、原則として消費税を含めた報酬額によって計算されることが求められています。しかし、あなたが提出する請求書の記載の仕方によって、取扱いが変わるため注意が必要です。

    請求書に報酬額(税抜き)と消費税を別々に記載する場合、源泉徴収額を税抜きの金額で計算することが可能です。報酬額(税抜き)と消費税を別々に記載することが一般的ですので、源泉徴収は税抜きの金額で計算されます。

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    4. 源泉徴収の計算方法で間違いやすいポイント

    源泉徴収の計算方法にはややこしい部分も多いので、以下で間違いやすいポイントを2つご紹介します。しっかり頭に入れて間違えないようにしましょう。

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    4.1 司法書士らの士業の源泉徴収は「1万円引いた額」に対して計算する

    司法書士、海事代理士、土地家屋調査士の源泉徴収金額は、計算方法が他の士業とは異なり、報酬から1万円引いた金額に対して10.21%をかけて計算するため、注意しましょう。計算方法は以下です。

    報酬が50,000円の場合、以下の計算式となります。

    報酬が50,000円の場合
    (50,000円-10,000円)×10.21%=4,084円
     源泉徴収額は4,084円

    なお弁護士や公認会計士などは該当しないため要注意。

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    4.2 フリーランスの請求書に源泉徴収の記載がなく、経理も源泉徴収を忘れる

    源泉徴収の記載がない請求書を、業務委託契約を結んでいるフリーランスが送ってしまうこともしばしば。そのような請求書の場合、受け取り側のクライアントの経理担当者も、うっかり源泉徴収するのを忘れ、請求書に記載の金額のまま支払いをしてしまうケースがあります。

    クライアント(報酬の支払者)は源泉徴収税の納付義務を免れないため、次回支払い時に相殺する、源泉徴収税の交付をフリーランスに求めるなどして、納付しなければなりません。

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    5. 源泉徴収された金額の確定申告での取り扱い

    源泉徴収された金額は、確定申告ではどのような取り扱いになるのでしょうか。以下で詳しく説明いたします。

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    5.1 源泉徴収された金額は確定申告の還付金で払い戻される?

    所得税の確定申告の結果、源泉徴収された金額を還付金として受け取る場合があります。

    これには所得控除が大きく関係しています。同じ収入であっても、家族の多い人、障がいを持っている人、保険金を支払っている人など、個々の事情はさまざま。そこで納税者のいろいろな個人的事情に合わせて税額を差し引く、所得控除という措置が取られます。所得控除を受けた人は所得税の税額が低くなるため、確定申告時に還付金として払い戻されることになるのです。

    還付金は、少ない人も入れば多い人もおり、さまざまです。ときには不足金が発生し、追加で支払いをしなければならないケースもあります。「確定申告」イコール「還付金が戻ってくる」と捉えないようにしましょう。

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    5.2 確定申告に源泉徴収票は必要?

    答えはNO。2019年の税制改正により、以前は添付が必要だった源泉徴収票や各種の支払通知書などの提出が不要になりました。

    マイナンバー制度が本格運用したことにより、源泉徴収票がなくても、確定申告書にマイナンバーを記載することで、税務署にて必要データが確認できるようになったためです。

    以前は、クライアントから発行された源泉徴収票等の原本の添付が必要だったことを考えると、とても便利になりましたね。

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    6. よくある質問

    6.1 業務委託契約における源泉徴収の主な対象者は?

    エンジニアによるコーディングや開発が源泉徴収の対象外となるように、業務委託契約ではどの仕事もすべてが源泉徴収の対象になるわけではありません。個人事業主における、業務委託契約での主な源泉徴収の対象を表でまとめました。


    個人事業主における、業務委託契約での主な源泉徴収の対象 備考
    原稿料や講演料など 懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等については、一人に対して1回に支払う金額が5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよい。
    弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金 1回に支払う報酬額が5万円以下の場合は、源泉徴収をしなくてもよい。
    社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬 病院や薬局などの診療に関わる医療費の請求が正しいかを社会保険診療報酬支払基金が審査して、医療機関へ支払。
    プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金 プロ野球・プロサッカー選手の年俸、プロテニス選手の賞金など。
    映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金 芸能人のテレビ出演等に対する報酬や、芸能プロダクションからの報酬など。
    ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等 いわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなど。
    プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金 -
    広告宣伝のための賞金、馬主に支払う競馬の賞金 -

    参照:No.2792源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁

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    6.2 業務委託相手が法人の場合、源泉徴収は必要?

    基本的に業務委託契約を結んでいる相手が法人の場合は、委託する業務内容に問わず、源泉徴収の必要はありません。

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    7. まとめ

    フリーランスのような個人事業主の場合、業務委託における源泉徴収は対象者が決まっており、報酬額によって税率も異なります。自身の仕事が対象であるかどうか、所得控除の対象であるかどうかなどを確認し、確定申告をスムーズに進められるようにしておく必要があるでしょう。

    エンジニアにおいては、講演を行った場合や仕事に関する記事を書いた場合以外は、基本的に源泉徴収されませんが、稀に源泉徴収されている場合があります。源泉徴収票や支払い金額などを参考に、源泉徴収されているかどうかを確認するようにしましょう。

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