エンジニアが会社員からフリーランス(個人事業主)になると、働き方や制度においてさまざまな面で変化があります。自由なイメージが強いフリーランスですが、これまで会社に頼っていた面倒な部分、例えば健康保険、年金、税金、契約などについてはすべて自分で引き受けなければなりません。
本記事ではフリーランスエンジニアが加入できる社会保険や、逆に加入できない制度、独立直後の手続き、保険料を考えるポイントなど、わかりやすく解説します。
※本記事は2026年10月時点の制度を踏まえて更新していますが、取り扱いは個別事情によって異なるため、最終的な判断は各制度ごとの最新情報をご確認ください。
1. フリーランスエンジニアが加入する主な公的保険
フリーランス(個人事業主)が加入できる主な社会保険についてご紹介します。
1.1 健康保険
フリーランスが加入できる健康保険には大きく3つの選択肢があります。
どれが有利かは、前年所得、世帯構成、年齢、自治体、加入資格の有無で変わります。
1.1.1 国民健康保険に加入する
国民健康保険はフリーランスなど会社員として企業勤めをしていない人が一般的に加入を義務付けられている健康保険です。国民健康保険の保険料は前年度の所得によって計算されるので、サラリーマンから独立した人や昨年の所得が多かった人は高額な保険料となってしまうのが懸念材料ともいえます。
1.1.2 任意継続保険制度を利用する
退職前に一定期間、勤務先の健康保険に加入していた人は、退職後も原則2年のあいだ任意継続被保険者として同じ健康保険を継続できる場合があります。申請期限は通常、退職日の翌日から20日以内です。保険料は会社負担分がなくなるため全額自己負担になりますが、前年所得で決まる国民健康保険より安くなるケースもあります。
1.1.3 健康保険の被扶養家族になる
配偶者や家族が会社員で、その健康保険の被扶養者要件を満たす場合は扶養に入れる場合があります。ただしフリーランスは継続的な事業収入があるため、扶養認定で必要書類が多くなったり、認定されにくかったりすることがあります。
扶養に入れる基準は組合によってまちまちですが、一般的に「年収130万円以内、かつ被保険者の年収の約2分の1未満」と言われています。
ただし年収の目安だけで判断せず、加入先の健康保険組合や協会けんぽの基準を必ず確認しておきましょう。
【扶養に入れる基準例(目安)】
• 被保険者と三親等以内
• 年収が130万円未満、かつ被保険者の年収の約2分の1未満
• 健康保険の被保険者と生計を共にしていること
1.2 国民年金
国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満の人が原則として全員加入する公的年金です。会社員から個人事業主になると、厚生年金から国民年金第1号被保険者への切り替えが必要になります。
なお家族がいる場合でも、一律に扶養家族分の保険料が上乗せされるわけではありません。20歳以上60歳未満の配偶者が第1号被保険者に該当する場合は、その人自身の国民年金保険料負担が必要です。
1.3 老後資金を上乗せする制度|国民年金基金・iDeCo・小規模企業共済
国民年金に資金を上乗せする策として、国民年金基金のほか、iDeCoや小規模企業共済も検討の対象にあげられます。
いずれも将来への備えや節税につながる一方で、拠出上限や受取方法、中途解約の制約があるため、自分に可能な資金繰りを踏まえて選ぶことが大切です。
2. フリーランスエンジニアが対象外になりやすい制度
会社員の時には当然のようにあった社会保険ですが、フリーランスは労働者ではなく個人事業主となるので、加入できない保険があります。(ただし、制度によって例外や特別加入制度もあります)
2.1 雇用保険(失業保険)
個人事業主として働くフリーランスは、原則として雇用保険の被保険者にはなれません。失業等給付の受給可否は、開業の有無や就労実態、求職活動の状況によって判断されるため、退職前後にハローワークで確認することが重要です。
2.2 労災保険
フリーランスは会社員のように、労災保険へ自動的に加入することはできません。ただし職種や働き方によっては、令和6年11月1日から労災保険の「特別加入」の対象となりました。フリーランスエンジニアの場合、例えば企業からの「委託業務」で働く場合に、労災保険の特別加入制度を利用できる場合があります。
加入団体や業務内容によって対象が異なるため、詳しくは以下のページより特別加入団体にご確認ください。
▶ 参考:特定フリーランス事業の特別加入団体(加入手続)
2.3 厚生年金保険
フリーランスエンジニア(個人事業主)は、原則として厚生年金ではなく国民年金に加入します。
一方で事業を「法人化」した場合は、健康保険や厚生年金への加入が必要になります。いずれ法人化したいと考えている方は、保険料だけでなく将来の年金額や家族の扶養にも影響する点を押さえておきましょう。
3. フリーランスがリスクに備える保険
フリーランスは労災保険や雇用保険には加入できません。つまり会社員のように仕事中にケガをしたり、育児のために休業をしたり、仕事を辞めたとしても、単純に給付を受けることができません。なので、いざというときのために手元にお金をいくらか残しておくことが大事といえるでしょう。リスクが多いフリーランスが備えるべき保険についても確認しておきましょう。
(フリーランスは、雇用保険のうち「育児休業給付」や「失業等給付」の対象外です。一方で、出産育児一時金など健康保険・国民健康保険で受けられる給付もあります)
3.1 フリーランス協会保険
健康保険や年金に加え、さらに手厚い保障を付けたい場合はフリーランス協会への加盟もおすすめです。年会費が1万円発生しますが、賠償責任がおきた場合の保険や、最長1年の所得補償制度が割安で利用可能なので、さらに保険を手厚くすることができます。そのほかにも会計サービス、法務税務相談のサービス優待や、福利厚生サービスの利用、コワーキングスペースの割引などが受けられるといった特徴があります。詳しい保障内容はフリーランス協会のベネフィットプランから確認できます。
また、フリーランスの失業保険として政府が組成を検討している「所得補償保険」が実現した場合は、フリーランス協会に加入していることが条件になるとのことです。近年、政府はフリーランスの働き方改革を進めており、フリーランス協会はその動きに呼応した形で発足しています。
3.2 民間保険(任意保険)
フリーランスの場合、公的保険だけでは不安なことも多く社会保障が薄いフリーランスにとって民間保険は大きな助けとなるでしょう。民間保険は大きく分けると下記のようなものが挙げられます。加入するかしないかは個人の任意ですので任意保険とも呼ばれています。
• 生命保険:遺族補償や生活保障、個人年金
• 損害保険:災害補償、車等の事故補償
• 第三分野医療保険:介護保険、傷害保険、がん保険
4. まとめ
フリーランスエンジニアの社会保険について、いかがでしたでしょうか。どの社会保険に加入すると有利なのかは、前年の所得や年齢、家族構成、自治体、法人化の有無などで変わります。独立前後は「とりあえず国保」とは決めず、各種の方法を自分の状況と比較して決めることがおすすめです。
弊社サービス「プロエンジニア」では、フリーランスになりたい方の独立支援のご相談も承ります。これまで支援した方の中には正社員時代のご相談から並走し、安心して独立していただいた実績もございます。
▶ 独立支援も無料で承っています。ぜひお気軽にご相談ください。
当サイトプロエンジニアのコンサルタントが厳選したおすすめのフリーランス案件特集はこちら
特集ページから案件への応募も可能です!
実際にフリーランスエンジニアとして活躍されている方のインタビューはこちら












