転職や独立を考えているエンジニアの本音の退職理由とは?本記事ではITエンジニアの退職理由を探り、会社に退職を告げるタイミング、引き留めを断る方法などをご紹介。また、退職理由は転職活動の面接時にも必ずと言っていいほど聞かれる重要項目であることから、効果的な退職理由の伝え方や注意点などもまとめました。退職を考えている方、必見です!
1. ITエンジニアの退職理由ランキング
退職を考えるエンジニアは、一体どのような理由から辞めることを決意するのでしょうか。dodaにて実施された「転職理由ランキング2019<職種別>」のデータを元に、その理由を探っていきましょう。
ITエンジニアの転職理由1位は「ほかにやりたい仕事がある」。前年度比0.8pt増の17.4%と高い割合を示しています。3位にランクインした「専門知識・技術を習得したい」という項目も前年度比より増加傾向。
新しい技術習得のため、自身のやりがいのためなど、ITエンジニアのみなさんはとても前向きな理由から退職を決意する人が多いことが伺えます。
エンジニアに多い退職理由は「3. 本音の退職理由と面接時の伝え方」でもさらに詳しくご紹介しています。
2. 会社を辞める時の退職理由の伝え方
では実際に今勤めている会社を辞めると決意した際、いつ、どのように退職理由を伝えるとよいでしょうか。タイミングや言葉選びに不安を抱えている人も多いと思います。
IT業界は狭く、退職後も前職の会社と繋がる可能性も無きにしも非ず。そのため、自身も会社も納得の上、円満退社できるような伝え方を心がけましょう。
退職理由の伝え方は、今後の自分のキャリアのためにも、とても大切なことなのです。
2.1 伝え方とタイミング
退職の意思を会社へ上手に伝えるには「伝え方」と「タイミング」が重要です。
"いつ、誰に、どのように" 伝えるかを事前に考えてから行動することをオススメします。
- いつ
退職希望日の3~1ヶ月前が退職の意思表示の目安。繁忙期以外のタイミングを見計らって伝えましょう。
- 誰に
まずは直属の上司に一番に伝えること。同僚や親しい先輩に先に伝え、噂で上司に伝わってしまうということはNG。トラブルになりかねません。
- どのように
「個人的・前向きな都合」を退職理由として伝えましょう。給与に不満があった、残業が多い、などさまざまな理由があるかとは思いますが、本音を素直に伝えてしまうのはNGです。不快に感じる上司もいらっしゃるでしょうし、今後改善するので考え直してほしいと引き止めを受ける可能性も高くなります。
【伝え方とタイミングのポイント】
いざ上司を目の前にして、どう話を切り出せばいいか戸惑うこともあると思います。しかし、それは退職を切り出される上司も同じ。互いに心の準備ができるよう、相談前に「大事なご相談があります」と本題には触れず、なんとなく匂わせておくことがオススメです。
話す心構え、聞く心構えが整えば、両者ともに落ち着いて話ができるのではないでしょうか。
2.2 引き留めを断るには
退職交渉の際、「考え直してくれないか」と引き留めに合うケースも少なくありません。お互いの関係性を維持したまま退職を納得してもらうためには、上手に引き留めを断ることが大切です。
しっかり断り方を覚え、引き留められた際に実践できるようにしておきましょう。
◆ 断り方1「退職を希望する強い意思表示」
退職に対する自身の考えに不安があると、引き留めに応じてしまうケースがあります。
まずは話し合いの前に自身の気持ちをしっかり整理し、引き留められた場合にもはっきりNOと意思表示できる心の準備をしておきましょう。
一度引き留めに応じてしまうと、今後もずっと"引き止めれば退職しない" 人だと思われてしまいます。
◆ 断り方2「会社への感謝と働けない意を伝える」
退職を引き留められることは、会社や上司があなた自身の能力を評価してくれているとも考えられます。うれしいことではありますが、退職の決意が固いのであれば、とにかく相手のペースに引き込まれないように注意が必要です。
引き留めてもらったことや今までの感謝を伝え、どうしても働けない理由を簡潔に伝えるよう心がけましょう。退職に対する意思の強さが伝わりやすい上、円満に引き留めを断りやすくなります。
一方で引き留め交渉が長期化し、関係が悪化することも場合によってはありえます。誰もがみな円満退社できるわけではないことも心に留めておいてください。
ギクシャクしてしまった場合は、退職日までの我慢と割り切ることも大切です。
3. エンジニア本音の退職理由と面接時の伝え方
退職理由は、転職活動時にも非常に重要となってきます。なぜなら、退職理由は転職時の面接で必ずと言っていいほど聞かれる項目なのです。退職後どんなビジョンを描いているか、批判的な思考をする人か、周りの人と良好な関係を築けるかなど、面接官はあらゆることを退職理由から知ろうとし、採用の判断材料としています。
本音は「給与に不満があり、もっと稼げる会社で働きたくて辞めた」だとしても、素直に伝えてしまってはマイナスイメージに繋がります。もちろん嘘はよくありませんので、前向きな言葉に言いかえ、面接官の心に響く伝え方を意識しましょう。
ここでは本音の退職理由の具体例をいくつか挙げ、面談でどのように伝えると効果的なのかをご紹介していきます。当社コンサルタントから調査した生の声です。ぜひ参考にしてみてください。
3.1 他にやりたい仕事がある
他にやりたい仕事がある場合は、退職後に挑戦したいと思っている仕事内容や言語、どのように転職先で貢献したいと考えているのか、などが伝わる内容を心がけましょう。注意したいのが、退職理由が「やりたい仕事ができなくて辞めた」という不満にならないこと。
希望を持って退職したことが伝わるよう、ポジティブな言葉選びで伝えることがポイントです。
たとえば客先常駐から自社サービスのIT企業への転職を希望している場合、「自分が得意な技術を極めて働きたい」と伝えると、納得してもらいやすいのではないでしょうか。前職でやりたい仕事のために上司へ部署異動などを掛け合ったことのある方は、アプローチしたができなかった経緯も伝えることも効果的です。
3.2 年収を上げたい
年収をあげたいのであれば、自身の市場価値をしっかり理解して話すことが大切です。過大評価しすぎてしまうと、自身を客観視できていないと面接官に思われたり、転職できてもスキルが追いつかないなどの問題が発生してしまうので要注意。
前職で給与に不満があった人の場合は、不満をそのまま伝えてはネガティブな印象になってしまいます。今までの仕事内容と給与を数字を交えて具体的に説明したのち、「評価制度のある会社でもっと成長したい」などとアピールするとよいでしょう。
市場価値を上げたい人の場合は、「難しい仕事にチャレンジしたい」と仕事に対する前向きな姿勢を退職理由に盛り込むとよいでしょう。この場合、転職活動と並行してスキルアップのために勉強することもお忘れなく。
3.3 技術が身につかない
技術が身につかないから退職しました、と話してしまうとマイナスイメージしか残らず、とても不利な状況に陥ってしまいます。退職を機に新しいプログラミング言語を身に付けたい、転職して幅広い経験を積みたい、挑戦してみたい技術があって退職を決意したなど、前向きな退職理由を話すようにしましょう。
忘れてはならないのが、新たな技術を身につけるための努力を実際に行うこと。具体的に何を勉強しているかなど聞き返されることもあるので、しっかり答えられる準備をしましょう。
3.4 稼働時間が多い
労働時間や残業量などに不満を抱えて退職した場合は、生活環境の変化が退職の要因となったと伝えるとよいでしょう。
子どもが生まれた、妻や夫の生活が変化した、転居したなどのやむを得ない理由から労働時間を見直したく退職を決めた、という伝え方はネガティブな印象を与えません。
また、実際に毎日4時間以上の残業をしていた場合などは、正直に稼働時間が多かったと伝えても理解を得られると思います。その際は業務時間を短くするよう働きかけたが、結果変えることができず退職に至ったなど、自身でも努力した旨を伝えるとよいでしょう。
自己成長のための時間を確保したかったなど、あわせて稼働時間を減らしたい理由もあると理解を得やすいです。
3.5 ヘッドハンティングやクライアントからの引き抜き
ヘットハンティングされた会社の面接であれば、退職理由をそのまま伝えてもよいでしょう。なぜ前職を辞めてまで、その企業を受けてみようと思ったかの経緯などを加えて話せるとより効果的。
この場合、退職理由よりもあなたのスキルや将来設計などを面接官は聞きたいはず。自分のアピールポイントをしっかり伝えられるよう、事前に考えておくとよいでしょう。
4. 面接時には言わない方が良い退職理由
では逆に、転職活動時の面接で言わない方が良い退職理由についてもお話ししておきましょう。
◆ プロジェクトごとに職場が変わるのが嫌だ
嫌だ、などのネガティブなワードは面接官にマイナスの印象を持たれてしまいます。また、働き方を否定するような表現は避けるべき。「採用しても柔軟に対応できるか不安」と思われてしまいます。嫌だとは逆の「こんな働き方をしたくて」とプラスの要素に変わる伝え方が好ましいでしょう。
◆ 人間関係が上手く構築出来ない
いじめやパワハラなど、人間関係を理由に退職する人は少なくありません。しかし、素直に退職理由として伝えてしまうと「コミュニケーション能力が低いのかも」「打たれ弱いタイプかも」と思われがち。どこに転職しても人間関係はつきものです。「より良い人間関係の職場を求めて」などと伝えるとよいでしょう。
◆ 独立する(フリーランスになる)ため辞めた
転職活動をしているのに、独立の意思を伝えてしまうのはNGです。たとえ独立までのつなぎとして転職先を探していたとしても、言わない方がよいでしょう。独立を目指すということは、向上心があるということ。「もっとスキルアップできる環境で働きたくて」などと言いかえると好印象です。
5. 面接官は退職理由をなぜ聞くのか?
なぜ面接官は、前職での退職理由をあなたに聞くのでしょう?
ズバリ、答えは"退職理由であなたの人間性を知りたい" から。
退職理由には、その人の価値観や志向性が多く表れます。どんな考えを持って働いてきたのか、 志望動機との一貫性はあるか、次の仕事でも同じ理由で退職しないか、戦力となる存在か、仕事への取組み方や考え方に甘えはないか、職場の人間関係はどうだったのかなどなど、応募書類からはみえてこない要素が、退職理由からはたくさん聞き取れるのです。
エンジニアとしてのスキルは職務経歴書を、学歴は履歴書を見れば確認できますが、その人の人柄や意欲などは話してみないことには分かりません。退職理由を聞くことで、面接官はあなたと自社との相性をチェックしているのです。
6. 退職理由を伝える際の注意点
では実際に退職理由を面接官に上手く伝えるには、どのようなことに注意すべきでしょうか。いくつかポイントにまとめましたので、参考にしてみてください。
◆ 否定的な発言はNG。常に前向きな考え方と姿勢で
否定的な言葉は、あなたの印象を良くする要素がありません。常に前向きな言葉選びを意識しましょう。
◆ 受け身の姿勢と会社の悪口はやめるべき
たとえどんな理由があっても、前職を悪く言う伝え方はマイナスイメージ。また、受け身の姿勢も“自分らしさ”が伝わらず、アピールに欠けているため避けましょう。
◆ 退職理由と志望動機をワンセットで考える
退職する際にちゃんとこれからのプランを考えられていることを示すため、退職理由と志望動機はセットで考えましょう。
◆ 退職理由を答えた後の質問を想像しておく
自分の答えた退職理由からどんな質問が返ってくるかをイメトレしておくと、面接時に焦らず返答することができます。
◆ 嘘がなく、具体的な伝え方をする
話を盛りすぎると後々支障が出るので嘘はやめましょう。数字を交えた具体的な伝え方をすると、話の信頼度もが高まります。
◆ 話し方を意識する
あなたにとって退職理由を話すことは、決して楽しいことではないでしょう。しかし、新しい自分を切り開いていくための大事な話ですので、つとめて明るく前向きに話しましょう。前職に対して思いやりや気遣いが感じられる言葉選びも大切です。
上記のポイントを意識して退職理由を話せるよう、事前にしっかり内容を固めておきましょう。
7. 転職エージェントの力を借りるべし!
退職理由をうまく伝えられるか自信がなかったら、転職エージェントの力を借りることもひとつの手です。エージェント活用時に退職理由を相談すると、ミスマッチのない転職先を見つけやすくなりますし、退職理由をどのように伝えれば良いかアドバイスをもらうこともでき、一石二鳥です。
転職エージェントのスタッフは、面談時の質問内容、面接形式の傾向、採用で重視しているポイントなどを過去の利用者のケースを元に分析している、転職支援のプロフェッショナル。なかには企業別の面談傾向を熟知しているエージェントも存在しており、相談しない手はないと言っても過言ではないほど、力強い味方です。
上手に利用するコツは、"エージェントには本音で話すこと"。あなたの本音を知らずして、あなたの理想の転職先を探すのは、いくらプロでも難しいもの。満足のいく支援を得られるよう、エージェントには本音をさらけ出して、ミスマッチのない就職活動ができる環境を整えましょう。
>>無料の転職エージェント”プロエンジニアコンサルタント”に相談してみる
8. まとめ
やりたい仕事がある、スキルアップしたいなど、比較的前向きな理由からエンジニアは退職を決意していることがわかりました。狭いと言われるIT業界をうまく渡り歩いていけるように、退職時は円満退社を心がけるようにしましょう。
また、退職理由は転職時にも面接官に必ずと言っていいほど質問されるため、しっかり内容を詰めておくことも大切です。たとえ本音の退職理由がネガティブなものであっても、ポジティブな言葉に置き換え、今後を見据えた上での退職であると話しましょう。
そして、仕事が辛くて退職を考えている人はどうか、ひとりで悩まず誰かを頼ってみてください。転職エージェントに頼ってみるのもひとつの手ですし、近しい友人に相談するのも良いかもしれません。あなたが前向きな気持ちで退職理由を話せ、よき転職先を見つける日がやってくるのを祈っています。