SES契約とは?請負契約との違い、メリット・デメリット、グレーと言われる理由 | サービス | プロエンジニア

    SES契約とは?請負契約との違い、メリット・デメリット、グレーと言われる理由

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    公開日:2021年04月02日 最終更新日:2021年04月02日

    ITエンジニア未経験の人の転職先として、比較的チャレンジしやすいSES企業は人気があります。
    しかし、SES企業への転職を考える際に「SES契約は法律的にグレー」といったことを耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
    そこで今回は、そのようなSES企業に対する疑問や不安を解決するために、
     • SES契約とは何か
     • SES契約・請負契約・派遣契約との違い
     • SES契約のメリット・デメリット
     • SES契約がグレーや違法と言われる理由
    について詳しく解説します。

    1. SES契約とは?

    派遣契約や請負契約と混同されることも多いSES契約。
    まずは、

    • SES契約の定義
    • SES契約と派遣契約の違い
    • SES契約と請負契約の違い

    といったSES契約の基礎知識について理解しましょう。

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    1.1 SES契約の定義

    SES(システムエンジニアリングサービス)契約とは、クライアントの間で結ばれる業界用語の1つです。実際の書面では、SES契約という名称は使わずに「業務請負契約」「準委任契約」という契約形態となります。

    IT業界におけるシステム開発などを目的とした契約の形態は、大きく分けて以下の2つ。

    1. 業務請負契約:予め決めた仕事(=仕様=成果物=納品物・品質・納期等)の完成に対して対価が支払われる契約。
    2. 準委任契約:その仕事の実施義務に関する契約でその遂行に対して対価が支払われる契約。

    SES契約は2の準委任契約に該当することが多く、クライアントのシステム開発・ソフトウェア開発・インフラ環境構築などを行うために客先に常駐して、ITエンジニアとして技術的なサービスを提供します。

    SES契約についてより深く理解するために、派遣契約と請負契約の違いについても理解しましょう。

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    1.1.1 SES契約と派遣契約の違い

    SES契約と派遣契約の違いは、誰からの指示で動くかが決まる指揮命令権の所在です。

    SES契約の場合には、客先に常駐していても指揮命令権は雇用されている自社に存在。一方、派遣契約の場合には、指揮命令権は派遣先のクライアント企業に存在します。

    そのため、業務の指示は自社から行わなければなりません。

    もしも、SES契約を結んでいるにも関わらず、実際にはクライアントの指示で業務を行っていた場合は違法な偽装請負とみなされる可能性があるため注意が必要です。

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    1.1.2 SES契約と請負契約の違い

    SES契約と請負契約の違いは、何を目的とした契約かという点です。SES契約は仕事の実施自体を約束し、請負契約では成果物の完成を約束します。

    準委任契約は履行割合型と成果完成型の2つがあり、履行割合型は技術力の提供に報酬が支払われ、成果完成型は技術力の提供によってクライアントが得た成果に対して報酬が支払われます。成果完成型は請負契約に近い契約と言えるでしょう。

    ただし、通常期待される成果を挙げる善管注意義務はありますが、法律上は成果物を完成させる義務は成果完成型の準委任契約にはありません。

    一方で、請負契約の場合には、成果物の完成に対して報酬が支払われるという違いがあります。簡単に言えば、請負契約は成果物を納品して検収が完了しなければ、報酬が得られない契約ということです。

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    2. SES契約のメリット

    SES契約にはどのようなメリットがあるのでしょうか。以下で、ITエンジニア・ベンダー・クライアントのそれぞれの視点から解説します。

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    2.1 ITエンジニアのメリット

    まず、SES契約におけるITエンジニアのメリットについて解説します。


    2.1.1 ITエンジニア未経験でも採用されやすい

    SES企業は、ITエンジニア未経験でも採用されやすいです。これはITエンジニアを目指す未経験の人にとっては、メリットと言えるでしょう。

    SESを提供しているベンダーは、基本的に多くのITエンジニアをクライアントに提供することで利益を得るビジネスモデル。そのため、自社で研修を実施し、案件に必要な技術を身に付けさせて、企業に提供するというケースも見られます。

    もちろん、入社後にITエンジニアとしての勉強は必須となりますが「まずはITエンジニアとして働きたい」と考えている人にとって、SES企業はおすすめの選択肢と言えるでしょう。

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    2.1.2 正社員として雇用される

    SES契約で働く場合には、正社員として雇用されます。客先に常駐される働き方にはなりますが、正社員という身分が保証されているという安心感を持って働くことが可能です。

    また、指揮命令権が自社にあり、SESは成果物を保証する契約ではなく、仕事の実施自体を約束するもの。そのため、厳しい納期で残業に追われたり、体調を崩すほどの過酷な労働環境に置かれたりといったリスクが発生する可能性は低めと言えるでしょう。

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    2.1.3 幅広い現場を体験できる

    SES契約のITエンジニアにとっての大きなメリットは、幅広い現場を体験でき、さまざまな技術に触れられることです。

    常駐先で多様な企業の文化に触れることは、ITエンジニアとしてのスキルアップにつながります。また、違う案件にアサインされれば、異なる技術を扱うことが可能。

    さらに、クライアント企業の人や同じ現場にアサインされた他社の人たちと関わる機会も得られます。将来のキャリアを考えたときに、業務を通してコネクションが形成できることは大きなプラスです。

    このような一社の環境に縛られない働き方ができることは、ITエンジニアにとってSES契約で働く大きなメリットと言えるでしょう。

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    2.2 SES会社のメリット

    以下で、SES会社のメリットについて解説します。

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    2.2.1 常駐必須の案件の獲得がしやすい

    SES契約は、常駐のITエンジニアの労働を提供していた特定派遣の代替となる契約形態でもあります。

    派遣元会社に常時雇用が発生する特定派遣は2015年に廃止されました。特定派遣は派遣元企業に雇用され、派遣先業に常駐して業務を実施する派遣形態。ITエンジニアを始めとした専門性の高い職種で、特定派遣は採用されていました。

    届出制で特定派遣を行う派遣業は始められたため、開業しやすいという特徴がありました。しかし、2015年に廃止され、2018年9月まで設けられていた移行期間は終了し、現在は許可制の一般派遣事業に一本化されています。その切替のハードルは基準資産額などがあるため高め。

    一方でSES契約は準委任契約であるため、派遣業の認可を得る必要はありません。指揮命令権の管理を正しく行えば、特定派遣のように常駐案件にも対応可能です。

    このように特定派遣のようなITエンジニアの常駐を求めるクライアントに対して、代替手段として提案できるSES契約は、はこれまで特定派遣を行ってきた会社とって非常にメリットのある業態なのです。

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    2.2.2 人材管理が容易

    人材の管理が行いやすいことは、SES会社にとってメリットと言えるでしょう。

    SES契約では、指揮命令権がクライアントではなく自社にあります。そのため、どのITエンジニアがどの案件を進めているのか正確に把握できるため、再配置や新たなITエンジニアの提案も自社から行いやすいです。

    また成果に対する責任は請負契約と比較すると低いです。よって、請負に比べるとやや「未経験者や新人を登用しやすい」というメリットもあります。

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    2.3 クライアントのメリット

    以下で、SES契約におけるクライアントのメリットについて解説します。


    2.3.1 正社員とは別に人材を確保することが可能

    ITシステムの仕事は、どうしても突発的にエンジニアが必要となることがあり、その都度、正社員採用をすることは出来ません。
    その時だけ必要な特殊な技術があった際に、その分野のエンジニアを正社員雇用することは現実的ではありません。
    また、仮に正社員採用をしようとしても、採用まで時間がかかったり、そもそも採用できるかどうかという不確実性もあります。
    その為、SES契約を活用して、外部のITエンジニアリソースを確保できるというのは、大きなメリットがあるのです。

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    2.3.2 常駐案件の発注がしやすい

    常駐案件の発注が行いやすいことも、クライアントにとってSES契約を結ぶメリットです。

    請負契約とは異なり、SES契約はITエンジニアのリソースを短期間で比較的容易に確保することが可能です。
    ただし、特定派遣とは異なり、雇用側に指揮命令権が存在します。その点をクリアできるのであれば、クライアントにとって特定派遣の代替としてSES契約は有力な選択肢となるでしょう。

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    3. SES契約のデメリット

    SES契約にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。以下で、メリットの場合と同様に、ITエンジニア・ベンダー・クライアントのそれぞれの視点からの SES契約のデメリットについて解説します。

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    3.1 【エンジニアのデメリット】仕事のモチベーションを保ちづらい

    SES契約で働くエンジニアのデメリットとして、仕事のモチベーションを保ちづらいことが挙げられます。

    SESは、クライアントの企業に常駐して技術力を提供することが基本。そのため、自社に対しての帰属意識が希薄になりがちです。

    また、常駐先にも良し悪しが少なからずあります。自社の社員がいない現場の場合には、気軽に相談することもできないため仲間意識も持ちづらくなり、仕事に対するモチベーションを保つことが難しくなるでしょう。

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    3.2 【ベンダーのデメリット】指揮命令系統に関する理解を得づらい

    指揮命令権に対する理解をクライアントから得づらいことは、ベンダーにとってSES契約のデメリットと言えるでしょう。

    クライアントから特定派遣との違いに対する理解が得られず、指揮命令権を無視してクライアントから自社のスタッフに直接指示が行われることも。

    そのような状況に陥ると偽装請負のような状態になってしまうため、クライアントに対してSES契約と派遣の違いについて説明をしっかりと行い、同意を得る必要があります。

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    3.3 【クライアントのデメリット】「成果」を保証する契約形態ではない

    常駐案件が獲得しやすい一方で、成果を保証する契約形態ではないことがデメリットになる可能性もあります。

    SES契約は成果ではなく、ITエンジニアの仕事の実施を約束する契約形態です。そのため、求める成果が得られない状態が継続してしまうリスクがあります。

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    4. SES契約の契約形態・報酬の決め方

    SES契約への理解を深めてもらうために、SES契約における

    • 契約形態
    • 報酬の決め方
    • 責任範囲
    • 指揮命令系統

    について以下で解説します。

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    4.1 契約形態

    SES契約の多くは業務委託契約として締結され、法的な契約の分類は準委任契約に該当します。準委任契約は成果物の完成を目的とせず、その遂行に対して報酬が支払われる契約です。

    SES契約によって常駐しているITエンジニアは一定の裁量と責任を持って仕事に取り組み、業務が完了していなかったとしても、善管注意義務に沿っていれば報酬を得る権利を所有します。

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    4.2 報酬の決め方

    SES契約は上記の通り、成果物の完成を目的としない準委任契約です。一般的には、その業務へ対応する時間枠とその業務レベルや技術の希少性などに応じた金額が設定されます。

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    4.3 責任範囲

    一般的に、SES契約は成果物の完成に対して責任は発生しません。そのため、善管注意義務に沿っていれば、業務のやり直し、成果物の修正依頼は出来ません。
    仮に、そのような依頼がある場合は、別途報酬が発生します。

    クライアントの認識と責任範囲の不一致が発生することを避けるため、業務内容や責任範囲を契約書で明確に定めておくことが大切です。

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    4.4 指揮命令系統

    SES契約では、指揮命令権はクライアントではなく、雇用主にあります。そのため、客先に常駐しているITエンジニアに対する指示は自社から行わければなりません。

    万が一、クライアントから直接指示を受けた場合には、派遣契約扱いとなって法律違反となるので注意が必要です。

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    5. SES契約は法的にグレー?「違法」との声がある理由

    SESについてリサーチを行っていると、「法的にグレー」「違法だ」といった意見を見聞きすることもあるでしょう。

    以下でそのような意見が上がる理由について解説します。

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    5.1 偽装請負の隠れ蓑になるケースがある

    SES契約は指揮命令権を誰が持つのかあやふやになり、偽装請負の隠れ蓑となるケースがあります。

    SES契約では指揮命令権を持つのは雇用主・自社です。しかし、実際の現場のマネージャから、指揮命令ともとれる依頼がなされてしまったり、働く時間や契約外の業務を現場で依頼されてしまう場合もあるのが事実です。

    これが、「法的にグレー」「違法」と言われる大きな理由と言えるでしょう。

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    5.2 客先での一人常駐の恒常化

    客先企業での一人常駐の恒常化は、SES契約に則った働き方が難しくなるため、グレーと捉えられる場合があります。

    一人で客先に常駐している場合には自社の管理者が不在となるため、クライアントと直接やりとりが必要。それは、実質的にクライアントからの指示と同じになってしまうでしょう。

    常駐するエンジニアが自社内で一定の役職や権限が与えられいる「管理者兼作業者(例えば部長や役員等)」である場合以外は、管理者と実作業者の2名体制以上であることが望ましい形と言えるでしょう。

    しかし、それを理解しながらも人材不足や派遣契約の不便さといった理由から、一人での常駐が発生する場合があります。それにより、明確に法律違反とは言い切れないグレーな一人常駐の恒常化が発生してしまうのです。

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    6. SESに関してよくある質問

    SES企業への転職を考える上で、

    • 多重下請け構造で給与が上がりづらいのか?
    • SES企業から自社開発を行っている企業への転職は難しいのか?

    といった疑問を抱くケースが多く見られます。以下でそのようなよくある質問に対してわかりやすくお答えします。

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    6.1 SESは多重下請け構造で給与が上がらない?

    給与が上がるか上がらないかは、働く企業によって左右されます。

    多重下請け構造のピラミッドのどこに位置するかによって、企業が得られる利益は左右されるでしょう。しかし、それが支払われる給与と直結するわけではありません。働く企業の評価制度や昇給の仕組みによって、支払われる給与は異なります。そのため、SES企業だからといって一概に給与が上がらないとは言えないでしょう。

    将来的な給与アップが見込めるか気になるのであれば、転職を希望する企業の評価制度や待遇について詳しくリサーチすることをおすすめします。

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    6.2 SESから自社開発サービス企業などへのキャリアチェンジは難しい?

    自社開発を行っている企業へのキャリアチェンジを目指す上で、むしろSESは有効な選択肢と言えるでしょう。なぜなら、SES企業で働くことで、さまざまな客先企業のシステム開発に携わって経験を積めるからです。

    クライアントの依頼に応じて派遣されるSES契約の性質上、案件によって学べるスキルや技術はもちろん異なります。しかし、経験を積むことで、選べる案件は増えるもの。ですので、キャリアプランを明確にして、今後につながる案件に携わりたいという意志を自社に対して示すことが重要です。

    受け身のスタンスで働くのではなく、将来を見据えた積極性を持ってSES企業で働くことで、自社開発を行う企業へのキャリアチェンジも実現できるでしょう。

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    7. まとめ

    SES契約は客先に常駐してエンジニアとして仕事の実施自体を提供する契約形態です。

    • 指揮命令権が自社にあり、時間枠が設定されている為に過酷な労働環境になりづらい
    • 成果物ではなく、仕事の実施自体に対して報酬が支払われる
    • 幅広い案件に関われるため、ITエンジニアとしてスキルアップができる
    といったメリットがあります。一方で、指揮命令等が曖昧になっている現場もあることは事実で、またその働き方から仕事に対するモチベーションや自社への帰属意識が保ちづらかったりといったデメリットがあることも事実です。

    SES企業への転職を考える際にはメリット・デメリットを理解した上で、企業のリサーチを十分に行って自分にあった働き方が実現できるか検討することをおすすめします。

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