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2016年5月18日(水)から20日(金)の3日間、東京ビックサイトにて「教育ITソリューションEXPO」(http://www.edix-expo.jp/)が開催されました。 教育分野の日本最大級の専門イベントであり、第7回目となる今回は、過去最大の680社が出展。開催期間中には全国各地から多くの学校・教育関係が来場し、3日間合計の来場者数は30422人に上りました。
1. ロボットを通したプログラミング教育
まず、今回何より目を引いたのが教育の為のロボットの数々です。
「もののしくみ研究室」(http://robot.gakken.jp/)と題された「ロボットプログラミング講座」は、株式会社学研エデュケーショナルと株式会社アーテックの共同のプロジェクト。こちらは、小学校3年生から中学1年生を対象としており、3年間かけて、じっくりと学習を行う形式となっています。 特徴は、組み合わせ自在で、様々なものを作ることができるブロックを使い、もの作りをしながら学習をすること。制約なく、自由な発想で楽しんでもの作りができます。
まずは、「ものを動かすための構造」を学び、ものが動くとはどういうことなのかを理解します。その後、センサーやモーターを動かす基本プログラミングを学習し、そして、自立型ロボットやデザイン性のあるオリジナルロボット、歩行系ロボットなどを作りながら、徐々に複雑なプログラミングに挑戦していきます。 いきなりプログラミングから勉強するのではなく、まずはものの仕組みを理解して、そして楽しみながら勉強することで、子供たちの自主的な学習と、多様な成長を促すことを目指しているということです。
また、LEGOもブースにて「教育版レゴ® マインドストーム®」を出展。これは、プログラミングとロボテックテクノロジーを学習できる自立型の最新ロボット・キット。マサチューセッツ工科大学と共同開発されたこちらの製品は、世界60ヵ国、50,000以上の教育機関で採用されているということです。キットの値段は52,000円(税抜き)です。(https://education.lego.com/ja-jp/learn/middle-school/mindstorms-ev3)
そして、タブレット端末でプログラミングを勉強できる、体験型のイベントも開催されていました。こちらは、まず端末上に専用のアプリケーションをダウンロード。様々なコンテンツがあるのでいずれかを選び、ガイドに従いながらプログラミングを作っていきます。プログラミングを作ったらロボットと連動させ、ロボットを動かすというもの。プログラミングはアイコンベースになっていますので、直感的に理解し、簡単に組み立てていくことができます。小学校から高校、大学、企業までと、幅広く活用できるように作られているといいます。
その他にも、電子回路工作を人気ゲーム『マインクラフト』上で再現することを通して学習できる「Piper」(http://piper.links.co.jp/)。値段は53,784円。重量は1.8kgと、持ち運びもできるようになっています。
2. e-ラーニング、ペーパーレス化、授業管理システムなど、進む教育IT化
そして、ロボットに加えて、「e-ラーニング」「ペーパーレス化」「授業管理システム」「遠隔授業の実施」というものを今の教育の潮流になってきていることを感じました。
(左)エプソンの電子黒板(http://www.epson.jp/products/bizprojector/ekokuban/)
(右)ベリタスの教育アプリ(http://veritas.bz/students/login/)
デジタル教科書のスタンダード化を目指す「CoNETS」(https://www.conets.jp/)
多数の教科書会社が集結して立ち上げられたCoNETSは、パソコンにインストールして電子黒板やプロジェクターに写し出して使用するデジタル教科書と、タブレットやパソコンにインストールして使用するデジタルコンテンツを展開しています。
ソニーのデジタルペーパー(http://www.sony.jp/digital-paper/)と、遠隔地でのグループワークソリューションを可能とするビデオ会議システム(http://www.sony.jp/pcs/)。
(左)スクール管理・教室管理システムのPlatinum School(http://ptsc.daiwa-computer.co.jp/)
(右)イー・ラーニング研究所のスクールTV(http://e-ll.co.jp/business/schooltv.php)
自立歩行型ロボット「NAO」。ソフトバンクグループ傘下のAldebaran Robotics社が開発したロボットが来場者を和ませていました。
そして、ご紹介してきたもの以外にも、今回イベントの中で目を引いたものがいつくかありましたので、お伝えしたいと思います。
一般財団法人ジェームズ ダイソン財団(http://www.jamesdysonfoundation.com/)
こちらの財団は、ダイソンの創業者であるジェームズ ダイソンが設立した教育慈善団体で、“未来のエンジニアの育成”を目的とした活動をしています。本社のある英国で2002年11月に設立されて以来、奨学金及び寄付や国際エンジニアリングアワードの開催、ダイソンのエンジニアによる講義やワークショップの開催など、エンジニアリングやテクノロジー、デザインの分野における活動支援を行っています。
日本では2006年に活動をスタートし、中学高等学校の技術教育における問題解決ワークショップの実施や、ジェームズ ダイソン アワード(JDA)の開催を中心に活動を広げています。
このジェームズ ダイソン アワードとは、日本を含めた世界22ヶ国で開催される国際エンジニアリングアワードで、問題発見と問題解決を革新的なアイデアで表現することをテーマに、世界中から約1,000の作品が集まります。電動義手を開発するexiii(http://exiii.jp/index.html)は、2013年にJDA国際準優秀賞の受賞を機に、当時のメンバーで起業をし、その後多くの国際アワードを受賞するなど、現在躍進を続けています。
デンソーの小型アームロボット「COBOTTA」 (http://www.denso.co.jp/ja/news/topics/2016/160507-01.html) こちらは本来は産業向けの6軸アームロボットですが、「将来のロボット社会を担う人材育成への貢献を目指す」という目的で出展された形になるということです。
Unity認定試験(http://japan.unity3d.com/certification/)
Unityは、最新のゲーム関連技術が実装・統合されているゲーム開発環境アプリケーション。今ではゲームだけでなく、建築や医療、自動車、教育など、様々な分野で利用されており、その活用の場はどんどん広がっています。
Unity認定試験は、開発の現場で必要とされるUnityに関する知識および技術が一定水準に達していることを認定する資格であり、全国での試験の実施は2017年を予定されています。
レーザー加工機のtrotec (http://www.troteclaser.com/ja-JP/Pages/Laser_systems.aspx)
trotecは、オーストリアに本社を置くレーザー加工機メーカー。こちらのレーザー加工機では、木材、布地、紙、ガラス、アクリルなど、多様な素材にレーザー加工をすることができ、繊細なもの作りを可能としています。
スマイルリンクの3Dプリンタ(http://happysmilelink.jimdo.com/)
大田区に工場を構える同社の3Dプリンタは、3Dデータを作らなくでもすぐにもの作りをすることが可能だといいます。同社の「パーソナル3Dプリンター UP!Plus2」は181,980円で販売されています。
今回のイベントから、教育の現場がITによって大きく変わりつつあることを身をもって感じました。
傾向として、
・これまであった、時間や場所といった制約が解消され、教育を受けられる機会が各段に広がる。
・教育のコンテンツがより一人一人に合った形で提供されることにより、教育の質が上がる。
・教育の現場における管理業務がITシステムによって簡単にできるようになり、教師の生徒一人一人のケアの質が上がる。
・英語やプログラミングの授業が強化される。
などがあげられると思います。
今後も、教育業界の動向には注目していきたいところです。また、サービスは子供だけでなく大人にも適応できるものでした。教育は子供だけでなく、むしろ大人にこそ生涯必要なものだと思いますので、会社やプライベートでの勉強への取り組み方も、今一度考えてみてはいかがでしょうか。