2015年12月10日(木)、ワークスアプリケーションズ(https://www.worksap.co.jp/)主催の「COMPANY Forum 2015」が、六本木のグランハイアット東京、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、ベルサール六本木の3拠点で大々的に開催されました。
このイベントの目的は、ERP分野において国内トップのシェアを誇る同社が、ゼロから新しく開発に取り組んでいたERPパッケージ「HUE」の完成を発表し、初披露すること。
一体どの様なイベントだったのか、そして新しいERPパッケージ「HUE」とは何なのか。実際に参加し、収集してきた情報をお伝えします!
目次
1. 人工知能によって実現した「High Speed」と「High Usability」
元々、ワークスアプリケーションズは、1996年からERPパッケージ「COMPANY」を開発・販売してきました。これは同社の主力製品で、企業の会計・人事業務のプロセスを一括して管理できるパッケージです。現在、日本企業の約1,100社に導入されており、国内トップのシェアを誇っています。
そしてHUEは、同社がこれまでトップとして蓄積してきた豊富なノウハウを駆使しつつも、会計・人事業務を「人工知能によって管理する」という、これまでの物とは一線を画する大きな変化によって誕生した、全く新しい形のERPパッケージだといいます。
その搭載された人工知能によって実現されたのが「High Speed」と「High Usability」。
例えば、システムを使えば使う程、人工知能がどんどんその使用パターンを記録し蓄積していきます。すると、次にまた入力作業をする際にはこちらが入力する前に、瞬時に入力する内容を予測して表示。その反応の早さは何と0.1秒と驚異的な数字です。これまで行っていた、自分で入力をするという作業をしなくてもよくなります。
あるいは、エクセルシート作成も人工知能がサポートしてくれる為、簡単に追加や削除・並べ替えが出来るようになります。メール送信の際に誤送信しそうになっても、HUEが気づいてくれるので、間違えてメールを送ってしまうということも無くなるとのこと。また、社内SNSサイト内で、今コンタクトを取った方がいいと思う人を提案する、といったことまでしてくれるそうです。
HUEは、どんどんユーザーのパターンを記憶することで、次の動きを予測し、最適な行動を提案してくれる為、これまでの業務効率を格段にアップさせることが期待されており、正に新しい形のERPパッケージだと言われています。
2. RDBから脱却したクラウドパッケージ
そもそも、ワークスアプリケーションズが新製品HUEの発表をしたのは2014年10月7日。そこから約1年の歳月が開発に費やされ、掛けられた開発費用は300億円と言われています。
今回注目すべき点の一つに、開発にあたって技術の大きな変更点があったことが上げられます。それは、COMPANYの開発で長年採用してきたRDB(Relational DataBase)を捨て、KVS(キーバリューストア/キー・バリュー型データストア)への変更をしたということ。KVSはクラウドサービスを基盤としており、低コストで、かつクラウドによってデータを自由に配置・移動・分割ができるので、効率的にデータを集約し、全体の最適化を図ることができるのが特徴です。全ての処理が終わらないとデータの扱いができないRDBではなく、「High Speed」と「High Usability」の実現を目指す為、ワークスアプリケーションズはこれまでの長年のやり方を捨て、あえて新しい技術に挑戦することでHUEを完成させました。
同社によると、今後、HUEのAPIツールを公開するとのことでしたので、新しい技術を駆使したERPから多くのことを学び取ることができそうです。
3. 人工知能は人間の業務を奪うのか?
今回のイベントでは、スペシャルゲストとしてGoogle X創設者、現Udacity共同創業者 兼 CEOを務めるセバスチャン・スラン氏が招待され、ワークスアプリケーションズCEOの牧野正幸氏との対談が行われました。
そこで、話の一つの焦点となったのが、人工知能は人間の仕事を奪っていくのかどうか。Thrun氏の答えは「Yes」。例えば、次の様な仕事は、将来的には無くなっていくと予想されていると言います。
パイロット
弁護士
会計士
秘書
監督官
不動産業者
など。
私たちは今一度、将来がどうなっていくのかを考え、自分たち人間だけができることを考えていく必要性に迫られていると言えるかもしれません。
ただ、Thrun氏は人工知能にはマイナス面だけではなく、もちろんプラスの面もあると言います。人工知能から、自分に合った提案を受けることができるようになるので、それによって生活がもっと豊かになると予想さおり、また、人工知能は学習スピードが速く、かつ横へ広げていくことができるので、学びの輪を広げていくこともできると言います。
良い面もあれば、脅威となる恐れもある人工知能。 その人工知能と私たちはどの様に付き合っていくのか。そして、その中で自分の価値をどの様に保ち、高めていくのか。今後、考える必要のある重要な課題と言えそうです。
いかがでしたでしょうか?
人工知能を搭載した初のERPパッケージ「HUE」。今後、どれだけ世の中に広がっていくかはまだ未知数ですが、ERP市場に一石を投じたことは間違いありません。ERP市場、そして人工知能と今後の人間の未来について、ますます注目です!