バンドマンとしてライブ、楽曲制作などの音楽活動に集中するために高校、大学卒業後も就職せずにアルバイトでの両立。しかし鳴かず飛ばずで、気が付けば30代突入まであと数年。「このままではバンドも仕事も手に入らないかも、」「音楽活動のみで食べていけないミュージシャンの人たちはどんな仕事をしているんだろう」と焦っているバンドマンの皆さんにお伝えしたいことがあります。それは、正社員として就職し、仕事と、音楽活動を両立させることは可能だ!と言うことです。 その中でも、特にバンドマンはエンジニア職と相性が良いと考えます。なぜバンドマンがエンジニア職に向いているのか、その理由について解説します。
1. バンドマンが抱える仕事と収入の不安とは
大学を中退して、バンドマン1本で生きると決意するまでには人生のストーリーがあります。しかし、今現在も音楽活動のみの収入で生計を立てることが難しい場合、音楽活動をする上で不安要素も増えてきます。次のようなことで気持ちがモヤモヤした経験はないでしょうか。
・ 大学時代の同級生と収入の差が出てきているのを感じる。(自分だけ貧乏かも)
・ インディーズバンドとして、レーベル会社からCDリリースの話はあるが、具体的な話に進まないまま3年経過。先が見えない
・ 安定した収入がないため、彼女との結婚に踏み切れない
・ いつまでアルバイト生活を続けたらよいのか。
このようにバンドマンが抱える漠然とした不安は、収入や仕事に対する要因が多い傾向にあります。
ニッセイのインターネットアンケート「将来への期待と不安」でも、20代が抱える不安要素は、「仕事」「収入」が圧倒的に多いことがグラフを見ても分かります。
不安と感じている項目(20代・男女・複数回答可[%])
項目 | % |
---|---|
自身の健康・病気・介護 | 11.9 |
収入(年金・資産運用を含む) | 37.4 |
家族の健康・病気・介護 | 11.7 |
自身の仕事(就職・転職を含む) | 51.8 |
子ども・孫の成長(進学等含む) | 8.3 |
日本経済・世界経済 | 5.8 |
いざという時に頼る相手 | 2.8 |
家族の仕事(就職・転職を含む) | 2.8 |
ご先祖様の供養・お墓等 | 0.8 |
恋愛・結婚 | 15.5 |
人間関係(職場・友人・近所等) | 4.5 |
その他 | 1.0 |
不安項目は人それぞれですが、もし音楽活動をする上での仕事や収入に対する不安を日々抱えているのであれば、正社員という雇用で、安定した給料が得られる仕事をしながら音楽活動をする、という選択肢も考えられます。 むしろ、音楽活動に集中するために正社員になると言っても過言ではないかもしれません。
2. 仕事しながらバンド活動するならエンジニアの仕事がおすすめな理由
実際に、どのような仕事に就いたら良いのかと悩む方もいらっしゃるでしょう。そんなバンドマンには「インフラエンジニア職」をおすすめします。なぜなら、バンドマンと相性が良い職種だからです。その理由は次の通りです。
2.1 エンジニアの仕事と楽曲制作・ライブ活動に共通点がある
インフラエンジニアの仕事は、楽曲制作活動と共通する点があります。それは音楽業界にもエンジニアが存在するということです。 ライブハウスに行けばPAさんがいます。レコーディングスタジオに行けばレコーディングエンジニアさんがいます。エンジニアという仕事は、バンドマンであれば身近な存在であり、エンジニアの技術力があってこそ、音楽活動が成り立っていることは言うまでもありません。業種は異なれ、エンジニアの音響操作や、ケーブル管理などのミキシングコンソールは、音を集めてまとめて、適切な形で処理して出力するという環境作りです。この音楽環境作りを身近に接しているバンドマンは、サーバー環境を作るサーバーエンジニアや、インフラエンジニアとして仕事をする上で、仕事の理解や覚えが早いと考えられます。
2.2 インターネットやセキュリティ知識に共通点がある
インフラエンジニアや、サーバーエンジニアの仕事を通じてインターネットやセキュリティ知識が身につきます。この知識は、音楽活動にも繋がります。昔はCDでの楽曲販売が主流でしたが、今は音楽配信サービスからのダウンロードに需要が集まってきています。音楽配信サービスするからには、その音源はサーバーにあるということが、ここでご理解頂けるかと思います。そういった意味でも、音楽をインターネット配信する上でのセキュリティリスク管理や、音源データ管理、SNSを通じた活動告知など、インターネット知識は切っても切れません。
2.3 未経験から手に職を付けて正社員転職することができる
インフラエンジニア、サーバーエンジニアは技術職ですが、未経験採用OKの求人も実は多いのです。また、未経験の方であれば、エンジニア養成スクールに通うという方法もあります。求人紹介制度のあるスクールもあります。専門スキルを身に付け、更に仕事を紹介してもらえるエンジニア養成スクールは大きな魅力です。 このようなスクールには、実は同じバンドマン出身でインフラエンジニア、サーバーエンジニアを目指す仲間に出会うこともあります。同じ環境、同じ志同士で目標に向かって頑張る仲間は、心強い存在ですよね。
3. バンドと仕事を両立するならアルバイトや派遣より正社員がおすすめな理由
「バンドマンは就職せずに、アルバイトや派遣をしながら音楽活動をする」といった先入観を持つ方は多いかもしれません。しかし、音楽活動に集中するためにアルバイトや派遣生活が有効かと考えると、そうとは限りません。むしろ正社員のほうが有効であることがあります。それはなぜでしょうか。
3.1 トータルで考えると正社員はアルバイトや派遣よりも労働時間が短い
正社員は、アルバイトや派遣より労働時間が短く、かつ安定した収入を得ることができますので、実は音楽活動時間を確保しやすいのです。アルバイトや派遣生活では次の法則が成り立つ場合があります。
時給が安く生活が苦しい=労働時間を増やす
これでは音楽活動の時間を作ることができず、本末転倒となってしまいます。
3.2 有給を活用して音楽活動に専念できる
正社員は有給が付与されますので、有給を活用して、音楽活動をすることができます。有給を使って海外ツアーに行ってきた、という話も耳にすることがあるくらいです。アルバイトは有給が付与されないケースが多いので、ここでも休んだ分を補うための労働時間が増え、ツアーどころではなくなってしまいます。
3.3 最小限のリスクで音楽活動をすることで心に余裕が出来る
20年以上前とは異なり今はインターネットが普及されているので、音楽活動も比べ物にならないくらい自由度が増しています。海外ではバンドメンバー同士が1度もスタジオ入りすることなく、それぞれの自宅から作業し、音源データを共有することで楽曲を作りあげるケースも多く見られます。企業の正社員で仕事をしながら、仕事帰宅後の自宅や、土日だけでも音楽活動が十分に確保出来るようになってきています。正社員と音楽活動を両立することで、音楽活動で生計が立てられないというリスクを最小限に抑えることが可能となり、音楽活動を続ける心の余裕にも繋がります。
4. まとめ
昔と今ではバンドを取り巻く環境は変わってきました。音楽をするために安定した収入源を諦めるという考え方ではなく、音楽活動と仕事をどう両立するか、という考え方が存在します。お笑い芸人であり、IT企業の役員も務める厚切りジェイソン氏もインタビューで次のように語っています。
私はある日コメディアンになると決めました。日本人の感覚だと、もしコメディアンになりたかったら仕事をやめて、全てを投げ捨てコメディアンになろうとしがちです。 ですが私の意見だと、拠り所を保つためにIT会社で働きつつ、週末で授業に行っていました。 やりたいことは夕方でも週末でもできるのです。なにも失うものはないのです!そして、拠り所ができればリスクを回避して色々なレベルの色々な試みができます。なんでもいいからとにかくやりたいと思ったらやってみることが大切です。
「仕事も音楽も両方本気でやろうぜ!」と言える、そんな人生にチャレンジすることは決して難しいことではありません。ぜひ音楽活動のために、インフラエンジニア、サーバーエンジニア職にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。