Androidアプリ開発で注目を集めるKotlin(コトリン)。近年エンジニアの中でも人気が急上昇し、関心が高まっているプログラミング言語のひとつです。
本記事では、Kotlinの特徴や学習法まで詳しく説明します。Kotlinに少しでも興味がある人はぜひご一読ください!
1. Kotlinってどんなプログラミング言語?
Kotlin(コトリン)は、2011年に、IntelliJ IDEAなどのIDE(ソフトウェアの統合的な開発環境)の開発元であるJetBrains社が開発した比較的新しいプログラミング言語です。
2017年にGoogle社がKotlinをAndroidの公式開発言語として採用したことから注目を集め、近年人気が高まっています。
それでは次に、Kotlinの特徴をみていきましょう。
1.1 Kotlinの特徴
1.1.1 Android公式開発言語
近年、Kotlinが注目を浴びるようになった背景には、なんといってもGoogle社がKotlinをAndroidの公式開発言語として認めたことがあります。
これによりAndroidアプリ開発現場ではどんどんKotlinが使われるようになってきています。
1.1.2 Javaとの相互運用が可能
もともとKotlinは、Javaとの相互運用ができるように設計されており、JavaからKotlinを呼び出したり、またその逆も可能です。
例えば、既存のJavaのコードの中に、部分的にKotlinを混ぜ込むこともでき、JavaコードにスムーズにKotlinを導入することができます。
JavaとKotlinの併用により、既存のJavaコードはそのまま生かして、新規機能追加や仕様変更部分をKotlinで対応するなどということもでき、開発工数を抑えた効率の良い開発の実現が可能になります。
1.1.3 Javaよりも「簡潔」で「安全」な言語仕様
Kotlinは「Better than Java」と呼ばれているように、Javaの考え方がベースにありつつも、Javaのいいとこどりをしたような言語仕様になっています。
文法的にもNull Safetyによる安全性の高さ、簡潔で少ないコードですむことなどが特徴的です。
1.1.4 エンジニアのコミュニティ内での人気も高い
KotlinはGoogleがAndroidの公式開発言語として認めたことの影響を大きく受け、エンジニアの中でも人気が急上昇しています。
実際に次のような調査結果も出ています。
情報技術やプログラミング技術に関するエンジニアのためのナレッジコミュニティであるStackOverflowの調査によると、「2019年のエンジニアが好きなプログラミング言語ランキング」において、Kotlinは4位にランクインしました。
(参照元:Developer Survey Results 2019 "Most Loved, Dreaded, and Wanted")
Kotlin人気の秘密についてはこちらの記事も参考にしてください。
関連記事:【2021年版】プログラミング言語おすすめ人気ランキングベスト10
2. Kotlinと他のプログラミング言語を比較してみると?
勢いを増しているKotlinですが、競合言語を挙げるとすれば、Java、Scala、Goあたりになるでしょうか。
そこで次に、それぞれのプログラミング言語とKotlinを比べてどのような違いがあるのかをみていきましょう。
2.1 KotlinとJava
全章でも触れましたが、KotlinはJavaの親戚のような言語であり、Javaの優れた部分はそのままで弱点を補うような仕様になっています。
KotlinはJavaと比較しても、文法が簡潔で安全性が高い言語です。
2.2 KotlinとScala
KotlinもScalaもJavaをベースに開発されたオブジェクト指向言語です。
違いとしては、KotlinがJavaとの相互運用を目的として設計されているのに対し、ScalaはJVM環境で動作しますが、Javaとの相互運用を最優先としていません。
Scalaは関数型プログラミングとオブジェクト指向の両方をサポートしています。
関数型プログラミングとは、数学の関数のように定義を記述し、その関数を組み合わせてプログラミングする手法です。
また、ScalaはKotlinに比べて習得するのが難しく学習コストが高いことで知られています。
2.3 KotlinとGo
静的型付け言語であるGoと、オブジェクト指向型のKotlin。
どちらもサーバーサイド開発に広く利用されています。
KotlinもGoも、比較的初学者にも習得しやすいことや、近年エンジニアから注目を集める人気のプログラミング言語である点は同じです。
どちらの言語が採用されるかはプロジェクトによって変わってくるでしょう。
もし、JVM系言語(Javaプラットフォームで動くプログラムを作成する言語)のコードやノウハウを生かしたいのであればKotlinが採用されるケースが多いでしょう。
一方で、静的型付け言語を使用するプロジェクトなら、Kotlinよりも簡単なGoが選ばれることが多いです。
3. Kotlinの強みが生かされている分野
現在、Kotlinが広く利用されている分野といえば、主に下記の2つが挙げられます。
3.1 Androidアプリケーション開発
Kotlinのメイン分野はAndroidアプリケーションの開発です。
Androidアプリ開発には、ほぼ、Google公式の開発ツールである「AndroidStudio」というツールが使われており、開発言語として2017年よりKotlinもサポートされています。
Androidアプリ開発におけるKotlinの地位が上がっている現在、Javaに代わる勢いで広く使われています。
3.2 サーバーサイド開発
KotlinはScalaよりも習得が簡単で、Javaよりも簡潔で安全な文法で記述でき、エンジニア人気もあることから、サーバーサイド開発にも積極的に採用されるようになってきました。
4. Kotlin入門者必見!Kotlinの学習方法
この章ではKotlinを初めて学ぶ方むけにおすすめの学習方法を紹介します。やさしい基礎から初めて徐々にステップアップしてください。
4.1 オンライン上のサイトで学ぶ!
4.1.1 公式サイト
Kotlin公式サイトでは、文法やライブラリー、FAQなどにも一度目を通しておくとよいでしょう。
4.1.2 Kotlin入門(ドットインストール:3分動画で徹底解説!)
(Kotlin入門URL:
https://dotinstall.com/lessons/basic_kotlin)
ドットインストールは様々なプログラミング言語を動画レッスンで学べるプログラミング学習サイトです。
Kotlin入門コースは全29レッスン。テーマごとに3分程度の動画によるレッスンを視聴できます。短めの動画レッスンなので飽きることなく学習を続けられ、苦手なテーマは繰り返し視聴して復習するとよいでしょう。
インストールや基本データ型などからクラスの扱い、ジェネリクス、例外処理など幅広くKotlinについて学べます。
料金:Kotlin言語入門コース(29レッスン)の#1~5までは無料
以降は有料登録(プレミアムサービス 月額1080円)が必要です。
4.1.3 Kotlin入門までの助走読本
日本コトリンユーザーグループによる、全90ページにわたる「Kotlin入門までの助走読本」ドキュメント。
オンライン上で無料で閲覧できます。
Kotlinについての詳しい概要や特徴、環境構築や学習方法に至るまで、学び始めに読むとKotlinの理解も深まるでしょう。
4.2 Kotlin関連書籍で学ぶ!
4.2.1 やさしいKotlin入門
著者:野崎 英一
出版社:カットシステム
出版日:2018年4月1日
価格:2,400円+税
ページ数:315ページ
Kotlin書籍はJavaとの比較を解説するものが多くみられますが、こちらはJavaの知識がなくても理解できるように、Kotlionの言語の特徴にフォーカスした解説になっています。
かみ砕いた丁寧な表現でわかりやすく説明されているので、プログラミング初心者にも抵抗なく読み進めていくことができます。
4.2.2 速習 Kotlin: Javaより簡単!新Android開発言語を今すぐマスター
著者:山田 祥寛
出版社:WINGSプロジェクト
出版日:2018年9月26日
Kindle価格:500円 税込
ページ数:169ページ
こちらはアマゾンのKindle版になります。
Kotlin入門者にも読みやすく、Kotlinの基本についてサンプルコードとともに、詳しく解説されています。
文法や機能がコンパクトにまとめられており、実務でも使える内容になっています。
Java経験者であれば、Javaとの違いを理解しながらKotlinを習得していくことが可能です。
4.2.3 Kotlinイン・アクション
著作者:Dmitry Jemerov,Svetlana Isakova
監訳者名:長澤太郎、 藤原聖、 山本純平、 yy_yank
出版社:マイナビ出版
出版日:2017年10月31日
価格:4,191円 税込
ページ数:464ページ
Kotlinの基礎文法などを一通り学んだ人、またはJavaの開発経験がある人向けの書籍です。
Kotlinの言語仕様はもちろん、その背景の考え方や思想、内部的な仕組みなどについても深く説明されています。
実用的なサンプルコードも多く、実務でKotlin開発を行っている人にも役立つ内容が充実しています。
5. まとめ
2019年5月7日、Google社は、KotlinをAndroidアプリケーションの開発における推奨言語として推すことを発表しました。
(参照元:Techcrunch社のトピックより:Kotlin is now Google’s preferred language for Android app development)
これによりGoogle社は、「Android関連の開発は、今後ますますKotlinファーストになっていく」ことを明言しており、Kotlinの重要度がさらに高まっていくと言えるでしょう。
それに伴い、Kotlinの求人が増えていくことを予想すると、Kotlinを学ぶエンジニアも増えていくと考えられます。
Androidアプリ開発やサーバーサイド開発に興味があれば、今のうちから、Kotlinを学んでおくことをおすすめできます。
そしてもし、Java経験者がKotlinを学ぶのであれば、習得もスムーズに進むでしょうし、今後JavaとKotlinの相互利用やJavaがKotlinに置き換わるケースが増えていくことを考えると、エンジニアとしてのキャリアップにもつながるでしょう。
上記に挙げた学習方法を参考に、複数の方法を試してみて自分にあった勉強方法で効率よくKotlinの習得を目指してみてはいかがでしょうか。