PHPを学んだ人、PHPに携わるエンジニアなど、PHPを扱う上でフレームワークの存在は欠かせません。「Laravel」は近年最も注目を浴びているPHPのフレームワーク。今回はLaravelの特徴をおさえながら、便利な機能や学習方法についても解説します。
1. Laravelって何?
Laravelは、オープンソースのPHPで書かれたWebアプリケーションフレームワークです。 CodeIgniter フレームワークのより高度な代替手段として、2011年にTaylor Otwell によって開発されました。
フレームワークは、開発で使用される様々な機能や仕組みをもち、セキュリティ性・メンテナンス性・拡張性を維持するシステムを提供します。
今や、ソフトウェア開発においてフレームワークを使うのは当たり前になっていますが、中でも、LaravelはPHPのフレームワークの中では比較的新しく、世界的にも人気ナンバーワンの地位を築いています。
1.1 Laravelの特徴って?
1.1.1 実績のあるフレームワークがベースになっている
Laravelは、PHPのフレームワークであるSymfonyをベースとして開発されました。 Symfonyは主に大規模開発において10年以上にわたり多くの実績があることから、Laravelの土台もしっかりしたものであると言えるでしょう。
1.1.2 多機能なMVCフレームワーク
Laravelは、システム全体をMVCという、Model(データ処理)、View(画面表示)、Controller(全体の制御)の各機能に分けて整理し、これらのパーツごとに作成しながら開発を行います。
多機能(フルスタック)フレームワークであり、Webアプリケーションの様々な機能を自動生成することができます。
これにより実装部分における開発工数を減らすことができたり、経験の浅いエンジニアにも対応しやすいとして知られています。
1.1.3 頻繁なバージョンアップ
Laravelはバージョンアップが積極的に行われており、そのつど便利な新機能が追加されます。現在もシェアが広がり続けているため、プラグイン等の開発も盛んです。
バージョンアップの際には、バージョン更新サービスのLaravelShiftというツールを使えば、変更点に関する詳細なコメントや、Pull Requestを自動で生成してくれます。
1.1.4 簡単に習得できる
Laravelはくせがなくわかりやすいコードのため、初学者でも習得に時間がかかりません。
多くの機能がありながらもその実装は容易であり、シンプルなコードで各機能を実現することができます。
学びはじめてすぐに使え、高品質なアプリが作れます。
2.Laravelが選ばれる理由とは?
数あるPHPのフレームワークの中でも、Laravelが広く使われているのには考えられるいくつかの理由があります。
- 人気度の高さ!
- 使いやすさ!
- 開発スピードの速さ!
- 簡単さ!
これらを詳しく見ていきましょう。
2.1 世界でも日本でも人気No.1!Laravel人気度の動向
GoogleTrendによる「日本におけるLaravel人気度の動向」を見てみましょう。
図は、日本での過去4年間(2015/09/08 ~ 2019/10/15)における主要なPHPフレームワークの人気度の推移を表しています。
主要PHPフレームワーク:Laravel, Symfony, CodeIgniter, CakePHP, Zend
Laravelは世界で最も人気のあるフレームワークですが、日本でも2015年ごろから徐々に人気が伸びはじめ、2016年の終わりごろからはこれまでずっと人気だったCakePHPに代わってLaravelが主流になってきています。
Laravel以外の4つのフレームワークは2005~2006年ごろに登場し10年以上使われてきており、Laravelは後発です。新しいLaravelは徐々にPHPの世界で浸透し、広がっていきました。
2.2 Laravelには使える便利な機能が豊富にある!
Laravel人気を支える便利な機能や使いやすさのポイントを挙げてみます。
2.2.1 パッケージ管理ツールによるシステム管理のしやすさ
ComposerというPHPのパッケージ管理ツールを利用して、開発した機能をすぐに提供することができます。
2.2.2 豊富なコマンドにより設定・更新・アプリ作成が簡単にできる
Artisanというコマンドツールを使用すれば、各種設定や更新をはじめ、簡単なアプリ作成なども少ないコードとコマンドで手間をかけずに作成できます。
2.2.3 プログラムの拡張性や自由度が高い
プログラムがある程度自動生成された後は、エンジニアが自由にコードを記述しプログラムを拡張することができます。
また、ソースコードを配置する際のディレクトリ構成を自由に決められるため、応用や変更に柔軟に対応できます。
2.2.4 バリデーションを自動で行ってくれる
バリデーション(入力値チェック)を簡単な設定だけで自動で行ってくれる機能があるため、バリデーションの実装をする手間が省けます。
2.2.5 柔軟なデータ操作が可能
Laravelでは独自のORMである、Eloquent ORMを利用してデータ操作を行います。
ORM(Object Relational Mappping)とは、データベースのレコードをプログラミング言語のオブジェクトとして扱えるようにする仕組みです。
Eloquent ORMを使うと、データベースとModel(データ処理)を結び付けて、様々なデータ操作を簡単かつ柔軟に行うことができます。
3. Laravelの弱点と注意点
3.1 処理速度が遅め
Laravelは多機能であるがゆえに、他のPHPに比べても処理速度が遅めです。
開発のしやすさや多機能であるという利点もありますが、処理速度が求められるプロジェクトでは注意が必要です。
3.2 最初の設計が大切
Laravelは自由度が高いため、コードの複雑化などによる煩雑さが生まれやすいこと、またプロジェクトの途中で、どこでなにをやっているのかわからないというような状況にもなりやすいことが懸念されます。
プロジェクトの規模が大きくなればなるほど関わる人数も多くなるため、より一層、最初の設計をしっかりしておくことが大切になってきます。
4. Laravelに関する情報収集と学習サイト
Laravelについて調べたり、学習したりする際に参考になるサイトを挙げてみます。
第1章でも述べたように、Laravelは半年に一度くらいの高頻度でバージョンアップが行われ、そのつど新規追加機能や変更点も出てくるため、常に最新バージョンを把握しておくようにしましょう。
学習する際にはなるべく最新バージョンに近いものを選び、バージョン間の差異についてもチェックしておくといいでしょう。
4.1 Laravel情報収集
◆ Laravel公式サイト
現在、Laravelの最新バージョンは6.0.x (2019.9.3 up)です。
◆ Laravelのドキュメント
バージョンごとのインストールやWebサーバー設定などについて、日本語・英語で確認できます。
◆ Laravelコミュニティ(Facebook)
日本のLaravelユーザの交流グループによるLaravelコミュニティです。
Laravelのイベントやカンファレンスに関するお知らせ、ユーザー同士でのLaravelに関するQ&Aなどが見られます。
4.2 Laravelオンライン学習サイト
◆ UdemyのLaravel講座
Udemyには約200くらいのLaravel講座がありますが、中でもLaravel入門編として最も人気がある下記の講座がおすすめです。※Laravel6.0にも対応
【2日でできる】はじめての PHP 7 x Laravel 入門
Laravel公式サイトからもリンクがあるLaravelオンライン学習サイト
Laravelの基礎から応用まで、動画によるレッスンがとにかく豊富です。
音声も解説も英語のみで、字幕もありませんので、解説のスピードが速いと聞き取りづらいかもしれませんが、解説と共に画面に表示されるコードを追っていけば大方は理解できると思われます。
基礎の講座は無料と思えないほどかなり内容も充実しており、しっかりと基礎を身に着けられるでしょう。
【Laravel基礎講座】 Laravel 6 From Scratch
5. まとめ
Laravelはその多機能さや使いやすさが注目され、PHPフレームワークの中ではいまや全世界で圧倒的なシェアを広げています。
もちろん、フレームワークはシステムの仕様や用途に合わせて適切に使用することが大切なので、他とも比較した上で選ばれていると考えられます。
Laravelは今後も積極的なバージョンアップで新機能が追加され、さらにWeb開発をよりよいものにしていく先導を率いるでしょう。
Laravelに興味があれば、まずは基礎的な部分から理解を深めていくことで、Laravelでできることや、Web開発の実践で生かせることもどんどん見えてくるでしょう。
PHPや他のプログラミング言語の経験があればなお、学習コストも低く学び始めるハードルもさほど高くありませんので、あまり身構える必要もありません。
今や、PHPフレームワークの主役ともいえるLaravel。より効率的なWeb開発におすすめです!