• なぜAWSは選ばれる?オンプレと比較したメリット・デメリットを解説

    公開日:2020年11月17日 最終更新日:2021年01月05日

    近年、AWS(Amazon Web Services)のようなクラウドサービスが人気を得ていますが、オンプレミスサーバーを使用されている企業もまだまだ多いのではないでしょうか?この記事では、AWSとオンプレミスを比較したメリット・デメリットについて解説していきます。

    1. AWS(Amazon Web Services)とは何か?

    AWS(Amazon Web Services)とは、2006年3月にAmazon社が開始したクラウドコンピューティングサービスです。
    従来の大きな投資を伴う固定資産型のITインフラに対し「初期費用無償」「従量課金のサービス利用型」を主とする新しいIT基盤を確立したクラウドサービスの先駆け的な存在です。サービス開始より10年以上の歳月を経て、現在、世界中で数百万の利用者がおり、日本でも10万を超える利用者がいます。


    AWS(Amazon Web Services)公式サイト(日本語)

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    1.1 パブリッククラウドとは

    クラウドサービスには、大きく分けて「パブリッククラウド」と「プライベートクラウド」の2種類あります。

    パブリッククラウドとは、広く一般のユーザーや企業向けにクラウドコンピューティング環境をインターネット経由で提供するサービスで、すべてのリソースを利用者で共有するイメージです。従量課金制をとっているサービスが多く、使いたい時に使いたい分を簡単に利用することができたり、ニーズに合わせて柔軟に利用量を変更できたりするので、コストカットにもつながります。
    また、専用のクラウド環境を構築するプライベートクラウドと異なり、保守管理をクラウド事業者に任せられ、定期的なメンテナンスや専門的な知識が不要です。

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    1.2 代表的なパブリッククラウド

    出典:2020年第2四半期のクラウドインフラ市場規模調査|Synergy Research Group

    米国調査会社のSynergy Research Groupが発表した「2020年第2四半期のクラウドインフラ市場規模調査」によるとAmazon(Amazon Web Services)、Google(Google Cloud Platform)、Microsoft(Azure)の3社が世界の6割超のシェアを占めています。3社とも似たようなサービスに感じるかもしれませんが、もちろん提供するサービスには違いがあります。
    次に、上記3社のクラウドサービスの特徴を見ていきましょう。

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    1.2.1 AWS(Amazon Web Services)

    AWS(Amazon Web Sevices)は、世界最大級の通販サイトや動画配信サービスなどを展開しているAmazon社のクラウドサービスです。

    <AWSの特徴>

    ・最先端のサービスが175以上(2020年11月時点)用意され、自由に組み合わせて利用できる

    ・世界中に複数のサーバーを配置しているため、データ障害などに強い

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    1.2.2 GCP(Google Cloud Platform)

    GCP(Google Cloud Platform)は、検索エンジンやGoogle mapなどを展開するGoogle社が提供するクラウドサービスです。

    <GCPの特徴>

    ・世界最大級のデータセンターであるGoogleのインフラを利用できる

    ・AIや機械学習などのサービスがAWSと比べると充実している

    ・Google BigQueryを利用して、高速でデータ分析が可能

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    1.2.3 Microsoft Azure

    Microsoft Azure はOS(Windows)を手掛けるMicrosoft社が提供するクラウドサービスです。 Azure は、 Windowsをベースに構築されているため、Windows利用の企業にとっては、非常に使いやすいサービスと言えます。

    <Azureの特徴>

    ・Microsoft製品(One Driveなど)との連携に長けている

    ・オンプレミスとの親和性が高く、クラウド環境とオンプレミス環境を1つの管理画面で管理できる

    ・金融業界・電力業界など、特定の業界に強い課題解決能力を持っている

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    1.3 オンプレミスとの違い

    オンプレミスとは、AWS(クラウドサービス)と異なり、自社内に物理サーバーを設置する運用形態を指します。どちらにもメリット・デメリットはありますが、利用する目的やデータの種類によってどちらが適しているかは異なります。
    それでは、AWS(クラウドサービス)とオンプレミスの違いを見ていきましょう。違いを表にまとめました。

    オンプレミス AWS(クラウドサービス)
    初期費用 ハードウェア等の購入が必要になれば高価 安価
    月額費用 自社で運用すれば人権費のみ
    他社に依頼すれば固定費が発生
    従量課金の為毎月変動
    利用までの日数 時間がかかる 申込後すぐ
    カスタマイズ 自社で自由にカスタマイズ可 可能だが、AWSのサービスを
    網羅的に知っている必要あり
    情報セキュリティ 情報源の特定が容易 高い耐久性
    災害復旧/障害復旧 自社の運用体制が甘い場合は対策困難 比較的容易、ただし過去AWSが原因で
    大規模障害が発生したこともあり
    冗長化 高コスト 低コスト

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    2. AWSの主な特徴・サービス概要

    次にAWSの主な特徴とサービスの概要について、1つ1つ見ていきましょう。

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    2.1 リージョン

    リージョンとは、日本語で「領域」を意味する英単語です。
    AWSは世界中に複数のサーバーを持っており、リージョンという大きな単位で管理されています。東京リージョン、ソウルリージョン、北カリフォルニアリージョン、など多数存在しており、各リージョン間は完全に分離されています。
    そのため、あるリージョンで障害が発生したとしても、その他のリージョンに影響を与えることはありません。
    さらに、リージョンの中には、1つ以上のデータセンタで構成されたアベイラビリティゾーンが複数存在します。仮に1つのデータセンターに障害が起こった場合でも、システムを継続することができます。

    つまり、複数のリージョン・アベイラビリティゾーンにシステムを分散配置することで、障害耐性を高めているのが特徴です。

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    2.2 幅広いサービス

    AWSでは幅広いサービスを展開しています。仮想サーバーを作成する「コンピュートサービス」、データを格納したり配信したりできる「ストレージサービス」、データベースとしての「リレーショナルデータベースサービス」など様々です。
    ここでは、代表的な3つのサービスについて解説しています。

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    2.2.1 コンピュート

    EC2に代表されるコンピューティングサービスで、AWS上に仮想サーバーを構築して自由に利用できるのが特徴です。「Amazon Elastic Compute Cloud」の略称で、ユーザーのその時のニーズに応じて、いつでもスペックを変更できます。継続利用時に起こりがちなスペック不足やディスク容量問題への対処も容易です。AWSを使う際は、コスト削減を中心に、使っていないボリューム(EBS)、グローバルIP(EIP)、ロードバランサーが無いかは定期的にチェックすると良いでしょう。

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    2.2.2 ストレージ

    S3(Simple Storage Service)に代表されるストレージサービスで、高い耐久性や容量無制限に使用できることが特徴です。例えると、容量が無制限なFTPサーバーのようなイメージになります。ファイルのバックアップに使ったり、Webで使用する静的なファイル(画像ファイル・CSSなど)をS3に置いて配信したりすることができます。また、同じファイル名で上書きした際に、前のバージョンを残すことができるバージョニング機能も備わっています。ただし、ファイル数やアクセス数によって費用が変動するため注意が必要です。

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    2.2.3 リレーショナルデータベース

    RDS(Relational Database Service)に代表されるリレーショナルデータベースで、目的のデータ検索や、編集を行うために必要です。特にリレーショナル型データベースは情報の統合性や管理効率化に優れ、会計データ/顧客データといった構造化データに向いています。また、RDSの中にはAuroraというAWS独自のデータベースエンジンがあり、耐障害性に強く、最大64TBまで拡張でき強力です。

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    2.3 セキュリティ

    データセンター、インフラ、ネットワークなどはクラウドサービスに組み込まれています。仮にAWSから情報が漏洩した場合、状況によってはAWS側が責任を問われるかねないので、AWS側も専属のセキュリティ部隊を配置し、徹底した管理を行っています。
    また、ネットワークからの攻撃リスクや自然災害などの環境リスクも考慮されたデータセンターの配置がなされています。

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    3. AWSの代表的なサービス

    AWSといっても、その中には175以上(2020年11月時点)のサービスが存在します。それぞれ目的や用途は異なりますが、その中でもよく利用される代表的なサービスを4つ紹介します。

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    3.1 Amazon EC2

    Amazon EC2は、AWS上に仮想サーバーを構築して自由に利用できるサービスです。短時間の画面操作でサーバーを作成でき、数クリックでスペックをいつでも変更することが出来ます。
    AWSの料金体系については、公式サイトを見ても分かりにくい人が多いのではないでしょうか?

    Amazon EC2では料金体系として、次の3種類があります。

    1. オンデマンドインスタンス
    2. 従量課金制で、インスタンスを使用した時間(秒)によって料金が発生します。
    3. スポットインスタンス
    4. 未使用なまま放置された他人のインスタンスを格安で利用します。
    5. リザーブドインスタンス
    6. 1~3年分の料金をあらかじめ先払いすることで、最大72%の割引を受られます。

    参照:Amazon EC2|AWS

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    3.2 Amazon S3

    Amazon S3は、ファイルなどを格納・管理できる容量無制限のストレージサービスで、ファイルのバックアップに使ったり、静的なWebサイトをホスティングしたりすることが出来ます。

    Amazon S3の料金体系は従量課金制で、主に次の3項目によって料金が変動します。

    1. ストレージ容量(GB)
    2. データ転送量(GB)
    3. リクエスト数(読み書きの回数)

    参照:Amazon S3|AWS

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    3.3 Amazon RDS

    Amazon RDSは、AWSのリレーショナル型のデータベースです。
    Amazon RDSでは、次の6つのRDBMSを利用することが出来ます。

    • Amazon Aurora
    • Postgre SQL
    • MySQL
    • Mariaデータベース
    • Oracle
    • SQL Server

    Amazon RDSはAmazon S3同様に従量課金制となっており、主に次の3項目によって料金が変動します。

    1. インスタンスタイプ
    2. ストレージ容量(GB)
    3. データ転送量(GB)

    参照:Amazon Relational Database Service(RDS)|AWS

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    3.4 AWS Lambda

    AWS Lambdaとは、クラウド上にプログラムを定義し、インターネットを通じて実行できるサービスです。様々な使い道が存在し、データ処理やファイル連携といった、アプリケーションに必要なことをはじめ、認証やログの抽出といったセキュリティ関連の処理を行うころも可能です。
    そして、AWS Lambdaの最大の特徴は料金の安さです。毎月百万件の実行までは無料で利用することができます。

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    4. AWSのメリット・デメリット

    AWSは拡張性・可用性が高かったり、イニシャルコストも押さえられたりとメリットも多くありますが、当然デメリットも存在します。ここでは、オンプレミスと比較した際のメリット・デメリットを中心的にまとめましたので順に解説していきます。

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    4.1 【メリット】高い耐久性

    Amazon S3 は 99.999999999%(9x11)の耐久性を実現するように設計されています。これは、1万個のオブジェクトを保存したときに、そのうちの1つが障害で失われるのに平均で1000万年近くかかるレベルで、非常に高い耐久性を誇ります。データを失う心配がほぼないことから、世界中の企業がアプリケーションデータの保存に利用しています。

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    4.2 【メリット】テクニカルサポートの充実度

    AWSは、ニーズに合わせて自由にサービスを組み合わせて使用できる反面、それ相応の知識が必要になってきて、ユーザでは解決できないこともよく出てくるでしょう。
    そのため、AWSでは、テクニカルサポートのサービスが充実しています。

    <AWSサポートプラン>

    • ベーシック:
      アカウント取得時に与えられ、カスタマーサービスやTrusted Advisorが使用可能
    • 開発者サポートプラン:
      アーキテクチャや技術的な質問にも対応
    • ビジネスサポートプラン:
      開発者サポートに加え、電話やチャットによる24時間365日の日本語サポート
    • エンタープライズサポートプラン:
      企業向けのプランで、専属のテクニカル担当者がつき、最優先に対応

    Trusted Advisor:AWS のベストプラクティスに従ってリソースをプロビジョニングするのに役立つ、リアルタイムのガイダンスを提供するオンラインツール(AWS公式サイトより引用)

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    4.3 【メリット】イニシャルコストの安さ

    従来のオンプレミスだと、ハードウェアの調達から構成まで、初期費用が高価でしたが、AWSでは初期費用が一切かかりません
    また最大の魅力は、継続的な料金の値下げが実施されていること。過去10年間を見ると、80回以上の値下げ実績があります。

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    4.4 【メリット】拡張性と可用性

    AWSは拡張性と可用性についても非常に優秀です。現在稼働中のサーバーであっても、数クリックの画面操作でサーバーの台数、CPU、メモリ、ストレージのサイズなどを変更することができます。そのため、オンプレミスでは対応が難しい突発的なイベントに対しても、サーバーリソースを短期的に増強し対応することができます。もちろん、イベントが終了した段階で元に戻すといったことも可能です。また、スケーラビリティが高く、システムが利用可能な状態を維持する能力も高いと言えるでしょう。

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    4.5 【メリット】セキュリティと権限管理

    複数のAvailability Zoneにインスタンスを配置することによって耐障害性を高めることが出来ます。ある1つのAvailability Zoneに障害が起きたとしても他のAvailability Zoneのインスタンスが起動するため、システムのパフォーマンスを落とすことなく稼働が可能です。また、AWSでは、セキュリティを考える上で基本となるIAMというサービスがあります。IAMではアクセス権限の管理が可能で、万が一障害が発生した場合でも、権限から逆算して原因調査することができます。

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    4.6 【デメリット】構成やセキュリティが必要以上に複雑になるケースがある

    AWSはサービスをブロックのように組み合わせて使うことができ、組み合わせ次第で高度な構成やセキュリティを実現できます。しかしその一方で必要以上に複雑な構成にもなりやすいデメリットもあります。シンプルな設計と運用を心がけて、運用面の負担も軽減できる設計を意識しておきましょう。

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    4.7 【デメリット】ランニングコスト

    AWSは主に従量課金制のため、アクセス数やデータの利用量に応じて利用料金が毎月変動します。そのため、サービス導入からランニングコストまでの試算を行い、予算立てるのが難しいというデメリットがあります。毎月の利用量が大体予測できる方は、「AWS料金計算ツール」も用意されていますので、活用してみると良いでしょう。

    参照:AWS料金計算ツールとは|AWS

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    4.7.1 マルチクラウドの導入も検討すべき

    マルチクラウドとは、複数のクラウドサービスを組み合わせて使う運用方式のことを指します。同じクラウドサービスでもサービスごとに得意分野が違うことから、1つのクラウドサービスで全要望に対応できない場合があり、マルチクラウドを採用する企業も増えてきています。

    マルチクラウド導入のメリットとして次のようなことが挙げられます。

    ・ベンダーロックインのリスクを軽減できる

    ・ニーズに対して最適なクラウドサービスを利用することで、パフォーマンスを最大限まで引き上げることができる

    ・クラウド基盤を分けることにより、災害等のリスクを分散

    ベンダーロックイン:従来のオンプレミスでよく見られる、特定のベンダーの製品やサービスなどを採用後、ほかのベンダーの製品を導入やリプレイスが困難になる現象

    ただし、複数サービス故、運営コストや管理コストがかかることも頭に入れておきましょう。

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    4.8 【デメリット】法的リスク

    AWSは米国企業のクラウドサービスであるため、契約時には準拠法がワシントン州法になっています。これまでは日本法に変更するのに書面での手続きが必要でしたが、2017年からAWSマネジメントコンソール(オンライン)で変更することが可能になりました。万が一のトラブルに備えて、まず最初に準拠法が日本法になっているのかは必ず確認しておいた方が良いでしょう。

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    5. まとめ

    オンプレミスとの比較を元に AWSのメリット・デメリットを解説してきました。
    AWSには、イニシャルコストの安さ、拡張性・可用性、セキュリティ面などの数多くメリットが存在しますが、当然デメリットも存在します。
    そのため、システムの利用目的に応じて、AWS(クラウドサービス)とオンプレミスのどちらが最適であるか考えることが大切です。

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