フリーランスのクラウドエンジニアになるために、「どのくらいのスキルや経験が必要なんだろう」や「みんなどうやって案件を受注しているの?」「会社員より稼げるの?」などの疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、それらの疑問にお答えするとともに、フリーランスクラウドエンジニアになるための手順や必要な準備などを、実例を交えてご紹介します。独立を検討しているクラウドエンジニアの方だけでなく、これからクラウドエンジニアになりたいという方も、ぜひご覧ください。
1. フリーランスのクラウドエンジニアとは?
フリーランスクラウドエンジニアとは、企業に所属せずプロジェクト単位で仕事をするクラウドエンジニアのことです。自分の持つスキルや経験をもとに、クライアントから案件を受注して仕事をします。
AWSやGCP、Azureなどの保守運用や各種アラート、エラーのチェックを行ったり、新規サービスの立ち上げ時のインフラ設計を行うのが代表的な業務です。
1.1 フリーランスクラウドエンジニアの業務内容
フリーランスクラウドエンジニアの業務内容には、次のようなものがあります。
フリーランスクラウドエンジニアの主な業務内容は、通常のクラウドエンジニアと同様に「クライアントの要望に沿ったITインフラをクラウド上で実現すること」です。設計書通りにクラウドを構築・運用・保守するだけでなく、クライアントの要望をヒアリングして設計する業務を担当することもあります。
クラウドエンジニアの業務について詳しく知りたい方は、次の記事も参考にしてください。
1.2 フリーランスクラウドエンジニアの平均年収
当サイト「プロエンジニア」に登録されている「クラウドエンジニア」の案件を集計※1 したところ、平均年収は約900万円でした。
なお月給の最低額は50万円から、最高額は100万円以上です。つまり自身のスキルや案件との相性にもよりますが、年収1000万円も十分に狙えます。
「求人ボックス給与ナビ」が「2024年時点でサイト上に登録されているクラウドエンジニアの求人情報」※2 から算出した値によると、正社員クラウドエンジニアの平均年収は450万円でした。
なお厚生労働省が発表する賃金構造基本統計調査(職種別)※3 によると、R4年度の全一般労働者の平均年収は約497万円です。
※1:2023年6月時点でプロエンジニアに登録されているフリーランス案件情報のうち、月額報酬の下限額および上限額が公開されている案件より、単価平均×12か月で年収平均を算出
※2:2024年3月時点で「求人ボックス給与ナビ|クラウドエンジニアの仕事の年収・時給・給料」に公開されている求人統計データ
※3:賃金構造基本統計調査 / 令和4年賃金構造基本統計調査にて公開されている職種別賃金のうち、「決まって支給する現金給与額」× 12か月分に「年間賞与その他特別給与額」を加えた値を算出
1.3 フリーランスクラウドエンジニアの具体的な働き方:1日のタイムスケジュール例
参考までに、フリーランスITエンジニア専門エージェント「プロエンジニア」を通じて、実際にフリーランスクラウドエンジニアとして活躍している佐久間さんの1日のタイムスケジュールを見てみましょう。
午前中はセキュリティチェックやアラート調査などの保守運用業務を行い、午後は設計書の作成や打ち合わせなどを行っています。作業は基本的にテレワークで行い、残業なしという働き方を選択しています。
2. フリーランスクラウドエンジニアに求められるスキルや資格
フリーランスのエンジニアは外部人材であるため、企業にとっては育成する対象ではありません。そのため、基本的に即戦力になるスキルが求められます。
そのためプロエンジニアで募集されている案件の多くは、オンプレミス・クラウドを問わず、最低3年以上の実務経験を求められます。
実務経験があった上で、特にフリーランスのクラウドエンジニアに求められるスキルをまとめると、次の通りです。
クラウドエンジニアの案件を受注するためにクラウドに関する知識やスキルが必要なのは言わずもがなですが、さらにフリーランスの場合、自己管理スキルやコミュニケーションスキルが必要です。フリーランスは健康管理が重要なだけでなく、作業の進捗管理なども自分で行う必要があります。
また案件を受注するための営業や、単価アップの交渉なども自分で行う必要があります。そのため、フリーランスはコミュニケーションスキルも重要になるのです。
クラウドエンジニアに必要なスキルについて詳しく知りたい方は、よければ次のページも合わせてご覧ください。
▶ インフラエンジニア|フリーランス案件の特徴・単価・必要スキル
2.1 オンプレミスでの実務経験を生かして、フリーランスのクラウドエンジニアになることは可能?
クラウドの実務経験がなくても、オンプレミスの実務経験を積んだ方がフリーランス化を期にクラウドエンジニアに転向することは可能です。実際に前項で1日のスケジュールをご紹介した佐久間さんは、オンプレミスのインフラエンジニアとして実務経験を積んだ上でクラウドを独学で勉強し、クラウドエンジニアのフリーランス案件を受注しました。
また、最近ではオンプレとクラウドを併用している現場も増えています。まずは併用かつオンプレミスの知識が重点的に求められる案件を探して参画した上で、現場で段階的にクラウドの実務経験を積んでいくという方法もあります。
その際はオンプレミスからクラウドへの移行案件などを探してみると、どちらかの経験が条件となっている案件が見つかりやすいのでおすすめです。
とはいえクラウドの実務経験がある方に比べると、クラウドエンジニア向け案件の受注は難しくなります。そのため、実務未経験の方には資格の取得もおすすめです。
クラウドエンジニアにおすすめの資格には、次の3つが挙げられます。
特に人気のクラウドサービスとして、AWS(Amazon)、GCP(Google)、Azure(Microsoft)の3つが挙げられます。それら3つには、それぞれのサービスを提供するベンダーが公式でスキル認定のための試験を実施しています。該当するクラウドサービスを扱った経験のある方は、受験を検討してみてください。
2.2【クラウドエンジニアに役立つ資格】AWS 認定ソリューションアーキテクト-アソシエイト
『AWS 認定ソリューションアーキテクト-アソシエイト』は、クラウドの設計および実装する能力を認定する試験です。この試験に合格することで、要件に基づいた設計から実装を、AWS上で行えることを証明することができます。
公式サイト | https://aws.amazon.com/jp/certification/certified-solutions-architect-associate/ | 受験時期 | 年中 | 受験料 | 150 USD | 受験会場 | 各地のピアソンVUE公認テストセンターまたはオンライン上 |
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2.3【クラウドエンジニアに役立つ資格】GCP Professional Cloud Architect
『GCP Professional Cloud Architect』は、GCP上でソリューションの設計、開発、管理を行うためのスキルがあることを認定する試験です。
公式サイト | https://cloud.google.com/certification/cloud-architect?hl=ja | 受験時期 | 年中 | 受験料 | 200 USD | 受験会場 | 各地のピアソンVUE公認テストセンターまたはオンライン上 |
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2.4【クラウドエンジニアに役立つ資格】Microsoft Azure 認定試験 AZ-900:Azure Fundamentals
『AZ-900:Azure Fundamentals』はAzureを扱ったコンピューティング、ストレージ、ネットワーク、セキュリティに関連する知識を問う試験です。試験に合格することで、Azureに関する基礎的な知識を有すると証明することができます。
公式サイト | https://docs.microsoft.com/ja-jp/learn/certifications/exams/az-900 | 受験時期 | 年中 | 受験料 | 12,500 JPY | 受験会場 | 各地のピアソンVUE公認テストセンターまたはオンライン上 |
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クラウドエンジニア向けの試験として、今ご紹介した以外にもたくさんの資格があります。
詳しく知りたいという方は、次の記事も合わせてご確認ください。
3. 会社員からフリーランスのクラウドエンジニアになる「独立の流れ」
会社員からフリーランスクラウドエンジニアになるまでの、一般的なロードマップをご紹介します。独立までの基本的な流れを把握する参考にしてください。
前述のように、オンプレミスのインフラエンジニアで実務経験を積み、かつクラウド知識を独学してクラウドエンジニアに転向した方もいらっしゃいます。ですが可能な状況ならば、やはり会社員のクラウドエンジニアとして実務経験を積んでから独立する方が確実です。
またひと言でクラウドといっても、AWSやGCPなど種類があります。これはプログラマーであれば言語やフレームワークの違いに近いもので、GCPの実務経験があってもAWSの案件を受注できるとは限りません。その場合はオンプレからの転向と同様に、独学で技術を身に着けたことを証明する必要があります。オンプレからの転向だけでなく、これまでとは違うクラウドサービスに挑戦してスキルの幅を広げたいという方にも、資格への挑戦がおすすめです。
実務経験や資格が揃ったら、スキルシートを作ります。特にフリーランス経験が浅いうちは、クライアントへのアピールにスキルシートが重要です。いざ書こうとした際に困らないよう、日頃から自分の持っているスキルや経験内容を整理しておきましょう。
「実はIT業界自体が未経験なんだけど、フリーランスクラウドエンジニアを目指したい」という方には、プログラマカレッジのクラウドエンジニアコースがおすすめです。
完全無料で正社員就業率は98.3%、未経験から最短3か月で、確実にクラウドエンジニアを目指すことができます。未経験の方は、ぜひプログラマカレッジも検討してみてください。
フリーランスになる準備が整ったら、個人事業主として開業するための手続きを行います。詳しくはフリーランスのクラウドエンジニアの開業手続きチェックシートを参照してください。
開業手続きと並行して、会社を退職する準備も行います。企業により退職の何か月前までに申告が必要なのか違いがありますので、あらかじめ規定を確認しておきましょう。引継ぎなどでのトラブルを防ぐためにも、職場には早めに伝えておくことがおすすめです。 (まずは副業の範囲から始めてみるという場合は、退職不要です)
独立の作業と並行して、案件探しも始めます。個人的にクライアントへ直接紹介してもらえる伝手がない場合は、フリーランスエージェントなどを通して案件を探します。詳しくはフリーランスクラウドエンジニアの案件の探し方を参照してください。
契約が成立したら、いよいよフリーランスとしての仕事がスタートです。なお契約する際には、単価や契約期間、納品方法、連絡方法などを、忘れずに確認しておきましょう。
4.【2024年版】フリーランスのクラウドエンジニアの開業手続きチェックシート
ひと言で「開業手続き」と言われても、会社員の方には馴染みのない言葉かもしれません。参考までに、2024年4月時点でフリーランスとして開業するために必要な一連の手続きを、チェックシートにまとめました。
個人事業主として開業するために、まず納税地(住民票に記載されている住所)の税務署長に「開業届」と「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。
同時に、これまで会社で加入していた厚生年金から自分で加入する国民年金への、切り替え手続きを行います。その際には退職証明書が必要なので、退職時に申請して必ずもらっておきましょう。
健康保険については、国民健康保険への切替までに2年間の猶予があります。とはいえフリーランスとして忙しくなると忘れてしまいがちなので、早めに切替を行っておきましょう。
開業手続きや各種保険について詳しく知りたい方は、次の記事も参照してください。
5. フリーランスクラウドエンジニアの案件の探し方
独立までに充分な人脈を得られたのであれば、知人に信頼できる案件を紹介してもらう方法がスムーズです。それが難しいのであれば、クラウドソーシングやフリーランスエージェントに登録して案件を探します。クラウドソーシングとフリーランスエージェントは似ていますが、それぞれ次のような特徴があります。
● クラウドソーシングサービス
フリーランスが自分で案件を検索し、クライアントと契約する場所を提供
● フリーランスエージェント
フリーランスが自分で案件を探すほか、希望の条件に合う案件をエージェントが代わりに探したり、トラブル発生時には間に入るサービスを提供
副業の場合は小規模の案件も多彩なクラウドソーシングサービスがおすすめですが、専業のフリーランスになる場合、フリーランスエージェントの利用がおすすめです。エージェントはスキルや希望に合った案件を探してくれるだけでなく、単価交渉や請求書発行などの面倒な作業の代理もおこなってもらえます。
なおエージェントを利用する場合、一か所ではなく複数エージェントの併用がおすすめです。独立する前に、あらかじめ信頼できるエージェントをいくつか見つけておきましょう。
弊社サービス「プロエンジニア」では、フリーランスの方の独立支援のご相談も承ります。これまで支援した方の中には正社員時代のご相談から並走し、安心して独立していただいた実績もございます。
▶ 独立支援も無料で承っています。ぜひお気軽にご相談ください。
6. フリーランスのクラウドエンジニアのメリットとデメリット
クラウドエンジニアが独立した場合、次のようなメリットとデメリットが考えられます。
独立のメリットとして一番に挙げられるのは、やはり自分の希望通りの案件を選ぶことができるという点です。自分がこれから伸ばしたいスキルを扱う案件を選んだり、高収入を目指したり、逆にプライベートを優先して働く時間や場所を調整したりすることも可能です。
デメリットとしては、会社員よりも全体的に社会的信用が低くなりがちという点が挙げられます。フリーランスは会社員よりも社会保障が少なく、収入も不安定になりがちです。そのため賃貸やローン、クレジットカードなどの審査が通りにくくなります。
クレジットカードの作成や家や車の購入予定がある方は、退職前に一通り済ませておくことがおすすめです。
7. 実際にフリーランスのクラウドエンジニアに転身した方の具体例と、ご本人へのインタビュー
実際にオンプレミスのインフラエンジニアからフリーランスクラウドエンジニアに転身した方の事例として、ご本人へのインタビューを紹介いたします。
◼ フリーランスデータサイエンティストの佐久間さんへインタビュー
今の案件はクラウドインフラを経験できることが魅力で選んだのですが、私自身クラウドは未経験でしたので、案件探しには難航しました。
経験値のあるオンプレ案件であれば単価も高いし、案件の選択肢も広がります。
ですが、これまでと同じ案件を請け続けていては、将来的に案件選びに苦労する可能性が高くなるので、妥協せず尾﨑さん(担当キャリアコンサルタント)にも協力を仰ぎながら、今の案件にたどり着きました。
現状に甘えず、スキルアップすることで、後々単価はついてくると思っています。第二条件に、リモート作業がありました。クラウドの案件であればリモート作業ができることも魅力でした。
引用元:未経験でもフリーランスになれた秘訣は自己学習と資格取得!オンプレを熟知した上で、クラウドにも特化したインフラのスペシャリストに|プロエンジニア
インタビューの全文は、以下のリンクからご覧いただけます。
8. フリーランスのクラウドエンジニアの市場動向と将来性
近年ではオンプレミスからクラウドへ移行する企業も増加しており、それに伴いクラウドエンジニアの需要も急増しています。
8.1 フリーランスのクラウドエンジニアの需要は今後も伸びていく
クラウドを採用する企業の増加と共に、クラウドエンジニアの需要も伸びていくと考えられます。特にAWS、GCP、Azureの需要について、ニーズの拡大が続く状況です。
以下の記事では、それぞれのクラウドサービスの最新動向について、キャリアコンサルタントが詳しく解説しています。今スキルを持っている方だけでなく、これから学ぶクラウドサービスに迷っているという方も、ぜひ参考にしてください。
9. フリーランスのクラウドエンジニアのキャリアパスや目標設定の例
フリーランスクラウドエンジニアのキャリアパスとして、次の3つの方向性が考えられます。
まず多いケースが、専門スキルを極めてプロフェッショナルを目指すというルートです。経験の長いフリーランスに企業が最も期待しているのは、実は「必殺技スキル」です。「この技術は誰にも負けない」と思えるようなスキルを身につけることが、フリーランスを長く続け、かつ単価を上げてゆくコツです。
2024年1月現在、プロエンジニアで支援しているフリーランスの4割が40代以上です。その中には、50代や60代の方も少なくありません。
23年間フリーランスを続けている淺原さんのインタビューも、ぜひご覧ください。
またクラウドエンジニアとしてのスキルに加え、サーバーサイドやフロントエンドの知識も身につけ「フルスタックエンジニア」としてのキャリアを歩む道もあります。
クラウド以外の技術知識は、将来的にPMなどのポジションに就く場合にも、マネジメントに必要な知識として役に立つケースがあるため、学習してみるのも良いでしょう。
10. まとめ
クラウドエンジニアはリモートワークとの相性もよく、エンジニアの中でもフリーランスに人気の職種です。クラウドエンジニアには将来性もあることから、フリーランスとして長く働きたい方にもおすすめです。
自分で案件を探したり確定申告したりといった作業が苦にならないタイプの方は、この機会に独立を検討してみてはいかがでしょうか。
なおフリーランスエージェントでは、案件探しや面接のセッティング、請求書発行などの雑務の代行が可能です。
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