「ゲームテスター(デバッガー)が気になるけど、どんな仕事内容なんだろう?」
「未経験でも、ゲームテスターの仕事はできるのかな?」
と思うことはありませんか。
そこで今回は、
• ゲームテスターの役割や仕事内容
• ゲームテスターの仕事で求められるスキル
• ゲームテスターの年収の目安
など、ゲームテスターについてまとめて解説します。
記事の後半で「ゲームテスター(デバッガー)に役立つ資格や将来性」についてもまとめているので、ぜひ最後までお読みください。
1. ゲームテスター(デバッガー)の仕事内容
まずは、ゲームテスター(デバッガー)の仕事内容についてご紹介します。
1.1 ゲームテスター(デバッガー)の定義
ゲームテスターとは、「開発中のゲームの動作を確認し不具合を見つけ、不具合の原因などを詳しく調べる仕事」のこと。
■ ゲームテスターの主な2つの仕事
• ゲームテスト:不具合を見つける
• デバッグ:不具合の原因を特定する
初めて「デバッグ」の言葉を聞いた方も多いと思うので、簡単に補足します。デバッグとは、バグ(不具合)が起こっている原因を突き止めて、実際に修正を行う作業のこと。
ゲームテスター(デバッガー)が原因を特定できたら、プログラマーに修正を依頼する流れとなります。その際、単純にゲームをプレイして不具合を見つけるのではなく、仕様書に沿って動きが問題ないか1つずつチェックしていきます。
たとえば
• 「Aを選択したら〇〇のメッセージが出る」
• 「Bを選択したら■■のメッセージが出る」
など、選択肢によって分岐するようなケースでは、それぞれ動かして問題がないかチェックしていくようなイメージです。
1.2 主なテスト(デバッグ)の対象
「具体的なテストのイメージが湧かない...」と思った方もいるでしょう。そこで、具体的なゲームのバグの例を見てみましょう。
■ バグの例
- 停止バグ
→ゲーム中に石の中などで固まってしまい、進行不可能になってしまうバグ
例:フリーズ、石の中、水の中、溝などにはまって動けなくなる など - グラフィックバグ
→画面を切り替える際、意図通りに描画されずに色がおかしくなるようなバグ
例:キャラの顔が透明になってしまう、地面が見えなくなってしまう など - 仕様バグ
→仕様通り動いてはいるものの、動かした感覚がないなどのバグ
例:効果音が足りない、効果エフェクトが足りない、当たり判定が小さい など
たとえば停止バグで言うと、正常なルートで歩いただけでは見つからない可能性もあります。そのため、マップの中をしらみつぶしに移動して試してみたりと、入念なテストが求められます。
1.2.1 テストやデバッグを人力で行う必要があるのは何故?
「テストやデバッグは、テスト専用のプログラムを作れば自動化できるのでは?」と思った方もいるかもしれません。
確かに、自動化テストを進める企業も増えてきています。たとえばベヨネッタ2では、以下のようなオートプレイでテストを行っていたようです。
またオートプレイは、特定のタイミングで発生するバグの、“特定のタイミング”がいつなのかを調べるのにも威力を発揮。たとえばイベントシーンが終わったフレーム(『ベヨネッタ2』は60フレーム動作のため、1/60秒)でのみボタンを押すと、発生するバグがあった場合。手動で再現を狙うのは大変だが、オートプレイはフレーム単位で入力のタイミングを指定できるため、毎回確実に再現できる。そのため、発生条件が厳しいバグなども対処しやすい。
引用元:『ベヨネッタ2』はオートプレイがデバッグに貢献!|ファミ通.com
とはいえこういった自動化だけでテストを終わらせることは難しく、人の手によるテストは必須です。現状では、人の手によるテストを効率化するためのツールが増えてきています。
2. ゲームテスター(デバッガー)の役割・仕事内容
「不具合を見つける」と一口に言っても、やるべき業務はいろいろあります。そこで、ゲームテスター(デバッガー)の仕事内容について4つに分けてご紹介します。
2.1 【1】仕様書の確認
ゲームテスター(デバッガー)は、
- ベータ版(開発中のゲーム)
- 仕様書
を受けとり、テストを行います。そのため、最初に行う作業は「仕様書の確認」です。
実際にテストする流れを考慮しつつ、仕様書を確認していきます。不明点があるとテストが進められない可能性もあるので、事前に仕様に不明点がないか開発者に確認しておきましょう。
2.2 【2】テストプレイ
仕様書の確認が終わったら、テストプレイをしていきます。
- 仕様書通りに動いているか
- 仕様書にかかれていない不具合がないか
といった2点を考慮しつつ、テストプレイを進めていきます。
もしも不具合が見つかったら、
- 同じ操作を数回繰り返し、不具合がおこる操作手順を明確化する
- 開発者に報告する
といった流れで、バグを報告します。
2.3 【3】バグ管理システム(BTS)への登録
バグが発生する操作手順や原因が分かっても、そのまま開発者に報告して終わりではありません。なぜならメッセージなどで報告してしまっては、「バグの対応漏れ」が起きてしまう可能性があるからです。
そのためバグが発生した時の報告は、バグ管理システム(BTS)に登録して管理します。BTSに登録するときは、バグを発見した時に確認した再現手順などを詳しくまとめていきます。
このとき、仮に同じバグを再現できなかったとしても、バグは登録するようにしましょう。発生したバグを見て、エンジニアが原因を特定できる可能性もあるからです。
2.4 【4】改善
バグへの対応は、デバッグして原因を特定し、修正することだけではありません。
- なぜバグが発生したのか
- 全ての項目をチェックしきれているか
といった視点で確認し、改善していくことが重要です。
またテストを行うときは、テストスケジュールの管理も重要となります。何万件ものテストを実施していくこととなりますが、ゲームの発売日は決まっています。
つまり、遅れてしまうとゲームの発売日が延期となってしまうのです。スケジュールから逆算し、進捗に問題がないかチェックしていきましょう。
3. ゲームテスター(デバッガー)に求められるスキル
ゲームテスターに求められるスキルは、3つあります。詳しく見ていきましょう。
3.1 論理的思考能力
1つ目に求められるスキルは、「論理的思考能力」です。
論理的思考能力とは、物事を論理的に考える能力のこと。ゲームテスターでは、
- なぜバグが発生したのか
- どうすれば同じバグを再現できるのか
- 似た操作でバグが起こりそうなところはないか
といったことを考えて、わかりやすく報告をまとめるときに必要となります。
論理的思考能力がないと、バグの報告を受けたエンジニアが再現性を確認する必要が出てきたり、似たバグを見過ごしてしまったりする可能性もあります。
論理的思考能力は、ゲームテスター(デバッガー)に重要なスキルの1つです。
3.2 品質マネジメントの知識
2つ目に求められるスキルは、「品質マネジメントの知識」です。
ゲームテスター(デバッガー)は、テストを行って不具合を見つけたり、原因を特定したりする仕事です。その際、仕様にかかれていることだけを確認すれば済むとは言い切れません。
また、将来的にQAエンジニアを目指す場合は、品質マネジメントの知識は必須です。なぜなら不具合の有無だけでなく、
- ゲームバランスを総合的に見て品質をチェック
- CEROのレーティング取得に関する表現をチェック
- 特別な規定が設けられていないPCゲームの倫理面などのチェック
といった品質面も見ていくことになるからです。
テストを計画し、ディレクションする立場であるQAエンジニアを目指すときにも必要なスキルでしょう。
3.3 テスト技法の知識
3つ目に求められるスキルは、「テスト技法の知識」です。こちらも、将来的にディレクションする立場になった時に必要となるスキルの1つ。
「仕様書に沿ってテストを行う」と一口に言っても、
- どのぐらいの粒度でテストを行うべきか
- どんな方法でテストを行うべきか
など、さまざまな考え方や方法があります。このとき重要なのが、テスト技法です。
- 境界値分析
- 状態遷移テスト
- ストレステスト
などさまざまな種類があり、その効果も異なります。テストを計画するQAエンジニアなどを目指すのであれば、学んでおきたいスキルの1つでしょう。
4. ゲームテスター(デバッガー)に役立つ資格
ゲームテスター(デバッガ)に役立つ資格、「JSTQB認定テスト技術者資格」があります。JSTQBとは、テストの技術が問われる国際的な資格のこと。
JSTQBには、
■ Foundation Level
・テストに関する基礎知識が問われる資格
・基礎的な質問が多い分、学ぶべき範囲は広い
■ Advanced Level
・テストマネージャ、テストアナリストなどがある
・Foundation の合格者かつ、現場での業務経験3年以上が応募条件
の2つのレベルがあります。
詳細については、以下をご確認ください!
試験名 | JSTQB認定テスト技術者資格 |
---|---|
出題範囲 | シラバスに、レベル別の出題範囲やサンプル問題あり |
試験スケジュール | ■ Foundation Level
申し込み:2021年5月7日(金)15:00~6月22日(火)15:00 試験日:2021年8月21日(土)15:00~16:00 ■ Advanced Level(テストマネージャ) 申し込み:2021年5月7日(金)15:00~6月8日(火)15:00 試験日:2021年8月21日(土)10:00~13:00 |
費用 | 22,000円(税込)
(Foundation Level、Advanced Levelどちらも同じ費用です) |
5. ゲームテスター(デバッガー)の年収の目安
ゲームテスター(デバッガー)の平均年収は「216万円~400万円」前後です。
また、ゲームテスターの中でも「デバッグ管理者」になると、年収600万円ほどに手が届きやすくなります。
さらに、QAエンジニアを目指す方法もあります。QAエンジニアになると、600万以上を目指すことも可能です。
参照:ゲーム デバッグ 正社員の転職・求人情報|求人ボックス
6. ゲームテスター(デバッガー)の将来性
自動化やAIによる業務の置き換えなどが進み、ゲームテスター(デバッガー)に将来性があるのか心配な方もいるでしょう。その点、詳しくご説明します。
6.1 デバッグの自動化は進む
業務効率化を進めるうえで、デバッグの自動化が進んでいくことが予想されます。先ほどご紹介したベヨネッタ2のオートプレイと同様に、自動化される部分は確実に増えて来るでしょう。
しかし全てを自動化で置き換えることは、現時点では不可能です。さらに、自動化を行うとはいえ「品質を考慮した自動化テストができる仕組みを作る人」は必要不可欠です。
では、自動化やAIの波に抗う方法はないのでしょうか。解決策として、品質管理のスペシャリストを目指す道があります。
6.2 品質管理のスペシャリストとしてのキャリア
将来性が心配なら、
- ゲームテスター(デバッガー)
- デバッグ管理者
- QAエンジニア
などのステップを踏んで、品質管理のスペシャリストを目指すことをおすすめします。
なぜならいくらテストを自動化する仕組みが整ったとしても、テストの品質がテストの計画を立てる人に依存してしまうからです。
ゲームによって内容や仕様が異なるため、ゲームごとに最適なテストケースを自動で出すことは不可能でしょう。
そのため、ゲームごとに適切なテスト計画・テストケースで品質管理を推進できるスペシャリストは、今後も求められる可能性が高いです。
ゲームテスター(デバッガー)で経験を積んだら、QAエンジニアなどの上流から関われるようなキャリアを目指すことをおすすめします。
QAエンジニアの詳細については、以下記事をご確認ください。
7. ゲームテスター(デバッガー)についてよくある質問
最後に、ゲームテスター(デバッガー)を目指す人によくある質問と、その回答をご紹介します。
7.1 ゲームテスター(デバッガー)は未経験からでもできる仕事?
ゲームテスター(デバッガー)は、未経験からでもできる仕事です。実際にゲーム会社の募集ページを見ると、アルバイトからゲームテスターを募集している企業も。
しかしこれまでお伝えしたように、徐々にオートプレイやAIなどによって自動化される可能性があります。そのため、将来的にQAエンジニアを目指すための手段として考えると良いかもしれません。
品質管理やデバッグの専門知識をつけて、キャリアパスを描けるように動いていくことが重要です。
7.2 ゲームテスター(デバッガー)はきつい仕事?
ゲームテスター(デバッガー)の仕事は、仕様を見ながら同じような操作を何度も繰り返す仕事です。そのためそういった仕事が得意かどうかが、一つの分かれ目となります。
また、ゲームのリリースが近づくと繁忙期となり、1日にこなすテストの数が膨大となることも。ゲームのリリースに合わせて忙しさが変化する点にも、注意が必要です。
とはいえゲームの品質を左右する仕事なので、やりがいはあります。自分が向いているか確認したいなら、アルバイトから始めてみると良いかもしれません。
8. まとめ
今回は、ゲームテスター(デバッガー)の仕事内容や、求められるスキル、将来性などについて解説しました。
ゲームテスター(デバッガー)は、ゲームの品質につながる重要な仕事です。またQAエンジニアなどのキャリアパスを描くことも可能なので、最初のキャリアとしてもおすすめです。
今後Webエンジニアなどを目指そうと思ったときもに、テストに関する知識は役立ちます。今回の記事が、ゲームテスター(デバッガー)を目指す人のためになれば幸いです。