「Windows Serverって、そもそも何?」
「Windows Serverを使うメリットや、UNIX系との違いは?」
と思うことはありませんか?
Windows Serverは、Windowsのパソコンと似た操作感で安定稼働できるサーバーのこと。とはいえ、具体的な用途や強み、UNIX系(Linuxなど)との違いが良くわからない方もいるでしょう。
そこで今回は、
• Windows Serverの特徴
• Windows Serverの強み
• Windows ServerとUNIX系の違い
の流れで、Windows Serverについて解説します。
記事の後半で、「Windows Serverのエディションの違い(費用や機能)」や「AWSでも構築できるか」についても解説しているので、ぜひ最後までお読みください。
1. Windows Serverとは
Windows Serverとは、Microsoft社が開発したサーバーコンピューター向けOSの製品シリーズのこと。「企業のシステム構築に使うサーバー機として導入すること」を想定し、開発されました。
UNIX系のOSと異なり、コマンド操作(CUI)ではなく画面操作(GUI)が基本となります。WindowsPCと似た操作感でサーバーが操作できるため、初めてサーバーを立ち上げる方にもおすすめです。
1.1 Windows Serverの主な用途
Windows Serverの利用用途は、以下のようにとても多いです。
■ Windows Serverの主な用途
1. ファイル共有などができるファイルサーバー
2. 「Active Directory」によるWindowsPCの一元管理
3. アプリケーションなどの開発環境
4. Windowsで動くアプリを活用した自動化の仕組み構築
Windows Serverの特徴的な機能に、「Active Directory」があります。Active Directoryとは、ユーザーごとに閲覧・操作できる権限などを制御できる仕組みのこと。
たとえば企業の経営に関わる情報の場合は、管理職や経営者などしか見れないように設定する必要があります。しかし、パソコン1台ずつそれぞれ設定するわけにはいきませんよね。
このような場合に便利なのが、Active Directoryです。管理画面から閲覧権限を分けたフォルダを作れば、一発で解決できます。
1.1.1 そもそも「サーバーOS」とは?
Windows Serverなどの「サーバーOS」が必要な理由は、「高いネットワーク性能と安定性を求められる」からです。
たとえば、Windows Serverでファイルサーバーを構築したとしましょう。従業員の数が500名いた場合、同じ時間にファイルのコピーやダウンロードなどを行ってしまうと「同時に500回のアクセス」が発生してしまいます。
このような接続要求が来ても回線が切れず、安定的に接続ができる仕組みを構築するために「サーバーOS」が必要なのです。
1.1.2 クライアントOSとの違い
サーバーOSではない「クライアントOS」に該当する個人向けのWindows PCでも、Windows Serverと似たような使い方はできます。
たとえば「アプリケーションを動かす環境」を作ろうと思えば、もちろん作れます。ある程度のアクセスであれば耐えることもできるでしょう。
しかし、本格的なアプリケーションを開発し、同時に複数の人がデータ更新するようなケースだと話は変わってきます。アプリケーションを動かしているときに急に切れてしまうような事態を避けるためにも、「安定性」が必要不可欠です。
この点Windows Serverは、クライアント向けのWindows OSと比較して、
• 安定性
• 機能性
が求められるサーバー向けにカスタマイズされています。
さらに、
• Windows NT Server
• Windows 2000 Server
• Windows Server 2003、2008、2012、2016、2019
とバージョンを重ねるごとに安定性が増しており、今では企業の基幹システムに利用されることも多くなっています。
1.2 Windows Serverの強み
Windows Serverの強みは、以下の3つ。
■ Windows Serverの強み
1. 初心者でも扱いやすい「WindowsPC」と操作感が似ている
2. ファイルサーバー機能も、WindowsPCのフォルダをイメージして設定しやすい
3. 従業員の「ログイン権限」や「パスワード」の情報などを一元管理できる
サーバーと聞くと、「新しい使い方を覚えないと......」と身構える方もいるのではないでしょうか。しかしWindows Serverの場合は、操作感がWindowsPCと同じです。
そのため初心者でも扱いやすく、「操作が分からず詰まる......」といったケースは少ないでしょう。
ファイルサーバー機能も、WindowsPCでフォルダ操作の経験があれば設定しやすいです。
さらに従業員の管理がしやすくなる「Active Directory」があり、ログイン権限やパスワードの管理なども簡単に管理できます。
セキュリティ対策の強化ができるだけでなく、管理工数削減も可能です。
1.3 Windows ServerとUNIX系の違い
Windows ServerとUNIX系の違いについて、表にまとめました。
Windows Server | UNIX系 | |
---|---|---|
メリット | ・操作が簡単で扱いやすい
・Windowsのシステムを構築しやすい ・Active Directoryなどで管理コストの削減もできる |
・安価にサーバーを立ち上げられる
・セキュリティに強い |
デメリット | ・UNIX系のサーバーと比べて、費用が高い | ・CUI操作(コマンド操作)に慣れていないと、基本操作から覚える必要がある
・快適に使いこなすために、コマンドを覚えないといけない |
おすすめの使い方 | ・Windows系アプリの構築
・ファイルサーバーの構築 ・Active Directoryを活用したパソコンの一元管理 |
・Webサーバーの構築 |
細かい違いについて、ご説明いたします。
1.3.1 UNIX系を選ぶべき場面・用途
UNIX系は、CUI操作(コマンド操作)がベースとなっています。といってもCUI操作を初めて聞く場合は、イメージがしづらいかもしれませんね。
簡単に言うと、
• ファイルを開く、コピー、削除
• ファイル名の変更
などの基本的な操作も含めて、キーボードのみを使って操作するようなイメージです。
極端に言えば、一度もCUI操作を使ったことがない場合は「ファイルの開き方」すらわかりません。そのため、CUI操作に長けた人が社内にいることが前提となります。
とはいえ、UNIX系のサーバーはデメリットだけではありません。CUI操作などの知識や経験は必要なものの、その問題がクリアできれば以下のようなメリットを受けられます。
■ UNIX系のサーバーのメリット
• 低スペックのマシンであっても、サーバーを作ることができる
• セキュリティに強いサーバーを立ち上げることができる
1.3.2 Windows Serverを選ぶべき場面・用途
Windows Serverは、「普段からWindowsPCを使っている方がサーバーを運用する場合」におすすめです。
これまでお伝えした通り、Windows ServerとWindowsPCは使い勝手がほとんど同じです。そのため、インフラ管理の経験が浅い人であっても、マニュアルなどで対応がしやすいでしょう。
一方で、サーバーの維持費がかかる点には注意が必要です。UNIX系と比べてライセンス料が高いため、予算の確保ができるか確認しておくと良いでしょう。
2. Windows Serverのエディション一覧・比較
最新のWindows Server 2019には、3つのエディションがあります。エディションによって費用感や機能が変わりますが、まずはMicrosoft公式ページの「価格とライセンス体系の概要」を見てみましょう。
Windows Server 2019 エディション | 最適な用途 | ライセンス モデル | CAL 要件[1] | オープン価格 NL ERP (USD)[3] |
---|---|---|---|---|
データセンター[2] | 高度に仮想化されたデータセンターおよびクラウド環境 | コアベース | Windows Server CAL | $6,155 |
Standard[2] | 物理環境または小規模に仮想化された環境 | コアベース | Windows Server CAL | $972 |
Essentials | スモール ビジネス (25 ユーザーおよび 50 デバイス) | 特殊サーバー (サーバー ライセンス) | なし | $501 |
Datacenter/Standardは、
• サーバーのコア数に基づいて必要な数を購入する「コアベースのライセンス」(最小16コアライセンスは必要)
• サーバー機能にアクセスするユーザー数や、デバイス数に基づいて必要な数を購入する「Windows Server CAL(クライアントアクセスライセンス)」
が必要です。
一方Essentialsはコア数に関係なく、1台のサーバーにライセンスされる「サーバーライセンス」制となっています。最大25ユーザーおよび50デバイスからサーバー機能にアクセス可能です。
2.1 一般的におすすめなのはStandard
Standardエディションは、Windows Server 2019の主な機能を一通りカバーしています。そのため初めてWindows Serverを利用するなら、こちらがおすすめでしょう。
ちなみにWindows Server内に複数のサーバーを立ち上げるような「仮想環境」を想定している場合も、問題ありません。
なぜなら、仮想サーバーを作るためのソフト「Hyper-V」を利用できるからです。仮想サーバーも考慮しつつWindows Serverを使いたい方は、Standardがおすすめでしょう。
2.2 小規模事業者ならEssentialsもおすすめ
• 25ユーザー・50デバイス以上使う予定がない
• 「Hyper-V」などを使った仮想環境を利用する想定がない
といった場合は、Essentialsエディションもおすすめです。
Windows Serverの基本機能は使えますし、Standardエディションよりも費用を抑えて導入ができます。
接続クライアント数に応じて別途必要となる「CAL(クライアントアクセスライセンス)」が不要な点もポイントです。
3. Windows ServerはAWSでも構築可能?
結論から言うと、Windows ServerはAWSでも構築可能です。
Windows Serverのライセンスは、AWSのEC2の費用に含まれています。さらにOSにCALの料金も含まれているので、CALの購入も不要です。
なお、「既に持っているWindowsServerのライセンスを利用したい」といった場合も、もちろん可能です。ただし、占有ホストで実行する必要があるため、やや設定などを調べねばなりません。
AWSのWindows Serverの活用については、以下の公式ページもご一読ください!
4. まとめ
今回は、
• Windows Serverの特徴
• Windows Serverの強み
• Windows ServerとUNIX系の違い
• Windows Serverのエディション一覧・比較
の流れで、Windows Serverについて解説しました。
Windows Serverは初心者でも扱いやすく、業務効率化やセキュリティ対策を強化できる機能も豊富なサーバーです。
UNIX系のサーバーと比べてライセンス料はかかりますが、その分、導入のしやすさなどに定評があります。
これからサーバーの構築が必要な方は、Windows Serverを検討してみてはいかがでしょうか。