今後に備えてSQLの勉強がしたいけど、Oracleは高くて手が出ない…という方や、自作のアプリにデータベースと連動させる機能を付けたいという方へ、今回は無料でデータベースを作成するためのフリーソフトをご紹介したいと思います。
目次
1.1 無料で使える「OSS-DB」とは
1.2 MySQL(読み方:マイ エスキューエル)
1.3 PostgreSQL(読み方:ポストグレス キューエル)
1.4 MariaDB(読み方:マリア デービー)
1.5 MongoDB(読み方:モンゴ デービー)
1.6 SQLite(読み方:エスキューライト)
2.1 Common SQL Environment(CSE)
2.2 A5:SQL Mk-2
2.3 QueryBook
2.4 MySQL Workbench
2.5 PupSQLite
1.無料で使えるデータベース
1.1 無料で使える「OSS-DB」とは
OSS-DBとはオープンソースのデータベースという意味であり、基本的に無料で使用できるデータベース管理システム(DBMS)のことを指します。同じ無料で使えるソフトウェアを指す「フリーソフト」との違いは、オープンソースは「ソースコードが公開されており、誰でもそのソースを利用することができるもの」という点です。そのためOSS-DBは誰でも改変し、再配布することができるのです。
今回はそんなOSS-DBのうち、代表的なもの5点をご紹介したいと思います。
MySQLは世界で最もシェアの高いOSS-DBであり、商用でも人気が伸びているRDBMSです。オープンソースであるため基本的に無料でダウンロード可能であり、商用として利用しない(個人で使用し公開しない、またはMySQLを利用するアプリ自体をオープンソースとして公開する)場合は、無償のGPLライセンスを使用することができます。
ソースを公開せずにソフトウェアを配布したり、個人利用等でも公式のサポートを受けたりという場合は、有償の商用ライセンスを購入する必要があります。商用ライセンスの料金はプランにより上下しますが、2017年1月時点で24万円からとなっています。
世界的シェアはMySQLより少し劣りますが、日本国内ではかなりのシェアを誇るのがこのPostgreSQLです。MySQLより機能がバランスよく充実しており、かつ商用であっても無償で利用できるBSDライセンスを採用しています。(BSDライセンスとは簡単に言うと、ソースや添付ドキュメントの中にライセンス条件に関する記述を残せばよいという形のライセンスです)
なおサポート提供という形の有償ライセンスも販売されています。このライセンス形態のため、日本国内の多くの業務用システムにPostgreSQLが採用されています。
参考「2009年のMySQLおよびPostgreSQL利用企業数の割合」
地域 | MySQL | PostgreSQL | 調査機関 |
---|---|---|---|
世界 | 82.1% | 27.1% | 451 Group |
平成21年春期 | 60.5% | 51.9% | IPA |
MySQLから派生して開発されたOSS-DBであり、MySQL5.5をベースに独自機能が追加されています。まだシェアの低いDBではありますがWikipediaやGoogleなど大手がMySQLからMariaDBへの切り替えを行っており、これから注目の存在となっています。
MongoDBは「NoSQL(ノー・エスキューエル)」と呼ばれるリレーショナル型ではないデータベース管理システムであり、「ドキュメント」と呼ばれる構造データの集合を「コレクション」という名称で管理する、ドキュメント指向型のデータベースです。RDBMSのように高度な結合操作が行えない反面、データの追加や編集、削除操作が高速に行えるという利点があります。
なおMongoDB本体にはGNU AGPL v3.0ライセンスが適用されるためMongoDBを利用すると全ての不随するソースを公開しなければならないと誤解されがちですが、商用利用を可能とするためのドライバーが別ライセンス(Apache License v2.0)で提供されています。
【MongoDB JP - ライセンス】
https://www.mongodb.jp/mongo/licence
MySQLやPostgreSQLとは少し毛色が異なるこのSQLiteは、サーバ上で単体で動作するのではなく、Cなどのプログラム中で動作する「ライブラリ」として提供されているという特徴があります。さらにオープンソースとは少し異なるパブリックドメインのソフトウェアです。パブリックドメインとは「公有(著作権が放棄されたもの)」という意味であり、オープンソース同様に無償で利用することができます。
2.SQLの編集やDB管理を補助するフリーソフト
MySQL、PostgreSQLなどにネイティブに接続し、SQLを編集・実行することができるSQL開発環境です。ストアドプロシージャの開発や定義書の出力にも対応しています。
■分類:SQL開発ツール
■対応DB:MySQL、PostgreSQL、Oracle、SQL Server(ほかADO接続、ODBC接続に対応)
■公式サイトURL: https://a5m2.mmatsubara.com/
フリーのSQL開発環境であり、ER図の作成も可能なソフトウェアです。SQLの編集・実行のほか、実行計画の取得などにも対応しています。
■分類:SQL開発ツール
■対応DB:MySQL、PostgreSQL、Oracle、SQL Server、SQLite、Excel、CSV(ほかADO接続、UniDAC接続に対応)
■公式サイトURL: http://www.querybook.gamaguti.jp/
バージョン5からシェアウェア(1,000円)となりましたが、あらゆるDBだけでなくExcelやCSVデータに対してもSQL文を実行できるというとても便利なSQLツールです。対応できるDBも数多く、まずは30日間の試用期間で1,000円支払う価値があるのか試してみてはいかがでしょうか。
MySQL公式が提供するSQL開発ツールであるとともに、サーバ設定、バックアップ管理、ユーザ管理などを総括的に行える統合環境です。WindowsやLinuxだけでなくMac OS Xにも対応しており、MySQLを利用する際にはインストールしておきたいソフトウェアです。
SQLite3上にてSQLを編集・実行するために開発された、SQL開発ツールです。他DB(MySQL、postgreSQL、SQL Server、Excelなど)からのインポートやエクスポートにも対応しています。
3.OSS-DBでも商用DBに遜色ない機能あり
近年OSS-DBも機能面がどんどん強化されており、Oracle Databaseにはかなわないまでも十分商用データベースと遜色ない能力を持っています。DBに興味のある方は、ぜひOSS-DBをインストールしてみて下さいね。
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