秋田県立大学 ロボット工学研究室『安心安全のための見守りシステム』

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    公開日:2017年03月03日 最終更新日:2019年09月26日

    大学研究室インタビュー。今回は秋田県立大学ロボット工学研究室を訪問させていただきました。
    こちらの研究室では、「構造物ヘルスモニタリング」「警報システム」「人道的地雷探知システム」「災害救助用ロボット」「自律移動ロボットの環境地図構築」「ヒューマンマシンインターフェイス」といった分野の研究を行っています。


    秋田県立大学のロボット工学研究室:http://www.akita-pu.ac.jp/robotics/

    そもそもこちらの研究室に注目させていただいたきっかけは、研究の一つである「簡易ロボットによる独居高齢者の安心安全のための見守りシステム」でした。
    2017年1月に東京ビックサイトで開催されたイベント『ロボデックス』の会場にて「産学連携ロボットフォーラム」という講演が行われており、講演の一つとして、秋田県立大学 ロボット工学研究室さんもこちらのシステムを紹介。その際の講演を聞き、これからの高齢化社会に求められるシステムではないか感じ、取材を申し込ませていただきました。

    目次

    1. いざ、秋田県立大学へ!

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    秋田県立大学は、日本海に面し、秋田県最大の面積を誇る由利本荘市にあります。
    東京駅から秋田駅までは新幹線で約3時間40分。そこから羽越本線に乗り変えて、最寄り駅の羽後本荘駅には約45分程で到着します。ちなみに飛行機だと東京から秋田までは約1時間程です。

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    電車を降りて、改札に向かう階段の天井からは「えぐ来てけだなぁ~」という地元の言葉によるお迎えのプレートが。電車を降りると外の寒さが厳しかったのですが、気持ちがほっこりしました。

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    羽後本荘駅前は広々としたロータリーになっており、取材当日は雪が降っていませんでした。後で聞いたところによると、この時期としては珍しく、丁度雪が止んでいたとのですが、普段は雪が降りしきり、一面を覆っているそうです。

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    駅前には女性の銅像が。1985年に設置されたというこちらの銅像の台には「本荘追分」というタイトルとともに、「江戸で関取る 本荘の米は 俺の田園の 田で育つ」という文字が刻まれていました。「本荘追分」とは、由利本荘の民謡の代表曲の一つで、花柳界にて唄われていたのだそうです。

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    「こやなぎ」さんというポップな感じのお店も。お店の入口部分に「おみやげ」「郷土銘菓」「高級果実」と書かれており、色々取り揃えていらっしゃるようなので、お土産には困らなそうです。

    地図によると、羽後本荘駅から大学までは徒歩で33分となっていました。駅を出発し、歩いて秋田県立大学を目指します。

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    しばらく歩いていくと、子吉川という川に到着しました。

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    こちらの子吉川は、秋田県内で第3の流域面積を誇る川で、秋田県南部を流れており、その先は日本海に繋がっています。

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    そして、歩くこと30分と少し。秋田県立大学に到着しました!

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    こちらが大学の校舎。シンプルでありながら、重厚な雰囲気を醸し出していました。キャンパスの敷地も、そこに建つキャンパスも、かなり広々としています。

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    今回訪問させていただいたのは、秋田県立大学の本荘キャンパス。こちらのキャンパスにはシステム科学技術学部が入っており、更にシステム科学技術学部は、機械知能システム学科、電子情報システム学科、建築環境システム学科、経営システム工学科と4つの学科に分かれます。
    秋田県立大学には、本荘キャンパス以外にも、生物資源学部のある秋田キャンパス、大潟キャンパス、木材高度加工研究所の3つの拠点があります。

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    そして、こちらが今回取材をさせていただいたロボット工学研究室のみなさんが研究活動の拠点としている「本荘由利産学共同研究センター」です。

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    2. 低コスト、かつ自然な見守りを目指す「独居高齢者のための見守りシステム」

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    今回、研究室と研究内容を紹介してくださったった、下井 信浩教授(左)と中正 和久特任助教(右)。
    下井教授は地雷探知・除去技術を専門分野の一つとして研究しており、防衛省の技術研究本部でもご活躍されていた方。中正特任助教は独立系のIT企業にて、長年、ソフトウェア開発エンジニアやプロジェクトマネージャーとしてご活躍されてきた実績をお持ちの方です。
    秋田県立大学はお2人の様に、国などの研究機関出身の方と民間企業出身の方が、それぞれ約2割程を占めているのだそうです。

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    そしてこちらが、「簡易ロボットによる独居高齢者の安心安全のための見守りシステム」の研究室。

    こちらのシステムの開発が始まったのは、誰にも見守られないで亡くなる一人暮らしの高齢者の方が、全国で一年間に約3~4万人もいるという事実を受けたことから。
    今、日本では、65歳以上の方が全人口の約25%を占めており、今後、更なる超高齢化社会へ突入していくといわれています。ちなみに秋田では3人に1人が高齢者の方となっているとのことで、高齢化がかなり深刻化しているエリアなのだそう。
    そして、この高齢化にともない、孤独死の発生数も増えているという問題が起きています。
    孤独死は、誰にも気づかれない中で人命が失われてしまうという問題とともに、人命が失われた際に何日も発見されず、腐敗してしまった場合、その住まいが使用できなくなったり、価値が下がってしまうこととなり、更には周りの住宅の価値も下げてしまうという問題が発生してしまう可能性があります。場合によっては、リスクを避けたいが為に、高齢者の方には物件を貸し出さないという事態に派生してしまうかもしれません。

    ロボット研究室のみなさんは、社会の変化と、それにともなって起きている問題を受け、IT技術を駆使した見守りシステムを構築していく必要性を感じ、4年前から開発に着手し始めたそうです。昨年度からは、総務省の戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)の支援を受けて、信州大学と共同で開発を進めています。

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    まず、ベッドのマットレスの下にセンサーが設置されています。これは、ベッドを使用している人の動きを感知・計測するシステムで、ベッドを使っているのか・使っていないで離床しているのか、といったことがわかるのはもちろん、日々のデータを計測していき、異常事態の場合にはいち早く気づくことができるといいます。普段の寝ている時間や起きている時間を詳細にデータ化していくので、例えば、本来であれば起きてくる時間なのに起きてこないなど、普段とは違う状況を発見し、異常事態を知らせるようになっています。

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    ベッドを使用している方のベッド上での動きは、クラウドを通してデータとして送信され、情報が蓄積されていくようになっており、集計サーバ上のWeb閲覧システムから確認することができます。こちらはPHPで作られているそうです。
    ベッドを使っている時には、その様子が動きとして画面上に波となって表示され、ベッドを使っていない時には波は起こらず、まっすぐな直線となります。

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    そして、枕の中にもセンサーが設置されています。こちらには心拍検知機能が備わっているとともに、異常事態の際に助けを求めることができる緊急通報機能が搭載されています。

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    ベッドを使用している方が助けを求めたい時に、枕を振ると、緊急通報がクラウド通信によってサーバに送信され、外部に知らせるようになっています。また、家の外に設置したサテライトのランプが明るく光って知らせる仕組みにもなっていて、これによって近所の方に気づいてもらうこともできます。力が弱く、枕を振ることが難しい場合には、枕を叩くことで同じ様にシステムを起動させることが可能です。

    人は人生の3分の1を睡眠に費やしているので、ベッドは日常生活の中で使う物の中でも高い頻度で使う物になります。研究室では、そこにシステムを導入することで、見守りという行為を、生活の中で意識されることなく自然に行うことを目指したのだといいます。
    この枕に設置されたセンサーやマットレスの下のセンサーは、いずれも、使用している方からは敢えて見えないようになっています。センサーが見えてしまうと、監視されているという感じを与えてしまい、使用している方に精神的な負担を与えてしまう可能性があります。そうではなく、目に見えない形でシステムを取り入れることで、システムによって安全は確保しつつ、対象の方に負担を感じさせることなく、普通の生活を送ってもらうことを大切にしたのだそうです。

    現在、ベッド以外にも、テレビや冷蔵庫といった、日常で良く使う物への導入も検討中とのことです。

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    こちらは家の鍵を使ったシステム。鍵を持ち出した時と、帰って来て鍵を戻した時をデータとして記録するようになっています。ゆくゆくは、ぬいぐるみのロボットにすることを計画しているとのことで、ぬいぐるみのポケットに鍵の出し入れをしてもらうようにし、ぬいぐるみが「行ってらっしゃい」「お帰り」と会話をする機能の追加も考えているそう。こちらのシステムはArduino, Python, Perlで作られています。

    これらの一連のシステムは、約5年間の動作保証を想定しているといいます。いずれのシステムも、ボタンやタッチパネルなどがないので、面倒な設定も必要無く簡単に導入できるそう。

    また、赤外線センサーなど既にある見守りシステムは、値段が数百万円程してしまっており、なかなか導入が難しいというのが現状ですが、こちらのシステムは10万円以下と、大幅に低コストで導入できるようになっています。

    見守りシステムは次の段階として、製品化に向け、多くのユーザーを対象とした臨床実験を実施し、更にシステムを洗練化させていくことを目指しているといいます。その為にも、大学単体だけでは難しいので、地方自治体や企業との連携をしていこうと動いているそうです。


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    3. 雪崩や火災、地震の中で活躍する災害救助ロボット

    ロボット工学研究室では、災害が起きた際、人命救助を行うロボットの開発にも取り組んでいます。

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    こちらは、建物の崩壊などによって閉鎖的な空間に閉じ込められた人を救助する小型不整地移動ロボット




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    こちらは、雪崩による遭難者の捜索活動を支援する雪崩遭難者捜索支援ロボット。現在、複数のロボットを用いての効率的な操縦手法や、ロボット自身による位置推定手法などについて、研究中とのことです。



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    こちらは災難時に照明や可視光が遮られた閉鎖空間にて、方位測定と全方向型超音波センサによって飛行することができる飛行ロボット


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    4. 知能化技術による自律型・自動走行ロボット

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    そして、ロボット工学研究室のみなさんと共同研究をしている、同大学の脳情報工学研究室の間所 洋和准教授にも研究のご紹介をしていただくことができました。

    機械自身に学習をさせ、人間環境に柔軟に対応させていく知能化技術を研究している間所さんたちの研究室。今は、学生の間でドローンが人気ということで、研究室には学生が開発中のドローンが机に所せましと並べられていました。

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    こちらは、まさに今、学生が作成中のドローンの様子。
    開発にあたっては、既製品を使うことはせず、3Dプリンターを使ってフレームを作ったりと、自分たちオリジナルのドローン作りに取り組んでいるそうです。
    開発したドローンにカメラを積み、空中1000メートルから3000メートル位まで飛翔させ、二酸化炭素のデータを取得してくることで、温室効果ガスを測定するといった使用シーンを想定しているといいます。


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    こちらは4つのモーターで走る電動車椅子。
    手すりから車体にかけては、同大学の学生によって秋田県立大学の「A」の文字がデザインされています。
    4つのモーターによって、回転方向・回転数を制御できるようになっており、それによって滑らかな走行を実現します。ステアリングが無くても、360度自由に動くことができ、真横にスライドして移動できることが特徴です。様々な動きができつつ、制御自体も簡単に行うことができるのだそう。
    電動車椅子の時速は3~4キロで、人の歩く速さと同じくらい。スピードがゆっくりな分、比較的自動運転が実現しやすいのだそうです。今は、製品の実現化に向け、課題である乗り心地の改善を進めているといいます。
    将来的には、この電動車椅子に乗り、端末などに行先を入力するだけで、自動で目的地まで連れて行ってくれるようにすることを目指しているのだそうです。




    秋田県立大学の本荘キャンパスは、天井が高い為、とても開放的でした。そして研究室の数もかなり多く、設備も充実している様です。

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    訪問した2月の冬の時期は、キャンパスの外は一面雪に覆われていましたが、春や夏になると緑豊かな芝生に変わるそうです。

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    お昼時には学食にお邪魔させていただきました!
    こちらは日替わり定食420円。小鉢のおかずを選べることができ、お値段だけでなく、ラインナップも嬉しいランチセットでした。

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    今回訪問させていただいたロボット工学研究室では、積極的に企画書を出して、資金の調達及び研究、そして研究の実現に取組んでおり、その一つである雪崩を検出する「間伐材を用いた土砂雪崩災害警報システム」(http://www.akita-pu.ac.jp/stic/contents/contents_show.php?serial_no=266)は、現在、企業と提携して秋田県内にて技術検証を行っているといいます。

    ただ、取組んでいる研究自体が専門的であるがゆえに、製品化した後の販売先が限定されてしまうといった理由などで、製品化を実現することはかなり難しいのだそう。これはこちらの研究室に限らず、多くの研究室が抱えている課題で、国と企業、大学の産学連携が謳われていますが、まだまだ高いハードルがあることを感じます。
    その分、大学研究室の高い技術力と、国や企業の資金や人材といった資源、営業・販売のノウハウなど、マッチングさせ、活性化させることができるポテンシャルが、まだまだある分野だともいえます。

    今後も、高い技術力を持っていたり、世の中をより良くするような研究・サービスの開発に積極的に取り組んでいるみなさんに注目し、情報としてご紹介していきたいと思います!

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