目次
2.1 高所恐怖SHOW
2.2 ARGYLE SIFT(アーガイルシフト)
2.3 SKI RODEO(スキーロデオ)
2.4 Train Master(トレインマスター)
2.5 脱出病棟Ω(オメガ)
2.6 REAL DRIVE(リアルドライブ)
2016年3月に発売されたばかりのVR対応ヘッドセット(ヘッドマウントディスプレイ)「HTC VIVE」を用いたコンテンツを体験できる場所が、お台場にあります。4月15日からお台場にオープンしているそこは、バンダイナムコエンターテイメント社の「Project i Can」が運営する「VR ZONE」です。
最先端のVRヘッドセットとバンダイナムコの最新技術とが融合した新しい形のゲームを体験して来ましたので、レポートしたいと思います。
1. まずは事前登録
「VR ZONE」で体験するには、WEBでの事前登録が必須です。
まず公式サイト(https://project-ican.com/)にある「予約する」ボタンをクリックし、メールアドレス、予約の日時、性別、生年月日、同行者の人数などを登録します。あとは登録アドレス宛てに予約完了控えが送られてきますので、現地の受付でスマホの画面またはプリントアウトしたものを提示すれば参加できる仕組みになっています。
予約は1ヵ月先まで受け付けているようですが、休日は予約が始まるとすぐに満席になるようです。日が近づくとキャンセルが出ることもあるようですが、休日に体験を希望している方は早めの予約がおすすめです。
2. パスポートカードを作って、いざ体験!
会場は、ゆりかもめ台場駅を出て地上に降りずにダイバーシティ東京へ向かうと、入り口を入ってすぐ左手にあります。
現地に到着したら、まず受付の方からヘッドセットにおでこや鼻の頭が直接付かないようにするための使い捨てアイマスク(ニンジャマスクなどの名称で商品化されているようです)と首かけのIDカードケース受け取りました。
次に、バナパスポートカードを購入して体験したい分のバナコインをチャージします。返金はできないので、必要な分だけチャージしましょう。足りなくなった場合は館内にもチャージ機があります。
入口で係の方から注意点の説明を受けて、不要な荷物を無料ロッカーにしまったら、いよいよ体験開始です!
1回の予約は80分で総入れ替え制になっていますが、十分全てのコンテンツを体験できる程度の人数となっているようです。なお自分の気になる体験が全て終わったら、終了時間を待たずにIDケースを返して退出することも可能です。
2.1 高所恐怖SHOW
「VR ZONE」で一番おススメしたい体験は、この高所恐怖SHOWです。
地上200メートルのビルの上からのびる薄くて細い板の上を移動して猫を救出することが目的ですが、VR空間の中を自分の足で歩くことができ、最もHTC VIVEの特徴を感じられるコンテンツになっています。
写真は、体験者の女性が目的の猫を救出した瞬間のものです。VRヘッドセットとヘッドホンのほか、腰にベルト(コード類を天井にまとめて吊るため)、手にマーカーの付いたC型のバンドを装着し、足はマーカーの付いたクロックス型の靴に履き替えています。
かなり広い空間でコースは2つ設置されており、壁面上方には四隅以外にも多数のベースステーションと思われるものが取り付けられていました。(HTC VIVEには、通常2台のベースステーションが付属しています)
デバイスを装着したり説明を受けたりする間、コースの板などネタバレ全開で見えている状態で、これだけ心構えができていたら全然怖くないのでは?と少し心配になったりもしていました。しかし。
最後にヘッドホンを装着して周りの音が聞こえなくなると、一気に雰囲気が変わりました。目の前に現れたエレベーターに乗り込むよう促され、外が見えるタイプのゴンドラで一気に地上200mの高さへ。慣性力すら感じるリアルさに驚いていると、また扉が開きました。ビルから空中へとのびる板の先に、おびえた様子の猫が見えます。この猫を助けて7分以内に戻ってくるのがミッションです。
画像はとてもリアルだけど、たったこれだけの距離すぐ終わるんじゃない?と、エレベーター内から見ているうちはまだ思っていました。しかしビルの外に一歩足を踏み出すと。この足場の板、なんとも絶妙にカタカタと動くようになっています。さらに横からはビル風が!タワーに行ったら率先して透明な部分の床を踏みに行くタイプの筆者ですが、すぐに腰がひけて止まってしまいました。
本能的な恐怖か経験からくる恐怖かは分かりませんが、最初にこれから歩く場所は見ていたはずなのに、みるみる恐怖心が沸いてきます。アクションゲームなど第三者視点でプレイしていても落ちそうな場面でビクッとすることがありますが、自分自身が落ちる怖さは種類が違うようです。
なお最初に手足にマーカーを付けた理由は、自分の手足をVRの視界に表示させるためのようでした。握ったりなど細かな動きは反映されませんが、自分の足が見えると少し安心感があります。足がきちんと足場に乗っていることを確認しながらそろそろとすり足で移動して、やっと猫を救出することができました。
ちなみにこのコンテンツ、コースアウトするとそこでゲーム終了とのことです。最もVRらしい体験ができることからか、会場では一番人気で常に行列ができていました。ほかの体験はほぼ待ち時間なしでプレイ可能なので、現地に向かわれる際には「高所恐怖SHOW」に入場一番で行くことをおすすめします。
2.2 ARGYLE SIFT(アーガイルシフト)
バンナムといえばロボット!というイメージのある筆者。「戦場の絆」がゲームセンターに登場した時にはこんなにリアルにロボットを操縦できる日が来るとはと感動したものですが、これはさらに臨場感たっぷりの仕上がりになっています。
ゲームのスタートはハンガーから。最新の有人兵器「ルシファー」に搭乗し、テストパイロットとして出撃するという設定でした。コックピット内部は正面はもちろん、プレイヤーが座っている座席まで滑らかで細かいポリゴンで描画され、まるで実物のような質感です。
コックピットは閉じた空間のため、それだけだと戦場の絆とそれほど変わらないとも言えるのですが、違う点は隣にナビゲーター役のキャラクターが座っているという点でしょう。
ナビゲーターは、ちょっとおっちょこちょいなところのあるヒューマノイドAIの「アイネ」。 アニメっぽさを失わないようにデザインされていながら、表情や髪の動きなどがとても自然に存在しているところは、バンダイナムコさんの技術力ならではというところでしょうか。
急襲を受けて戦闘が始まると、「攻撃」と「回避」のアクションを行うことになります。
「攻撃」は、照準を視線の動きで合わせて、操縦桿のトリガーで発射します。
「回避」は、頭を動かすことで飛来するミサイルを避けることができます。
高所恐怖SHOWと比べると、映像に合わせて動作する椅子型の筐体とヘッドセット&ヘッドホンというあまり場所を取らない設備のように見えました。ゲームセンターで運用される日は近いかもしれません。
2.3 SKI RODEO(スキーロデオ)
一見するとフィットネスクラブにありそうな筐体に立ってプレイするこのコンテンツでは、スキーをはいて自然の雪山を猛スピードで滑り降りる体験ができます。決められたコースはなく、通り抜けられそうな場所を自分の目で探して滑っていくことになるのですが、途中には自然の木や岩、崖などが道を阻んでいます。
猛スピードで岩山に突っ込んだ初めてのクラッシュでは、思わず「ひゃー」という変な声が出てしまいました。事前説明で筋肉痛になることがあると伺っていましたが、確かにクラッシュする瞬間は全身に力が入っているのが分かります。
ただしリアルとは違い、クラッシュしても少し前に戻って続行することができます。7分以内にゴールできなければ、タイムオーバーです。
最後に自分が通ったコースが掲示板に表示されて、体験終了になります。
2.4 Train Master(トレインマスター)
本物さながらにJR山手線の運転業務を体験できるというこのコンテンツには、運転台を模してレバーが付けられた座席が用意されています。(東京)-(有楽町)-(新橋)の3駅間の運転を、5つのミッションから選んで達成することが目的です。
初心者向けというミッション01では、いたってシンプルな発進、加速、減速、停止を行いましたが、目標の位置で止めるだけがとても難しいことが分かりました。まるで本物のような作りのため、実際の運転士の方の訓練にも利用できそうです。
VRの運転席をぐるっと見渡してみると、こちらも細部までよく作り込まれています。JR山手線の運転席内部や運転席からの外の風景が気になる方は、プレイしてみてはいかがでしょうか。
2.5 脱出病棟Ω(オメガ)
唯一、複数(2~4)人でプレイすることが前提となっているコンテンツです。「決してひとりでは入らないでください…」と書かれており、一人で行ってホラーが苦手な筆者は体験を断念してしまいました…。
気になる内容は、車いすに座って病院内を探索するというものです。左手のレバーで車いすを動かし、右手に持った懐中電灯(コントローラー)で周囲を確認しながら進むとのこと。ホラーが好きな方には、これまでの画面越しの映像とは格別の恐怖が味わえるかもしれません。
2.6 REAL DRIVE(リアルドライブ)
今回の展示の中では唯一ヘッドセットを付けずに体験する、レースゲームです。
継ぎ目のないなめらかなドーム型のディスプレイいっぱいに運転席から見た風景が映し出されており、サイドミラーも見えるようです。
さらに同会場内では、会場限定のプリントシール機が設置されているほか、パックマンなどのグッズ販売や、サイン色紙の展示が行われていました。
3. HTC VIVEの使用感
この会場で使用されているVRヘッドセットは、全て「HTC VIVE」になっています。
装着した感想は、まずけっこう圧迫感があるものの、動いても安定しているということです。座席に揺さぶられてもずれが気になることはなく、下からの光が気になるということもありませんでした。
マスクを使用していたせいかもしれませんが、鼻にはけっこうな圧迫感がありました。ただ顔面に密着させる部分がスポンジで作られているため、息をすることは可能でした。
視界には少しゴーグルの縁が見えており、やはり着けている感はあります。しかし有機ELの画面は大変綺麗で、画面に極限まで目を近づけるヘッドマウントディスプレイなのにドットのつぶつぶも気になりませんでした。従来のドーム型アトラクションにままあった継ぎ目もなく、また奥行き感もリアルで、これまでにない没入感が味わえると思います。
高所恐怖SHOWはイベント会場でなければ難しそうな設備でしたが、ほかは通常のゲームセンターにも設置できそうな筐体に作られていました。ヘッドセットの強度問題などが解決できれば、これらVRゲームが近所のゲーセンでプレイできる未来はとても近いかもしれません。未来のゲーセンの姿に興味のある方は、ぜひ一度お台場に訪れてみてはいかがでしょうか。