今回は、企業におけるデータ管理分野において、革新的なソリューションを提供し、データ管理市場でのリーダーシップを確立してきた Commvault Systems の日本法人 Commvault Systems Japan 株式会社を取材させていただきました。お話をしてくださったのは、2016年より同社の代表取締役社長を務める俵雄一さんです。
目次
1.Commvault社について
設立 | 1996年 |
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株式上場 | 2006年9月 (NASDAQ) |
社員数 | 約3,000名 |
事業所 | 本社:米国ニュージャージー州ティントン・フォールズ 日本法人:東京都品川区大崎2-1-1 ThinkPark Tower 8F ※事業所数:42ヶ国65事業所 |
2018会計年度 第2四半期売上高 | 1億6810万 米ドル |
同社は、アメリカ最大手の電話会社 AT&T が設立した研究所であるベル研究所から独立・設立された会社です。
社員の約 4 割はエンジニアで構成されており、データ保護分野や、データベース、クラウド分野を専門としたエンジニアが多数在籍しているのだそう。
開発・サポート拠点をアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、インドに持っており、グローバルに連携することで、データ保護の為のソリューションとサポートを、素早く展開しているといいます。
2.「企業買収ゼロ」「100%自社開発」が最大の強み
企業成長の鍵として、欠かせない資源として重要視されているデータ。その量は益々膨大になっており、また、それにあわせてランサムウェアといったデータを狙った外部からの攻撃も増加し、かつその方法は巧妙になっているといわれています。
Commvault 社は、その大切な資源であるデータを、企業が安全に保護する為の独自の統合データ管理ソフトウェアを開発。そのソリューションは Gartner 社の「データセンター バックアップ/リカバリ ソリューション」のマジック・クアドラント(*)において、7年連続リーダーとして位置づけられています。
※Gartner 社のマジック・クアドラント:Gartner社の個々の具体的な市場におけるリサーチの集大成ともいえるものであり、各市場で競合しているプレーヤー各社の相対的な位置付けを広い視野から提示します(**)
出典: (*)Gartner Inc. Magic Quadrant for Data Center Backup and Recovery Solutions.
Dave Russell, Pushan Rinnen, Robert Rhame – July 31, 2017.
ガートナーは、ガートナー・リサーチの発行物に掲載された特定のベンダー、製品またはサービスを推奨するものではありません。また、最高のレーティング又はその他の評価を得たベンダーのみを選択するように助言するものではありません。ガートナー・リサーチの発行物は、ガートナー・リサーチの見解を表したものであり、事実を表現したものではありません。ガートナーは、明示または黙示を問わず、本リサーチの商品性や特定目的への適合性を含め、一切の保証を行うものではありません。
(**)Gartner, リサーチ・メソドロジ, マジック・クアドラント
同社の独自製品である統合データ管理ソフトウェア
統合データ管理ソフトウェアの 6 つの特長
バックアップ | 一つの仮想データレポジトリで効率良くデータを重複排除し、バックアップ時間を短縮。 物理/仮想/クラウド環境の様々な OS、データベース、アプリケーションに対応可能。 |
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アーカイブ | アーカイブの自動実行でバックアップ対象データを削減し、バックアップ時間を短縮。 バックアップ、アーカイブ、レポーティング プロセスをひとつのオペレーションに統合。アーカイブされたデータを簡単に再度呼び出すことが可能。 |
スナップショット管理 | 投資したスナップショット対応ストレージを、IntelliSnapできちんと活用。 富士通、日立製作所、Dell、EMC、HP、IBM、NetApp、Nimble Storage、Pure Storage、DataCore 等、ほぼ全ての主要ストレージ製品に対応。 |
仮想化保護 | 物理/仮想環境を統合管理。VMのライフサイクル管理で VM スプロール問題解決。 バックアップ/リストアから、アーカイブ、ディザスタ リカバリ (DR) まで全ライフサイクルに対応。 |
クライアント保護 | ノートPCの自動バックアップとセルフサービスリカバリ。 1台のバックアップ サーバーで、物理/仮想サーバーだけでなく、ノートPCやデスクトップなどクライアントOS (Windows/Linux/Mac) のデータ保護をまとめて実現。 |
クラウド環境 | クラウド対応バックアップ。 ディスクやテープ装置へのバックアップだけでなく、Amazon S3やAzure Storageなど 20 以上のクラウド ストレージをサポート。 |
製品の特長について、俵さんは「全てを自社で作ってお客様に提供していること」だといいます。
下記のように、分野ごとに企業を買収し、その買収した企業の製品をソリューションとして組み合わせて提供する企業が多い中、同社では全てのソリューションを自社で作っています。その為、ソリューションを提供する際は、1 つのソフトを提供するだけで済み、顧客の手間を省き、運用管理を軽減することが可能だといいます。
また、新しい技術が出てきた際、製品が 1 つであるがゆえに、その変化にすぐに対応できることが強みだともいいます。他社の場合、複数のサービスを組み合わせている為、全てを新しい技術に対応させていかなくてはならず、その為にかなりの時間と労力が必要となります。一方同社の場合はそれが無く、変化に対していち早く対応できるのだといいます。
3.日本ではまだまだ Commvault 社の認知度は低い ただ、国内でのデータに対しての意識は確実に高まっている
その製品の品質の高さから、業界のリーダーとして位置づけられている同社ですが、日本での本格的な展開は 3 年程前からと年数が浅い為、まだまだ認知度は低く、いかに広めていくかが今後の課題だといいます。
ただ、最近は徐々に顧客側からの同社への問い合わせが増えているということで、それは、国内でのデータ保護に対しての意識が以前よりも高まっており、かつ、クオリティも求めはじめているからではないか、と俵さんはいいます。俵さんはまた、同社の製品は、その高まる要望に応えうるレベルの高さであり自信を持って提案できるともいいます。
ただ、今や市場は以前のような企業主導型ではなく顧客主導型に変化しており、自分たちの製品は素晴らしいと一方的に売り出す時代ではないとのこと。顧客の要望にどれだけ沿って製品を提案できるかが重要であり、Commvault 社もその変化に対応した製品展開をしていくと話してくれました。
4.IT 技術者の果たす役割に期待
「企業トップが考える戦略を支えるのが、技術者。技術を事業に翻訳するという技術者の役割は、今後ますます重要になります。」と俵さん。
お客様にソリューションを提案する際、このソリューションは信頼できるものなのか、ベストなものなのか、お客様にどのように役立つのか、本当に今必要なものなのかなどについて、説明/解決していく「技術者の視点」は不可欠。そういった意味で、技術者は会社の良心を体現していなければならないのだといいます。
俵さんは最後に、「海外の CIO (最高情報責任者)は、技術的なバックボーンと鋭い洞察力を持っています。ただ日本では、海外のような技術に強いトップはあまり多くありません。日本の技術者にはぜひ、企業トップの戦略を技術サイドから支える、そんな役割を期待します。」と話してくれました。