ECとは、Electronic Commerce(電子商取引)の略です。インターネットで様々な商品やサービスの売買をすることを意味します。代表的なECサービスとしては、Amazon、楽天、ZOZOTOWNなどがあります。
目次
1. EC業界の規模
平成 26年で国内のBtoC(一般消費者向け)のEC市場規模は、12.8 兆円(前年比 14.6%増)、また、BtoB(企業間の取引)のEC市場規模は196兆円(前年比5.0%増)に拡大しています。つまり、国内のEC市場の90%以上がBtoBだということです。
- (経済産業省 『電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました』より)
2. ECモール 大手
国内では、楽天市場、Yahoo!ショッピング、AmazonがECモールの3強です。国内におけるECモールのパイオニアは楽天です。まだインターネット回線が低速だった1997年から楽天はEC事業を開始しています。当初、国内では楽天が1人勝ちでしたが、2013年にYahoo! JAPANが発表した「eコマース革命」により、出店料などが無料化されたことから、Yahoo!ショッピングの店舗数は2万店から13万店まで一気に伸びました。
楽天市場 | Yahoo!ショッピング | Amazon | |
---|---|---|---|
出店数 | 44,201店 | 370,000万ID | N/A |
商品数 | N/A (推定1億5000万~2億点) | 1億8000万点 | 1億種類以上 |
流通総額 | 約2兆7,000億円 | 約1兆738億円 | 想定 約1兆2,000億円 |
サービス開始年 | 1997年 | 1999年 | 2000年(国内) |
- (楽天市場:『2015年度通期及び第4四半期』より、Yahoo!ショッピング:『2015年度第3四半期報告書』より、 Amazon:『wikipedia』より)
DeNAが展開するECモール「DeNAショッピング」では、約4,000店が約2,000万品の商品を掲載しています。また、リクルートが展開するECモール「ポンパレモール」では、約1,900店が約2,000万品の商品を掲載しています。
3. ファッションの大手 ZOZOTOWN
株式会社スタートトゥデイの運営する「ZOZOTOWN」は売り上げ450億円を超えるアパレルECモールです。
同社より発表された2016年3月期のIR情報によると、2016年出店ショップ数は800店を超え、年間購入者数は400万人、出荷件数は390万点を超えます。
2013年にはファッションコーディネートアプリ「WEAR」をリリースしましたが、実店舗の反発などから、洋服のバーコードスキャン機能を停止したため、現在はコーディネートとECのみの機能となっています。
4. オフィス用品の大手
オフィス用品の大手ではアスクルが売り上げ2,767億円でトップ、次いで大塚商会の「たのめーる」が1,287億円、コクヨの子会社のカウネットの売り上げが866億円で3位となっています。
5. ASP型、クラウド型 ECサイト
サービス名 | 運営会社 | 特徴 |
---|---|---|
Eストアー | 株式会社 Eストアー | 「売り上げを上げるEC」がコンセプトであり、システムだけでなく制作代行、集客代行、ビジネススクールなども提供しています。 |
メイクショップ | GMOメイクショップ株式会社 | 業界大手のGMOが運営するASP型ECサイトの老舗です。ECの機能だけでなくポイント機能など集客面も優れています。 |
カラーミーショップ | GMOペパボ株式会社 | こちらもGMOグループが運営するASP型ECサイトの老舗です。豊富なテンプレートと低価格が特徴です。 |
えびすマート | 株式会社インターファクトリー | 中規模以上の企業向けECです。様々なマーケティングや多言語対応が可能です。 |
STORES.jp | 株式会社ブラケット | 決済手数料5%のみで無料のECが構築可能です。用意されたテンプレートの中から自社のECが作れます。 |
BASE | BASE株式会社 | 決済手数料3.6%で無料のECが構築可能です。予算を抑えて高機能なECを実現したい企業向けです。 |
6. フリマアプリ
個人間の商品売買のCtoC市場も盛り上がりを見せています。株式会社メルカリのアプリ「メルカリ」は、CtoCのフリマアプリです。流通総額は60億円を超え、ダウンロード数は2015年には2,000万DLを達成しました。また、株式会社Fablicの運営するファッションフリマアプリ「FRIL」も400万ダウンロードを達成しています。
7. ECサイトパッケージ と開発環境
ASPやクラウド型のECサービスだけでは、自社のECニーズを満たせない場合は、独自でECサイトを構築するしか方法はありません。しかし、自社ECを作る際に全くの0からスクラッチ開発をすると相当のコストがかかってしまいます。そんな時に便利なのがパッケージソフトです。オープンソースのECパッケージであれば、デフォルトでECサイトの運営に必要な様々な機能がある上に、自由なカスタマイズが可能なので、他社との差別化を図ることができます。
サービス名 | 特徴 | 環境 |
---|---|---|
EC-CUBE | 国内No.1と言われるオープンソースのECパッケージです。デフォルトの機能の充実に加え、様々なプラグインが揃っており、自社の思い通りのECが構築できます。また多くの開発パートナーがいるため、国内でサポートを受けやすいというメリットもあります。 | PHP、Linux、 Apache、MySQL |
Zen Cart | 豊富な機能もさることながら、米国で出来たサービスであるために、多言語対応に優れています。半面、国内でサポートしている企業がないというデメリットもあります。 | PHP、Linux、 Apache、MySQL |
CS-Cart | ロシア発のオープンソースECパッケージです。初心者でも運営が簡単であり、かつEC-CUBEと同等かそれ以上に高機能と言えるでしょう。多言語対応しており、テンプレートも数十種類から選択することが出来ます。 | PHP、Linux、 Apache、MySQL |
WordPress | 元々はBlogテンプレートとして注目を浴び有名になったオープンソースCMSです。ECに特化はしていませんが、世界的に人気のCMSのため、多くのテンプレートやプラグインがあり、カスマイズの幅が広いのが特徴です。 | PHP、Linux、 Apache、MySQL |
osCommerce | 以前は、ECサイトのオープンソースと言えば、osCommerceと言われるほど人気がありましたが、EC-CUBEやCS-Cartの登場により、最近は活用事例が減っています。 | PHP、Linux、 Apache、MySQL |
8. ECサイトの運営会社や開発会社で働くには
プログラマーを目指すのであれば、最低限LAMP(Linux,Apache,MySQL,PHP)の知識は必須です。
フロント側だけでなく在庫や会員情報の管理も必要なので、サーバーサイド・データベースの知識も求められます。
また、近年のwebサイトへのアクセスはスマホ経由が半数以上を占めています。スマホやタブレットへの最適化(レスポンシブwebデザイン)は必須となるでしょう。
デザイナーであれば、「売れるEC」を作るために、UIやUXの知識も大切です。