本記事ではアジャイル開発の最新情報を踏まえながら、各資格を取得するメリット・デメリット、難易度、費用、そして取得後の具体的なキャリアパスまで徹底的に解説します。
1. アジャイル開発とは?
アジャイル開発のアジャイルとは「素早い」、「俊敏な」という意味で、大きな単位でシステムを分けることなく、小さな単位で実装とテストを繰り返していく手法のことです。
アジャイル開発は、「往来の開発方法に比べて開発期間が短縮できる」「顧客が実際に動く画面や機能を試すことができる」「修正の影響が最低限で済む」などさまざまなメリットがあります。アジャイルで期待される効果をより高めるために、考え方や原則を理解することを重要とした「アジャイルソフトウェア開発宣言」というガイドラインも作成されました。
出典:アジャイルソフトウェア開発宣言の読みとき方|IPA情報処理推進機構
このなかにはソフトウェア開発の向上を目指すには、変化に適応しなければならないと記載されています。このように、時代の急激な進化とともに、たくさんの仕様書作成に時間をかけるのではなく、顧客の反応や様子を見ながら変化にできるだけ柔軟な対応を可能にして生産性の効率を高めようというのがアジャイルの特徴です。
往来の開発方法とどのように違うのかはこちらの記事を参照ください。
2. アジャイル開発資格の選び方|失敗しない3つのポイント
アジャイル開発に関連する資格を選ぶ際に重要なポイントとして、次の三点が挙げられます。
それぞれ、詳しくご紹介します。
2.1 現在のスキルレベル(未経験・初心者向け・熟練者向け)
現在のスキルレベルに合う資格を選ぶことは、挫折を防いで効率的に学習を進めるために大切なポイントです。自分の現在地を正しく把握することで、着実なステップアップが可能になります。
特にアジャイルはマインドセットの理解が重要なため、段階的に深い知識を身につけていくことが実務へスムーズに応用することにつながります。
2.2 資格取得の目的(基礎知識習得・実践力強化・キャリアアップ)
何のために資格を取得するのかを考えることも重要です。目的がずれてしまうと、取得後に「実務で使えない」「期待した評価が得られない」といったミスマッチが起こる恐れがあります。
具体的には、「基礎を固めたい」なら体系的な座学重視。「実践力を高めたい」なら研修を通じたワークショップ重視。「昇進や転職」なら市場価値の高い国際資格が適しています。
2.3 取得にかかるコスト(勉強時間・受験料・資格の維持費)
アジャイル関連の資格を選ぶ際には、取得や維持にかかるコストも考えておく必要があります。高額な受講料や数年ごとの更新費用(維持費)が発生するものが多いためです。さらに受験料だけでなく、研修やワークショップ参加が必須の資格もあります。
費用や時間といったコストの投資が、得られるリターンに見合っているかを検討する必要があります。予算やライフスタイルに合わせ、長期的にその資格を維持・活用し続けられるかを事前に確認しておくことがおすすめです。
3. アジャイル開発に関するおすすめ資格5選【費用・難易度比較表付き】
アジャイル開発に関連する資格を5つご紹介します。
| 資格名 | 対象 | 費用 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| アジャイルソフトウェア開発
技術者検定試験 |
基礎知識の証明をしたい方 | Lv.1:10,000円
Lv.2:15,000円 |
★~
★★ |
CSM
(認定スクラムマスター) |
実践的なスクラムマスターを目指す方 | 30万円 | ★★★ | PSM
(Professional Scrum Master) |
コスパ重視で知識を深めたい方 | 150USD | ★★★ | LSM
(Licensed Scrum Master) |
楽しく実践的に学びたい方 | 20万円 | ★★★ | PMI-ACP
(PMI Agile Certified Practitioner) |
マネージャーを目指す方 | 495USD | ★★★★ |
3.1 アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験
出典:Agile
アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験は、アジャイル開発のスキルを客観的に計測する試験です。試験はLv.1とLv.2に分かれており、試験内容や難易度、合格率などが変わってきます。
| 資格名 | アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験 |
|---|---|
| 試験開催時期 | 特になし |
| 料金 | Lv.1:10,000円(税抜)
Lv.2:15,000円(税抜) |
| 日本語対応 | 〇 |
| 公式HP | Agile |
3.1.1 アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験の難易度
アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験はアジャイル開発の基礎知識を問うものです。
Lv.1はアジャイル開発に「参加」するために必要な知識を問います。Lv.2はチームメンバーとして実践的に動くために必要な知識を問います。Lv.1は開発業務(コーディングなど)自体は未経験でも、ウェブサイト制作やアプリ開発のディレクションやプランニング、コンサル寄りの業務経験があれば数冊程度参考書を読めば合格できるレベルとなっています。
3.1.2 アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験の料金
料金に関しては、Lv.1は10000円(税抜)、Lv.2は15000円(税抜)と分けられています。
3.1.3 アジャイルソフトウェア開発技術者検定試験の勉強方法
LV.1は「アジャイル検定公式テキスト アジャイルソフトウエア開発技術者検定試験 レベル1対応」が公式テキストとして発売されており、アジャイル開発に関して基礎的な知識が一通り網羅されています。
アジャイルは専門用語も多いので、単語集としても後々便利です。
読み終わったら「わかりやすいアジャイル開発の教科書」「アジャイルサムライ 達人開発者への道」がおすすめです。
3.2 認定スクラムマスター(Certified ScrumMaster®:CSM®)
出典:Odd-e Japan
スクラムマスターとは、アジャイル開発の中の「スクラム」という手法において、チームが円滑に動くようサポートする「役割(人)」のことです。
認定スクラムマスター資格はスクラムマスターに関する資格の中で最も人気のある資格であり、世界で通用する資格でもあります。ただし取得には専用の研修を受ける必要があり、受験料がとても高額です。かつ難易度も高く勉強時間がかかることから、取得コストがかなり高い資格といえるでしょう。
実務経験のある方で受験を検討している場合は、研修費用の補助が出ないか職場に確認してみることがおすすめです。
| 資格名 | Certified Scrum Master(CSM) |
|---|---|
| 試験開催時期 | 研修終了後 |
| 料金 | 30万円(税抜) |
| 日本語対応 | 〇 |
| 公式HP | Odd-e Japan など |
3.2.1 認定スクラムマスターの難易度
Certified Scrum Master(CSM)の研修を受講し、研修+テキスト+演習をこなします。研修を途中で離脱したり、トレーナーから適性がないと判断された人物は資格試験の受験自体ができなくなります。
特に演習パートは非常にハードで、スクラム未経験・未学習の場合は気合を入れて研修の受講と復習をする必要があります。合格率は非公表です。試験そのものの難しさ以上に、研修全体のハードルが高めに設定されており、トレーナーは論理的に弱い箇所や穴がある箇所を演習を通じて徹底的に指摘します。
特にグループによる演習を重視しており、初日に課題が出され、課題解決の方法を話し合い、グループワークで「全員が合意する」状態に導き、ステークホルダー(研修においてはトレーナー)に内容を判断してもらうのが一連の流れです。
講師は基本的に厳しいスタンスを取り、わざと意見出しや、ファシリテーションのための雰囲気づくりを難しくする態度をするので、スクラムマスターとしてそのような状況下でどう動くべきか徹底的に考え抜く必要があります。
3.2.2 認定スクラムマスターの料金
料金は研修を実施する事業者によりますが、約20~30万円程度です。
3.2.3 認定スクラムマスターの勉強方法
スクラムに対する基礎知識が身についていることが前提の試験です。スクラムガイドでは、スクラムとは以下のように定義されています。
スクラムとは、以下のようなものであります。
– 軽量 – 理解が容易 – 習得は困難である
スクラム開発が未経験の場合には、CSMではなくアジャイルソフトウェア開発技術者認定試験を受け、先に基礎固めをしておくことがおすすめです。実務経験や知識が伴ってからの方が、効率よく研修に参加できます。
3.3 PSM(Professional Scrum Master™)
出典:Scrum.org
PSM(Professional Scrum Master™)は、Scrum Org. によるスクラムマスターの認定資格です。
CSMやLSMでは高額なトレーニングへの参加が必須ですが、PSMは必須ではありません。さらに2年ごとに更新料が必要なCSMに対し、PSMは有効期限がありません。
知識の裏付けとなる認定資格は欲しい(腕試ししたいなど)が、スクラムマスターとしての在り方を極めるというよりはゼネラリスト志向の人や、コストを抑えたい人におすすめの資格です。
| 資格名 | PSM(Professional Scrum Master™) |
|---|---|
| 試験開催時期 | 特になし |
| 料金 | 150USD |
| 日本語対応 | × |
| 公式HP | Scrum.org |
3.3.1 PSMの難易度
研修・トレーニングへの参加がマストではないため、CSMのような研修そのものの精神的・肉体的なハードさはありません。
一方で資格試験そのものの難易度はCSMより高く設定されており、合格ラインはCSMが正答率75%と言われているのに対し、PSMは85%以上です。
スクラムガイドをしっかり読み込むなど事前対策が必要になります。また英語試験しかないため、英語に自信のない方にはより難しい試験になります。
3.3.2 PSMの料金
PSMの料金は150ドルです。CSMやLSMと比較すると圧倒的に低コストで受講できるのが特徴です。
3.3.3 PSMの勉強方法
Scrum.orgではOpen Assessmentという何度でも受けられるプレテストがあり、問題傾向を把握できます。プラスアルファでスクラムガイドを英語で読み込むなど対策するのがおすすめです。
オンライン講座のひとつであるUdemyの対策コースや、Mikhail LapshinのSCRUM QUIZZESというコーナーで学習するのも良いでしょう。
3.4 LSM(Licensed Scrum Master)
Scrum Inc によるスクラムマスターの認定資格です。Scrum IncはKDDI株式会社、株式会社永和システムマネジメントとScrum Inc.の3社での合弁会社によるものです。
スクラム経験有無に関係なく、誰でも受講可能なのが特徴で、研修を受けたのちにメールでWebサイトへのログイン情報が届き、サイト上で試験を受けて合格すると資格が得られます。不合格の場合でも25ドルで再度受験可能です。
| 資格名 | LSM(Licensed Scrum Master) |
|---|---|
| 試験開催時期 | 研修終了後 |
| 料金 | 20万円(税抜) |
| 日本語対応 | 〇 |
| 公式HP | Scrum Inc. Japan |
3.4.1 LSMの難易度
研修が終了するとメールでサイトURLが送られ、試験を受けられる。四択問題が30問。全問解答するとすぐに結果が表示されます。
75%以上の正解で合格とされています。不合格の場合でも2回目をすぐに受けられるため、試験そのものの難易度はそれほど高くありません。スクラム未経験者も受講可能の研修で、系統立ててスクラムを学べるため研修の内容が身についていれば1回~2回の受験で合格できる可能性は高いです。
3.4.2 LSMの料金
料金は20万円(税抜)です。
3.4.3 LSMの勉強方法
試験内容自体は研修で内容を網羅している&再受験が即時可能なため、研修の内容が定着していれば問題なく解けます。
スクラム開発が完全未経験の場合は、「スクラム実践入門 ── 成果を生み出すアジャイルな開発プロセス」などで予習を推奨します。
また個人開発など小さなことでも構わないので、開発に取り入られる箇所は取り入れてみると良いです。
例えばかんばん方式を個人開発に取り入れ、Trelloでタスク管理をしてみるといったトライをしてみると良いでしょう。
アジャイルやスクラムの経験が半年程度ある人であれば、同程度のキャリアの参加者も多く参加する研修のため、自社のアジャイルやスクラムの取り組みについて意見交換するとより理解が深まるでしょう。グループワークだけでもかなり理解が深まるといえます。
3.5 PMI-ACP®(PMI Agile Certified Practitioner)
出典:Project Management Institute
PMI-ACP®(PMI Agile Certified Practitioner)は、プロジェクトマネジメントの世界標準を策定しているPMI(Project Management Institute:プロジェクトマネジメント協会)による、アジャイル開発の認定資格です。
スクラムに焦点を当てた資格とは違い、アジャイル全般を試験範囲としています。
マネジメント寄りの試験であり、アジャイル開発に対応するPMやリード職の方へおすすめです。
| 資格名 | PMI-ACP®(PMI Agile Certified Practitioner) |
|---|---|
| 試験開催時期 | 特になし |
| 料金 | 495USD |
| 日本語対応 | 〇 |
| 公式HP | Project Management Institute |
3.5.1 PMI-ACPの難易度
2025年の1月から日本語受験に対応し、英語が苦手な方にもチャレンジしやすくなりました。よって以前より難易度は下がりましたが、CSMやLSMと比べ受験に至るまでの難易度が高めです。
PMI-ACPの試験を受けるには、次のいずれかの条件をクリアする必要があります。
• 直近5年のうち、2年以上のアジャイル実務経験があること
• GAC認定プログラムの学位を持ち、および1年間のアジャイル実務経験があること
• 第三者機関によるアジャイル認定資格を持ち、および1年間のアジャイル実務経験があること
• 他のPMP認定資格を持っていること
さらに「アジャイルの実践、フレームワーク、手法」に関する28時間の公式なトレーニングを受講する必要があります。
試験の採点も厳格で、今回ご紹介した中で最も難易度の高い資格といえます。
3.5.2 PMI-ACPの料金
PMI-ACPの受験料は495ドルで、かつ維持費がかかります。そのためPSMよりはコストがかかりますが、CSMやLSMと比較すると低コストで取得と維持が可能です。
3.5.3 PMI-ACPの勉強方法
オンライン講座のひとつであるUdemyの対策コースや、Mikhail LapshinのSCRUM QUIZZESというコーナーで学習するのも良いでしょう。
4. アジャイル関連資格に関するよくある質問(FAQ)
アジャイル開発に関連する資格について、よくある質問をまとめました。
4.1 未経験や初心者は、まずどの資格を目指すべきですか?
【A】未経験の場合は「アジャイルソフトウェア開発技術者検定(Lv.1)」がおすすめです。日本語で基礎を体系的に学べ、比較的安価で挑戦しやすい資格です。
実践的な理解や資格の実用性を求めるなら、研修が充実していて世界的に認知度の高い「CSM」も選択肢に入ります。
4.2 アジャイル資格を取得すると、転職やキャリアアップに有利ですか?
【A】多くの企業で有利になります。特にDX推進やアジャイル導入を進める企業では、共通言語を理解している証明として評価されます。
資格は「学習意欲」と「基礎知識」の客観的な証拠にもなるため、実務経験と掛け合わせることで、スクラムマスターやリーダー職への道が開けます。転職市場での希少価値を高める、有効な手段です。
4.3 PMPなどのプロジェクトマネジメント資格と、どう使い分ければ良いですか?
【A】PMPは計画主導型のウォーターフォール開発や、組織全体の包括的な管理などに適している資格です。対してアジャイル資格は、変化への柔軟な対応やチームの自己組織化など、現場の価値創出に特化しています。
プロジェクトに参加する立場の場合は、自分が携わる現場に合った資格を選べば問題ありません。
プロジェクトの不確実性や規模、組織文化に合わせて、最適な手法を「選定」や「併用」する立場の場合は、どちらの資格も役立ちます。
5. まとめ|あなたに最適なアジャイル開発資格を見つけ、キャリアを加速させよう!
アジャイル開発関連の資格は、取得しなければ業務に携われないものではありません。しかし試験勉強や研修の受講を通じて、自分の知識や経験の整理につながります。さらにスクラムマスターとしてのキャリアアップにもつながりますので、この機会に受験を検討してみてください。
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