GCP(Google Cloud Platform)とはGoogle社が運営するクラウドサービスです。本記事では特徴やサービス別の使い方、できること、AWSと比較した導入メリットを解説します。興味がある方はぜひ参考にしてください。
1. GCP(Google Cloud Platform)とは
GCPとは、Google社が運営するクラウドサービス「Google Cloud Platform」の略称です。Googleは検索エンジン「Google」や動画共有プラットフォーム「YouTube」などを運営しており、それらのインフラとして自社でもGCPを利用しています。つまり一般企業や個人開発者でも、GCPを利用することで、Google社と同等のインフラ環境を実現できるということです。
ちなみにGCPは、よくAmazonが運営する「AWS」と比較されます。AWSもGCPもどちらも世界的に有名なパブリッククラウドであり、クラウドサービスの導入時にはどちらを利用すべきかが各社でよく議論になります。
結論から言えば、シンプルなサービスであればGCPの方が低コストです。一方で堅牢性や日本語サポートの手厚さではAWSに軍配が上がることが多いです。
1.1 GCP(Google Cloud Platform)の代表的なサービスの例
GCPの代表的なサービスとして2つをご紹介します。
■ Google App Engine
フルマネージド型のアプリケーションプラットフォーム。標準で利用できるアプリケーションの言語はPHP、Python、Ruby、Node.js、Java、C#、Goです。
また、 Docker コンテナが提供されているため、独自の言語やライブラリ・フレームワークをインストールすることも可能です。
■ Google BigQuery
大規模なデータ分析に対応したマルチクラウドデータウェアハウス。機械学習機能が組み込まれ、分析データ量によって柔軟にスケールアップも可能です。
また、The Enterprise Strategy Group, Inc社が行った調査によると、他のクラウドデータウェアハウスに比べて、3年間の大規模分析の総保有コストを26%~34%削減できるといわれています。
1.2 GCP(Google Cloud Platform)は有料?無料?
GCPはサービスごとに無料枠が用意されています。そのため、無料枠の範囲内で利用した場合、無料で利用可能です。
無料枠を超過して利用した場合に有料になります。料金体系は従量課金制で、超過分の代金が請求されます。
1.2.1 無料トライアルと無料枠
GCPでは無料トライアルと無料枠という無料で利用できる仕組みが2つ用意されています。無料トライアルとは、GCPの利用開始後、90日間は$300相当の課金サービスを無料で利用できるもの。
無料枠はGCPの各サービスごとに、無料で利用できる使用量が個別で提供されるものです。
例として、代表的なApp EngineとBigQueryの無料枠を紹介します。
■ App Engine
リソース | 無料の割り当て |
---|---|
「F」インスタンス | 1日あたり28 時間分無料 |
「B」インスタンス | 1日あたり9時間分無料 |
データ転送(下り、外向き) | 1日あたりの通信量1GBが無料 |
■ BigQuery
リソース | 無料の割り当て |
---|---|
ストレージ | 1か月あたり1TB分無料 |
「B」インスタンス | 1か月あたり10GB分無料 |
参照:BigQueryリソース
1.2.2 費用の目安
GCPの費用はプロダクトごとに従量課金制で計算されます。プロダクトごとの詳細は公式サイトからご確認ください。
また、英語版の料金計算ツールが提供されています。このツールを利用すると、利用内容を元に費用をシミュレーション可能です。
▸ 料金計算ツール
2.【サービス別】GCP(Google Cloud Platform)でできること
GCPのプロダクトやサービスが多く、実際何ができるのかわからないという方も多いでしょう。ここでは、GCPの利用者が多いサービス別にGCPでできることを紹介します。
なお各項目で紹介している料金表は、指定がない限りは東京リージョンを利用している前提でまとめています。
2.1 コンピューティング
GCPではスケーラブルな仮想マシンを提供するコンピューティングサービスがいくつかあります。ここでは3つのサービスを紹介します。
2.1.1 Google Compute Engine
出典:Compute Engine|Google Cloud
Google Compute Engineは、IaaS(Infrastructure-as-a-Service)形式のコンピュートリソースを提供するサービスです。仮想マシンは用途に応じてOSやCPU・メモリなどを組み合わせられます。
また、仮想マシンはGoogleがインフラストラクチャ上に構築されるため、大規模なワークロードやパフォーマンス・安定性を利用できます。
また、費用は環境のスペックと利用時間に応じて請求される従量課金制です。
1時間当たりの料金は以下の通りです。
マシンタイプ | 仮想CPU数 | メモリ | 料金(米ドル) | プリエンプティブル料金(米ドル) |
---|---|---|---|---|
n1-standard-1 | 1 | 3.75GB | $0.06 | $0.01 |
n1-standard-2 | 2 | 7.5GB | $0.12 | $0.03 |
n1-standard-4 | 4 | 15GB | $0.24 | $0.05 |
n1-standard-8 | 8 | 30GB | $0.49 | $0.11 |
参照:汎用のマシンタイプ
2.1.2 Google App Engine
Google App Engineは、PaaS(Platform-as-a-Service)形式のアプリケーション開発やホスティングが行えるプラットフォームです。アプリケーションを簡単に始められる仕組みを提供しています。
また、ミドルウェアなどのアプリケーションより下位のレイヤーは、Google App Engineが完全管理しています。そのため、環境のアップデートやパッチ適用などの開発者への負担が軽減されるのが特徴です。
1時間当たりの料金は以下の通りです。
マシンタイプ | 仮想CPU数 | メモリ | 料金(米ドル) | プリエンプティブル料金(米ドル) |
---|---|---|---|---|
n1-standard-1 | 1 | 3.75GB | $0.061 | 0.01325 |
n1-standard-2 | 2 | 7.5GB | $0.122 | 0.0265 |
n1-standard-4 | 4 | 15GB | $0.244 | 0.053 |
n1-standard-8 | 8 | 30GB | $0.488 | 0.106 |
2.1.3 Google Kubernetes Engine
出典:Google Kubernetes Engine|Google Cloud
Google Kubernetes Engineは、Docker コンテナの実行環境を提供するクラウドサービスです。Googleのインフラストラクチャー上に Kubernetesのクラスタを作成し、Docker コンテナを配置することで、数秒単位でコンテナがデプロイできます。
運用モードが2種類提供されており、モードによって料金体系も変わります。
【Autopilotモード】
フルプロビジョニングされたクラスタ構成のモードです。クラスタ構成オプションが自動で作成されます。
【標準モード】
インフラストラクチャをユーザーが柔軟に設定できるモードです。
時間当たりの料金は以下の通りです。なおAutopilotモードでの料金となります。
項目 | 料金 | 1年間の確約利用割引価格(米ドル) | 3年間の確約利用割引価格(米ドル) |
---|---|---|---|
GKE Autopilot vCPU料金(vCPU-時間) | $0.06 | $0.05 | $0.03 |
GKE Autopilot Podメモリ料金(GB-時間) | $0.01 | $0.01 | $0.00 |
GKE Autopilotエフェメラル ストレージ料金(GB-時間) | $0.00 | $0.00 | $0.00 |
2.2 ストレージ
ストレージとは、ファイルやデータを保存する場所です。GCPではクラウド上にファイルやデータを保存する様々なサービスを展開しています。
ここでは有名な3種類のサービスを紹介します。
2.2.1 Google Cloud Storage
Google Cloud Storageは高い可用性・耐久性を備えたオブジェクトストレージです。また、用途に応じたストレージのクラスを4種類提供し、ユーザーは時間の経過などの条件を指定することで、低料金のクラスにデータを自動で移動できます。
<Standard Storage>
可用性が最も高く、アクセル頻度の高いデータ向けのストレージです。
<Nearline Storage>
アクセス頻度が高い30日以上保管するデータ向けのストレージです。可用性がStandard Storageより劣りますが、その分低料金のためバックアップデータの保管に向いています。
<Coldline Storage>
アクセス頻度の低い90日以上保管するデータ向けのストレージです。Standard Storage・Nearline Storageよりも可用性が低めですが、コストが低いのが特徴です。
<Archive Storage>
365日以上データを保管するデータアーカイブ向けの耐久性が高いストレージです。可用性は一番低いですが、他の3つのストレージに比べて一番低料金で利用できます。
1カ月単位の料金は以下の通りです。ストレージごとにまとめています。
Standard Storage
(GB単位/月) |
Nearline Storage
(GB単位/月) |
Coldline Storage
(GB単位/月) |
Archive Storage
(GB単位/月) |
|
---|---|---|---|---|
金額 | $0.02 | $0.02 | $0.01 | $0.00 |
2.2.2 Google Cloud SQL
Cloud SQLは、MySQL・PostgreSQL・SQL Serverといったリレーショナルデータベースを提供するクラウドサービスです。フルマネージドのため、パッチ適用などのメンテナンスコストを削減できます。
Cloud SQLを利用するメリットは、高い可用性やパフォーマンスはもちろん、Compute Engineなど他のGCPのサービスと簡単に連携できる点もあります。
Cloud SQLの料金は、3つの料金項目で構成されます。
<CPU とメモリの1時間あたりの料金>
料金(米ドル) | 1年間の確約利用割引 | 3年間の確約利用割引 | |
---|---|---|---|
vCPU | 1 vCPUあたり$0.0537 | $0.04 | $0.03 |
メモリ | $0.0091/GB | $0.01 | $0.00 |
HA vCPU | 1vCPUあたり$0.1074 | $0.08 | $0.05 |
HAメモリ | $0.0182/GB | $0.01 | $0.01 |
<ストレージとネットワークの1時間あたりの料金>
料金 | ||
---|---|---|
ストレージ | SSDストレージ容量:1GBあたり$0.221/月
HDDストレージ容量:1GBあたり$0.117/月 バックアップ容量:1GBあたり$0.104/月(使用量) |
|
HAストレージ | SSDストレージ容量:1GBあたり$0.442/月
HDDストレージ容量:1GBあたり$0.234/月 バックアップ容量:1GBあたり$0.104/月(使用量) |
|
サーバーレス エクスポート | 2021年2月1日まで無料、
その後はインスタンス ストレージの容量1GBあたり$0.01 |
|
ネットワーク | Cloud SQLへの上り(内向き):無料※
IPv4アドレス:アイドリング中$0.013/時間 |
※
下り(外向き)料金がソースに対して適用される場合があります。たとえば、Compute Engine からの下り(外向き)トラフィックは外部IPアドレスのレートで課金されます。
Cloud SQLからの下り(外向き):ネットワーク下り(外向き)の料金を参照
<インスタンスの1時間あたりの料金>
送信先 | 料金 |
---|---|
Compute Engine インスタンスと Cloud SQL クロスリージョン レプリカ | 同じリージョン内: 無料
北米内のリージョン間: $0.12/GB 北米外のリージョン間: $0.12/GB |
Google プロダクト(Compute Engine、および Cloud SQL クロスリージョン レプリカへのトラフィックを除く) | 大陸内: 無料
大陸間: $0.12/GB |
インターネット下り(外向き、Cloud Interconnectを使用する場合) | $0.05/GB |
インターネット下り(外向き、Cloud Interconnectを使用しない場合) | $0.19/GB |
参照:Cloud SQLの料金
2.2.3 Google Cloud Datastore
Google Cloud Datastoreは、フルマネージドのNoSQLデータベースです。REST APIやオープンソース クライアントなど複数のアクセス方法でSQLライクなクエリを提供しています。
また、NoSQLデータベースでは難しいとされるACID トランザクションを実現しています。
Datastore モードの Firestoreの料金は以下の通りです。
無料利用枠超過分の料金 | |
---|---|
ドキュメントの読み取り | ドキュメント100,000点あたり $0.038 |
ドキュメントの書き込み | ドキュメント100,000点あたり $0.115 |
ドキュメントの削除 | ドキュメント100,000点あたり $0.013 |
保存データ | $0.115/GiB/月 |
参照:DatastoreモードのFirestoreの料金(東京asia-northeast1)
2.3 ビッグデータ
ビッグデータとは、様々な形状・性質を持ったデータを巨大で複雑な集合をいいます。近年ではAIや機械学習を利用して、データを分析し、活用する動きが盛んです。
GCPでもいくつかビックデータのサービスを展開しています。
2.3.1 Google BigQuery
Google BigQueryは手軽にビックデータを分析できるサービスです。
SQLに似たクエリを実行できるため、さほど学習コストをかけず、簡単に実行できます。また、マルチバイトのデータに対して、数秒で実行できるため、リアルタイムに解析可能です。
Google BigQueryの料金は次の2つの要素から請求金額が算出されます。
<オンデマンド分析の料金>
オペレーション | 料金 | 詳細 |
---|---|---|
クエリ(オンデマンド) | $6.00/TB | 毎月1TBまで無料 |
<ストレージの料金>
オペレーション | 料金 | 詳細 |
---|---|---|
アクティブ ストレージ | $0.023/GB | 毎月10GBまで無料 |
長期保存 | $0.016/GB | 毎月10GBまで無料 |
参照:BigQueryの料金
2.3.2 Google Cloud Dataflow
Google Cloud Dataflowは、Google Cloud Platformで提供されるフルマネージドのリアルタイムデータ プロセッシングサービスです。スケールはエクサバイトまで対応しています。
また、低料金で利用できるバッチ処理のサービスも提供されており、柔軟に処理のスケジューリングや料金を調整可能です。
Google Cloud Dataflowでは次の各リソースを消費した時間に対して課金されます。
Dataflow
ワーカータイプ |
vCPU
(1時間あたり) |
メモリ
(1GB1時間あたり) |
データ処理量4、5
(1GBあたり) |
---|---|---|---|
バッチ 1 | $0.07 | $0.00 | $0.01 |
FlexRS 2 | $0.04 | $0.00 | $0.01 |
ストリーミング 3 | $0.09 | $0.00 | $0.02 |
参照:Dataflowの料金
2.3.3 Google Cloud Pub/Sub
Google Cloud Pub/SubはGoogleのバックエンド・メッセージングサービスです。マシン間のメッセージ応答や、スマートフォンなどの端末からのデータ収集などを得意としています。
また、Google Cloud Dataflowと統合することで、高機能で信頼性が高いストリーム分析を実現しています。
Google Cloud Pub/Subの料金は1か月のデータ量に基づいて計算され、月の最初の10GBまでは料金が発生しません。
1か月あたりのデータ容量※ | TB あたりの料金 |
---|---|
最初の10GB | $0.00 |
10GB以上 | $40.00 |
※ 料金の詳細は料金ガイドをご覧ください
参照:Pub/Subの料金
2.4 サービス
コンピューティング・ストレージ・ビックデータの有名なサービスを紹介してきました。先に紹介したカテゴリ以外にもGCPでは有名なサービスが提供されています。
そこで、先に紹介したカテゴリ以外の有名なサービスを3つ紹介します。
2.4.1 Google Cloud DNS
Google Cloud DNSとは、信頼性・パフォーマンスに優れたDNSサービスです。
Googleが使用するエニーキャスト DNSサーバーを利用できます。そのため、世界中のどこからでも安定した接続が可能です。
<クエリの料金>
クエリ数 | 料金 |
---|---|
0~10億 | クエリ100万件ごとに$0.40/月 |
10億以上 | クエリ100万件ごとに$0.20/月 |
<マネージド ゾーンの料金>
マネージド ゾーン | 料金 |
---|---|
0~25 | マネージド ゾーンごとに$0.20/月 |
26~10,000 | マネージド ゾーンが 25を超えると、追加のゾーン1つにつき$0.10/月 |
参照:Cloud DNSの料金
2.4.2 Google Cloud Endpoints
出典:Cloud Endpoints|Google Cloud
Google Cloud Endpointsは、iOSやAndroid、PCブラウザ向けのREST APIを作成できるサービスです。
Google Cloud Endpointsを利用するメリットには、次のような点があります。
• 1つのソースコードで複数のクライアントに対応できる
• APIをモニタリングできる
料金は以下の通りです。API呼び出し回数と費用は比例します。
各請求先アカウントの 1 か月あたりの API 呼び出し回数 | API 呼び出し回数 100 万回あたりの費用 |
---|---|
0~200万回 | $0.00 |
200万回~10億回 | $3.00 |
10億回超 | $1.50 |
2.4.3 Google Cloud Translation API
Google Cloud Translation APIは、Google翻訳のAPIを提供するサービスです。対応言語は100以上、ニーズに合わせて3種類のAPIを用意しています。
<Translation API>
Translation APIは、Googleのニューラル機械翻訳技術を使用し、文章を100以上の言語に翻訳するAPIです。APIには2種類あり、標準機能を利用できるBasicと、標準機能に加えカスタマイズ機能を提供するAdvancedを提供しています。
<AutoML Translation>
AutoML Translationは、独自の翻訳モデルをセットアップできるAPIです。専門知識を必要とされる場合やスラングなどに対応したい場合などに有効です。
<Media Translation API>
Media Translation APIは、リアルタイムの音声翻訳が可能なAPIです。
Google Cloud Translation APIの料金は、使用したAPIと仕様量に基づきます。各APIによって料金体系が異なりますので、詳細を知りたい方は各APIの料金をご確認ください。
▸ Translation APIの料金ページ
▸ AutoML Translationの料金ページ
▸ Media Translation APIの料金ページ
3. GCP(Google Cloud Platform)を導入するメリット
GCPを導入するメリットには次の内容があります。
• Google検索・YouTube・Gmailと同等のインフラが使用できる
• インフラへの初期投資が不要
• スケールアップ・スケールダウンが簡単
• AWSよりも全体的に低コスト
• 機械学習関係のサービスが豊富
それぞれ詳しく解説します。
3.1 Google検索・YouTube・Gmailと同等のインフラが使用できる
GCPの第一のメリットはGoogle検索やYouTube・GmaiといったGoogleのサービスlと同等のインフラを低コストで利用できる点です。
Googleのサービスは大規模な処理をスピーディーに行っており、信頼度が高いインフラといえるでしょう。
• Google検索は瞬時に数十億件の検索を処理
• YouTubeは月に60億時間の動画を再生
• Gmailでは4億2,500万人のユーザーにストレージを提供
信頼性が高いインフラを1から構築・運用するには莫大な時間とコストがかかりますが、GCPでは使いたい時に使用した分だけ支払えば利用できるため、時間もコストを抑えられます。
3.2 インフラへの初期投資が不要
GCPではすでに信頼性が高いインフラが用意されているため、構築のための時間とコストをあらかじめ用意する必要がありません。オンプレミス環境では監視体制や人員の確保もネックとなりますが、そうした固定費も削減できます。
3.3 スケールアップ・スケールダウンが簡単
GCPのどのサービスも用途に応じてスケールアップ・スケールダウンが設定できます。また、ご利用のサービスによっては自動で調整する設定をしておくと、アクセス数や処理数の変動に応じてスケールアップ・スケールダウンを自動で行います。
料金もマシンのリソース状況と使用量に基づいて算出されます。そのため、使った分だけ請求されるので、過払いの心配がありません。
3.4 AWSよりも全体的に低コスト
特にGCEインスタンスのコスパが良く、長時間割引も自動適用されます。また3万円分の無料クレジットがつくため、特に小規模なサイトやアプリであれば最初の数ヶ月~1年程度は実質無料での運営が可能です。
また、サーバーに拡張性があるため、急激なアクセスの増加にも対応できます。GCPはGoogleが提供するサービスであるため、他のサービスも提供できるほか、サポート面に関してもgoogleが窓口であるため類雑にならないというメリットもあります。
GCPはAWSに比べてシンプルな設計や運用を心がけることで、複雑な要件を減らすことにより運用面でのコストを削減可能です。
3.5 機械学習関係のサービスが豊富
TensorFlowの使用に必要なインフラを簡単に整備できます。TensorFlow(テンソルフロー)はGoogleがオープンソースで公開している、機械学習に用いるためのライブラリです。インフラについてはすべてGCPに任せられるため、機械学習アルゴリズムの実装に集中できます。
4. GCP(Google Cloud Platform)を導入するデメリット
GCPを導入するデメリットには次の2つがあります。
• 日本語の情報が少ない
• リージョンが少ない
1つ目のデメリットは「日本語の情報が少ない」です。
GCPの公式ドキュメントは日本語訳が少なく、日本語訳のモノもGoogle翻訳で翻訳されたドキュメントで少し読みづらいです。また、GCPを利用する日本人の技術者が少なく、日本語の技術記事も少ないため、英語が苦手な技術者には難易度が少し高いでしょう。
2つ目のデメリットは「リージョンが少ない」です。リージョンが少ないため、グローバル展開や障害時の対応の際に対策が必要でしょう。また、リージョンのロケーションによって利用できるサービスの種類が変わるため、注意が必要です。
5. GCP(Google Cloud Platform)とAWS(Amazon Web Services)の比較
GCPとAWSはどちらが優れているのか、気になると思います。結論から言うとケースバイケースになります。『信頼性・堅牢性』が求められるならAWSを、『シンプルかつ低コスト』なシステムならGCPが良いでしょう。詳しく解説していきます。
5.1 信頼性・堅牢性が求められるならAWS
AWSは機能が豊富で柔軟性が高く、機能を理解し、とことん作りこむと運用も管理も楽になります。構成やセキュリティ面も柔軟にカスタマイズできるため、信頼性・堅牢性が求められるならAWSを使用するのが良いでしょう。
ただし、必要以上に複雑に設定しすぎないことに注意しましょう。
5.2 シンプルかつ低コストなシステムならGCP
GCPの権限管理はAWSに比べてシンプルで、理解しやすいです。そのためシンプルで低コストなシステム運用をしたいならGCPが良いでしょう。
ただし、複雑な権限管理は出来ないのでセキュリティ要件を前もって確認しておく、管理者がポリシーの定義を設計しておく必要があります。
6. GCPとAWSのサービス対応表
GCP | AWS | |
---|---|---|
IaaS | Compute Engine(GCE) | Amazon EC2(EC2) |
PaaS | App Engine(GAE) | AWS Elastic Beanstalk |
Object Storage | Cloud Storage(GCS) | Amazon S3(S3) |
Load Balancer | Cloud Load Balancing | Elastic Load Balancing |
仮想ネットワーク | Virtual Private Cloud(VPC) | Amazon VPC |
DNS | Cloud DNS | Amazon Route 53 |
CDN | Cloud CDN | Amazon CloudFront |
WAF | Cloud Armor | AWS WAF |
シングルサインオン | Google Workspace | AWS Single Sign-On(SSO) |
Monitoring/Logging | Cloud Monitoring | AWS CloudWatch |
cron | Cloud Scheduler | AWS Batch |
Infrastructure as Code(IaC) | Cloud Deployment Manager | AWS CloudFormation |
CI/CD | Cloud Build | AWS CodePipeline |
API開発/管理 | Cloud Endpoints | AWS API Gateway |
7. GCP(Google Cloud Platform)に関する求人案件の動向
弊社が運営するプロエンジニアでは多数のGCP関連案件を掲載しています。
薬局業界向けBIツールの開発案件や有名経済情報プラットフォームの開発案件など幅広い業界でGCPのスキルにニーズがあります。クラウドを低コストで運用したいというニーズが見込まれることから、GCPの案件には堅調なニーズがあるでしょう。
▸ プロエンジニアでGCPの関連案件を検索する
8. まとめ
今回はGCPについて解説しました。GCPはコスト面ではAWSより優れています。しかし、信頼性や日本語の情報の豊富さではAWSの方が高いでしょう。
クラウドを低コストで運用したいというニーズは高いので、堅調なニーズが見込まれます。本記事を参考にして、どちらが適しているかを考えて利用するようにして頂けたら幸いです。