「Linuxの環境には、どんなディストリビューションが良いのかな?」
「Linuxのディストリビューションには、そもそもどんな種類があるんだろう......」
「Linuxにおすすめのアプリもあれば、詳しく知りたい!」
と思っていませんか?
今回は、Linuxにおすすめのディストリビューション5選、おすすめアプリ9選をご紹介します。ぜひ最後までご一読ください。
1. Linuxのおすすめディストリビューション&ソフトまとめ
Linuxのディストリビューションは、簡単に言うとパソコンを動かす中身の種類のこと。ディストリビューションによってできることは変わるので、違いについて見ていきましょう。
まずは、おすすめのディストリビューションの選定基準についてご紹介します。
1.1 おすすめディストリビューションの選定基準
根強い人気のあるディストリビューションは、主に3つあります。
• RedHat系
• Debian系
• Slackware系
また最近では、Ubuntu派生のものも増えてきています。詳しく見ていきましょう。
1.1.1 RedHat系
Red Hatは、企業向けのディストリビューションのこと。システムを動かす本番用のサーバーでは、RedHat系のディストリビューションが採用されることが多いです。
RedHat系の特徴は、主に次の2つ。
• 商用向けの有償サポートがあるため、リリース後も安心
• 日本市場での商用 Linux シェアが高く(約85%)、実績もある
ちなみにディストリビューションのCentOSが、無料版のRedHatのような立ち位置にある。有償サポートなどがない代わりに、RedHat系と同じような使い勝手で運用できます。
1.1.2 Debian系
Debianは、コミュニティによって生まれたディストリビューションのこと。開発の状況を公開し、お互いのフィードバックを受け止めながら作られました。
特徴は、次の2つ。
• 商用向けの有償サポートはないが、自由な改変と再配布が認められている
• GPL以外のライセンスだと、ソフトウェアをインストールできない
コミュニティ内で活発的に議論を繰り返し、そのたびに成長してきたDebian。画面操作がしやすいUbuntuをはじめとする、人気の高いLinuxのベースOSとなっています。
1.1.3 Slackware系
Slackwareは、1993年に登場した最初のディストリビューションのこと。Slackwareの特徴は、次の2つ。
• シンプルで堅実な作りになっており、高い安定性がある
• パッケージをインストールするのが基本となっている
最古のディストリビューションであるがゆえに、高い堅実性と安定性を誇っています。研究機関や大学施設で利用されることも多いです。
1.2 おすすめソフトの選定基準
では、Linuxを活用するためのソフトは、どのように選べばよいのでしょうか。3つの選定基準をご紹介します。
1.2.1 GUIでの動作性
Linuxを初めて使う場合は、WidoowsやMacと異なり「コマンド操作(CUI)」の操作が基本である点に注意が必要です。
CUIとは、マウスなどを使わず、すべてコマンドを入力して操作する方法のこと。もしもCUIでの操作に慣れていない場合は、GUI(つまりマウス操作)が可能なディストリビューション・ソフトを選ぶのがおすすめです。
特に、
• 古いWindows PCに軽量のLinuxを入れて使用したいケース
• Linuxを業務で利用したいケース
などの場合、GUIでの操作が可能だと利便性が高くなります。
1.2.2 汎用性
Linuxでも、MacやWindowsのように
• 資料を整理
• 動画や音声を再生
といった作業が必要となることも。
資料の作成や動画を見るために、いちいちWindowsやMacのPCを起動していては効率が良くないですよね。そのため、VLCやOpenOfficeなど、メディアプレイヤーやオフィスソフトなど汎用性が高く便利なソフトも選定すると良いでしょう。
1.2.3 オープンソース
Linuxはオープンソースプロジェクトのため、オープンソースのソフトが豊富です。無償で使えるものも多いので、オープンソースのソフトの中から、使い勝手に合わせてソフトをインストールするのがおすすめです。
具体的におすすめのソフトは、後ほど解説します
2. Linuxのおすすめディストリビューション5選
Linuxのディストリビューションは、インストール時点では日本語入力ができません。そのため、日本語入力化の方法も合わせて、5つのディストリビューションをご紹介します。
■ Tips:お使いのPCにLinuxの仮想環境を作りたい方へ
なお、「WindowsなどのパソコンにLinuxの環境を作りたい!」と思っている人もいるのではないでしょうか。
このような場合は、仮想化ソフト「VirtualBox」を使うのがおすすめです。詳細については、以下をご一読ください。
2.1 Ubuntu(Debian系)
1つ目のディストリビューションは、「Ubuntu(Debian系)」です。Ubuntuの特徴は、次の3つ。
• GUI操作がしやすく、はじめてのLinuxでも安心
• 世界中で2000万人を超えるユーザーが利用している
• 「Ubuntu Japanese Team」などの、日本のコミュニティも活発
ディストリビューションは、公式サイトのバージョンを入れると日本語化されておりません。そのため、日本語化されたバージョンのものをダウンロードしてインストールを進めましょう。
具体的に言うと、日本語化されたUbuntuは以下からダウンロードができます。
出典:Ubuntuの日本語環境|Ubuntu Japanese Team
手順も上記のサイトに明記されているので、手順に沿ってインストールを進めると良いでしょう。
2.2 Fedora(Redhat系)
2つ目のディストリビューションは、「Fedora(Redhat系)」です。Fedoraの特徴は、次の3つ。
• 2003年末に開発が終了した、Red Hat Linuxの後継にあたるディストリビューション
• Red Hat Enterprise Linuxの検証としても活用されており、最新の技術を導入しやすい
• Red Hat系となっており、ユーザ数が多い
インストールに利用するISOファイルは、以下からダウンロードが可能です。
ISOファイルを利用し、仮想化ソフト「VirtualBox」などを利用してインストールをしましょう。
2.3 elementaryOS(Ubuntu派生)
3つ目のディストリビューションは、「elementaryOS(Ubuntu派生)」です。elementaryOSの特徴は、次の3つ。
• Macのような見た目のGUIで使いやすい
• アプリをインストールする専用の「AppCenter」がある
• MacやWindowsよりも動きが軽く、操作しやすい
elementaryOSのISOファイルは、以下のように
1. 金額を0
2. ダウンロードボタンをクリック
の流れで、無料ダウンロードできます。
ISOファイルを利用し、仮想化ソフト「VirtualBox」などを利用してインストールをしましょう。
2.4 CentOS(Redhat系)
4つ目のディストリビューションは、「CentOS(Redhat系)」です。CentOSの特徴は、次の3つ。
• 有償版のRedHatと互換が可能で、開発用のサーバーとして最適
• 古くから使われているOSであり、ネットに情報が豊富
• 現在は、CentOS Streamという名前のバージョンが出ている
既にCentOSを利用してる方は、サポート終了とともに移行が必要となります。しかしこれから利用する場合は、CentOS Streamをそのまま利用すれば問題ありません。
ISOファイルは、以下からダウンロードが可能です。ISOファイルを利用し、仮想化ソフト「VirtualBox」などを利用してインストールをしましょう。
2.5 Slackware(Slackware系)
出典:逆襲のSlackware
5つ目のディストリビューションは、「Slackware(Slackware系)」です。Slackwareの特徴は、次の3つ。
• 古くから使われている、Linuxディストリビューションの1つ
• 安定性を第一に考えて、構成が作られている
• パッケージ依存管理システム良い意味で緩く、扱いやすい
SlackwareのISOファイルは、以下からダウンロードが可能です。
インストール方法が不安な方は、公式サイトにまとめられている以下をご一読ください。
また、日本語化の設定は以下が参考となります。
3. Linuxのおすすめアプリ(ソフト)9選
Linuxは、ディストリビューションを入れるだけでは使いづらいことも。そこで、使い勝手が向上するおすすめのアプリを9つご紹介します。
3.1 ブラウザ編
まずは、ブラウザについて見ていきましょう。ここでは、2つご紹介します。
3.1.1 Firefox
出典:Firefoxブラウザーをダウンロード|Mozilla
Firefoxの特徴は、次の3つ。
• セキュリティに強い
• デザインをカスタマイズしやすい
• 拡張機能が豊富
たとえば、次のようにセキュリティ対策を強化する機能があります。
出典:Firefoxブラウザーをダウンロード|Mozilla
また拡張機能も豊富なので、
• Macのように使いたい
• 検索に役立つ機能を追加したい
といったときに、拡張機能を探して入れれば解決できることも。
インストール手順は、以下が参考となります。
▶ 参考:インストール手順(Linux)|Firefoxヘルプ
3.1.2 Brave
Braveの特徴は、次の3つ。
• Web広告をブロックして操作しやすい
• ブラウザが軽快に動き、使いやすい
• 仮想通貨で、広告運用などもできる
Firefox同様、セキュリティ対策に強い機能があります。たとえば「Brave Shields」を利用すると、不快に思う広告をブロックして操作性が上がります。
Braveは、以下からダウンロードできます。
▶ 参考:Download Brave|Brave Browser
3.2 ログインマネージャ編
ログインマネージャ(もしくはディスプレイマネージャ)とは、起動直後に画面を表示するアプリのこと。コマンド画面で毎回GUIを立ち上げるといったことが不要となり、使いやすくなるのでおすすめです。
3.2.1 CDM
出典:CDM|ArchWiki
CDMはログインマネージャの中でも、特に軽量で使いやすいのが特徴です。軽量だからといって機能に不備があるわけではないため、これからログインマネージャを使いたい人におすすめです。
CDMのインストールは、以下が参考となります。
▶ 参考:CDM(Console Display Manager)導入の罠|Qiita
3.3 デスクトップ環境編
3.3.1 GNOME
出典:GNOME
GNOMEの特徴は、次の2つ。
• シンプルな画面で扱いやすいデスクトップ環境
• FedoraやUbuntuなど、人気のディストリビューションでも利用できる
「色々あって使いづらい」といった心配もなく、使い方も覚えやすいのでおすすめです。GNOMEは、利用するディストリビューションに合わせて、以下からダウンロードできます。
3.3.2 KDE
KDEの特徴は、次の3つ。
• Windowsに近い操作感
• カスタマイズの自由度が高い
• Kubuntu、openSUSE、Fedoraなどのディストリビューションで利用できる
KDEは、「Linuxの画面が使いづらい……」と思ったWindowsユーザーの方に使っていただきたいデスクトップ環境です。
フォルダ操作など、似ていると思う点がとても多いと感じる人は多いでしょう。KDEは、ディストリビューションごとに以下からダウンロード可能です。
▶ 参考:Distributions with Plasma and KDE Applications|KDE Community
3.4 テキストエディタ編
開発、メモ、設定ファイルの編集などにテキストエディタを利用することは多いので、こちらも入れておきましょう。
3.4.1 Vim
出典:vim-jp
Vimの特徴は、次の3つ。
• 動きが軽く、操作しやすい
• Linuxだけでなく、WindowsやMacでも使える
• ファイルの作成、追記、修正などもコマンド操作できる(マウス不要)
コマンド操作が基本なので、慣れるまで少しだけ時間がかかるかもしれませんが、慣れると作業効率が高くおススメのテキストエディタです。
ダウンロードは、以下からできます。
出典:vim-jp
3.4.2 Atom
出典:Atom
Atomの特徴は、次の3つ。
• 軽量に動くテキストエディタで、使いやすい
• GUIメインで操作もできるため、コマンド操作に慣れてなくても安心
• 拡張機能が豊富で、どんどん使い勝手を向上できる
特にLinuxのCUI操作にまだ慣れていない場合は、Atomの方が使い勝手が良いかもしれません。ダウンロードは、以下からできます。
出典:Atom
3.5 その他アプリ編
Linuxでも、ちょっとした資料作成や動画ファイルの視聴などをすることもあるでしょう。そこで、これまでご紹介したものを除き、おすすめのアプリをご紹介します。
3.5.1 OpenOffice
OpenOfficeは、無料で使えるオフィスソフト(表計算ソフト、文章作成、プレゼン資料作成など)のこと。ExcelやWordなどのMicrosoftの製品ではありませんが、互換機能のある資料作成ソフトが一通り入っています。
• CSVファイルのデータを、Linuxで確認したい
• ちょっとした情報の整理がしたい
といったケースでオフィスソフトが必要となることはあるので、ダウンロードしておくと良いでしょう。
3.5.2 VLC
VLCは、DVDやCDなどの再生ができる無料ソフトのこと。ゲーム開発やWeb制作など、音声や動画などのデータを扱う場合は、必須とも言えるソフトです。
開発で動画や音声の再生が必要な場合は、以下からダウンロードしましょう。
4. まとめ
今回は、
• Linuxのディストリビューションの概要や選定方法
• Linuxのおすすめのディストリビューション5選
• Linuxのおすすめのアプリ9選
などについて解説しました。
Linuxは無料で環境が作れるだけでなく、開発のサーバーとして活用されることも多いです。特にWeb系の場合はLinuxでサーバーを利用することも多いので、これを機に環境を作ると良いでしょう。
ただ、ディストリビューションによって使い勝手が大きく変わります。
「Linuxに慣れていない(CUI操作が苦手)」といった方もいるでしょう。そんなときは、
• GUIに優れた「Ubuntu」などのディストリビューション
• GNOMEやKDEなどのデスクトップ環境アプリ
などを入れることで、操作しやすい環境を作ることも可能です。
ぜひ、自分にあったLinux環境を構築してみてくださいね!