「Spring Bootのインストール方法を知りたい」「Spring Bootでプロジェクトを作成してみたい」と感じていませんか。
近年、人気が高まっているSpring Boot。しかし、入門的な知識をよく知らないという方もいるでしょう。
そこで今回は、
• Spring Bootとは
• Spring Bootの実行環境・開発環境
• Spring Bootのプロジェクト作成方法
という流れで、これからSpring Bootで開発したいエンジニアに役立つ情報をまとめて解説します。
Spring Bootの求人動向・案件動向についても解説しています。「記事を読んでSpring Bootの入門知識を身につけ、案件に挑戦したい」という方は、ぜひ最後までお読みください。
1. Spring Bootとは
Spring Bootは、JavaのWebアプリケーション開発を効率化するフレームワークです。フレームワークとは、開発に必要な機能をまとめて提供してくれるソフトウェアを意味します。
Spring BootはJavaフレームワークであるSpring Frameworkをベースとしています。ただしSpring Frameworkは初期設定が複雑かつコードの実行結果が分かりづらいなど、初心者にはつまづくポイントも多くありました。Spring Bootはこういった悩みを解決すべくシンプルなつくりとなっており、最初に選ぶJavaのフレームワークの1つとして最適です。
1.1 Spring Bootを実際に使っている企業・サービスの例
株式会社LINEでは、LINEのファミリーサービスの一つである「LINEキャリア」のWebアプリケーションフレームワークにSpring Bootを採用しています。同社のSpring Bootの主な採用理由は以下の通りです。
• DIコンテナが優秀である
• AOP(アスペクト指向プログラミング)が可能
• ほかのWebアプリケーションフレームワークより柔軟に実装できる場合がある
参照:業務でSpring Bootを半年間使ってみて思ったこと|LINE Engineering
1.2 実行環境・開発環境について
Spring Bootの実行環境・開発環境を構築するには統合開発環境の「Eclipse」をインストールします。EclipseにはSpring Bootが標準搭載されているため、EclipseをインストールすればSpringのプロジェクト作成が可能です。
なお、WindowsでEclipseをインストールすると、「pleiades」というzipファイルがダウンロードされます。「7-Zip」などのツールを使って展開しましょう。展開が完了すると、「pleiades」というフォルダが作成されます。
これでEclipseのインストールは完了です。
なお、インストーラーを使ったEclipseのインストール方法について知りたい方は、以下も合わせてご確認ください!
2. Spring Bootのプロジェクト作成方法
Spring Bootのプロジェクト作成方法をご説明します。
まず、「pleiades」フォルダ内の「eclipse」フォルダに移動し、「eclipse.exe」ファイルをクリックしてEclipseを起動させます。
「ワークスペースとしてのディレクトリー選択」という画面が表示されるので、ファイルを保存するためのワークスペースを選択します。基本的にはデフォルトの「../workspace」のままで問題ありません。
「起動」をクリックします。
次のような画面が表示されれば、Eclipseの起動は完了です。
Eclipseを起動できたら、左上の「ファイル」から「新規」を選択します。
「Springスターター・プロジェクト」を選択します。
Springスターター・プロジェクトが開かれ、設定変更画面が表示されます。
今回は、何も変更せず「次へ」をクリックします。
依存関係の設定画面が表示されます。
「Thymeleaf」、「Spring Web」にそれぞれチェックが入っていることを確認し、完了を押すとプロジェクト作成完了です。
3. HTMLの作成
HTMLを作成します。
一番左上のアイコンをクリックし、「Web」内の「HTMLファイル」を選択して「次へ」をクリックします。
新規のHTMLファイルが作成されました。
HTMLファイルの設定画面が表示されるので、編集しましょう。
フォルダは「demo/src/main/resources/templates」を選択します。ファイル名をデフォルトの「NewFile.html」から「hello.html」に変更して「完了」をクリックします。
作成された「hello.html」で次のようにコードを変更します。
<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<meta charset="UTF-8">
<title>hello html</title>
</head>
<body>
<h1 th:text="${value}"></h1>
</body>
</html>
これでHTMLの作成は完了です。
4. Javaパッケージの作成
左上のアイコンをクリックし、「Java」内の「パッケージ」を選択して「次へ」をクリックします。
新規のJavaパッケージが作成されました。
Javaパッケージの設定画面が表示されるので、編集しましょう。
フォルダは「demo/src/main/Java」を選択します。ファイル名を「com.example.demo.controller」に変更して「完了」をクリックします。
これでJavaパッケージが作成完了しました。
パッケージ・エクスプローラー画面にパッケージ「controller」が表示されているはずです。
5. Controllerの作成
Controllerを作成します。
左上のアイコンをクリックし、「Java」内の「クラス」を選択して「次へ」をクリックします。
新規のControllerが作成できました。
Java クラスの設定仮面が表示されるので、Controllerを編集しましょう。
パッケージは「com.example.demo.controller」を選択、名前を「HelloController」に変更して「完了」をクリックします。
「HelloController」のコードを次のように変更します。
package com.example.demo.controller;
import org.springframework.stereotype.Controller;
import org.springframework.ui.Model;
import org.springframework.web.bind.annotation.GetMapping;
import org.springframework.web.bind.annotation.RequestMapping;
@RequestMapping("hello/*")
@Controller
public class HelloController {
@GetMapping("world")
public String open(Model model) {
String message = "初めてのSpring Boot!";
model.addAttribute("value", message);
return "hello";
}
}
returnには、表示するHTMLファイルの名前を指定しましょう。RequestMappingのvalueがURLで指定する値です。
6. 実行
プロジェクトを右クリックし、(今回では、demo[boot][devtools]と表示されてる箇所)
「実行」から「Spring Boot アプリケーション」をクリックすると実行が開始されます。
コンソールに次のようなログが表示され、エラーが表示されなければ実行成功です。
ブラウザを開き、「http://localhost:8080/hello/world」のURLを入力してページを開くと「初めてのSpring Boot!」が確認できます。
実行結果の確認ができたら、四角い赤の「終了」ボタンで停止させます。
7. Spring Bootに関するよくある質問
Spring Bootに関するよくある質問についてご紹介します。
内容は次の2つです。
• Spring Boot関連の求人動向・案件動向
• Spring Bootが扱えるエンジニアの将来性
それぞれ詳しく見ていきましょう。
7.1 Spring Boot関連の求人動向・案件動向
JavaのフレームワークではSpring Bootの人気が高まっており、求人が増加傾向にあります。
プロエンジニアに掲載されている実際の求人について見てみましょう。
出典:【Java/Spring Boot】バックエンドエンジニア★ファイル共有・転送サービスのリプレイス|プロエンジニア
受託開発からコンサルティング、自社サービスなど幅広く事業展開している企業です。業務は、ファイル共有/転送サービスのシステムリプレイスにおけるバックエンド開発となっています。月額単価70万円~80万円の案件です。
出典:【Java/Spring Boot/Apache+Tomcat/PostgreSQL/AWS】システムエンジニア★中小製造業向け受発注マッチングプラットフォーム開発|プロエンジニア
「製造業向け受発注マッチングプラットフォーム」を実現するためのWebシステムを構築する業務です。要件定義・基本設計から総合試験・保守までを担当します。月額単価は70万円~100万円です。
7.2 Spring Bootが扱えるエンジニアの将来性
Spring Bootが扱えるエンジニアの将来性は高いです。そもそも、Javaの案件は非常に多く、今後もなくなることは考えられません。Javaフレームワークを効果的に活用できるSpring Bootも将来的に安定しているでしょう。
次のグラフは世界での検索事情です。Spring Bootは2015年から2020年にかけて人気が高まりました。
出典:GoogleTrends
現在はやや停滞しているものの、Spring FrameworkやPlay Frameworkと比較すると検索数は非常に多いです。
JavaでWebアプリケーション開発をする場合、Spring Bootが扱えることは重要になります。将来的にも安定した需要はある見込みです。
7.3 Spring Bootを学習すべき人と他の言語の習得を優先すべき人は?
Spring Bootを学習すべき人とほかの言語の習得を優先すべき人について解説します。
「自分はSpring Bootを学習すべきだろうか」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
7.3.1 Spring Bootの学習がおすすめの人
JavaやSpringの知識があり、高機能なWebアプリケーション開発をするならSpringBootをおすすめします。なかでもセキュリティやネイティブアプリケーション開発に重点を置いた開発で役立つでしょう。
SpringBoot以外にもさまざまなプラグインや別のフレームワークが存在します。すべてと互換性を持つため、開発の幅が広いことがメリットです。
特に、
• Javaの言語知識に優れている
• 複数のプラグインやフレームワークを組み合わせて高機能なWebアプリケーションを開発したい
という場合はSpring Bootの学習が適しています。
Spring Bootを学習して、高機能なWebアプリケーション開発に活用しましょう。
7.3.2 Spring Boot以外の学習を優先するのがおすすめの人
フレームワークでとりあえずWebアプリケーションを開発したいという人には、Play Frameworkの学習がおすすめです。
拡張性が低く多機能ではないものの、Webアプリケーション開発に特化しているため使いやすいでしょう。
特に、
• スピード感のある開発をしたい
• Ruby on RailsやDjangoなどに慣れていて、MVCモデルに親しんでいる
という場合は、Spring BootよりもPlayFrameworkの学習が適しています。
あなたのいまの状態やどのようなWebアプリケーション開発をしたいのかによって、学習すべきフレームワークを判断してみてくださいね。
8. まとめ
今回は、
• Spring Bootとは
• Spring Bootの実行環境・開発環境
• Spring Bootのプロジェクト作成方法
という流れで、Spring Bootの入門知識についてお伝えしました。
Spring Bootは、JavaのフレームワークのなかでもSpringを活用するための有益なフレームワークです。
Spring Bootの求人や案件は増加傾向にあり、今後さらに需要が高まる見込みのある言語といえるでしょう。
今回ご紹介した内容を参考に、Spring Bootでできることや特徴を理解して、今後のキャリアに活かしてくださいね。