前回の記事「データベーススペシャリスト試験の難易度は?合格率や勉強時間を解説」では、データベーススペシャリスト試験(DB)の難易度の目安についてご説明しました。今回は試験対策方法をメインに、おすすめの参考書やアプリなど詳しくご紹介していきたいと思います。
1. 試験合格に向けて、おすすめの勉強法
1.1 午前対策
■ 午前1対策
午前1試験は、次の条件を満たしている場合は免除になります。
• 応用情報技術者試験に合格してから2年以内
• 高度区分試験のいずれかの午前試験に合格してから2年以内
前回の受験からブランクがあったり、応用情報を飛ばしたりしている場合は、午前1試験も受験する必要があります。その場合は、「ポケットスタディ 高度試験共通 午前I・II対応」を使って学習することがおすすめです。常に携帯して隙間時間を活用するよう心掛け同参考書をきっちりと覚えるだけでも、十分合格点に届くようになります。
なお午前1の問題は、高度区分試験全て共通のものです。試験は小問形式で、応用情報技術者試験の午前問題から30問選んで出題されます。点数配分は、テクノロジ系が約60%を占めており、残りの40%がストラテジ系とマネジメント系から出題されます。
最近ではセキュリティ関係の問題が特に重要視されていますので、不安がある場合は重点的に学習を行っておくことがおすすめです。
■ 午前2対策
午前2試験も小問形式で、計25問出題されます。午前1とは違い、同じ高度区分でも試験別に出題内容が変わります。出題される範囲は次の通りで、このうちデータベース分野の難易度については最高難度である「レベル4」が割り当てられています。
◎ データベース
○ コンピュータ構成要素
○ システム構成要素
○ セキュリティ
○ システム開発技術
○ ソフトウェア開発管理技術
出題配分については、データベース分野からの出題がほとんどであり80%ほど(約20問)を占めています。残る5問についてはその他5分野から出題されます。
また4割程度が過去問から再出題されており、平成21年度の試験改定より前に実施されていた「テクニカルエンジニア(データベース)」の過去問も合わせると、半分以上が再出題の問題になります。
こちらも午前1と同じく、上記の配分に気を付けながら高度共通のポケットスタディで学習することがおすすめです。
1.2 午後対策
■ 午後1対策
午後からは大問形式で出題され、全3問の中から2問を選択して回答します。ここから文章問題となるため、時間を測りながら模試を解く練習をしていない場合は、時間が足りなくなりがちです。
主にデータベース設計やSQLを問う問題が出題されます。データベースを扱うエンジニアが業務で直面する、様々な問題点などをテーマとした内容となっています。文中の空欄を埋める単語を答えるほか、「○○を××する」といった短文で答えるもの、また、ER図を埋めたりSQLを実際に記述させる問題もあります。
参考書や過去問を学習する際には、単語を暗記するのではなく「なぜここでそうするのか」を考えながら解くよう心掛けてて下さい。
■ 午後2対策
大問形式2問から、1問を選択して回答します。2時間で問題文は1本ですが、その1本が10ページをこえる大作となっています。問題文の意図を読み解くための読解力と、指定文字数内で要点を伝えられる回答を書くための文章力が必要になります。
読解力を一朝一夕で身につけるのは難しいですが、対策としては「設問を先に読んでから、問題文を読み始める」が有効です。先に何が問われるのか分かった上で読み進めると必要そうな部分が記憶に残りやすいので、何度も問題を読み返す時間を節約することができます。これまで問題冊子は頭から順に読んでいたという方は、試してみてはいかがでしょうか。
2. 試験対策におすすめの参考書
前述の勉強法でも少し触れましたが、データベーススペシャリスト試験対策におすすめの参考書をご紹介したいと思います。
2.1 全体を通しておすすめの参考書
『情報処理教科書 データベーススペシャリスト』
2.2 携帯性が高く要点が明白になる参考書
『ポケットスタディ データベーススペシャリスト』
2.3 午前対策に特化したおすすめの参考書
『ポケットスタディ 高度試験共通 午前I・II対応』
2.4 SQL対策に特化したおすすめの参考書
『スッキリわかるSQL入門 第2版 ドリル222問付き!』
2.5 文字だけの参考書で難しいと感じたDB初心者向け
『マンガでわかるデータベース』
3. スマホアプリで隙間時間活用
隙間時間活用がカギとなる午前対策のために、スマートフォンアプリを利用することもできますので、いくつかご紹介します。
3.1 iPhone対応のアプリ
『データベーススペシャリスト 過去問』
出典:App Store
平成21年~平成27年までの午前1・2試験が収録されています。広告表示ありなら無料で利用可能です。図表も綺麗に表示され、正答率表示やランキング表示などの機能も充実しています。
3.2 Android対応のアプリ
『データベーススペシャリスト試験 午前II 過去問』
出典:Google Play
平成21年から令和3年までの午前2試験の過去問を、オフラインでチェックすることができます。各問題にメモ機能があり、気付きや要点などを残しておくことができます。画面が小さく図が見えにくい場合は、タッチ操作での拡大縮小にも対応しています。
4. 過去問対策が合格の決め手
4.1 情報処理教科書を活用
参考書の項でも説明していますが、「情報処理教科書 データベーススペシャリスト」の付録PDFには、詳しい解説つきの過去問20年分が収録されています。3000円ほどお金がかかりますが、効率よく過去問対策を行うことができます。
4.2 IPA公式サイトを活用
出典:過去問題(問題冊子・配点割合・解答例・採点講評)|IPA
解説はありませんが、無料で全年度分の過去問が公開されています。
4.3 過去問Web問題集を活用
解説は付属していませんが、ランダムで過去問が表示され、回答を押すと正解が表示されるWeb問題集が提供されています。
5. 午後1のSQLは捨てると痛い目に合うかも?
3問中2問選択して回答する午後1試験については、以前は試験範囲の暗記量が多いSQLに見切りをつけて、それ以外の2問に集中するという勉強法がSQLの実務経験がない方を中心に流行していました。
しかし平成26年度試験では3問中2問がSQLの知識が必要な設問であり、当日慌てた方も多かったようです。そうならないためにも、SQLもしっかりと学習しておきたいところです。