データベーススペシャリスト試験は難易度が高く、合格への道筋を見つけることが難しい試験です。この記事では、効率よく合格するために必要な勉強法や対策法をご紹介していますので、ぜひご覧ください。
1. データベーススペシャリスト試験とは?難易度・合格率
データベーススペシャリスト試験は国家資格のため、難易度や合格率は全て公式で公開されています。
詳しく知りたい方は、次の記事も合わせてご覧ください。
2. 試験合格に向けた勉強法
2.1 午前I対策
2.1.1 午前I試験の概要と対策
午前1試験は、次の条件を満たしている場合は免除になります。
• 応用情報技術者試験に合格してから2年以内
• 高度区分試験のいずれかの午前試験に合格してから2年以内
前回の受験からブランクがあったり、応用情報を飛ばしたりしている場合は、午前1試験も受験する必要があります。
なお午前1の問題は、高度区分試験全て共通のものです。試験は小問形式で、応用情報技術者試験の午前問題から30問選んで出題されます。点数配分は、テクノロジ系が約60%を占めており、残りの40%がストラテジ系とマネジメント系から出題されます。
最近ではセキュリティ関係の問題が特に重要視されていますので、不安がある場合は重点的に学習を行っておくことがおすすめです。
2.1.2 午前I試験のおすすめの参考書
■ 情報処理教科書 高度試験午前Ⅰ・Ⅱ 2025年版
全高度区分試験の対策だけでなく、応用情報技術者試験の対策もできる一冊です。出題範囲の網羅性がとても高く、これ一冊で確実に合格までたどり着けます。
厳選された過去問500問が収録されたWebアプリも付録しているので、隙間時間を使って学習したい場合に便利です。
かなり分厚いため、紙の書籍にこだわりのない方には電子版がおすすめです。特に出版社の公式販売ページでは、ダウンロード可能なPDF版が販売されています。タブレットなど大画面の端末を持っている方におすすめです。
出典:情報処理教科書 高度試験午前Ⅰ・Ⅱ 2025年版【PDF版】|翔泳社
2.2 午前II対策
2.2.1 午前II試験の概要と対策
午前2試験も小問形式で、計25問出題されます。午前1とは違い、同じ高度区分でも試験別に出題内容が変わります。出題される範囲は次の通りで、このうちデータベース分野の難易度については最高難度である「レベル4」が割り当てられています。
◎ | データベース |
○ | コンピュータ構成要素 |
○ | システム構成要素 |
○ | セキュリティ |
○ | システム開発技術 |
○ | ソフトウェア開発管理技術 |
出題配分については、データベース分野からの出題がほとんどであり80%ほど(約20問)を占めています。残る5問についてはその他5分野から出題されます。
また4割程度が過去問から再出題されており、平成21年度の試験改定より前に実施されていた「テクニカルエンジニア(データベース)」の過去問も合わせると、半分以上が再出題の問題になります。
2.2.2 午前II試験のおすすめの参考書
こちらも午前1と同じく、上記の配分に気を付けながら情報処理教科書 高度試験午前Ⅰ・Ⅱ 2025年版で学習することがおすすめです。
2.3 午後I対策
2.3.1 午後I試験の概要と事例問題対策
午後からは大問形式で出題され、全3問の中から2問を選択して回答します。ここから文章問題となるため、時間を測りながら模試を解く練習をしていない場合は、時間が足りなくなりがちです。
主にデータベース設計やSQLを問う問題が出題されます。データベースを扱うエンジニアが業務で直面する、様々な問題点などをテーマとした内容で、事例問題と呼ばれています。文中の空欄を埋める単語を答えるほか、「○○を××する」といった短文で答えるもの、また、ER図を埋めたりSQLを実際に記述させる問題もあります。
参考書や過去問を学習する際には、単語を暗記するのではなく「なぜここでそうするのか」を考えながら解くよう心掛けてて下さい。
2.3.2 午後I試験のおすすめの参考書
■ スッキリわかるSQL入門 第4版
SQLの実行環境がない方のために、Web上でSQL作成・実行ができるクラウドサービス「dokoQL」が、付録として用意されています。SQLは実行しながら覚えることが効果的であるため、実機を準備するのが難しい方には特におすすめです。
こちらも、出版社の公式販売ページでダウンロード可能なPDF版が販売されています。タブレットなど大画面の端末を持っている方におすすめです。
2.4 午後Ⅱ対策
2.4.1 午後Ⅱ試験の概要と論文問題対策
大問形式2問から、1問を選択して回答します。2時間で問題文は1本ですが、その1本が10ページをこえる大作となっています。問題文の意図を読み解くための読解力と、指定文字数内で要点を伝えられる回答を書くための文章力が必要になります。
読解力を一朝一夕で身につけるのは難しいですが、対策としては「設問を先に読んでから、問題文を読み始める」が有効です。先に何が問われるのか分かった上で読み進めると必要そうな部分が記憶に残りやすいので、何度も問題を読み返す時間を節約することができます。これまで問題冊子は頭から順に読んでいたという方は、試してみてはいかがでしょうか。
2.4.2 午後Ⅱ試験のおすすめの参考書
■ 2025-2026 データベーススペシャリスト「専門知識+午後問題」の重点対策
午後2の専門知識と、午後1・2を重点的に対策するための参考書です。試験ごとに詳しい勉強法が紹介されてから内容へ進むので、効率的に勉強を進めていくことができます。
午後試験に対応する回答シートをPDFでダウンロードできるので、本番形式で何度も練習することができます。
さらに、書籍には未収録の過去問とそのオリジナル解説が、ダウンロード特典として付属しています。
出典:2025-2026 データベーススペシャリスト「専門知識+午後問題」の重点対策|アイテック
3. その他の試験対策におすすめの参考書
前述の勉強法でも少し触れましたが、データベーススペシャリスト試験対策におすすめの参考書をご紹介したいと思います。
3.1 全体を通しておすすめの参考書
■ 情報処理教科書 データベーススペシャリスト 2025年版
序章の「学習方法と解答テクニック」に30ページほどの分量が割かれており、何から手をつけていけばいいのか迷いのある方におすすめです。特に午後2試験に苦手意識のある方へ、この本の攻略法は必見です。
午前1試験以外は全て網羅されており、この本に沿って進めるだけで効率的に学習可能です。23年分の過去問と解答用紙もダウンロード特典で用意されており、これだけで合格可能な一冊です。
出典:情報処理教科書 データベーススペシャリスト 2025年版|翔泳社
3.2 文字だけの参考書で難しいと感じたDB初心者向け
■ マンガでわかるデータベース
少し古い本ですが、データベース設計の基本をストーリー仕立てにすることで、わかりやすく説明されています。初心者の方だけでなく、経験者だけど正規化がよく理解できない方にもおすすめです。
なお文中で使用されている用語の意味でひっかからずに読み進めるためには基本情報程度の知識が必要ですが、午前1試験を突破できるなら問題ないレベルです。
4. スマホアプリで隙間時間活用
隙間時間活用がカギとなる午前対策のためにスマートフォンアプリを利用することもできますので、ご紹介します。
4.1 iPhone・Android対応のアプリ
■ データベーススペシャリスト試験<全問解説付> 午前Ⅱ対策
出典:App Store
平成29年度から令和6年度までの午前II試験について、全問解説付きで収録されています。分野別出題やランダム出題、苦手問題一覧などの機能も充実していながら、広告表示オンであれば無料で利用可能です。
▶ iPhone:データベーススペシャリスト試験<全問解説付> 午前Ⅱ対策|MITSURU TAMAKI
▶ Android:データベーススペシャリスト<全問解説付> 午前Ⅱ対策 アプリ|dxapp labo
5. 過去問対策:効果的な活用法
5.1 情報処理教科書を活用
参考書の項でも説明していますが、「情報処理教科書 データベーススペシャリスト」の付録PDFには、詳しい解説つきの過去問23年分が収録されています。お金はかかりますが、効率よく過去問対策を行うことができます。
5.2 IPA公式サイトを活用
出典:過去問題|IPA
解説はありませんが、無料で全年度分の過去問が公開されています。
5.3 過去問Web問題集を活用
メンバーシップ未登録の場合、解説は付属していませんが、ランダムで過去問が表示され、回答を押すと正解が表示されるWeb問題集が提供されています。
無料で使用してみて使いやすいと感じたら、詳しい解説も読めるメンバーシップ登録を検討してみてはいかがでしょうか。
6. データベーススペシャリスト試験のよくある質問
6.1 午後1試験のSQLは捨ててもOKと聞きましたが、本当ですか?
【A】 3問中2問選択して回答する午後1試験については、以前は試験範囲の暗記量が多いSQLに見切りをつけて、それ以外の2問に集中するという勉強法がSQLの実務経験がない方を中心に流行していました。
しかし平成26年度試験では3問中2問がSQLの知識が必要な設問であり、当日慌てた方も多かったようです。そうならないためにも、SQLもしっかりと学習しておきたいところです。
6.2 どんな人にデータベーススペシャリストの受験がおすすめですか?
【A】 大規模データベースの構築経験が3年以上ある、データベースエンジニアの方におすすめです。
また、これから業務でデータベースを扱いたいシステムエンジニアやプログラマ、プロジェクトマネージャの方にもおすすめです。
6.3 合格後のキャリアパスには、どんなものがありますか?
【A】 専門のデータベースエンジニアだけでなく、プロジェクト内でデータベースの設計・構築を担当するシステムエンジニアの方に人気です。
その先のキャリアパスとして、プロジェクトマネージャやITコンサルタントへ進む道があります。
6.4 データベーススペシャリスト試験で年収はアップしますか?
【A】 はい。現在データベースの設計や構築にかかわる職種についている方の場合、年収アップする可能性が高いです。基本給アップの可能性があるだけでなく、合格一時金や、毎月の資格手当を支給している企業もあります。筆者が知る範囲では、高度試験合格者へ毎月三万円の資格手当を支給している企業がありました。
直接的な手当以外にも、データベーススペシャリストに合格していると、転職やキャリアアップの際にプラスに働きます。
7. まとめ
データベーススペシャリスト試験は、合格までに何度も受験する方も多い高難度の試験です。しかしベンダー試験に比べて受験料が7500円と安価な上に、資格に有効期限もありません。メリットの多い資格ですので、特に業務でデータベースに触れる機会のある方は、ぜひ一度受けてみてくださいね。
データベーススペシャリスト試験の難易度や、合格までに必要な勉強時間の目安については、次の記事もご覧ください。
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