"Write once, run anywhere"(一度書けば、どこでも実行できる)をスローガンとして開発され、OSに依存しないJavaは、開発現場でもとても重宝されている言語です。米TIOBE社が検索回数を元に算出・発表しているプログラミング言語のシェアでは、2022年5月現在、第3位です(出典:TIOBE Index for June 2022)。
そんなITエンジニアとして就職すると結構な確率で触ることになるJavaですが、現場で培ってきた技術が一般的に通用するレベルなのか気になる場合があります。かくいう筆者も転職を考えた際、これまで現場でなんとなく習得したスキルで「Java開発経験あり」と胸を張って言えるのか不安に思ったことがあります。また経験者以外でもこれからJava技術者として就職したいと考えている方は、自分がどれだけできるのか客観的に示す指標が欲しいと思うことはないでしょうか。
そこで今回は、Javaに関する知識と技術の指標となる「資格試験」について、現在、実施されている3種類の難易度や受験料などを比較してみました。
1. Oracle認定Javaプログラマ(旧Sun認定Javaプログラマ)
1つ目は、Oracle認定Javaプログラマ(Oracle Certified Java Programmer)です。
もともとは、Javaの開発元であったSun MicroSystems社が運営するベンダー試験「SCJ-P」でしたが、2010年に同社がOracle社に吸収合併され、「OCJ-P」として実施されていました。
その後2012年、Java SE7のリリースを機に区分名称などが現行の試験体制に刷新され、ブロンズ、シルバー、ゴールドの3種類となりました。
■ 運営団体
• Oracle社
(旧Sun MicroSystems)
■ 試験区分
• Bronze(ブロンズ)
• Silver(シルバー)
• Gold(ゴールド)
(旧SCJ-P相当。移行試験あり)
■ 資格区分
• ベンダー資格(SilverとGoldは国際試験。Bronzeは国内のみ有効)
■ 有効期限
• なし
■ 試験公式サイトURL
https://www.oracle.com/jp/education/
■ 合格率
• 非公開
2. Javaプログラミング能力認定試験
ビジネス能力認定のサーティファイ株式会社が運営している、日本国内の民間資格です。Java入門者を対象とした3級から始まり、簡単なプログラムが組めるレベルの2級まで筆記試験で実施されます。そして1級では、提示された変更・追加点をプログラムに反映した上で変更仕様書を作成する、実技試験が実施されるという特徴があります。
■ 運営団体
• サーティファイ情報処理能力認定委員会
■ 試験区分
• 3級
• 2級
• 1級(実技試験)
■ 資格区分
• 民間資格(国内)
■ 試験公式サイトURL
https://www.sikaku.gr.jp/js/jv/
■ 合格率
• 64.7%(2019年度平均合格率)
3. Android 技術者認定試験
直接的なJavaの資格ではありませんが、Android開発にはJavaが用いられるため間接的にJavaの資格となっています。公式サイトでも「受験対象者」の2番目に、Java開発者が挙げられています。JavaをAndroidアプリ開発のために扱っている、またはこれからアプリを作ってみたいという方には、おすすめの資格です。
試験レベルは「ベーシック」と「プロフェッショナル」の2段階が予定されていますが、2022年6月時点で、「ベーシック」のみ申し込み可能です。
■ 運営団体
• 一般社団法人 IT職業能力支援機構 Android技術者認定試験制度委員会
■ 試験区分
• Androidアプリケーション技術者認定試験
…ベーシック
…プロフェッショナル
• Androidプラットホーム技術者認定試験
…ベーシック
…プロフェッショナル
■ 資格区分
• 民間資格
■ 試験公式サイトURL
http://ace.it-casa.org/ace/about/
■ 合格率
• 近年非公開
4. 難易度を比較
一般的に、Oracle認定JavaプログラマとJavaプログラミング能力認定試験の難易度を比較した場合「3級<ブロンズ<2級<シルバー<1級<ゴールド」と、少しずつOracle認定Javaプログラマの方が難しく感じる方が多いようです。
「ITSSキャリアフレームワークと認定試験・資格の関係(ISV Map Ver10r3)」によると、Android技術者認定試験(ベーシック)の難易度は、Oracle認定Javaプログラマ(ゴールド)と同じエントリレベル(レベル2)に設定されています。同じITSSのレベル2に分類されている有名試験には、基本情報技術者試験やCCNAなどがあります。
参照: ITSSキャリアフレームワークと認定試験・資格の関係(ISV Map Ver10r3)
5. 受験者数を比較
試験名 | 試験開始年度 | 累計受験者数 |
---|---|---|
Oracle認定Javaプログラマ | 2000年 | 非公開 |
Javaプログラミング能力認定試験 | 2000年 | 56,427名(2020年3月31日時点) |
Android 技術者認定試験 | 2010年 | 5,500人(2016年9月時点) |
Oracle認定Javaプログラマについては累計受験者数は非公開ですが、SE8対応試験が始まった2015年の資格試験受験者数は前年比38%増となったようです。さらに2019年6月より、SE11への対応試験が始まりました。詳細な受験者数は公開されていませんが、全世界に多くの取得者がいる人気資格です。
Javaプログラミング能力認定試験についても、2000年の開始以来のべ5万6000人を超える方が受験しています。
Android 技術者認定試験についてはJava全範囲と比べて対象者が絞られます。しかし2013年にプラットフォーム試験も追加され、これからさらに注目されてくる試験ではないでしょうか。
6. 受験料を比較
Oracle認定Javaプログラマ Bronze | 13,300円(税抜) |
---|---|
Oracle認定Javaプログラマ Silver | 34,300円(税抜) |
Oracle認定Javaプログラマ Gold | 34,300円(税抜) |
Javaプログラミング能力認定試験 3級 | 5,200円(税込) |
Javaプログラミング能力認定試験 2級 | 6,400円(税込) |
Javaプログラミング能力認定試験 1級 | 7,800円(税込) |
Androidアプリケーション技術者認定試験 | 15,000円(税抜) |
Androidプラットフォーム技術者認定試験 | 15,000円(税抜) |
価格が高額な傾向にあるベンダー試験のOracle認定Javaプログラマは、他と比較して少し高めの受験料設定となっています。ゴールド取得に数十万円必要になるオラクルマスターと比較すればまだ個人でも出せる範囲ではありますが、少しでも負担を減らすために割引制度や再受験無料キャンペーンなどを上手く活用してみて下さい。
Javaプログラミング能力認定試験については民間資格ですが、国家資格並みに良心的な価格設定となっています。
7. 一番のおすすめは「Oracle認定Javaプログラマ」
Oracle認定は受験料が高額で躊躇しがちですが、なんといってもJavaの開発元による公式ベンダー資格であることに加え、就職活動でも有効性の高い資格です。今試験勉強を行うとして、1つだけおすすめするならOracle認定をおすすめしたいと思います。
Oracle認定Javaプログラマについては、以下の記事にて詳細をご紹介しています。
試験対策におすすめの問題集についても触れていますので、よろしければ合わせてご覧下さい。
8. Javaの資格取得でエンジニアとしてのスキルアップ
Javaはオブジェクト指向の言語のため、未経験からの習得には多少の時間を要しますが、多くの開発現場で使われているので、エンジニアとして習得しておきたい言語であると言えます。
資格取得に向けた勉強によって、これまでの断片的な知識を体系的に整理することができます。IT企業への転職においても、プログラミング言語を習得していることは大きなアドバンテージとなります。
もちろん資格だけではなく、実務経験も必要ではありますが、資格を取得しているという自信が、今後のエンジニアとしての成長の助けとなるでしょう。
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