IT系の資格には、公的な資格だけでなく様々なベンダー資格が存在します。今回は世界中で最も普及しているMicrosoft製品について、必要な知識と技術を取得していると証明できる資格「MCP」をピックアップしてご紹介したいと思います。
目次
1.1 全世界に通用する共通資格
1.2 2012年度より新資格体系に移行
1.3 資格取得のメリット
3.1 MTA(Microsoft Technology Associate)
3.2 MCSA(Microsoft Certified Solution Associate)
3.3 MCSE(Microsoft Certified Solution Expert)
3.4 MCSD(Microsoft Certified Solution Developer)
4.1 試験日・試験会場・合格発表
4.2 受験料(受験バウチャー料金)
1.Microsoft認定資格プログラムとは?
1.1 全世界に通用する共通資格
マイクロソフト認定資格プログラム(MCP:Microsoft Certification Program)は、米Microsoft Corporation(日本法人・日本マイクロソフト社)が実施する、マイクロソフト製品に対する知識と技能をレベル別に認定する試験です。
受験者数や合格者数は非公開ですが、2003年時点の有資格者数は全世界で180万人、日本国内でも12万人を超える、大人気資格となっています。
また企業情報に資格取得者数を掲載する企業も多く、重要視されていることが分かります。
1.2 2012年度より新資格体系に移行
2012年の4月、Microsoft製品に関するITエンジニア向け認定資格体系は大幅に刷新されました。2012年以前の旧MCPは「Microsoft認定プロフェッショナル(Microsoft Certified Professional)」の略称でしたが、新MCPは「Microsoft認定資格プログラム」の略称となりました。
1.3 資格取得のメリット
■未経験から就職の場合
取得=即戦力という判定を受けるのは難しいですが、IT技術に対する学習意欲の高さは多くの企業で評価対象になります。
■実務経験ありから転職の場合
取得した試験の内容が自分の業務経験の内容に沿っていれば、経験を裏付ける資料のひとつとして評価対象になります。沿っていない場合は「なぜその資格を取ったのか」についてしっかりと説明できなければ、実のない資格として評価対象とされないケースもあるようです。
■その他のメリット
MCPは製品とそのバージョンごとに細かく分類されており、漠然と取るには向かない資格です。自分が「何をやっているのか」「これから何をやりたいのか」それらをしっかりとと考えた上で試験対策を行うことにより、自分の知識体系の整理を行うことができ、さらに足りなかった知識の補足を行えるというメリットがあります。
2.試験の種類(グレード)と難易度
MCPのグレードは、簡単な方から「アソシエイトレベル(MCSA)」「エキスパートレベル(MCSE、MCSD)」の2段階に分かれます。さらにその下位にあたる入門レベルとして、「MTA」という試験が実施されています。
以前は上位レベルにマスターレベルとして「MCSM」が設定されていましたが、2014年1月1日に新しく認定するための試験は終了したようです。なお「MTA」は、「MCP」とは別体系の資格になります。ですが「MTA」の試験内容は、「MCP」の入門編といえる内容になっています。
またマイクロソフト社の有名な資格としてはMOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)がありますが、こちらもMCPとは別体系の資格であり、Microsoft Office製品に特化した資格となっています。
本記事では「MTA」および「MCP」の各試験を中心に、ご紹介していきたいと思います。
3.各グレードの試験時間・出題数・合格ライン
3.1 MTA(Microsoft Technology Associate)
未経験の方や学生の方はMTAからの受験も有効ですが、業務経験のあるエンジニアが武器とするには少し物足りない資格といえます。未経験者(学生など)の取得を想定した資格となっています。
試験公式サイトでは、次のように定義されています。
Microsoft Technology Associateは、熱心な技術者、および基本的なテクノロジ概念の知識を求める人を対象とした認定です。MTA 認定資格では、幅広い角度からテクノロジの基本的な概念を扱い、コアとなる技術知識を評価および検証し、テクノロジ面の信頼性を高めます。
(引用元URL:https://www.microsoft.com/ja-jp/learning/certification-overview.aspx)
対象試験 |
<ITインフラストラクチャ> 98-365、98-366、98-367、98-368、98-369 <データベース開発・管理者向け> 98-364 <デベロッパー向け> 98-361、98-375、98-380 以上のうち、いずれか1科目に合格すること。 |
---|---|
試験時間 | 45分 |
出題数 | 40問前後(変動あり) |
出題形式 | CBT(選択問題) |
合格ライン | 70%程度 |
前提条件 | 特になし |
履歴書の表記例 | Microsoft Technology Associate(98-365※1) 取得 |
■正式名称と履歴書の表記例について
(※1)には、自分に該当する試験番号を記入します。
なおMTAの正式名称は「Microsoft Technology Associate」ですが、履歴書の表記は正式名称でなくても「相手に伝われば良い」という側面があります。MTAが評価される企業であれば、MTAという略称でもどの資格か伝わります。そのため「MTA (98-365) 取得」と略称で表記しても問題ありません。
3.2 MCSA(Microsoft Certified Solution Associate)
この資格を取得すると、対象となる製品(バージョン)の主要な機能を把握し、基本的な技術を身に着けていることが認定されます。
「モビリティ」「クラウド」「データ」「生産性」「App Builder」「ビジネスアプリケーション」の6分野に分かれ、さらに製品やそのバージョンによって、2017年10月現在で次の17種類に細分化されています。
モビリティ | ・MCSA: Windows 10 |
---|---|
クラウド |
・MCSA: Windows Server 2012 ・MCSA: Windows Server 2016 ・MCSA: Linux on Azure ・MCSA:Cloud Platform |
データ |
・MCSA: SQL Server 2012/2014 ・MCSA: SQL 2016 Database Administration ・MCSA: SQL 2016 Database Development ・MCSA: SQL 2016 BI Development ・MCSA: 機械学習 ・MCSA:BI Reporting ・MCSA:Azuruでデータエンジニアリング |
生産性 | ・MCSA: Office 365 |
App Builder |
・MCSA: Web Applications ・MCSA: Universal Windows Platform |
ビジネスアプリケーション |
・MCSA: Microsoft Dynamics365 ・MCSA: 操作のためのUniversal Windows Platform |
それぞれ複数科目の試験を組み合わせて必要な試験に全て合格することで、初めて認定を受けることができます。
次の表は現在一番人気である「Windows Server 2012」の場合の例になります。
対象試験 |
70-410 Installing and Configuring Windows Server 2012 70-411 Administering Windows Server 2012 70-412 Configuring Advanced Windows Server 2012 Services |
---|---|
試験時間 | 各120分程度 |
出題数 | 各45~55問程度 |
出題形式 | CBT(選択問題) |
合格ライン | 70%程度 |
前提条件 | 特になし |
履歴書の表記例 | MCSA Windows Server 2012 取得 |
その他の分野の詳細については、公式サイトをご確認下さい。
https://www.microsoft.com/ja-jp/learning/mcsa-certification.aspx
■正式名称と履歴書の表記例について
MCSAの正式名称は「Microsoft Certified Solution Associate」ですが、MTAの項でも述べた通り、履歴書の表記は相手に伝わることが重要です。MCSAが有効な企業であればMCSAで十分伝わることが考えられますので、略称で記載しても問題ありません。
3.3 MCSE(Microsoft Certified Solution Expert)
現在の資格体系においてマイクロソフト社が主要資格と位置付け、IT技術者が目指すべきレベルと認定されているのがこのMCSEです。定められた要件に従い、システムやアプリケーションの設計を行うことが可能なスキルを身につけていることが認定されます。なお最新の製品やテクノロジーに関する知識を維持する目的から、3年ごとに再認定試験を受験する必要があります。
2017年10月現在では、次の5分野が認定対象となっています。
・MCSE: Mobility
・MCSE: Cloud Platform & Infrastructure
・MCSE: Productivity
・MCSE: Data Mgmt & Analytics
・MCSE: Business Applications
こちらは選択科目から受験科目を選び、いずれかの試験に合格することで、初めて認定を受けることができます。
次の表は、「Mobility」の例になります。以下の中から1つ選んで受験します。
対象試験 |
70-695 Deploying Windows Desktops and Enterprise Applications 70-696 Administering System Center Configuration Manager and Intune 70-398 Planning for and Managing Devices in the Enterprise |
---|---|
試験時間 | 各140分程度 |
出題数 | 各40問程度 |
出題形式 | CBT(選択問題) |
合格ライン | 70%程度 |
前提条件 | MCSA Windows10が取得済みであること |
履歴書の表記例 | MCSE Mobility 取得 |
その他の分野の詳細については、公式サイトをご確認下さい。
https://www.microsoft.com/ja-jp/learning/mcse-certification.aspx
3.4 MCSD(Microsoft Certified Solution Developer)
MCSEと同様に主要資格と位置付けられており、IT開発者が目指すべきレベルと認定されているのがこのMCSDです。指示された機能を使い、システムの構築やアプリケーションの開発を行うことが可能なスキルを身につけていることが認定されます。最新の製品やテクノロジーに関する知識を維持する目的から、2年ごとに再認定試験を受験する必要があります。
2017年10月現在では、次の1分野が認定対象となっています。
・MCSD: App Builder
MCSEと同様、選択科目から受験科目を選び、いずれかの試験に合格することで、初めて認定を受けることができます。
対象試験 |
70-534 Architecting Microsoft Azure Solutions 70-355 Universal Windows Platform - App Data, Services, and Coding Patterns 70-532 Developing Microsoft Azure Solutions 70-487 Developing Microsoft Azure and Web Services 70-488 Developing Microsoft SharePoint Server 2013 Core Solutions 70-489 Developing Microsoft SharePoint Server 2013 Advanced Solutions 70-354 Universal Windows Platform - App Architecture and UX/UI 70-496 Administering Microsoft Visual Studio Team Foundation Server 70-497 Software Testing with Visual Studio 70-498 Delivering Continuous Value with Visual Studio Application Lifecycle Management |
---|---|
試験時間 | 各140分程度 |
出題数 | 各40問程度 |
出題形式 | CBT(選択問題) |
合格ライン | 70%程度 |
前提条件 | MCSA: Web ApplicationsまたはMCSA: Universal Windows Platformが取得済みであること |
履歴書の表記例 | MCSD:App Builder取得 |
詳細については、公式サイトをご確認下さい。
https://www.microsoft.com/ja-jp/learning/mcsd-certification.aspx
4.試験の申し込み・日程・会場と受験料
「マイクロソフト認定資格プログラム」は試験日程や試験会場の指定はなく、自分にとって「都合のいい日」に「都合のいい場所」で、いつでも受験することが可能です。(ただし選択した会場が営業日でなければ指定不可)
4.1 試験日・試験会場・合格発表
申し込み受付期間 | 試験の数か月前~当日 ※選択した試験会場による |
---|---|
試験日 | 随時 ※選択した試験会場による |
試験会場 |
会場試験:全国のピアソンVUE公認試験会場 【試験会場(テストセンター)一覧】 |
合格発表 | 試験終了後 即時 |
申し込みは、ピアソンVUE社の以下のページから行います。
4.2 受験料(受験バウチャー料金)
受験料は下表の通りで、MCPの各科目は共通チケットになっています。
試験形態 | 受験料(一般) | 受験料(学割) |
---|---|---|
MTA | 140,40円(税抜) | 7,000円(税抜) |
MCP(1科目分) | 21,103円(税抜) | 11,607円(税抜) |
MCPの認定を受けるには、2~3科目を受験する必要があります。よって3科目ならば、認定を受けるまでに最低でも63,309円必要になります。
5.受験料節約にバウチャー割引制度を活用しよう
2016年7月18日より、MCPの受験料が改訂となり、1科目2万円を超える21,103円となりました。MCSAなど認定まで3科目合格を要するものが多く、認定を受けるまでに最低でも合計6万円以上かかることになります。
6万円といえば大金ですから、落ちそうな状態では受験に二の足を踏んでしまう方も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめなのが、受験バウチャーの割引、および不合格の場合でも再受験可能となる「Exam Replay」の活用です。
5.1 受験バウチャーの割引

【MCP受験バウチャーの割引販売】
(https://www.microsoft.com/ja-jp/learning/local-cloud.aspx#discount)
MCPの受験バウチャーは、通常21,103円ですが、マイクロソフト社のラーニングパートナーサイトからだと、割引価格で受験バウチャーを購入することが可能です。
また、企業によっては、有効期限が近いチケット限定で、さらに割引して販売している場合もあるので、バウチャー購入の際に一度チェックしてみると、よりお得に購入できるかもしれません。
5.2 再受験分もセットになった「Exam Replay」

【Exam Replay】
(https://www.microsoft.com/ja-jp/learning/local-exam-replay.aspx)
MCPは自分で試験日を設定できるのが利点でもありますが、もし不合格となった場合を想定し始めてしまうと、もう少し勉強してからにしよう…と、予約そのものを躊躇してしまうことも多々あると思います。
もし不合格となった場合でも、改めてバウチャーを購入することなく再受験することが可能となった、「Exam Replay」というバウチャーがあります。
ただし料金が少し高めに設定されており、料金は3割程アップの「27,500円(税抜)」です。
試験科目が複数必要となるMCPの試験では、気持ちに余裕を持たせるためのお守りとしても、最適と言えそうです。
6.MCP受験で自分のスキル指標づくりを
MCPはこの7月の価格改定でさらに受験料が高額となり、気軽に力試しはできない価格になりました。ですが試験勉強を通して実務の中で身に着けてきた技術の棚卸しを行うことで、新たな発見や長年の疑問の解決にもつながるかもしれません。
井の中の蛙にならないスキル指標づくりのためにも、試しに参考書など一読してみてはいかがでしょうか。
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