公開日:2019年4月22日
インフラエンジニアの勉強方法を紹介します。
未経験からインフラエンジニアを目指すにあたって、有効な勉強方法を探している方は本コラムをぜひ参考にしてください。
1.インフラエンジニアとは
ITの発展、およびPCやスマートフォンの急速な普及によって、インターネットや各種システムは、もはや私たちの生活インフラの一部となっています。
アプリケーションやWebサイトなどのITシステムは、プログラミング言語で開発しただけでは利用することができません。ユーザーがサービスを利用するためには、WebサーバーやDBサーバー等の各種サーバー、OSやミドルウェア、ネットワークからなる「ITインフラ」を構築しなければなりません。
ITシステムを安全に快適に利用することができるよう、ITインフラを設計、構築、監視を含む運用保守を行うのが、インフラエンジニアの仕事です。
未経験からインフラエンジニアを目指す場合は、監視業務や運用保守業務を経験したのち、構築業務、設計業務へステップアップするのが一般的と言われています。
2.インフラエンジニアの勉強方法
インフラエンジニアに必要なスキルは非常に幅広いため、何から勉強すれば良いのか悩むことも多いと思います。
ここでは主要な勉強方法を4つ挙げていきたいと思います。
2.1 資格対策で学ぶ
一般的に用いられる勉強方法としては、資格対策です。
中でも、CCNAとLinuCレベル1は、未経験からのインフラエンジニアが目指したいエントリーレベルの資格として高い人気があります。
ネットワークおよびサーバーに関する基礎知識を固めながら体系的に学ぶことができるため、インフラエンジニアを目指す人は一度は受験を志すと言っても過言ではありません。
2.1.1 CCNA
ネットワーク機器メーカーのシスコシステムズが主催するシスコ技術者認定試験で、ネットワークエンジニアの登竜門とも言われています。
シスコ機器は国内ネットワーク機器のシェア半数を占めると言われており、CCNAはシスコ機器に関するほか、TCP/IPをはじめとしたネットワークの基礎も学ぶことができます。
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(出典)IDC Japan 国内ネットワーク機器市場シェアを発表より
https://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20180723Apr.html
2.1.2 LinuCレベル1
LPI-Japanが主催するLinux技術者認定試験で、サーバーOSとして広く利用されているLinuxについて学ぶことができます。
従来Linux技術者認定試験として実施されていたLPICに加え、2018年に新設されたLinuCは、国内におけるLinux技術者の新たなスタンダード試験として取得者数も増加し続けています。
2.1.3 オラクルマスターBronze
RDBMS(Relational DataBase Management System)の概念に触れるほか、データベースを操作するためのSQLについて学ぶことができます。SQLは基本情報処理技術者の試験範囲にも含まれており、IT業界でエンジニアとして活躍する上での基礎知識とも言えます。
DBサーバー構築のほか、DB管理業務においても活きてくるスキルです。
2.2 本で学ぶ
続いて、本で学ぶ方法です。ここでは、インフラエンジニアとして具体的な実務イメージが沸きやすい書籍を集めてみました。
2.2.1 インフラエンジニアの教科書
サーバースペックの決め方やネットワーク機器の選定ポイントなど、オンプレミスから仮想化技術に至るまで、現場で必要とされるであろう知識についてまとめられています。
インフラエンジニアとして仕事をする上で知っておきたい内容や、よく出てくるキーワードについて幅広く解説されており、経験者が読んでも共感できる部分があります。
数日あれば読めるボリュームながら、押さえておきたいポイントがギュッと詰まっているので、どの分野を勉強すべきかの指標としても利用できます。
続編として「インフラエンジニアの教科書2」も発売されており、まずは合わせて読んでおきたい必見の書籍です。
2.2.2 みんなが知っておくべき運用設計のノウハウ
運用設計について体系立てて解説されています。
インフラエンジニアの仕事内容について「運用保守」「設計構築」と大まかに理解はできても、「では実際に何をすれば良いのか」については、実務経験がないと把握しづらいのが実情ではないでしょうか。
本書では、プロジェクトの要件定義から移行までのプロセスを解説する中で、運用設計の成果物としてどのようなドキュメントを残すのか、あるいは各フェーズにおいて運用設計の観点から検討すべき項目は何かといった、具体的に実務まで落とし込んだ内容が解説されています。
文体は語り口調で読みやすいため、この一冊で運用設計の全体像を掴むことができます。
2.2.3 ネットワーク超入門講座 保守運用管理編
定評ある「ネットワーク超入門講座第4版」の保守運用管理編です。
タイトル通りに入門講座と侮るなかれ、本書はネットワーク技術の解説というよりは、巻末の「付録」に至るまで現場に重きを置いた内容となっています。
特にChapter3の「運用監視超入門」は必見です。
現場で利用されるツールや、SNMPによる監視方法など、現場でまずは知っておきたい基礎知識がスッキリまとめられています。
2.3 学習サイトで学ぶ
続いて、学習サイトで学ぶ方法です。
プログラミング学習サイトはProgateやドットインストールなどが有名ですが、ここではネットワーク技術やサーバー技術が学べるサイトをご紹介します。
2.3.1 3分間ネットワーキング
(サイトURL:http://www5e.biglobe.ne.jp/aji/3min/)
ネットワーク技術について基礎から学べる、初心者におすすめの老舗サイトです。
Flashを利用した説明が豊富で、データの流れなどを直感的に理解することが可能です。初心者からでも段階を踏んで難なく読める構成となっており、筆者もネットワークの学習を始める際には何度も活用しました。
本サイトの内容は、「[改訂新版] 3分間ネットワーク基礎講座」として書籍化もされており、CCNA対策としても人気となっています。
2.3.2 ネットワークエンジニアとして
(サイトURL:https://www.infraexpert.com/)
ネットワーク技術の解説のほか、一日の仕事の流れ、雇用形態の違いなどネットワークエンジニアに関する情報満載のサイトです。
特に、本サイト内の「CCNAイージス」と「LinuCイージス」は、CCNAおよびLinuCレベル1のWeb教科書としても定評があり、試験対策にも活用することができます。
2.4 スクールで学ぶ
最後に、スクールで学ぶ方法です。
本や学習サイトで、技術概要や業務知識を得て頭では理解できていても、実務に入った時にケーブル一つ繋げられないのでは本末転倒です。
プログラミング同様、インフラの勉強も、実際に手を動かして自分の目で動作確認をするのが一番の近道です。実機を使った勉強は、経験や自信にも繋がるため、よりスムーズに実務をスタートさせることができます。
しかし、サーバーやルーターなどのネットワーク機器は高価なことが多く、複数台を自前で用意するとなるとそれなりのスペースとコストが発生します。
その点、スクールであれば予め学習環境が整っており、カリキュラムに沿って実機に触れながら学ぶことで理解度もアップします。通学型であれば、同じ志を持つ人同士が集まるため、人脈や見識が広がるだけでなく、学習のモチベーション維持にも効果的です。
さらには、就職支援付きのスクールであれば、スキルシートの添削や面接対策などの転職活動フォローも受けることができます。
3.まとめ
ITエンジニア全般に言われることですが、ITスキルは「これさえできれはOK」という明確な基準があるわけではありません。
業務自体はこなせるようになったとしても、「故障の影響範囲はどこまでか」「なぜこのサーバー構成を採用するのか」「なぜこの検証結果でOKと言えるのか」といった、報告内容や事象について理由を求められると、答えに困ってしまうことも少なくありません。そこで生きてくるのは、やはり基礎からの確固たる知識と経験ではないかと感じます。
そのため、常日頃から関連書籍を定期的にチェックしたり、勉強会を通して他のエンジニアから知見を得たり、資格対策を通して自分のスキルをブラッシュアップしていくことが必要となってきます。毎日の少しずつの勉強の積み重ねが、自信やキャリアに繋がっていきます。
まずは、インフラ技術の基礎をマスターすることからスタートし、実務経験や自習を通して、希望するキャリアパスを描いてみてください。