最近なにかとVRが巷を賑わせていますが、ポケモンGOにも使われている「AR(拡張現実)」も忘れてはならないすごい技術です。特にスマートフォンが全盛期を迎えている今は、ARの登場当時よりもARに触れる機会が増えてきています。
そこで今回は、ARの仕組みとAR対応のアプリ、そしてARアプリを開発するための無料ライブラリをご紹介したいと思います。
目次
1.1 拡張現実(AR)とは
1.2 仮想現実(VR)との違い
1.3 ARとVRの融合?複合現実(MR)とは
1.4 今後実用化が期待される?代替現実(SR)とは
2.1 ポケモンG0
2.2 AR Concert with Miku
2.3 ARエフェクト
2.4 星座表
2.5 ぬりえAR
2.6 Toyota 86 AR
2.7 IKEAカタログ
2.8 成田空港ジオラマAR
2.9 MapFan AR Global
2.10 AR ENERGY BALL
3.1 ARToolKit(エーアールツールキット)
3.2 Wikitude(ウィキチュード)
3.3 Vuforia(ヴューフォリア)
1.拡張現実(AR)とは?
1.1 拡張現実(AR)とは
拡張現実(Augmented Reality、オーグメンテッド・リアリティ)とは、人が現実に見ることができる情報にコンピュータでさらに情報を付加することを表し、強化現実とも呼ばれています。
例えばスマートフォンのカメラを通して見た風景にキャラクターなどを合成したり、グーグルグラスなどのスマートグラスを通してみた景色に交通情報を合成して表示したりする技法が、ARです。古くはドラゴンボールに登場する「スカウター」も、相手の画像に戦闘力の情報を合成して表示するARにあたるといえます。
1.2 仮想現実(VR)との違い
一方の仮想現実(Virtual Reality、バーチャル・リアリティ)とは、あたかも現実のように作られた非現実の世界を、ユーザーに体験させる技術です。拡張現実が現実世界のサポートを行う存在なのに対して、仮想現実は現実ではあり得ない(もしくは難しい)体験を、現実から離れて得られるという違いがあります。
VRについて、詳しくは過去記事にてご紹介しています。
1.3 ARとVRの融合?複合現実(MR)とは
ARをさらに発展させVRの技術も取り入れた新しい技術は、複合現実(Mixed Reality、ミクスト・リアリティ)と呼ばれています。MRは現実の風景に「CGで描いた物体」を合成して表示し、さらにそのCGで描いた物体が実際に存在するかのように、触れて動かせるという技術です。
MRは身近ではあまり体験することはまだありませんが、いくつか実用化が進められているものがあります。そのうちの一つに、キャノンの「MREAL」があります。
【Canon - MREAL】
https://www.canon-its.co.jp/solution/mr/
1.4 今後実用化が期待される?代替現実(SR)とは
代替現実(SR)とは、理化学研究所 適応知性研究チームにて研究が進められている、ARやVRと似つつ異なる新しい技術です。適応知性研究チームのチームリーダーである藤井直敬博士は、スマートフォンで手軽にVRを楽しめる商品を開発する「株式会社ハコスコ」の代表取締役でもいらっしゃいます。
被験者が装着するSR専用のヘッドマウントディスプレイには、現実に見えているライブ映像と、同じ場所であらかじめ撮影しておいた過去の映像が織り交ぜられて表示されます。もちろん過去映像もライブ映像と同じようにあたりを見回せるようになっており、体験中は過去映像とライブ映像は区別がつかない状態になります。このように被験者が気づかないうちに現実をあらかじめ用意した別物に差し替える仕組みが、SRと呼ばれています。このSR用ヘッドマウントディスプレイはすでにプロトタイプが完成しているとのことで、実用化が待たれるところです。
2.ARを楽しめるスマートフォンアプリ10選
■Android版ダウンロードURL:
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.nianticlabs.pokemongo&hl=ja
■iOS版ダウンロードURL:
https://itunes.apple.com/jp/app/pokemon-go/id1094591345?mt=8
最近社会問題になるほど流行したスマホゲームである「ポケモンGO」には、拡張現実が利用されています。あたかも現実世界にポケモンがいるかのように合成し、現実の風景に向かってボールを投げることでゲットすることができます。ポケモンをあまり知らない方でもARの技術を十分楽しめるアプリですので、ぜひ一度ダウンロードしてみて下さい。
■Android版ダウンロードURL:
http://applion.jp/android/app/com.lsm1987.ARConcert/t
■iOS版ダウンロードURL:―
本の上やカードの上で、ミクさんが歌って踊ってコンサートしてくれるアプリです。紙面を垂直に見下ろすようにスタートするため最初は頭上から見るようになっていますが、カメラをゆっくりと回り込ませることで正面から見ることができます。コースターの上で踊らせて手に乗せてみたり、ノートPCのキーボード上で踊ってもらったりと、マーカーの画像認識精度の高さを楽しめるアプリです。
■Android版ダウンロードURL:
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.sonymobile.androidapp.cameraaddon.areffect
■iOS版ダウンロードURL:―
ソニーのXperiaシリーズにはプリインストールされている、AR撮影アプリです。顔認証して人物に仮面を付けた状態で写真や動画を撮影できるほか、恐竜や妖精と一緒に楽しい写真を撮ることができるようになっています。
■Android版ダウンロードURL:
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.escapistgames.starchart&hl=ja
■iOS版ダウンロードURL:
https://itunes.apple.com/jp/app/xing-zuo-biao/id345542655?mt=8
星空に星座と星の名前を表示するアプリです。いつも何気なく見上げている星空にかざすだけで、その星がどんな星なのか、どの星座に属しているのかを綺麗な表示で教えてくれます。現実の星空を認識して表示することはできませんが、現在地を設定してARモードにすると、かざした方角の星空をリアルタイムで表示することができます。
■Android版ダウンロードURL:
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.digitalray.nurie
■iOS版ダウンロードURL:
https://itunes.apple.com/jp/app/nuriear/id904898012?mt=8
専用の下書きをダウンロードして好きな色に塗ると、自分が塗ったイラストが紙を飛び出して動き出す、驚きのアプリです。子どもだけでなく、大人もかなり楽しめる作りとなっています。
■Android版ダウンロードURL:
https://android.app-liv.jp/000987377/
■iOS版ダウンロードURL:
https://itunes.apple.com/jp/app/toyota-86-ar/id535083426?mt=8
新しいトヨタのハチロクを、好きなところに表示して走らせてみることのできるアプリです。最小のA4サイズのマーカーを使うとラジコンサイズ(実物の30分の1)のハチロクが表示され、自宅の床をサーキットにすることができます。
■Android版ダウンロードURL:
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.ikea.catalogue.android
■iOS版ダウンロードURL:
https://itunes.apple.com/jp/app/ikeakatarogu/id386592716?mt=8
IKEA製品のカタログです。スマートフォンのカメラを通して、実際に自分の部屋に家具を置いてみることができます。実際に購入する前に部屋に置いてみることで、サイズ感や部屋のテイストに合うかどうかをチェックすることができます。
■Android版ダウンロードURL:
http://play.google.com/store/apps/details?id=jp.narita_airport.android.narita_airport_diorama_ar
■iOS版ダウンロードURL:
http://itunes.apple.com/jp/app/cheng-tian-kong-gangjioramaar/id872968668?mt=8
航空科学博物館のジオラマにスマートフォンをかざすと、成田空港を発着する飛行機をリアルタイムでジオラマ上に表示することができるアプリです。博物館の現地でしか楽しむことはできませんが、博物館を2倍楽しめるアプリとなっています。
■Android版ダウンロードURL:―
■iOS版ダウンロードURL:
https://www.mapfan.com/iphone/arg/
現実の道にカメラをかざすと、画面上にリアルタイムで風景とナビゲーションの矢印を合成して表示してくれるiPhoneアプリです。近年自動車のフロントガラス上に情報を表示するナビの開発が話題になりましたが、それに先駆けてスマホの画面上に同じようなナビが表示されえるアプリがリリースされました。現在は無料で使用することができるようになっています。
■Android版ダウンロードURL:―
■iOS版ダウンロードURL:
http://itunes.apple.com/jp/app/ar-energyball/id577362584?mt=8
現実の風景に向けて漫画やアニメでおなじみの「エネルギー弾」など、様々な必殺技を繰り出す気分を味わうことができるアプリです。画面をタップすることなく画面に向けて気を送るだけで撃つことができ、現実で気を操っているようなリアルな操作性を実現しています。
3.ARアプリ開発のためのライブラリ
■ダウンロードURL:
https://sourceforge.net/projects/artoolkit/
■開発言語:C++、Objective-C、C#、Java、Unityなど
1999年に研究用として開発された、オープンソースのARライブラリです。もともとはC++での開発用ライブラリでしたが、長い歴史の中で多くの拡張ライブラリや開発環境が登場しており、Android向けやiOS向け、Unityでの開発などにも対応しています。
なおマーカー認識型で有名となったARToolKitですが、現在はマーカーレス型(画像認識型)にも対応しています。
【ARToolKit SDK】
https://github.com/artoolkit
【NyARToolkit project】
https://nyatla.jp/nyartoolkit/wp/
■ダウンロードURL: https://wikitude.grapecity.com/
■開発言語:JavaScript、HTML5、CSS
Android向けとiOS向けアプリケーションを開発するためのSDKが配布されています。さらにUnity3Dでのアプリ開発にも使用できるプラグインも提供されています。
Wikitudeの利点は、画像認識型だけでなくロケーションベース型のARにも対応しているという点です。ただ開発のみであれば全て無償で行えますが、アプリの配布を行う場合には有償のライセンスを購入する必要があります。
■ダウンロードURL: https://www.vuforia.com/
■開発言語:java、C++、Objective-C、Unityなど
こちらもAndroid向けとiOS向けアプリケーションを開発するためのSDKが配布されており、さらにUnityでの開発にも対応しています。特徴としては、ARマーカーに平面図だけでなく、立体物も使用できるという点です。この立体物は直方体や円柱だけでなく、なんと任意の3Dオブジェクトに対応しており、かなり自由度の高い設定となっています。フィギュアをマーカーとしたARアプリなどを開発する場合には必携です。
無償版では「powered by Vuforia」という透かしが表示され、クラウドデータベースの使用に上限があります。有償版にすると透かしを非表示にしたり、データベースの使用量を増やすことが可能となっています。
4.ARは現実世界のサポートツールになる
没入間が重要なVRはどうしても非現実を楽しむことがメインとなるため、日常生活のおともに活躍するのはやはりARといえるのではないでしょうか。概念の登場は古いARですが、一人一台スマートフォンが普及したこれからは、さらにARが重視される時代が来ていると思います。これを機会にぜひARを体感して、プログラマの方はアプリの開発なども行ってみて下さいね。