エンジニアの目指すキャリアとしてもよく知られているITコンサルタント。
ITコンサルタントになるために特定の資格などは必要ありませんが、IT技術や知識のみならず携わる業種の専門知識と、高いコミュニケーション力やマネジメント力など広範にわたる総合的なスキルをバランスよく持つことが必要とされます。
本記事ではITコンサルタントが所有していると役に立つ資格や求められるスキルについて詳しく説明します。
目次
2.1 IT技術の高度な知識と豊富な経験
2.2 携わる業務や経営に関する専門知識
2.3 論理的思考力
2.4 高いコミュニケーションスキル
3.1 ITコーディネータ
3.2 プロジェクトマネージャー
3.3 ITストラテジスト
3.4 中小企業診断士
3.5 PMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)
1. ITコンサルタントとは
ITコンサルタントに求められるのは、「ITを切り口に顧客や企業の経営課題を解決すること」です。
顧客の状況を把握し現状分析を行い、要望をヒアリングした上で、経営課題に対してシステム開発や改善策のシステムの最適化などを提案します。
2. ITコンサルタントに求められるスキル
2.1 IT技術の高度な知識と豊富な経験
ITコンサルタントは顧客の経営課題に対して業務システムの構築から、終結までを提案・サポートするため、高いIT知識が必要とされます。
システム開発の経験は必須ではありませんが、プログラマーやシステムエンジニアとして経験を積んで得た技術や知識は大いに活用できると言えるでしょう。
2.2 携わる業務や経営に関する専門知識
顧客の経営課題に対して、解決策の提案やシステム化の立案などを経営的視点から述べる必要があるため、「経営」の専門知識は必須です。また、携わる業務に関する全般的な知識も身に着けておく必要があります。
2.3 論理的思考力
長年、その業界に特化して仕事をされてきた企業の方に対してコンサルティングをするには、常に一貫して筋が通った論理的な考え方である論理的思考力が重要になってきます。
企業課題を最適化する提案を行う際に、論理的な視点で、目的を明確にし、問題は分けて整理し、結論に至るまでのプロセスを相手にできるだけわかりやすく説明する必要があります。
2.4 高いコミュニケーションスキル
業務を通して、多くの人と関わるため、相手の要求を正確に把握するヒアリング力や、相手の立場や気持ちを汲み取りつつ自分の意見を的確に伝え、最終的には相手を説得するプレゼンテーション力などが必要とされます。
最終的な目的を達成するために、様々な立場の人とコミュニケーションを取り、円滑な人間関係を築く能力が求められます。
3. ITコンサルタントに役立つ有利な資格
ITコンサルタントになるためには広範に渡る様々なスキルが求められるため、関連する資格を所有していることで、自分のスキルを証明する材料となります。
次に、ITコンサルタントとして働く上で、またITコンサルタントへの転職で有利になる資格5つと、取得するメリットをご紹介します。
可能であれば、情報処理技術系の資格と、マネジメント系資格の両方があるとさらにITコンサルタントとしての強みになるでしょう。
3.1 ITコーディネータ
【概要】
経済産業省の推進資格として設けられ、2001年よりスタートしたITコーディネータ資格制度。
ITコーディネータ(ITC)とは、経営とITの両方に精通したプロフェッショナルであり、企業がITを活用した「IT経営」を実現するために、企業の経営課題や経営改善に対してITを活用しながら的確なアドバイスをする人です。
【取得するには】
特定非営利活動法人である「ITコーディネータ協会」が出題するITC試験(多肢選択式問題)に合格し、研修プログラム(ケース研修)に参加する必要があります。ITC試験ではIT知識や経営およびマネジメントに関する知識が幅広く問われ、ケース研修では、数名のグループごとにわかれ、業務プロセス改革に即したIT化の実現についてディスカッションし、プレゼンテーションを行うなど、ケーススタディを取り入れた実践的な内容となっています。
参照URL:
ITコーディネータ協会
【取得するメリット】
経営とITの両方の知識を兼ね備え、経営側とITベンダー側との橋渡しとしてサポートするポジションとして重宝されます。
資格保持のためにはセミナー参加などをして毎年更新する必要があるため、常に最新の知識・情報を得てスキルを磨いているという信頼につながります。
3.2 プロジェクトマネージャー
【概要】
プロジェクトマネージャーはシステム開発プロジェクトの管理者および責任者であり、プロジェクトをまとめ、目的を達成し成功に導くことが求められます。
プロジェクトマネージャ試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施する情報処理技術者試験の中でも難易度が高いと言われる国家資格です。
【取得するには】
試験はシステム開発プロジェクトの責任者としての情報処理技術の応用知識やシステム戦略について問われます。四肢択一問題・記述式・論述式を合わせた4区分で構成されており、全ての試験で60点(100点中)以上を取り、かつ、論述式問題でAランクの評価であれば合格です。
プロジェクトマネージャ試験については下記の記事も参考にしてください。
関連記事:
プロジェクトマネージャ試験の難易度は?合格率から勉強時間まで解説【2022年版】
【取得するメリット】
プロジェクト全体を運営、管理する能力を示すことができます。
プロジェクトの目標達成のために不可欠な、システムに関する全般的な知識、組織運営力、問題解決力などの資質の証明になります。
3.3 ITストラテジスト
【概要】
ITストラテジストは、ITの高度な知識を持つプロフェッショナルとして、企業の経営陣に対して、ITを活用した経営戦略に沿った業務システムやプロセスを提案し、経営改革や最適化を行う人です。
プロジェクトマネージャ試験と並んで、IPA(情報処理推進機構)が実施する情報処理技術者試験の中でも難易度が高いと言われる国家資格です。
【取得するには】
試験では、IT知識や技術を高度に活用した経営戦略の策定や業務改革などが問われます。
四肢択一問題・記述式・論述式を合わせた4区分で構成されており、全ての試験で60点(100点中)以上を取り、かつ、論述式問題でAランクの評価であれば合格です。
参照URL:
ITストラテジスト試験
【取得するメリット】
高度なIT技術と知識に加え、企業戦略を立てて企業が抱える経営課題の解決に役立つスキルを保持する証明となります。
3.4 中小企業診断士
【概要】 中小企業診断協会が実施する中小企業診断士は、経営コンサルタントを認定する国家資格であり、中小企業の経営面を診断し、解決策を考える人です。
【取得するには】
試験は、1次試験(企業の経営に関する7科目についてマークシート方式での出題)をパスして、2次試験(記述式・口述式)に合格する必要があります。
合格まで1000時間以上の勉強が必要と言われるほど難易度が高いことでも有名ですが、試験範囲が非常に広く、中小企業に対して適切な企業戦略を提案するために必要な経済政策・運営管理・財務などまんべんなく学ぶ必要があります。
参照URL:
中小企業診断士制度
【取得するメリット】
資格取得を通して、企業の経営課題に対応するための経営全般に関する幅広い知識を得られます。
ITコンサルタントに必須の「経営」知識と、中小企業に対するコンサルティングの能力を示すことができます。
3.5 PMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)
【概要】 米国PMI本部が提供するプロジェクトマネジメントの国際資格。
【取得するには】
PMP試験はPMIが提供するPMBOK((Project Management Body of Knowledge) )ガイドに基づいて行われ、受験資格として、プロジェクトマネジメントの一定期間の実務経験、及び35時間の公式研修を受講していることが必要です。
試験はプロジェクトの立ち上げから終結までのプロジェクトマネジメントに関する知識を問われ、200問の選択式問題が出題されます。
参照URL:
PMP試験・資格について
【取得するメリット】
PMP資格は、プロジェクトマネジメントの知識のみならず、実践的な取り組み方や実務的な面の能力も重視されます。
資格保持には一定期間ごとに教育プログラムの履行や専門記事の執筆などが義務づけられており、常にプロジェクトマネジメントに関わっていることが求められるため、錆びない知識と即戦力を証明できます。
また国際資格のため、海外でも一定の評価を得られると考えられます。
4. まとめ
上記に挙げた資格は高難度のものが多く、取得するためには豊富な知識や実務経験をベースとして、試験対策のための広範に渡る勉強も必須です。しかしながら、資格取得を通して得られる知識や技術は非常に多く、ITコンサルタントとしての活躍の場が広がることが期待できます。 また資格を所有していることはITコンサルタントとしての資質を証明する上でも役立ちます。本記事を参考に資格取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。