クラウドサービスを利用する企業の増加に伴い、クラウドまわりのスキルを持つエンジニアの求人が急増しています。
その中でも、クラウドサービス業界をリードするAWS(Amazon Web Services)関連の案件が目立ち、AWSを扱うAWSエンジニアの需要が高まっています。
AWSエンジニアはどんな仕事をし、どれくらいの年収を得られるのでしょうか。
本記事では、AWSエンジニアの年収をメインに解説していきます。
1. AWSエンジニアの仕事内容は?
1.1 AWSエンジニアとは
"クラウド"、その言葉もサービスも浸透してきた現在、クラウドに関連する業務が増える中で、"AWSエンジニア" という言葉もちらほら耳にするようになりました。
AWSエンジニアには明確な定義はありませんが、主に、AWS上での環境の設計・構築・運用などの経験やスキル、既存のオンプレミスのシステムからAWSへの移行経験などを持つエンジニアを指すことが多いようです。
求められるスキルとしては、インフラまわりやクラウドの知識に加え、AWSに関する幅広い知識・技術・経験などがあります。
実際に、活躍するAWSエンジニアの中には、インフラエンジニアとして培ったスキルをベースに、AWSに限らず様々なパブリッククラウドサービスについての知識・経験を持ち、クラウドサービスを効果的に利用する力量を持ち合わせているケースも多いようです。
AWSエンジニアについては下記記事も参考にしてください。
1.2 AWSエンジニア案件の主な業務内容
企業がパブリッククラウドを利用する目的・用途は、
「アプリケーション開発基盤の移行」
「自社開発システムの移行」
「Webアプリケーション開発・移行」
などが上位となっています。
※参照元URL:「2019年国内クラウドサービス需要動向調査(株式会社MM総研実施)」
これは、従来のオンプレミスのシステムからクラウドへの移行や、新規システムやWebアプリケーションの開発をパブリッククラウド上で行うことであり、AWS案件の求人ではこのような業務が増加傾向にあります。
実際のAWS関連の求人を見てみると、主に下記のような業務が多くみられます。
1.2.1 AWS上でのインフラシステム設計・構築・運用
【主な業務内容】
自社ソリューションシステムのインフラ環境の設計、構築、運用、保守までの一連の工程を担う
・システム運用一般業務
・AWS環境構築、メンテナンス
・監視、障害対応、障害原因の調査、改善策の実施
・性能改善・チューニング
【必要となる経験・スキル】
・Webサービスに関する基本的な知識
・Linux/UNIXのコマンドオペレーション
・パブリッククラウドでの実務経験
・インフラ設計/構築または運用経験
1.2.2 AWS上でのWebアプリケーション開発
【主な業務内容】
企業や事業会社が社内のWebアプリケーション開発をAWS上で行う
【必要となる知識・スキル】
・AWSでのインフラ構築・運用経験
・開発言語を用いたWEB開発経験
・Linuxの一般的な仕組みの理解と操作経験
2. AWSエンジニアの年収は?
さまざまなスキルや経験が必要とされるAWSエンジニア。どれくらいの収入を得られるのでしょうか。
AWSエンジニアの年収の目安を、プロエンジニアのAWS案件をもとに調べてみました。
◆ フリーランスの場合
平均月単価:81万円
データ参照元:AWS関連の最新フリーランス案件情報(2020年2月)/プロエンジニア
2.1 インフラエンジニアとの比較
AWSエンジニアとインフラエンジニアの仕事内容はともに、"インフラ周りの環境構築" という点では共通する面があります。
そこで両者の収入を比較してみました。
◆ インフラエンジニアの年収
フリーランス → 平均月単価:65万円
データ参照元:インフラエンジニアの最新フリーランス案件情報(2020年2月)/プロエンジニア
このことから、インフラエンジニアよりもAWSエンジニアの方が全体的に収入は高めであることがわかります。
【AWSエンジニアの方が収入が高い理由】
1. AWSエンジニアはクラウドの知識が必須
AWSエンジニアには、インフラまわりの知識や経験に加え、クラウドの知識が必須です。
AWS上でのインフラ構築・運用・保守などには、幅広いAWSサービスを理解し、選定し、パブリッククラウドの利点を活かせる環境整備のスキルが求められるため、年収・月単価も高めとなる傾向のようです。
2. インフラエンジニアは未経験採用案件も多い
即戦力を求められるAWSエンジニアに比べ、インフラエンジニアでは未経験者採用案件も多いため平均年収が低めであることが考えられます
"クラウド化" が進む現状では、従来のインフラエンジニアにも、クラウドの知識やスキルを持つことが求められるようになってきました。
インフラエンジニアがクラウドスキルを身に着けることはキャリアアップや収入アップにもつながりやすいため、クラウドエンジニアやAWSエンジニアへと転向していくインフラエンジニアも多くみられます。
3. より稼げるAWSエンジニアを目指すなら
今後もAWS関連の案件が増えていくと予想される中、数多くのAWS案件の中から、参画できる業務・案件の選択肢を広げ、さらに収入を増やしていくために有効なスキルをいくつか挙げてみます。
3.1 さまざまな運用スキルを身に着ける
AWSを利用して、ビジネスの価値を高め、効率よく開発や運用を実施するためには、さまざまな運用スキルが役立ちます。
次に挙げるようなツールや手法の知識・導入・推進経験は歓迎されるでしょう。
DevOps:開発チームと運用チームが協力しあってシステムを開発・運用するための様々な取り組みを示す概念
NoOps:システム運用の自動化
SRE:システム管理とサービス運用の方法論
Ansible:構成管理ツール
CircleCI,Chef:CI/CDツール
Datadog:モニターアプリケーションツール
3.2 多くのAWSソリューションを扱えるようになる
AWSソリューションとは、AWSを利用することで問題解決と迅速な環境の構築ができるように設計されたものです。
AWSでは数多くのソリューションを提供していますが、これらをより多く扱えるようになれば、様々な分野の案件に就くことができ仕事の幅も広がるでしょう。
3.3 インフラのコード化の実用スキルを習得する
インフラのコード化(Infrastructure as Code)を実現することで、インフラ管理の簡略化や変更管理などが可能となったり、インフラ構築の自動化により効率化がはかれます。
インフラのコード化を理解し、Terraformや、AWS CloudFormationなどの知識を、GitHubの技術とあわせて習得するとよいでしょう。
3.4 AWS認定資格の取得
AWSが実施する各種認定試験はレベル別、役割別、専門知識別に全部で11種類提供されています。
これらの資格取得により、AWSサービス全般についての理解が深まり、実践で役立つことからも取得を目指す人が急増しています。
AWSの業務が未経験であっても、資格を取得していることは知識やスキルの体外的な証明となります。
また、資格取得を活用して、専門性のスキルを身に着けるのもよいでしょう。
AWS各種認定資格について、さらに詳しくはこちら。
4. AWSエンジニアの需要と将来性
◆ AWSエンジニアの需要は増える傾向
国内におけるクラウドサービス市場の成長、特にパブリッククラウドの急成長や今後の成長率予想の高さ(参照元:「2019年国内クラウドサービス需要動向調査(株式会社MM総研実施)」)からもパブリッククラウドのエンジニアの需要はますます高まるでしょう。
また、AWSはパブリッククラウドサービスの先駆けでありながら、常にクラウド業界をリードするポジションにあります。
年に1000回を超えるサービスの改善やアップデートから、新規サービスや最新技術のパーツの提供に至るまで進化し続けています。
これらのことからも、AWS関連の案件・業務は増えていくと予想され、AWSエンジニアの需要はさらに増えていくでしょう。
◆ AWSエンジニアには将来性がある
現状では、AWSエンジニアはまだまだ不足しており、需要に対して供給が追い付かない状況です。
また、現在は、AWSを新規導入し、システム移行や新規アプリケーション開発などを行う企業が目立ちますが、今後はAWS導入後の運用・保守の案件も増えていくでしょう。
このような状況から、今後、AWSエンジニアが増えたとしても、まず仕事がなくなることはないと言ってよいでしょう。
さらに、変化が早いクラウド技術の最新情報をキャッチアップしたり、都度求められるスキルを常に磨く努力をしていれば、より良い条件での就労や、収入アップも目指せます。
この先、少なくとも、AWSエンジニアを目指したり、AWSエンジニアになることのデメリットは少ないと考えられます。
5. まとめ
AWSエンジニアという言葉はまだそこまで浸透していませんが、冒頭でも述べたように、AWSを導入する企業の増加により、AWS関連の案件が増え、AWSを扱えるエンジニアが重宝されています。
現在、AWSエンジニアの年収・単価相場は比較的高め傾向にあります。
これは、AWSエンジニアが不足していること、様々なスキルが必要とされることなどが要因として考えられますが、今後の需要や将来性からみても大きな変動はないと考えられます。
むしろ、クラウド技術の変化に対応したスキルを身に着け、経験を積むことでより高い収入を得られる可能性が十分にあるでしょう
AWSエンジニアへの転向を検討している方、AWSエンジニアを目指す方も、本記事を参考に、年収・仕事内容・需要・将来性など、様々な角度から改めてAWSエンジニアというキャリアを検討してみてはいかがでしょうか。