本記事では、AWSエンジニアとしてフリーランスが活躍するために知っておきたいAWS案件の特徴や単価相場と単価を上げるためのポイント、AWSエンジニアの需要や将来性について解説しています。
すべてのITシステムにおいて「クラウド」というキーワードは避けては通れない状況になりつつある今、様々なクラウドサービスがある中で最有力候補に挙げられるのがAWS(Amazon Web Services)。
これからフリーランスとしてAWSエンジニアを目指したい方、更に高単価案件を獲得したいと考えているAWSエンジニアの方は本記事を是非参考にしてみてください。
1. フリーランス向けAWS案件の特徴
AWSエンジニアとして活躍できるフリーランス案件の特徴は、大きく分けて次の3つのパターンがあります。
2.いちからAWSインフラを構築する案件
3.AWSインフラの運用案件
次の章ではそれぞれのAWS案件の特徴と求人案件例を確認しましょう。
1.1 オンプレミス環境からのリプレイス(移行)案件
AWSのサービスを用いてクラウド環境を構築し、自社開発システムや、アプリケーション開発基盤、Webアプリケーション開発などを今までの物理的なサーバー(オンプレミス*)からクラウド環境(AWS)へ移行します。
既存のサーバーが存在することを加味すると、中規模~大規模案件でこのような案件が発生することが多いイメージです。
【必要となるスキル】
AWSについての知見や開発経験、オンプレミスでのインフラエンジニアの経験が必要となります。また、Webサービスの知識などがあれば開発担当者との連携にも役立つでしょう。
*オンプレミスとは
サーバーやソフトウェアなどのシステム情報すべてを自社で調達し、設置し、保有し、運用すること
フリーランス向けAWS求人案件例
1.2 いちからAWSインフラを構築する案件
スタートアップベンチャーなどWeb系開発の現場において、新たにサービスを立ち上げる場合にAWS上でインフラまわりの環境構築を行うパターンです。
【必要となるスキル】
サーバー寄りのインフラエンジニアの経験や、サーバー関連業務に上流工程 から携わった経験などが必要です。
ここで構築したAWS環境に、開発エンジニアが作ったサービスを乗せるといったイメージになるため、Webサービス、アプリ開発に関する基本的な知見があることが、開発担当者との連携を保つためにも必要となるでしょう。
フリーランス向けAWS求人案件例
1.3 AWSインフラの運用案件
1.や2.で移行、構築したAWSインフラ環境上での運用保守業務です。
【必要となるスキル】
AWSの運用経験、ネットワークの基礎知識やサーバー構築、運用経験が求められます。AWSに限らず、何らかのパブリッククラウドサービスの運用経験があれば役立つでしょう。
フリーランス向けAWS求人案件例
2. 未経験者でもAWS案件はあるのか?
AWSの知識のみならず、様々なスキルが要求されるAWSエンジニア。
もし貴方が「AWS業務未経験者」であっても、サーバーエンジニア、ネットワークエンジニア、インフラエンジニアなどの経験があれば、それらを活かしてAWS案件に参画するチャンスはあると言えます。
しかしながら「ITエンジニア未経験者」の場合は、すぐにAWS案件に就けることは難しいでしょう。まずは未経験からでも始められるインフラエンジニアの案件などに挑戦し、経験を積んでみると良いもしれません。
フリーランス向けAWS求人案件例(AWS未経験者用)
【業務内容】
標準的なAWSサービスを組み合わせたシンプルなAWSインフラ構築作業を複数並行して担当
【必要となる経験・スキル】※下記いずれかのご経験をお持ちの方
・Linux / Windowsサーバーの構築・運用経験
・ネットワーク及びTCP / IPの基礎知識
・データベースの基礎知識
・情報セキュリティの基礎知識
【さらにあると良いとされる経験・スキル】
・AWSの利用経験
・CloudFormation、Ansibleなどの構成管理ツールの利用経験
・プログラム開発経験、スクリプト等のツール開発経験
・構築作業の手順化、自動化、品質改善活動の経験
【単価】
25万円〜
3. フリーランス向けAWS案件の単価相場
フリーランス向けのAWS案件の単価相場を確認しましょう。
3.1インフラエンジニアと比較したAWSエンジニア求人案件の単価相場
AWSエンジニアはインフラエンジニアや他のITエンジニア求人案件の平均単価と比較した場合、単価が高い傾向にあります。
弊社の求人情報「プロエンジニア」のフリーランス向けAWS案件を元に、平均年収を算出した結果は次の通りです。
◆【AWSエンジニア フリーランス案件】
平均月単価:81万円
データ参照元: AWS関連の最新フリーランス案件情報(2020年2月)/プロエンジニア
◆【インフラエンジニア フリーランス案件】
平均月単価:65万円
データ参照元: インフラエンジニアの最新フリーランス案件情報(2020年2月)/プロエンジニア
3.2経験年数による単価相場
AWSエンジニアのフリーランス案件は、多くの場合経験年数と単価の高さが比例します。
弊社営業担当が取り扱っている「AWS案件の経験年数別単価相場」をまとめた結果はおよそ次の通りとなります。
1年経験(2年生):50万~55万
2年経験(3年生):55万~60万
3年経験(4年生):60万~65万
4年以上:60万以上
4. フリーランスのAWSエンジニアが年収、単価を上げるポイント
フリーランスのAWSエンジニアとしてより単価の高い案件を獲得し、年収を上げるために必要な経験、ポイントを確認しましょう。
4.1高単価を稼ぐために必要なスキル
より高単価のAWS案件を狙うためには、AWSの知識に限らず、次に挙げるようなITエンジニアとして幅広い知識を身に付けることを意識する必要があります。
1) AWSのサービスやソリューションに関する知見を広くする
AWSでは仮想マシンから最先端技術のパーツに至るまで数多くのサービスを提供しています。これらに関する理解と知識を深めつつ、より多くのAWSソリューション*を扱えるようになると仕事の幅が広がるでしょう。
AWSソリューション*
AWS上での問題解決と迅速な環境構築が可能になるように設計されたもの。
2) 上流工程経験とマネジメントスキル
エンジニアとして要件定義や設計などの上流工程経験やマネジメントなどのスキルがあれば、次の案件でも上流工程での役割が想定されることから、高単価を狙える可能性があります。
3) インフラに関する幅広い知識と経験
表面的なクラウドのサービス知識だけではなく、サーバ、データベース、ネットワーク設計や仮想化技術、OSやミドルウェアといったインフラに関する幅広い知識と経験が必要となります。
4) パブリッククラウドサービスに関する知識
AWSのみではなく、MicrosoftAzureやGCP等その他のクラウドインフラに関する知見を広めておくことで、各クラウドサービスの強みを理解し、クラウドサービスをより効果的に活用するスキルが身につきます。
4.2単価を上げるポイントとなる資格
・LPICなどのLinux資格
・クラウドサービスに特化した資格
これらの資格はインフラ、ネットワークの理解と知識を証明するものとなるため有効です。
その中でも特に、”ITエンジニアがこれから取得したいと思うIT資格調査”において 人気No.1となっている「AWS関連の認定資格」を取得することは高単価の案件を狙えるポイントとなるでしょう。
参照元:「人気上昇中のIT資格、見逃せない2つのトレンド」日経SYSTEMS(2019/09/25)
クラウドサービスやAWS関連の認定資格について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
4.3浅い商流で案件参画すると高単価
SIerやフリーランスエージェントなどの手数料が発生する中間企業の数を減らせば減らすほど、AWS案件の単価はアップします。 AWSエンジニア案件に限らず、フリーランスならではの高単価を狙う方法の一つとして挙げられる方法です。
しかし、企業や事業会社から直接案件を獲得するためには、営業スキルが必要になることや、それにかかる時間的なリスクも加わります。
フリーランスとしての経験を増やし、自分自身で仕事を獲得(営業)できるまでは、エージェントなどに頼り、仕事に取り組む時間を増やすことも収入を増やすためには大切と言えるでしょう。
>>エージェント経由で最新のフリーランス向けAWS案件求人を探してみる
4.4主体性を持ち、様々な案件に参画して経験を増やす
フリーランスとして働くメリットのひとつは、自ら業務や案件(仕事)の選択肢を増やせる点ではないでしょうか。
似たような案件だけを受注していても、得られる経験は限られてしまいます。
主体性を持ったITエンジニアとして様々な案件に参画し、経験を積むことで仕事の幅も広がるでしょう。
4.5フリーランスエンジニアとしての心得
高単価の案件を獲得したとしても、継続して案件を得られなければ、フリーランスエンジニアとして年収を増やすことは期待出来ません。
フリーランサーとして長く働く場合、継続案件を得ることは高収入を得るための重要なポイントになるでしょう。
「フリーランスとして継続して仕事を得るための方法」についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
5. フリーランスのAWSエンジニアの需要と将来性
従来の高価な物理(オンプレミス)サーバーを用意する必要がなく、導入コスト的にも安価なAWS。
「AWSを使えば先端のITインフラを、コストや運用保守の手間を最小限に抑えて実現出来る」と考えるユーザー企業が多くなっている理由はここにあるのではないでしょうか。
加えてITインフラは無くなることはないので、今後もAWSなどのクラウド技術はより普及していくことが考えられます。
日経XTechによると、政府が2020年秋に運用開始予定の「政府共通プラットフォーム」において、AWSの採用を決定するなど、システム移行や新規アプリケーション開発などを行う大手銀行や小売企業も、どんどんAWSを始めとするクラウドインフラへ移行し始めていることが分かります。
このようなAWSに関するニュースは、IT系ニュースでは連日のように更新されています。
これらを踏まえて考えてみても、今後AWSを扱うことが出来るフリーエンジニアの将来性は明るいと言えるのではないでしょうか。
6. まとめ
オンプレミスのシステムからパブリッククラウドへ。企業の情報システムにおいても、このトレンドは今後さらに加速していくでしょう。
そのパブリッククラウドのリーダー的存在でもあるAWS。 ITエンジニアの中でもAWSエンジニアは、様々なスキルが必要になるため「単価相場が高い傾向にある」と言えるでしょう。
フリーランスのAWSエンジニアとして活躍していくためには、はじめは経験が浅くても参画できるプロジェクトからスタートしてみましょう。
フリーエンジニアとして様々なAWS案件に参画してスキルアップしていくことで、より単価の高いAWS案件を受注できるよう狙ってみてはいかがでしょうか。
AWSエンジニアについて、より深く知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。