アマゾン社のクラウドサービスAWS(Amazon Web Services)が提供するAWS認定資格は全12種類。
レベル別、役割別、専門分野別に用意されています。
AWS認定資格は、試験対策や資格取得をすることにより、必要なAWSの知識やスキルを効率よく学べるということで関心度も人気も高まっています。
また、AWSサービスを体系的に理解できるため、幅広いサービスの全容を把握しづらいという問題も解消できるでしょう。
本記事では、全12種類のAWS認定資格の概要と難易度などを解説します。それぞれの特徴をおさえてどの資格にチャレンジするかなど参考にしていただければと思います。
1. AWS認定資格とは?
▶ 参照元:AWS認定
AWS認定資格は、AWSを利用したクラウドやAIの専門知識を証明する資格です。
2025年9月現在、全12種類の資格が提供されており、それぞれレベルや専門知識別にわかれています。
◆ AWS認定資格への注目度高まる
2013年の提供開始より、AWS認定資格は人気上昇を続けています。
その背景には、AWSを導入する企業が増加し、AWS関連知識やスキルの必要性が急速に高まった状況があります。
AWS認定は、試験対策によりAWSを効率よく学び理解でき、資格取得により関連知識や技術を証明できる、そんなメリットによりさらに注目されるようになりました。
◆ 実践で役立つ資格
AWS認定資格は、資格取得をすることで、実際の業務にすぐ役立てる知識やスキルを体得できます。
また、現在はAWSの業務に携わっていない人も、社内においても対外的にもスキルの証明になるので今後のキャリアにもつなげていくことができるでしょう。
2. AWS認定資格の種類と、おすすめの対象者
12種類のAWS認定は、それぞれ4段階のレベルと、扱うスキル別に分かれています。
2.1 Foundational 認定(2種類)
出典:AWS認定
AWS基礎と主要な概念が問われるレベルで、クラウドとAIの二種類に分かれています。
試験名 | 試験概要 |
---|---|
AWS Certified Cloud Practitioner | AWSの基礎知識を幅広く評価する |
AWS Certified AI Practitioner | AIの概念をAWS視点で理解しているか評価する |
2.2 Associate 認定(5種類)
出典:AWS認定
クラウドやITの経験者を対象としたレベルで、設計、運用、開発などの、役割別の五種類に分かれています。
試験名 | 試験概要 |
---|---|
AWS Certified Solutions Architect - Associate | 設計・構築スキルを認定する |
AWS Certified Machine Learning Engineer - Associate | MLモデル設計・運用スキルを認定する |
AWS Certified CloudOps Engineer - Associate | AWS でワークロードをデプロイ、管理、運用する技術能力を認定する |
AWS Certified Developer - Associate | AWS上でのアプリ開発能力を評価する |
AWS Certified Data Engineer - Associate | データ基盤設計・運用の専門性を評価する |
2.3 Professional 認定(2種類)
出典:AWS認定
AWSに関する高度なスキルを証明するレベルで、DevOpsエンジニア向けと設計者向けの二種類に分かれています。
試験名 | 試験概要 |
---|---|
AWS Certified DevOps Engineer - Professional | DevOps工程を統合できる高度スキルを評価する |
AWS Certified Solutions Architect - Professional | 大規模・複雑設計能力を評価する |
2.4 Specialty 認定(3種類)
出典:AWS認定
特定の AWS テクノロジーとサービスに関する専門知識を実証する試験で、機械学習、ネットワーキング、セキュリティの三種類に分かれています。
試験名 | 試験概要 |
---|---|
AWS Certified Machine Learning - Specialty | ML(機械学習)分野での深い知識と実践スキルを評価する |
AWS Certified Advanced Networking - Specialty | 高度なネットワークの設計スキルを評価する |
AWS Certified Security - Specialty | AWSにおけるセキュリティ設計・運用能力を評価する |
3. Foundational 認定の概要と難易度
公式サイトでは「経験は一切必要ありません」と記載されていますが、基本的なIT知識は必要です。
2つの試験のうち、今回は「AWS Certified Cloud Practitioner」の詳細をご紹介します。
3.1 AWS Certified Cloud Practitioner
AWS Certified Cloud Practitioner(AWS認定クラウドプラクティショナー)は、AWS認定の中では基礎・入門レベルの資格です。
試験では「クラウドの概念」「セキュリティ」「テクノロジー」「請求と料金」の4つのテーマについて問われます。
クラウドの概念を含んだ、AWSの主要サービスに関するテクノロジー、セキュリティなど、AWSに関する基礎的知識のスキルを証明できます。
◆ 難易度
クラウドやAWSにこれから取り組もう、もしくはあまり詳しくないという人でも、AWS公式サイトが提供している各種テキストや書籍などを利用して試験対策をすれば合格可能です。
◆ 試験概要
回答形式 | 択一選択問題、複数選択問題 |
---|---|
試験時間・問題数 | 90分・65問 |
受験料 | 100USドル |
合格点
※スケール化得点 |
700~(1000点満点) |
試験言語 | 英語、日本語、韓国語、中国語(簡体字)、など |
受験対象 | 最長6か月のAWSクラウド使用経験を持つ受験者(使用経験は必須ではない) |
有効期限 | 3年間 |
公式サイト | https://aws.amazon.com/jp/certification/certified-cloud-practitioner/ |
※スケール化得点とは:試験ごとの難易度の差をならすために、正解数(生得点)を一定の基準に換算した点数のことです。
AWS認定クラウドプラクティショナーについては以下の記事もご参照ください。
4. Associate 認定の概要と難易度
Associate認定は、主に1年以上の実務経験を有している方の受験を想定しているレベルです。設計・運用/管理・開発など5種類が用意されているので、自分の担当する業務に当てはまる試験を選んでください。
今回は、設計者におすすめの「AWS Certified Solutions Architectt - Associate」、運用者におすすめの「AWS Certified CloudOps Engineert - Associate」、開発者におすすめの「AWS Certified Developert - Associate」の詳細を、それぞれご紹介します。
4.1 AWS Certified Solutions Architect - Associate(設計者におすすめ)
AWS Certified Solutions Architect - Associateは、主に設計者向けであり、クラウドプラクティショナーの上位となる中級レベルの資格です。
試験では、AWSサービスの特徴に加え、AWS Well-Architected Frameworkが提唱している、システムを設計・構築・運用する上での5つの原則とベストプラクティス(AWSの最適な活用法)などに沿った問題が出題されます。
AWSのサービスを利用した効率のよいクラウド環境の設計や構築または提案ができることを証明できます。
◆ 難易度
ネットワークやクラウドの基礎知識や経験、主要なAWSサービスについて理解が必要であり、AWSの実務が未経験であっても資格取得は可能です。
逆にいえば、それらの理解がない人は厳しいため、まずクラウドプラクティショナーの取得をしてからチャレンジするといいでしょう。
また、アソシエイトレベルの中では最も広範な知識が求められます。
◆ 試験概要
回答形式 | 択一選択問題、複数選択問題 |
---|---|
試験時間・問題数 | 130分・65問 |
受験料 | 150USドル |
合格点 | 720~(1000点満点) |
試験言語 | 英語、日本語、韓国語、中国語(簡体字)、など |
受験対象 | クラウドまたはITの実務経験が1年程度ある方 |
有効期限 | 3年間 |
公式サイト | https://aws.amazon.com/jp/certification/certified-solutions-architect-associate/ |
AWS 認定ソリューションアーキテクト-アソシエイトについては以下の記事もご参照ください。
4.2 AWS Certified CloudOps Engineer - Associate(運用・管理者におすすめ)
AWS Certified CloudOps Engineer- Associateは、主に運用担当者向けであり、クラウドプラクティショナーの上位となる中級レベルの資格です。
高い可用性や障害に強いシステムの開発・管理・運用を行うために、どのようなAWSのサービスや技術を用いるかについて問われます。
出題分野には、モニタリング・高可用性・分析・デプロイ・データ管理・セキュリティ・ネットワーキングなどがあります。
AWS上での運用をメインとしたセキュリティ、ネットワークなどのスキルの証明になります。
◆ 難易度
ソリューションアーキテクト-アソシエイト(SAA)でAWSの全体的な知識を習得してからチャレンジする方が難易度が下がるかもしれません。
SAAと試験範囲がかぶる部分も多くありますが、より運用に重点が置かれており、可用性、モニタリング、セキュリティ、自動化などについてもより強化的に学んでおくとよいでしょう。
◆ 試験概要
回答形式 | 択一選択問題、複数選択問題 |
---|---|
試験時間 | 130分 |
受験料 | 150USドル |
合格ライン | 720~(1000点満点) |
試験言語 | 英語、日本語、韓国語、中国語(簡体字)、など |
受験対象 | AWSでのデプロイ、管理、ネットワーキング、セキュリティに関する1年の経験があることが望ましい |
有効期限 | 3年間 |
公式サイト | https://aws.amazon.com/jp/certification/certified-cloudops-engineer-associate/ |
4.3 AWS Certified Developer - Associate(開発者におすすめ)
AWS Certified Developer- Associateは、主に開発者向けであり、クラウドプラクティショナーの上位となる中級レベルの資格です。
試験では、拡張性やコストについて考慮されたシステム構築を行うにあたり、どのような手法やサービスを用いて実装するかなどについて問われます。
出題分野には、AWSサービスを用いた開発をメインに、セキュリティ、リファクタリング、モニタリングやトラブルシューティングなどがあります。
AWSのサービスを利用したアプリケーション開発や保守のスキルの証明になります。
◆ 難易度
AWSの主要サービス、サーバレスアーキテクチャをはじめ、クラウドベースのデプロイツール、デバッグなどについての理解が必要です。
同じアソシエイトレベルであれば、ソリューションアーキテクト-アソシエイトよりも試験範囲は絞られています。
◆ 試験概要
回答形式 | 択一選択問題、複数選択問題 |
---|---|
試験時間・問題数 | 130分・65問 |
受験料 | 150USドル |
合格ライン | 720~(1000点満点) |
試験言語 | 英語、日本語、韓国語、中国語(簡体字)、など |
受験対象 | AWSサービスを使用してアプリケーションの開発と保守を行う、1年以上の実務経験 |
有効期限 | 3年間 |
公式サイト | https://aws.amazon.com/jp/certification/certified-developer-associate/ |
5. Professional 認定の概要と難易度
Professional 認定は、主に2年以上の実務経験を有している方を対象としているレベルです。
設計者におすすめの「AWS Certified Solutions Architect- Professional」、運用・管理者におすすめの「AWS Certified DevOps Engineer - Professional」について、それぞれご紹介します。
5.1 AWS Certified Solutions Architect - Professional(設計者におすすめ)
AWS Certified Solutions Architect - Professional(AWS 認定ソリューションアーキテクト-プロフェッショナル(SAP))は主に設計者向けであり、ソリューションアーキテクト-アソシエイトの上位となる上級レベルの資格です。
試験では、動的なスケーラビリティ、高可用性、フォールトトレランス、信頼性を備えたアプリケーションの設計およびデプロイなどの知識とスキル、そして要件にもとづくAWSサービスの選択などが問われます。
AWS上での分散アプリケーションおよびシステム設計における高度なスキルと専門知識を証明できます。
◆ 難易度
AWS認定の中でも最も難しいとも言われています。
圧倒的な試験問題のボリュームに加え、試験範囲がとにかく広範であること、選択肢から複数のベストプラクティスを導き出す必要があり文章を読み解くスキルが必要です。
◆ 試験概要
回答形式 | 択一選択問題、複数選択問題 |
---|---|
試験時間・問題数 | 170分・75問 |
受験料 | 300USドル |
合格ライン | 750~(1000点満点) |
試験言語 | 英語、日本語、韓国語、中国語(簡体字)、など |
受験対象 | AWSサービスを利用したクラウドソリューションの設計および実装についての2年以上の経験 |
有効期限 | 3年間 |
公式サイト | https://aws.amazon.com/jp/certification/certified-solutions-architect-professional/ |
5.2 AWS Certified DevOps Engineer - Professional(運用・管理者におすすめ)
AWS 認定DevOpsエンジニアは、主に運用担当や開発者向けの上級レベルの資格です。
試験では、問題文でユースケースと要件が提示され、それに対するソリューションを選ぶような問題が多くみられます。
AWS上でDevOpsの手法を用い、高い可用性や自己修復機能を備えたシステムを実装できるスキルの証明になります。
◆ 難易度
SAP同様、試験問題のボリュームも多く、試験範囲も広範なため難易度は高い方です。
複数言語の開発経験、自動化されたインフラ構築経験、オペレーティングシステムの管理経験などがあれば取り組みやすい資格でもあります。
◆ 試験概要
回答形式 | 択一選択問題、複数選択問題 |
---|---|
試験時間・問題数 | 170分・75問 |
受験料 | 300USドル |
合格ライン | 750~(1000点満点) |
試験言語 | 英語、日本語、韓国語、中国語(簡体字)、など |
受験対象 | AWS環境のプロビジョニング、運用、および管理についての2年以上の経験 |
有効期限 | 3年間 |
公式サイト | https://aws.amazon.com/jp/certification/certified-devops-engineer-professional/ |
6. Specialty 認定の概要と難易度
Specialty認定は、主に5年以上の専門的、かつ実践的な実務経験を有している方の受験を想定しているレベルです。
今回はセキュリティに関する「AWS Certified Security - Specialty」と、高度なネットワーキングに関する「AWS Certified Advanced Networking - Specialty」の2種類の詳細を、それぞれご紹介します。
6.1 AWS Certified Security - Specialty
AWS Certified Security - SpecialtyはAWS上でのセキュリティに関する専門知識を証明する資格です。
試験では、ユーザーアクセスと暗号化キーの管理、パフォーマンスとセキュリティの最適化などをはじめとした、セキュリティ関連のAWSサービスについての理解が求められます。セキュリティのベストプラクティスも知っておいた方がよいでしょう。
◆ 難易度
セキュリティ分野での実装や設計の経験などが豊富であれば取り組みやすいと思います。 AWS上でのセキュリティ強化のための知識や技術を把握することで合格につながるでしょう。
◆ 試験概要
回答形式 | 択一選択問題、複数選択問題 |
---|---|
試験時間 | 170分・65問 |
受験料 | 300USドル |
合格ライン | 750~(1000点満点) |
試験言語 | 英語、日本語、韓国語、中国語(簡体字)、など |
受験対象 | セキュリティソリューションの設計と実装で5年のITセキュリティ経験とAWSワークロードのセキュリティ保護に関する実務経験が2年以上ある経験豊富な個人 |
有効期限 | 3年間 |
公式サイト | https://aws.amazon.com/jp/certification/certified-security-specialty/ |
6.2 AWS Certified Advanced Networking - Specialty
AWS Certified Advanced Networking - Specialtyは、AWSや大規模なハイブリッドITアーキテクチャの設計および実装における技術的な専門知識を証明する資格です。
試験では、AWSネットワークの設計と実装、 アプリケーションサービスとネットワークの連携、セキュリティとコンプライアンスの設計と実装などについて問われます。
◆ 難易度
ネットワークのアーキテクチャの設計や実装の実務経験が豊富であれば取り組みやすいと思います。
試験では複雑なネットワーク処理を扱うのでネットワーク技術に関する知見が少なければかなり難しく感じるでしょう。
◆ 試験概要
回答形式 | 択一選択問題、複数選択問題 |
---|---|
試験時間・問題数 | 170分・65問 |
受験料 | 300USドル |
合格ライン | 750~(1000点満点) |
試験言語 | 英語、日本語、韓国語、中国語(簡体字)、など |
受験対象 | 複雑なネットワークタスクを実行し、ネットワークソリューションのアーキテクチャの設計と実装に5年間の実践的な経験がある個人 |
有効期限 | 3年間 |
公式サイト | https://aws.amazon.com/jp/certification/certified-advanced-networking-specialty/ |
7. まとめ
上記に挙げたように、AWS認定資格は、基礎レベルから専門知識に至るまで幅広く用意されています。
各種AWS認定試験の試験対策をすることで、AWSを効率よく体系的に理解しながら各分野の技術スキルを身につけたり、資格取得によって、AWSスキルを証明することでよりよいチーム作りの構築に活かすなど実際の業務に役立ちます。
目的やレベルに応じて、取得を目指してみてはいかがでしょうか。
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