エンジニアとしての転職を考えた際に、SIerを候補に含める人も少なくないでしょう。しかし、調べてみると「SIerは将来性がない」「SIerで働くのはやばい」などの意見が出てくるので不安を感じる人もいるかもしれません。
そのような不安を解消するためには、評判や口コミだけではなく、企業の状態がわかる売上高や年収といった数値を参考にすることがおすすめです。
そこで今回は、SIerの選び方の参考となる基礎知識と、2022年最新版の売上高・年収別のSIerランキングを紹介します。
SIerへの転職を考えている人は、理想のキャリアを実現する上でぜひ参考にしてください。
1. SIerとは?
SIerという言葉は聞いたことがあるけれど、どのような企業かよくわからないという人もいるでしょう。
そこで、まずSIerとは何かを
- 言葉の定義
- SIerとSESの違い
- SIerの将来性
といった観点から解説します。
1.1 SIerの定義
SIerとは何かを知るためには、言葉の定義を理解することが大切です。以下で、SIerの定義について、ビジネスモデルと分類から詳しく解説します。
1.1.1 「システムインテグレーション」を行う事業者
SIerとは、クライアントの依頼に基づいてシステム構築を請け負うシステムインテグレーションを提供する事業者のこと。
例えば、業務の効率化といった目的のために、自社の環境に合った新たなシステムの導入を行いたいと考えたとしましょう。しかし、開発を行なうためのリソースがない場合もあります。そのような企業や官公庁などに対して、ITを駆使して作りたいシステム開発を代わりに行なう事業者がSIerです。
SIerは、クライアントからの要件のヒアリング、設計、開発、保守・運用まで基本的に一貫して請け負います。
SIerとは何か詳しく知りたい人は、以下の記事も併せてご覧ください。
1.1.2 SIerの分類は4種に分かれる
SIerはおもに以下の4つに分類できます。
- メーカー系SIer
- 外資系SIer
- ユーザー系SIer
- 独立系SIer
メーカー系SIerは、コンピューターの製造を行なうメーカーの情報処理部門やソフトウェア開発部門などが元となってできたSIerです。グループ会社のハードウェアと組み合わせたソリューションが提供できることが特徴です。例えば、メーカー系SIerの代表的な企業には、富士通があります。富士通はPRIMEQUESTという自社製品であるサーバや、ETERNUSというストレージ製品などと組わせてソリューションを提供しています。
外資系SIerは、グローバルな市場をターゲットに事業を展開してるSIer。実力主義の企業が多く、能力に見合った年収が期待できることが特徴です。代表的な外資系SIerは、日本オラクル。アメリカのオラクルが設立した企業で、情報システム構築を中心にソフトウェア・ハードウェア・コンサルティングなどの幅広いサービスを展開しています。
ユーザー系SIerは、銀行や保険会社といった大企業の情報システム部門が独立してできたSIer。親会社の関連企業からの依頼を中心に幅広い案件を請け負うので、事業基盤が安定していることが特徴です。代表的なユーザー系SIerは、野村総合研究所や伊藤忠テクノソリューションズ。この2社は、売上高と年収のどちらにも登場する好調な企業です
独立系SIerは、システムインテグレーションを目的に設立されたSIerです。親会社やメーカーなどに縛られず、クライアントに最適なソリューションが提供できることが特徴です。代表的な独立系SIerは、大塚商会。大塚商会は、独立系SIerならではの自由度の高い提案を強みに、機器販売とSI事業を組み合わせた独自のビジネスモデルを構築しています。
また、このような分類に属さないNTTデータのようなSIerもあることを覚えておきましょう。
1.2 SIerとSESの違い
SIerと混同されやすいのがSES。SIerはシステム開発を請け負い、SESはエンジニアリングを提供するという違いがあります。
SESはシステムエンジニアリングサービスの略称で、準委任契約を指します。準委任契約はエンジニアの技術力の提供を目的とした契約で、システム導入といった成果物ではなく、働いた時間に応じて支払いが発生します。
SESとの違いについてより詳しい知りたい人は、以下の記事もご覧ください。
1.3 SIerの将来性
SIerについて調べるとネガティブな意見が多く、将来性について不安を感じる人もいるでしょう。 以下で、SIerはなくなるのか、著名人がどのように考えているのかを解説します。
1.3.1 SIerはいずれなくなる仕事?
SIerは将来性が低くなくなる仕事と言われることがありますが、完全になくなる可能性はとても低いです。
SIerがなくなる仕事と言われる理由として、おもに以下の4つがあります。
- 下請け構造
多重下請け構造によって、労働環境の悪化や低賃金を招きやすい
- ウォーターフォール開発が主流
開発の柔軟性とスピードに欠けるため、VUCA時代の対応が難しい
- クラウドサービスへの移行
システムの導入を行う際に、SaaSなどのクラウドサービスへの移行を検討するが増えており、市場縮小が予想される
- 2025年の崖問題
2025年に20年以上稼働を続けたことでレガシーシステムを利用する企業が6割に達すると見られている。そのような企業向けに経済産業省がDXを推進しており、さらにクラウドサービスへの移行が増える可能性がある
SIerがなくなる理由について詳しく知りたい人は以下の記事を参考にしてください。
上記の理由から、今後SIerが減少することは考えられます。しかし、元請けの大手SIerを筆頭に完全になくなることはないでしょう。
官公庁やインフラに関わるシステムの導入は、規模が大きく、堅牢性も求められるため、SIerに依頼するメリットがあります。
また、クラウドに移行する企業が増えたとしても、外部にシステム開発を求める企業は0にはなることは考えづらいです。従来どおりでは厳しくなると予想されますが、変化に対応できるSIerには将来性はあると言えるでしょう。
1.3.2 SIerの将来性に関する著名人の発言
SIerの将来性について述べている著名人の発言を見ていきましょう。
まず、2ちゃんねるの創設者であるひろゆき氏は、SIerは構造的な問題があると述べています。
はっきり言って、SIerで働いているエンジニアは今すぐ逃げた方がいい。
他社にものを納品するビジネスモデルの会社は、同じような企業がたくさんある中での競争になるから、その競争に勝つためにはどうしたってコストを削減せざるを得ない。コストを削減すれば、当然給料も安くなる。それをしなければ競争に負けて潰れるだけ。
出典:SIerって本当にヤバいの? ひろゆきが語る、業界ごと沈まないためのキャリア戦略|エンジニアtype
一方で、ひろゆき氏はエンジニアとしての基本的なスキルが身に付くまでの場所として働く価値はあるとも言っています。
BASE株式会社でCTOを務めるえふしんさんこと藤川真一氏は、SIerの将来性について以下のように述べています。
財閥系の系列企業や銀行などの「日本の産業を支える情報システムを提供する役割」がSIerの強みです。SIer崩壊説なんてのは昔から囁かれていることではありますが、代わりになるものがどう出てくるかがポイントになると思っています。
出典:SIer崩壊説って本当? えふしんさんの未来予測に納得感がありすぎた【エンジニア転職ウワサの真相】|エンジニアtype
システムの内製化やエンジニアの入り口がWeb系企業に変わることが、SIerの将来性に大きな影響を与える可能性が高いでしょう。
2.【売上高編】SIer企業ランキングベスト10
安定して働けるSIerか判断する上で、大きな判断材料となるのが売上高です。以下で、SIer企業の売上高ランキングベスト10を紹介します。
2.1【1位】富士通(メーカー系SIer)
業界最大規模を誇るSIerで、日本全国に158拠点、約5,600人のエンジニアを抱えています。
富士通はサーバー製品の国内シェアが高く、ハードウェアとの結びつきによって顧客を獲得していることが大きな強み。国内No.1のメーカー系SIerとしてのブランド力と優良な顧客基盤と安定性の高い企業と言えるでしょう。
⩎ 富士通株式会社
【売上高】富士通:30,171億円
出典:IT業界 売上高ランキング(2020-2021年)|業界動向サーチ
2.2【2位】NEC(メーカー系SIer)
メーカー系SIerであるNECは、システムインテグレーションとハードウェア提供を組み合わせた事業がNECの強みです。
- パブリック事業
- エンタープライズ事業
- ネットワークサービス事業
- システムプラットフォーム事業
- グローバル事業
といった幅広い事業を展開し、ワンストップでソリューションを提供しています。
【売上高】NEC:29,940億円
出典:IT業界 売上高ランキング(2020-2021年)|業界動向サーチ
2.3【3位】NTTデータ
国内最大手のSIerであるNTTデータ。富士通やNECとは異なり、ハードウェアを取り扱っていない専業のSIerです。NTTデータはNTTの社外向けのSI事業を行っていた部門が独立したため、メーカー系・ユーザー系・独立系・外資系のどの分類にも属しません。
海外の200都市以上で、NTTデータは事業を展開。積極的なグローバル展開による成果がNTTデータの強みと言えるでしょう。ビッグデータ・AI・ブロックチェーンなど最新技術を活用したソリューションを提供しています。
【売上高】NTTデータ:23,186億円
出典:IT業界 売上高ランキング(2020-2021年)|業界動向サーチ
2.4【4位】日立製作所(メーカー系SIer)
日立製作所は、富士通とNECに次ぐ規模を誇る大手メーカー系SIerです。
事業領域の広さを生かした、クライアントと共に次世代の社会に向けたデジタルイノベーションの取り組み「Lumada」が日立製作所ならではの強み。
SI事業は、「サービス&プラットフォーム」と「フロントビジネス」の大きな2つの分野でビジネスを展開しています。
【売上高】日立製作所:18,923億円
出典:IT業界 売上高ランキング(2020-2021年)|業界動向サーチ
2.5【5位】大塚商会(独立系SIer)
ECサイトとして知名度の高い大塚商会は独立系SIeとしても事業を展開しています。
独立系SIerならではのメーカーに縛られないソリューションの提供が大塚商会の強みです。IT機器の導入から業務改善まで幅広いソリューションを提供しています。
⩎ 株式会社大塚商会
【売上高】大塚商会:5,266億円
出典:IT業界 売上高ランキング(2020-2021年)|業界動向サーチ
2.6【6位】野村総合研究所(ユーザ系SIer)
野村総合研究所は、リサーチ、コンサルティングに対する高い評価を得ているユーザー系SIer。NRIの略称でも知られています。
野村ホールディングスと資本関係があり、証券・金融業界向けのITソリューションに強みを持っていることが特徴です。
【売上高】野村総合研究所:5,130億円
出典:IT業界 売上高ランキング(2020-2021年)|業界動向サーチ
2.7【7位】伊藤忠テクノソリューションズ(ユーザ系SIer)
伊藤忠テクノソリューションズは、伊藤忠商事を親会社に持つユーザー系SIerです。CTCの略称でも知られています。
- ファストVR
- CTC-MSS(CTC マネージド・セキュリティ・サービス)
- Silver Peak
といったサービスを中心に、企業の課題を解決するさまざまなソリューションを提供しています。
【売上高】伊藤忠テクノソリューションズ:4,798億円
出典:IT業界 売上高ランキング(2020-2021年)|業界動向サーチ
2.8【8位】TIS(独立系SIer)
独立系SIerとしては、大塚商会に次ぐ規模を誇ります。サブスクリプション変革支援コンサルティングサービスや次世代経費精算モバイルアプリケーション「Spendia」など、ビジネスのIT化やDXを推進するソリューションの提供が特徴。
将来的なSI事業の縮小を予想し、近年ではサービス型やプラットフォーム型のビジネスにも力を入れています。
⩎ TIS株式会社
【売上高】TIS:4,483億円
出典:IT業界 売上高ランキング(2020-2021年)|業界動向サーチ
2.9【9位】SCSK(ユーザ系SIer)
SCSKは、住友商事系列のユーザー系SIer。住友商事グループの企業向けにソリューションを提供しており、安定した事業基盤を持っています。
クライアントごとにフルスクラッチでシステム構築を行なう一般的なSIerのビジネスモデルから、早い段階で方向転換を図ったことがSCSKの特徴。
サービスとしてソリューションを提供し、利用料によって収益を得るビジネスモデルの構築に成功しています。
⩎ SCSK株式会社
【売上高】SCSK:3,968億円
出典:IT業界 売上高ランキング(2020-2021年)|業界動向サーチ
2.10【10位】日本ユニシス(独立系SIer)
日本の独立系SIerの先駆けとして、60年以上の歴史を持つ日本ユニシス。
日本ユニシスは、ICTコア領域と注力領域においてソリューションを提供しています。
ICTコア領域では、クライアントの課題を解決するソリューションをワンストップで提供。注力領域では、企業同士をつなげるビジネスエコシステムを形成するDXのためのプラットフォームを提供しています。
【売上高】日本ユニシス:3,096億円
出典:IT業界 売上高ランキング(2020-2021年)|業界動向サーチ
3.【年収編】SIer企業ランキングベスト10
次に年収が高いSIer企業ランキングベスト10について紹介します。年収データはITジャーナリストであるJunichi Niino氏のブログ「Publickey」の記事「IT系上場企業の平均年収を業種別にみてみた 2022年版」を参考にしています。
あくまでも平均年収ですので、必ずしも記載した年収が得られるわけではない点に注意が必要です。売上高ランキングと併せて、将来性の高い企業を判断材料として参考にしてください。
参照:IT系上場企業の平均年収を業種別にみてみた 2022年版|Publickey
3.1【1位】野村総合研究所(ユーザ系SIer)
野村総合研究所は、野村證券グループとの結びつきにより、事業基盤が安定していることが年収に反映されています。また、コンサルティングに強みを持っていることも、年収が高い要因と考えられるでしょう。
前年に引き続き1000万円を超え、一位を堅持しています。
【平均年収】野村総合研究所:1,232万円
出典:IT系上場企業の平均年収を業種別にみてみた 2022年版|Publickey
3.2【2位】ISID(独立系SIer)
ISIDは、電通とGeneral Electric Companyのジョイントベンチャーとして誕生した独立系SIerです。独立系SIerですが、電通グループとの結びつきが強く、安定した事業基盤を持っています。
金融業界や製造業界のトップクラスの企業への先進的なITソリューションの提供、4つの海外エリアにグローバルネットワークを展開すると言ったチャレンジスピリット溢れる事業展開がISIDの特徴。
【平均年収】ISID:1,057万円
出典:IT系上場企業の平均年収を業種別にみてみた 2022年版|Publickey
3.3【3位】オービック(独立系SIer)
オービックは自社開発と直接販売体制にこだわりを持ち、ワンストップ・ソリューション・サービスを提供している独立系SIerです。
業務・部門・業種に合わせた幅広いソリューションを提供していることが特徴。代表的なソリューションとして「クラウドソリューション」「マイナンバー制度対応」などがあります。
【平均年収】オービック:960万円
出典:IT系上場企業の平均年収を業種別にみてみた 2022年版|Publickey
3.4【4位】伊藤忠テクノソリューションズ(ユーザ系SIer)
伊藤忠テクノソリューションズは5期連続で最高益を更新しており、好調な業績が平均年収に反映されています。
【平均年収】伊藤忠テクノソリューションズ:941万円
出典:IT系上場企業の平均年収を業種別にみてみた 2022年版|Publickey
3.5【5位】ネットワンシステムズ(独立系SIer)
ネットワークソリューションに強みを持つ独立系SIer。独立系SIerならではの、特定のメーカーに縛られない柔軟な提案と高い技術力による信頼性の高いITインフラの構築が、ネットワンシステムズの事業の特徴です。
セキュリティやクラウドに関するソリューションが好調。規模の大きい企業ですが、チャレンジングなベンチャー的気質も持っており、個人の裁量の大きさが年収の高さにつながっていると考えられます。
【平均年収】ネットワンシステムズ:869万円
出典:IT系上場企業の平均年収を業種別にみてみた 2022年版|Publickey
3.6【6位】富士通株式会社(メーカー系SIer)
SIerの中でも従業員数が最も多い富士通は、3万5千名近い従業員を抱える大企業です。
この従業員数で平均年収が高く、かつ従業員の平均年齢もIT系企業の中で高い水準にあるということを考慮すると、安心して長く働ける企業といえるでしょう。
⩎ 富士通株式会社
【平均年収】富士通株式会社:859万円
出典:IT系上場企業の平均年収を業種別にみてみた 2022年版|Publickey
3.7【7位】NTTデータ
NTTデータは日本国内の事業が安定しており、アメリカやヨーロッパ向けの海外事業が拡大していることで着実に業績を伸ばしている企業。好調な業績に伴って、平均年収が過去5年間で約40万円増えています。
【平均年収】NTTデータ:852万円
出典:IT系上場企業の平均年収を業種別にみてみた 2022年版|Publickey
3.8【8位】日鉄ソリューションズ(ユーザ系SIer)
日鉄ソリューションズは、新日鐵住金の情報システム部門が元となって設立されたユーザー系SIerです。
製造業向けのシステム開発によって培ったノウハウを武器に、
- 製造業界
- 流通業界
- 金融業界
- 通信業界
- 公共
など幅広い分野でビジネスの競争優位性を生み出すソリューションを提供しています。
ユーザー系SIerではありますが、新日鐵住金などの製造業向けの売上高は2割程度。顧客を分散することでリスクヘッジを行い、安定した事業基盤を持っていることが高い年収につながっています。
【平均年収】日鉄ソリューションズ:845万円
出典:IT系上場企業の平均年収を業種別にみてみた 2022年版|Publickey
3.9【9位】大塚商会(独立系SIer)
SIerと機器販売の事業を行なう独自のビジネスモデルが、大塚商会の年収が高いおもな理由です。
また、働き方改革の推進により、中小企業向けの業務効率化を実現するソリューションの需要が高まっており、業績が好調であることも年収にプラスの影響を与えていると考えられます。
⩎ 株式会社大塚商会
【平均年収】大塚商会:823万円
出典:IT系上場企業の平均年収を業種別にみてみた 2022年版|Publickey
3.10【10位】NEC(メーカー系SIer)
NECは年収が高い企業として知られる企業。セキュリティビジネスや防衛事業の拡大も、高い年収を支える要因になっています。
【平均年収】NEC:814万円
出典:IT系上場企業の平均年収を業種別にみてみた 2022年版|Publickey
4. SIerの選び方についてよくある質問
SIer企業を選ぶ際によくある質問について以下で解説します。
- どの分類のSIerがおすすめなのか
- 未経験で文系でもSIerに就職するのはありだろうか
- SIerはやばいと聞くが、本当にやばいのか
といったことで悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
4.1 独立系とメーカー系・ユーザ系はどちらがおすすめ?
独立系・メーカー系・ユーザー系のどのSIerを選べばよいか悩んだ時には、それぞれの強みと弱みをまず理解することが大切。そして、自分の将来のビジョンが実現できる可能性が高い環境を選ぶというアプローチがおすすめです。
独立系SIerは、言語・フレームワーク・サーバーやPCといった機器など、特定のメーカーに縛られないので業務の自由度が高いです。一方で、親会社がないため、事業の安定性にはやや不安が残ります。
メーカー系・ユーザー系のSIerは、案件の受注が安定しており、ブランド力も強いことが魅力です。ただし、自社製品やサービスを利用したソリューションの提供というある程度の制限があり、親会社の不調の影響を受けることもあります。
安定性やキャリアの構築を優先するなら、ユーザー系・メーカー系SIer。エンジニアとして技術力を磨くことや、チャレンジングな環境を求めるのであれば独立系SIerを選ぶとよいでしょう。
4.2 未経験・文系からSIerに入るのはあり?
結論から言うと、新卒でプログラミング未経験である文系の人がSIerへの就職を目指すのはありです。(但し、新卒以外のIT実務未経験者がSIer本体に入社するのは、ほぼ不可能です。)
理系と文系の未経験の人を比較した際に、エンジニアとして働く上でじつはほとんど差はありません。理系と言っても、情報系の学部を選択した人以外は、エンジニアの実務に直結するような知識やスキルはあまり学んでいないからです。
そして文系の人のコミュニケーション能力は、SIerで働く上で武器になります。SIerはチームのメンバー、クライアントなどとコミュニケーションを取る機会が多いです。その際に、円滑なコミュニケーションが取れれば、仕事をする上でプラスの評価につながるでしょう。
文系にエンジニアがおすすめな理由は、以下の記事で詳しく解説しています。
4.3 SIerは本当に将来性がない?やばい?
SIerを「将来性が低いやばい企業」と一括りにして考えるのは間違いです。
今回紹介した売上高・年収ランキングにランクインしたSIerは、事業の規模が大きく、受注も安定しています。着実に業績を伸ばしている企業も多いです。
上述の通り、SIerの事業領域が縮小する可能性はあります。しかし、すぐにSIerが請け負う案件がなくなるとは考えづらいです。そして、そのようなSIerが置かれる環境の変化を見越して、SaaSやクラウドの導入の支援や海外進出など、新たなビジネスモデルの構築に取り組んでいる企業も少なくありません。
売上高などから経営状況を読み取り、どのようなビジョンを持って事業展開を行っているのかなど、それぞれの企業ごとに将来性を見極めることが大切です。
5. まとめ
SIerは将来性がないといったネガティブな噂を耳にすることも多いと思いますが、このような話はSIer全体に当てはまるわけではありません。
今回紹介したSIerのように、業績が好調で年収も高い企業もあります。転職先の候補として検討する際は、自分のキャリアプランとマッチするか考えることが大切です。
SIerについて正しく理解し、エンジニアとして働き方の視野を広げると、理想のキャリアは描きやすくなるでしょう。
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