SIerとは何か?市場規模や仕事内容など、わかりやすく解説します | サービス | プロエンジニア

    SIerとは何か?市場規模や仕事内容など、わかりやすく解説します

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    公開日:2021年05月31日 最終更新日:2021年08月17日

    IT業界は、パッケージソフト開発やゲームソフトウェア開発など、多くの分野に細分化されています。その中でもSIerとは、システムの受託開発をメインで行っている企業のことを指す名称です。今回は、ITエンジニアを目指している方、中でもSIer企業に転職をお考えの方へ向けて、SIerとは何かから始まり、その市場規模や仕事内容などについて、わかりやすく解説いたします。

    なお、「IT業界とは」についての詳細は、以下の記事で解説されていますので、ぜひ参考にしてください。

    1. SIerとは何か?

    SIer(読み方:エスアイヤー/エスアイアー)とは、システムインテグレーター(System Integrator)の略称です。主に非IT企業や官公庁等のITシステムのコンサルティング、設計、開発、運用、ハードウェアの選定等を一括で請け負うことを事業としている企業を指します。これらの事業は、SI(エスアイ/システムインテグレーション)事業とも呼ばれています。

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    1.1 SIerとSESの違い

    システムの受託開発を行うSIerに対し、エンジニアのSES契約のみを取り交わす企業を「SES企業」と呼びます。

    SES(読み方:エスイーエス)とは、System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)の略称で、IT業界における「契約形態」のうちの一つです。IT業界の契約形態には主に「準委任契約」「請負契約」「労働者派遣契約」の3種類があり、このうちの「準委任契約」が「SES」と呼ばれています。

    SIerとSESの違いについてもっと詳しく知りたいという方は、次の記事をご覧下さい。

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    2. SIerの業界構造を知る

    SIerが属する「情報サービス業」の2019年の市場規模は、約17兆円です。その売上高の割合は「受託開発ソフトウェア業」が約半分を占め、次いで「情報処理サービス業」が20%を超える高い割合となっています。
    SIerはこのうち「受託開発ソフトウェア業」をメインで行っています。

    参照:情報サービス業|リスクモンスター株式会社

    さらにSIerの市場規模について詳しく知りたい方は、次の記事をご覧下さい。


    SIer業界では、NTTデータ、富士通、日立製作所等の大手SIerが一括で様々なIT業務を請け負い、さらに、子会社や下請けのソフトウェア開発会社がこれらの業務を請け負う形でIT業界は成り立っています。

    このような構造から別名ITゼネコンと呼ばれることもあります。

    また、SIerの企業は大きく分けて3つに分類することができます。

    ユーザー系

    大手企業において、情報システム部門を分立させて設立した企業のことを指します。 そのため、下の図からも分かりますが、銀行系・通信系・商社系など、 ユーザー系のSIerには様々な系統があります。

    メーカー系

    大手コンピューターメーカーからの系列企業のことを指し、 システム開発部門が分立してできた子会社を示す場合もあります。

    独立系

    独立系は、メーカー系・ユーザー系のどちらにも属さず、システム開発を専門に扱う企業を指します。 自社パッケージ開発を行うなど、分野を問わないシステム開発を行っていることが特徴です。

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    3. メーカー系SIer


    会社名 売上 経常利益 平均年収 初任給 社員数
    日立製作所 9兆7,619億円 5,356億円 861万円 207,000円 336,670人
    東芝 6兆6,558億円 1,366億円 845万円 207,000円 198,741人
    富士通 4兆7,532億円 1,988億円 810万円 207,000円 158,846人
    NEC 2兆9,355億円 1,121億円 769万円 207,000円 98,882人
    日本IBM 8,810億円 947億円 N/A 279,400円 16,111人
    日本ユニシス 2,691億円 123億円 746万円 215,000円 4,259人

    ※上記は、SI事業以外も含んでいます。 (Yahoo!ファイナンス/リクナビより)


    システムインテグレーションとハードウェアをセットで提供できることが強みのメーカー系SIerの中でも、富士通はサーバー製品の国内シェアが高いだけでなく、理化学研究所と共同でスーパーコンピューター「富岳」の開発なども手がけている総合ITベンダーです。

    特に傘下の富士通エフサスがSI事業を大きく担っており、製造・金融・流通業界や官公庁など、幅広いソリューションを提供しています。

    同じくハードウェア提供との組み合わせが強みのNECは、傘下のNECネッツエスアイがSI事業を大きく担っています。
    公的機関やインフラに対するソリューション提供に強みを持つだけでなく、IoTやAI、サイバーセキュリティ、ロボット活用など、新しい分野へも積極的に取り組んでいます。

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    4. ユーザー系(金融)SIer


    会社名 売上 経常利益 平均年収 初任給 社員数
    野村総合研究所(NRI) 4,059億円 529億円 1,089万円 221,500円 9,513人
    みずほ情報総研 2,061億円 N/A N/A 205,000円 4,700人
    日本総合研究所 1,060億円 N/A N/A 210,000円 2,124人
    三菱総合研究所 853億円 58億円 965万円 222,000円 3,665人
    ニッセイ情報テクノロジー 539億円 N/A N/A 210,000円 2,159人

    (Yahoo!ファイナンス/リクナビより)

    野村證券から独立して設立されたSIerである野村総合研究所は、現在も野村ホールディングスを最大の顧客として抱えています。

    リサーチやコンサルティングに強みを持っていることが特徴であるだけでなく、5Gやマルチクラウドといった先進的テクノロジーの活用にも力を入れています。

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    5. ユーザー系(通信)SIer


    会社名 売上 経常利益 平均年収 初任給 社員数
    NTTデータ 1兆5,118億円 779億円 792万円 216,260円 11,402人
    ソフトバンク・テクノロジー 398億円 14億円 615万円 203,000円 833人

    (Yahoo!ファイナンス/リクナビより)

    SIer業界を代表する企業であるNTTデータは、メーカー系と違いハードウェアを取り扱っていない、SI専業の企業です。
    NTTグループの中核を担う企業の1つであり、ビッグデータ、AI、IoT、ロボティクス、クラウドなど、最先端の技術を用いたソリューションを提供しています。
    さらに海外進出も積極的に行っており、アメリカやヨーロッパ向けの海外事業も拡大しつつある企業です。

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    6. ユーザー系(その他)SIer


    会社名 売上 経常利益 平均年収 初任給 社員数
    大塚商会 6057億円 381億円 821万円 220,000円 8,509人
    伊藤忠テクノソリューションズ(CTC) 3819億円 294億円 748万円 230,000円 8,014人
    ITホールディングス 3610億円 212億円 777万円 220,000円 19,454人
    SCSK 2976億円 306億円 700万円 222,000円 11,754人
    日鉄ソリューションズ 2062億円 164億円 814万円 201,500円 5,657人
    ネットワンシステムズ 1431億円 42億円 728万円 210,000円 2,366人
    電通国際情報サービス(ISID) 782億円 49億円 867万円 231,000円 2,500人

    (Yahoo!ファイナンス/リクナビより)

    法人向けECサイトの運営でも有名な大塚商会は、SI事業やアウトソーシング事業も行っているSIerです。親会社を持たないため使用するプラットフォームに縛られることなく、幅広いソリューションを提供しています。

    伊藤忠テクノソリューションズは、伊藤忠グループに属する商社系のSIerです。企業や官公庁を中心にソリューションを提供しており、特にITインフラの構築に強みを持っています。さらに近年では、グローバル展開にも意欲的に取り組んでいます。

    日鉄ソリューションズは、製鉄メーカーである日本製鉄の情報システム部門から独立して設立されたSIerです。製造業向けのシステム開発によって培ったノウハウを武器として、製造業界・流通業界を中心に幅広い顧客に対して経営課題解決のためのソリューションを提供しています。

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    7. ITコンサル系


    会社名 売上 経常利益 平均年収 初任給 社員数
    フューチャーアーキテクト 344億円 43億円 780万円 320,000円 1,650人
    アビームコンサルティング 604億円 N/A N/A 241,300円 4,260人

    (Yahoo!ファイナンス/リクナビより)

    フューチャーアーキテクトは、1989年に設立された日本初のITコンサルティングファームです。コンサルティングファームであることを生かした経営戦略・業務・システムの三位一体の変革を強みとし、戦略から開発、運用まで、一気通貫のプロジェクトマネジメントを行っています。


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    8. SIerのプロジェクトの種類

    SIerのプロジェクトは多岐にわたります。

    旧社会保険庁(現日本年金機構)の年金システム、特許庁の特許管理システム防衛庁の防衛システムなどの官公庁のシステム開発、運用プロジェクト。銀行においては、各銀行の合併時におけるシステム統合、ネットバンキング、顧客や口座情報管理システム。
    コンビニやスーパーであれば、商品配送システム、レジ情報とマーケティングと在庫管理を繋ぐPOSシステム。
    医療系であれば、電子カルテ、保険、医療画像処理、治験データ管理。
    社内システムであれば、会計処理、人事管理、顧客管理システムなどがあります。

    SIerのプロジェクトの割合で見ると、IT業界向け23%、製造業22%、金融19%、情報通信10%、官公庁8%、卸業・小売業6%となっております。

    これらを見ると、IT・情報通信向けプロジェクトと製造業向けプロジェクトで全体の半分を占めていることがわかります。

    (経済産業省特定サービス産業実態調査 2013)

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    9. SIer業界における業務工程

    多くのSIerで採用されているウォーターフォール型開発では、簡単に分けて「要件定義」「基本設計」「詳細設計」「開発」「テスト」の流れで業務を行います。

    9.1 要件定義

    顧客の求めるシステムがどんな条件下で動作し、どんな機能を持つものなのかなど、顧客要望の詳しいヒアリングを行います。

    9.2 基本設計

    顧客の求めるシステムに必要な機能を選別し、その機能の実現に必要な画面の数や大まかな処理の流れを決定します。

    9.3 詳細設計

    基本設計をもとに、それぞれの画面で行う細かな処理内容を決めるなど、肉付けを行います。

    9.4 開発(コーディング=プログラミング=製造)

    詳細設計で決定した内容をもとに、プログラミングを行います。

    9.5 テスト

    プログラミングして出来上がったものが、ちゃんと設計通りになっているか動作テストを行います。
    これらは、ウォーターフォール型開発と呼ばれる手法で、上記の工程に従い順番に作業を行います。 1つひとつの工程ごとに仕様書、設計書、テスト仕様書等でドキュメントを作り、成果物を明確にしていくという特徴があります。


    ウォーターフォール型開発についてさらに詳しく知りたい方は、次の記事をご参照下さい。


    SIerでシステム開発を仕事とするエンジニアは、一般的にSE(システムエンジニア)、またはPG(プログラマー)と呼ばれる技術者となります。

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    10. SIerで使用される技術の多くはライセンスベース

    SIerで使用されている技術の多くは、ソフトウェアベンダーやハードウェアベンダーの製品が多いのが特徴で、反対にWeb系(インターネット業界)等で使用されることが多いOSS(オープンソースソフトウェア)が使用されることは稀です。

    下記は、SIerで使用されている代表的な技術例です。

    カテゴリ 技術名称 製品元
    プログラミング言語 Java Oracle(元サン・マイクロシステムズ)
    C ベル研究所
    COBOL アメリカ国防総省
    C# マイクロソフト
    VB マイクロソフト
    OS Windows マイクロソフト
    Linux(RedHat) レッドハット
    Solaris Oracle(元サン・マイクロシステムズ)
    AIX# IBM
    HP-UX HP(ヒューレット・パッカード)
    データベース Oracle Oracle
    SQLServer マイクロソフト
    AIX IBM

    なぜオープンソースの使用が稀なのかというと、導入実績が豊富な技術を重視するプロジェクトが多いためです。

    「SIerは枯れた技術を採用している」という見方をされることがありますが、枯れた技術とは、つまり安定性が高い技術なのです。安定性の高い技術を採用することで、納期通りのプロジェクト進捗がより確実になるという利点があります。


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    11. SIer不要論は本当か?

    Googleで「SIer不要論」と検索すると、検索結果には様々な意見が出てきます。 また、「SIer不要論」に関する書籍も多く出版されています。

    しかしながら、これらの記事や書籍を細かく読んでみると、そもそものSIerの定義が人によって異なって論じられているようです。

    11.1 SIerは消えてゆく派の意見

    SIerが今後消えていくという考え方の根拠として挙げられているのは、そのビジネスモデルの問題点です。

    SIerの「他社からシステムの製造を受託する」という構造上、同業他社との価格競争が発生します。
    すると受注を得るためコストの削減が発生し、必然的に人件費が下がっていく。
    その結果、より好待遇を求めるエンジニアはWeb系企業へと流れ、業界自体が疲弊していくのではないかという考えです。

    11.2 SIerは残り続ける派の意見

    対して「SIerは残り続ける」という意見も多く存在します。

    その大きな理由は、官公庁や大企業に納入するための高い堅牢性を持った巨大システムの豊富な開発実績。SIerの代わりが担える新しいビジネスモデルが登場しない限り、SIer同士の競争を勝ち抜いた企業は生き残り続けるという考え方もできるでしょう。

    ベンチャーやスタートアップが得意とする最新のフレームワークなどを駆使したスピーディーな開発と、官公庁や大企業が求めるセキュアな開発は同じ「システム開発」でも求められるスキルが異なります。

    堅牢性が求められる大規模プロジェクトに対応する受け皿として考えると、SIerには今後も一定以上の需要が間違いなく存在するでしょう。


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    12. SIerのSEは日本独特の文化か?

    SIer不要論を唱える人が挙げる理由の一つに、「SIerは日本独特の文化である」というものがあります。

    「国内のIT人材を大手SIerが囲い込み、官公庁や大企業といった発注主は、そのSIerにITシステムを企画~運用までフルパッケージで発注する」ということが、国内では広く行われています。

    一方で海外では、発注側の企業にも多くのエンジニアが在籍し「どうしても内製では手が回らないところを、一部外注する」というケースが比較的多いです。またフルスクラッチ開発は最小限にとどめ、クラウドを積極的に採用する傾向もあります。

    よって従来の国内のSIerが手掛けてきたような「丸投げ」の受託や、フルスクラッチ開発は徐々に減少。日本でも海外に追従するように、クラウドサービスの積極的な導入や内製化が進むのではないかという考え方です。

    とはいえSI事業には、日本IBMや日本HPなどの外資系企業も参入しています。さらに世界最大規模のコンサルティングファームであるアクセンチュアは、SI事業の売上比率を年々伸ばしつつあります。つまり「クラウドサービスの導入」や「内製化」も進んではいるものの、まだまだSIerが得意とするフルスクラッチ開発などへの需要も大きいということです。

    前項のようにSIerは「枯れた技術を採用している」という見方もありますが、事業としての可能性はまだ充分に大きいと考えられるのではないでしょうか。


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    13. 海外を攻める大手SIer NTT

    大手SIerのNTTグループは、成長戦略の柱に「海外展開」を据えています。

    2007年以降、NTTグループは国内市場の成長鈍化を考慮し、積極的な海外進出を軸としてビジネスを行ってきました。

    同グループの2008年以降の海外ICT企業の買収・出資総額は、推定1兆1000億円以上に及びます。また、日本を除いた海外の従業員数は約7万1,000人と言われ、グループ全体の3割を占めています。


    主なNTTグループの買収・出資先

    アイテリジェンス(ドイツ:SAP関連のコンサルティング、システム構築)
    サークエント(ドイツ:コンサルティング、システム構築)
    タタ・テレサービシズ(インド:携帯電話サービス)
    ネット・モバイル(ドイツ:モバイル向けコンテンツ配信)
    インテリグループ(米国:コンサルティング、システム構築)
    セコード(スウェーデン:セキュリティ)
    ディメンションデータ(南アフリカ:ネットワーク構築、システム構築)
    キーン(米国:システム構築)
    バリューチーム(イタリア:コンサルティング、システム構築)
    フロントライン・システムズ・オーストラリア(オーストラリア:コンサルティング、システム構築)
    リア(オーストラリア:コンサルティング、システム構築)
    オプソース(米国:クラウドサービス)
    ・・・・・

    (日経BP社:『脱・通信会社を目指すNTTの世界戦略』より)

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    14. まとめ 今後のSIerの形

    これらの点を考慮すると、今後のSIerは下記のいずれかの形に進む可能性が高いでしょう。

    • 高い技術力とソリューション力を持ってクラウド等のサービスを展開する
    • 世の中にある様々なクラウドサービスを組み合わせて顧客のビジネスを成功に導くコンサルティングを行う
    • 既存のクラウドサービスのカスタマイズを行う
    • 既存のクラウドサービスでは対応できないようなシステムのスクラッチ開発を行う
    • 顧客の保有している老朽化したシステムを新しいクラウド等のシステムに載せ換える


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