モノのインターネット IoTの活用事例と市場規模から考える、エンジニアの需要 | サービス | プロエンジニア

    モノのインターネット IoTの活用事例と市場規模から考える、エンジニアの需要

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    公開日:2016年05月26日 最終更新日:2019年09月30日

    目次

    近年何かと話題になるIoTですが、言葉では聞いたことはあっても、いま一つイメージが沸きにくい方も多いと思います。そもそもIoTとは何なのかどこに使われているのか、それらの基本的な情報から活用事例、今後重要になるセキュリティ対策の現状とエンジニアの人材についてまで、IoTについてご紹介致します。

    1. IoTとは

    「IoT(読み方:アイ・オー・ティー)」とは、Internet of Thingsの略称であり、日本語では「モノのインターネット」と呼ばれています。「モノ」とはPCやスマートフォンのようにIPアドレスを持つものや、IPアドレスを持つセンサー機器から検知できるタグの付いたもの、そしてIPアドレスを持った機器に格納されているコンテンツなどを指しています。

    2000年代初頭に流行った「ユビキタスネットワーク」と何か違うのか、疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。簡単に言うと、「ユビキタス」はIoTの一部分です。IoTはユビキタスを含み、さらに幅広いモノや活用方法を示し、さらに”実現性の高い”技術を想定した言葉です。

    ユビキタスでは、モノ(家電など)に組み込まれて、そのモノを通じてヒトがネットワークに接続することが想定されていました。それに加えて、IoTではモノとモノ同士が直接通信し合い自律的に制御したり、モノがヒトの手を介さないところでインターネットと繋がってサービスを提供したりすることも含まれています。

    モノとモノ同士の直接通信は「M2M(読み方:エム・ツー・エム、Machine to Machine)」とも呼ばれますが、M2Mは必ずしもインターネットを活用するとは限りません。M2MにはCLOSE(インターネットに接続しない)環境で利用される場合と、OPEN(インターネットに接続する)環境で利用される場合があります。うちOPENなものだけについてがIoTのカテゴリに含まれています。

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    2. IoTの活用事例

    2012年、ドイツにおいて、ドイツ国内の製造業を守る取り組みとして、工場と外部を繋いだ「つながる工場」を目指すという声明(インダストリー4.0:第4次産業革命)が発表され、世界的にIoTが広まっていきました。
    現在は、スマートフォンとSNSの普及、およびクラウドによるインフラの拡充により、IoTは急激に身近な存在となりつつあります。クラウド上の大量のデータを分析するためのビックデータアナリティクス分野には、AI(人工知能)も登場し、高度なデータ分析による結果をフィードバックすることで、私たちの生活がより豊かで便利になる恩恵を享受できるでしょう。

    IoTは、大きく分けると、次のような2種類の方法で利用されています。

     ・離れた場所にある「モノ」の状態を知りたい
     ・離れた場所にある「モノ」を操作したい

    離れた場所にあるモノの状態を知りたい場合は、対象のモノにセンサーを付けて、その測定結果をスマートフォンやPCなどで受信することなどが考えられます。
    例えば、次のような状態を、離れていながら知ることができます。

    ・環境モニター・・・温度、湿度、照度、気圧、音圧、水分量 など
    ・動きモニター・・・振動、衝撃、傾斜、転倒、落下、移動 など
    ・開閉モニター・・・ドア、窓、引き出し、鍵 など
    ・位置モニター・・・存在、接近、通過 など

    対象のモノの状態を知り、さらに動かしたり開閉を操作したりすることもIoTです。 現在利用されている事例としては、スマートホームとして、留守中の室温を知り、かつ帰宅前にスマホからスイッチを入れる操作が可能なエアコンなどがあります。

    さらに今後は、「スマホからスイッチを入れる」という動作すらヒトが行う必要のない時代が来ると見込まれています。例えば「主人の帰宅を位置モニターが察知して、室温を調べ、適温でなければ自動でスイッチを入れる。その後主人が帰宅してドアの前に立つと、自動的に開錠され、ドアが開く」などが可能になると考えられています。

    このように、日本においても広まりつつあるIoTソリューション、その中からほんの一部ですがご紹介したいと思います。

    2.1 IoTでオフィスの環境改善

    思わぬ場所で実用化されて話題になった例としては、「トイレの個室空き状況を調べるアプリ」です。

    このアプリは、まずオフィスビル各階のトイレにある個室扉の開閉状況をセンサーで取得し、「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」を用いてWi-Fi経由でAPIサーバに送信して記録します。そしてクライアントアプリ側からAPIをたたいて、開閉情報を取得します。そうすることで、現場に行かずにどのフロアのどの個室が開いているのか、一目で分かるようなアプリを実現しています。

    個人が数千円から作れる内容ながらとても便利なアプリであるようで、最初の物珍しさからの利用だけでなく、その後も着々とユーザー数を増やしているようです。

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    2.2 IoTで遠方で暮らす人の安否確認

    身近なところ、かつ幅広く知られている例としては、毎日お茶を入れるためにお湯を沸かす家電、ポットに搭載されたセンサーで使用状況を把握し、高齢者や遠方で暮らす両親の安否を通知してくれるみまもりほっとラインではないでしょうか。象印が発売したこちらの商品は、なんと平成13年から発売が開始されたとのこと。IoTという言葉が聞かれるようになったのはごく最近との思いがありましたが、実はずっと前からIoTは存在していたのですね。

    (参考URL)みまもりほっとライン
    http://www.mimamori.net/

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    2.3 IoTを工事現場の災害対策として

    屋外作業や過酷な温度環境の工事現場へ向けた災害対策として考案された、富士通のバイタルセンシングバンドもIoTの技術が搭載されています。センサーがついたウェアラブルデバイス(リストバンド)を装着し、工事現場で業務にあたる作業員の労働環境や本人の心拍などのデータをクラウドにアップし、データが一定値を超えた場合にアラートを挙げるなどして、業務災害を未然に防ぐことが可能となっているようです。

    モノの状態を測るウェアラブルデバイスはこの他にも様々ありますが、今まで目に見えなかった部分を数値にすることで見える化できるというのは、IoTならではの活用法だと思います。

    (参考URL)富士通プレスリリースより
    http://pr.fujitsu.com/jp/news/2017/09/8-1.html

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    2.4 IoTとスマートスピーカー

    2017年11月にAmazonが発表したスマートスピーカー「Amazon Echo」シリーズは、多くの方が記憶に新しいでしょう。

    スマートスピーカーに「音楽をかけて」「電気を消して」などと声をかけるだけで、AI音声アシスタント「Amazon Alexa」が感知し、離れたモノを操作することができます。ボタンを押すだけで品物が届く「Amazon Dash Button」にも驚きましたが、ボタンやスマートフォンの操作すらいらない、音声のみでモノを動かすAmazon Echoもかなりの話題性があります。

    2017年11月の時点では招待制での購入のみ可能のため、招待メールが届かずがっかりしている方も多いと思います。内蔵のAI音声アシスタント「Amazon Alexa」は、アマゾン製品に限らず他のメーカーにも搭載可能なため、今後はAlexa対応製品が続々登場するかもしれません。また、Alexa Skills Kitを使えば、Alexaで対応できる機能(スキル)を開発することもできます。興味のある方は、覗いてみてはいかがでしょうか。

    (参考URL)Amazon Alexa
    https://developer.amazon.com/ja/alexa

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    2.5 製造業におけるIoT化とは

    製造業におけるIoT化の例として、経済産業省がまとめている資料がありました。

    鋳物の町として知られる埼玉県川口市にある長島鋳物株式会社では、工場の電気炉にセンサーを設置してIoT化し、生産設備の温度や重量などのデータを取得することで、製品ごとに常に最適な状態で鋳造ラインが稼働するよう管理するシステムを自社開発で実現したそうです。

    製造業におけるIoT化は、職人による長年の勘と経験、製造工程の進捗状況や機械の稼働状況、製品の状態などをリアルタイムでデータ化して可視化することが可能となり、品質維持管理にも役立っていることが多いようです。その他の事例も含め、詳しくはこちらをご覧ください。

    (参考URL)経済産業省 関東経済産業局
    http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H28FY/000279.pdf

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    2.6 IoTでバス待ちを解消

    駅までバスで通学・通勤される方なら経験のある「バス待ち」ですが、予定より早く行ってしまい目の前を通過されることや、逆に何分待っても来ないバスにイライラした経験はあるかと思います。電車は遅延情報を駅で教えてもらえますが、バスの場合はいつまで待てばバスが来るのかわからず、別のルートで行くべきか、自転車を使うべきか迷うところでもあります。

    京都市交通局導入しているバスロケーションシステムは、バスに搭載された発信機からデータを発信し、バス停がそれを受信することでリアルタイムなバス運行状況を把握・表示することが可能になっているようです。今、バスはどこにいるのかが分かるので、気持ちの余裕も変わりますね。

    (参考URL)シャープ(京都市交通局の導入事例)
    http://www.sharp.co.jp/business/case/display/pdf/display_detail_170.pdf

    その他、家庭やオフィスでの使用のほか、昨今では医療、農業、スポーツの分野にまで適用が進んでいます。

    ・医療・・・患者の生体情報をインターネット経由でモニタリングするなど
    ・農業・・・水分量や温湿度のモニタリングなど。減少すると自動で水やりすることも
    ・スポーツ・・・フィットネスバンドなどで運動量を記録し、スマホと連携するなど

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    3. IoTの市場規模

    IT専門調査会社 IDC Japanの2017年2月の発表によると、2016年の国内IoT市場におけるユーザー支出額は5兆270億円(見込み)と予測されています。さらに2016年~2021年までの年間平均成長率を17.0%と想定。2021年には11兆237億円に達すると推測されています。


    <国内IoT市場 支出額予測: 2016年~2021年>

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    4. IoTの問題点と今後の課題

    4.1 IoTとセキュリティ

    2016年2月19日、スウェーデンの高級車メーカー「ボルボカーズ」が、2017年度から車の物理キーを完全に廃止(従来型キーも希望者には配布)すると発表し、衝撃が走りました。Bluetoothを使ってスマホの画面から施錠・開錠の操作ができ、さらにエンジンまでスマホの操作でかけることが可能になります。家族や友人に車を貸すときには鍵アプリをダウンロードしてもらうだけで、鍵を渡す必要はなくなるとのことです。

    カーシェア会社との共同実験も行っており、さらなるサービスへの拡張も検討されているということですが、盗難が容易になったり、スマホの電池が切れたら車が動かせなくなったりといった問題が起こりやすくなるのではないかという懸念の声も。

    このように便利になる一方で、情報セキュリティに関するリスクは一層の存在感を増しています。セキュリティの強化はまさに必須課題となっている中、2016年5月12日にIPA(情報処理推進機構)は「IoT開発におけるセキュリティ設計の手引き」を公開しました。

    同手引きでは、IoTで想定される脅威とリスクを整理、課題を抽出し、セキュリティ設計について解説を行っています。具体的な脅威分析・対策検討の実施例が図解されており、暗号技術の実装チェックリストも提供されています。

    エンジニアの様々な現場でも、今後さらにIoTのセキュリティ対策は重要になることが考えられます。ぜひ一度目を通されてはいかがでしょうか。

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    4.2 IoTとエンジニアの人材不足

    平成28年版情報通信白書(総務省)での発表によると、IoTの導入や活用における課題点を世界の国別に調査したところ、海外に比べて、日本では人材不足を課題としている傾向が高いという結果が出たようです。

    (出典)総務省「IoT時代におけるICT産業の構造分析とICTによる経済成長への多面的貢献の検証に関する調査研究」(平成28年)
    http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc123340.html

    また、同じく総務省の発表によると、IoTの導入しない理由について、以下の業種別にアンケートを取ったところ、「利用場面が不明」という項目が最も多かったという結果となっています。

    (出典)総務省「IoT時代におけるICT産業の構造分析とICTによる経済成長への多面的貢献の検証に関する調査研究」(平成28年)
    http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc123330.html

    IoTという言葉が聞かれるようになり、スマートフォンやクラウドの発展でIoTを実装する技術は揃いつつあるものの、人材不足と言われる原因として、IoTをどの場面でどう活用すべきかという部分にまで、ブレークダウンすることができていないという現状があるのかもしれません。
    IoT時代のエンジニアには、最新技術をキャッチアップするアンテナ、ITの幅広い技術と知識はもちろんのこと、異業種にもIoTを生かした技術提供ができるだけの企画力や、提案力、その業種に特化した知識や顧客へのヒアリング能力なども必要になってくるのではないかと思われます。

    こうした流れの中で、IoT技術者の育成を目的としてMCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)主催による「IoTシステム技術検定試験」も始まっています。IoTの資格に興味がある方は、こちらの記事もぜひ目を通してみてください。

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    5. まとめ

    いかがでしたでしょうか。 IT業界のエンジニアは以前から人材不足が叫ばれていますが、IoTは今後さらに市場規模を増し、対応可能なエンジニアの需要はますます高まってくると予想されます。IPAが「IoT開発におけるセキュリティ設計の手引き」を公開していることから、今後情報処理技術者試験にIoTに特化した問題が取り入れられるのも、時間の問題だと考えられます。
    貴方もこの機会にIoTのセキュリティ対策の基本を学び、スキルの一つに加えてみてはいかがでしょうか。

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