目次
2.1 Oculus Rift 9万4600円(税・米からの送料込)
2.2 HTC VIVE 11万1999円(税抜)
2.3 Galaxy Gear 1万3,800円(税抜)
2.4 VR SHINECON 6500円(実勢価格3000円程度)
2.5 Google Cardboard
2016年3月28日、Oculus社からHMD(ヘッドマウントディスプレイ)「Rift」が日本国内向けに発売されました。
一般的にオキュラスリフトの呼称で親しまれている同製品ですが、これまでのHMDと比べて革新的だったのは、頭の動きに映像を追随させることで全方向の視界を実現しているという点です。つまりオキュラスリフトを装着して右を向くと右の景色が、左を向くと左の景色が、そして下を向くと足元の映像がシームレスに見えるのです。
その面白さから、米クラウドファンディングサイト「Kickstarter」では、目標額の25万ドルを大きく上回る240万ドルの資金調達に成功するほどの大注目を集めました。
このようなVR(ヴァーチャルリアリティ)への没入感をより進化させたHMDは「VRヘッドセット」とも呼ばれており、オキュラスリフトのほかにはHTCから「VIVE」が3月1日に発売されています。
さらに国内では、SONYのPlayStation向けバーチャルリアリティシステム「Project Morpheus(プロジェクト モーフィアス)」のコードネームで開発されていたHMDが、正式名称を「PlayStation VR」と決定。さらに10月発売予定と発表され、東京ゲームショウ2015に設置された試遊台には、開場と同時に長蛇の列ができました。
そんなVRの大イベント盛りだくさんの2016年は、VR元年と呼ばれています。しかし身近でVRデバイスを見かけるのはまだ珍しいことであり、実感がわかないのが現状です。
そこで今回は、上記主要3機種のスペック概要比較と2016年5月現在に実際に購入・遊ぶことができるVRデバイスの詳細情報、そして、VRをオフィスで活用する試みについてご紹介したいと思います。
1. VRヘッドセット主要3つのスペック比較
前述の3つの主要HMDについて、スペックを比較してみました。
製品名 | 読み方 | 発売元 | 価格(円) | 発売日 | 解像度 | リフレッシュレート | 視野角 | 対応機種 | 公式サイト |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Oculus Rift | オキュラスリフト | Oculus | 9万4600円(送料込) | 2016年3月28日 | 2160×1200 | 90Hz | 110度 | Windows, Mac, Linux | 【リンク】 |
HTC VIVE | エイチティーシーヴィヴ | HTC | 11万1999円(税別) | 2016年3月1日 | 2160×1200 | 90Hz | 110度 | Windows, Mac, Linux | 【リンク】 |
PlayStation VR | プレイステーションヴィーアール | SONY | 4万4980円(税別) | 2016年10月予定 | 1920×1080 | 120Hz | 100度 | PlayStation4 | 【リンク】 |
また、2016年5月現在から、東京都内で体験・試遊ができる場所をご紹介します。
製品名 | 場所 | 期間 | 主催 | 公式サイト |
---|---|---|---|---|
Oculus Rift | 秋葉原 | ~未定 | G-Tune :Garage | 【リンク】 |
HTC VIVE | お台場 | ~10月中旬予定 | VR ZONE | 【リンク】 |
PlayStation VR | お台場 | 2016年6月1日~30日 | 東京ジョイポリス | 【リンク】 |
これらの体験会に実際に行き、VRゲームを試遊してみました!
[体験レポートはこちら]
■Oculus Rift:
ついに一般販売開始!Oculus Rift体験レポート
■HTC VIVE:
アーケードゲームの未来が今ここに?VR ZONEに行ってきました
■PlayStationVR:
発売まであと少し!PlayStationVR実機体験レポート
2. 今購入できるVRデバイス5選
今すぐ遊べるVRデバイスとして、主要なものを5点ピックアップしてみました。今回は、今日から遊ぶ上で気になる、「本体以外に必要な環境」や「メガネをかけたままプレイできるのか?」、また頭に載せて長時間プレイする上で重要になる「重量」などをまとめてみました。
2.1 Oculus Rift 9万4600円(税・米からの送料込)
ハイエンドなVRギアといえばこれ!というくらい有名なOculus社の「Rift」は、米クラウドファンディングサイトのKickstarterに登場し、VRヘッドセットの知名度を一気に押し上げました。後述する低価格帯のものと比べて、正面に設置するカメラでポジショントラッキング(ユーザの動きの検出)やハンドトラッキング(手の動きの検出)が可能です。
特徴として、着脱可の3Dヘッドホンが付属していることが挙げられます。イヤホン接続を行うタイプのヘッドセットに比べて、コードに煩わされることなく、またリアルな立体サウンドを楽しむことができます。
現在は本体を購入するとXbox Oneコントローラーが付属していますが、今後専用のワイヤレスコントローラー「Oculus Touch」も発売予定です。ただこちらは発売が遅れており2016年下期の出荷予定とのことですが、これを左右の手に持つことで画面上にヴァーチャルな自分の手が登場し、物体をつかんだり触ったりすることが可能になります。開発版の情報ですが、後述のHTC VIVEのコントローラーに比べ、より自然な手のアクションが再現できるようです。
なお対応するゲームを楽しむには、3Dゲームをサクサク楽しめるようなハイエンドPCが必要になります。詳しくはリンク先のスペック表をご確認下さい。
・必要な環境・・・ハイエンドPC【推奨スペック】
・視野角・・・110度
・本体重量・・・440g(DK2版)
・焦点距離/瞳孔間距離の調節・・・可能
・メガネとの併用・・・可能(ある程度は焦点距離の調節で対応可能)
- Oculus VR公式サイト (https://www.oculus.com/ja/)
2.2 HTC VIVE 11万1999円(税抜)
HTCがゲーム配信大手のSteamと共同開発した「VIVE」の機能で特筆すべき点は、なんといっても「5m四方のVR空間内を自由に歩き回れる」ことができる点でしょう。部屋(ゲーム用に準備したスペース)の対角線上にベースステーションと呼ばれるレーザー装置を2台設置することで広範囲をカバーし、センサーの死角ができにくいように設計されています。ふと思い立ったとき手軽にプレイするためにはベースステーションを常設しておくためのVR専用部屋が必要になりそうですが、「自由に歩き回れる」というのはゲームに没入感を与える上では大きなアドバンテージになるかもしれません。
こちらは初期から専用コントローラーが同梱されており、ボタンのついた棒状のコントローラーを左右の手に握って使用するタイプです。
また音響については、自分の手持ちのイヤホンを接続する形になります。
こちらもRift同様、対応するゲームを楽しむにはハイエンドPCが必要になります。詳しくはリンク先で「PC Recommendations」をクリックして推奨スペックをご確認下さい。
・必要な環境・・・ハイエンドPC【推奨スペック】
・視野角・・・110度
・本体重量・・・555g
・焦点距離/瞳孔間距離の調節・・・可能
・メガネとの併用・・・可能(ある程度は焦点距離の調節で対応可能)
- HTC VIVE公式サイト(https://www.htcvive.com/jp/)
2.3 Galaxy Gear 1万3,800円(税抜)
Oculus社がSamsung社と共同開発した「Gear」は本体に画面を持たず、スマートフォンをセットするタイプのVRヘッドセットです。本体に加速度センサー、ジャイロセンサー、近接センサーなどが搭載されており、スマートフォンに搭載されたセンサーと組み合わせることで、より精度の高い処理を実現しています。
なおハイエンドの機種と比べると、コードレスで手軽に使用できるという利点があります。 2016年5月現在、Galaxyの一部機種専用となっています。
・必要な環境・・・Galaxy S6 / S6 edge
・視野角・・・96度
・本体重量・・・318g+スマホの重さ(edgeの場合+132g=450g)
・焦点距離/瞳孔間距離の調節・・・可能
・メガネとの併用・・・可能(ある程度は焦点距離の調節で対応可能)
- Oculus VR公式サイト (https://www.oculus.com/ja/)
2.4 VR SHINECON 6500円(実勢価格3000円程度)
2016年5月時点でAmazonの「3Dメガネ」カテゴリで1位の商品です。
プラスチック製のケースに頭部に固定するためのバンドがついており、スマートフォンをセットして使用するタイプです。Gearと違いセンサー類は入っていないためVRの精度は劣りますが、Cardboardと違い視力に合わせてピントを調節する機能が付いています。(ただし調節は左右セットで行われるため、左右の視力に差がある場合は対応不可)
スマホ搭載タイプではお値段・性能共に中間くらいの存在ですが、入門用にはちょうど良いかもしれません。
・動作に必要な環境・・・画面サイズ3.5インチ~5.5インチのスマートフォン
・視野角・・・不明(スマホの画面サイズによる)
・本体重量・・・360g程度+スマホの重さ
・焦点距離の調節/瞳孔間距離の調節・・・可能
・メガネとの併用・・・可能(ある程度は焦点距離の調節で対応可能)
2.5 Google Cardboard
Google社がフリーで提供している設計図をもとに製造・販売されて市場に出回っています。
Cardboardとは段ボールのような厚紙のことで、その名の通り厚紙を切り抜いてレンズと合わせて組み立てるだけで作ることができます。安価でかさばらない紙製のため、500円程度の雑誌の付録にも採用されています。(写真は付録のもの)
・動作に必要な環境・・・画面サイズ3.5インチ~6.0インチのスマートフォン
・視野角・・・不明(スマホの画面サイズによる)
・本体重量・・・50g程度+スマホの重さ
・焦点距離の調節・・・不可能
・メガネとの併用・・・可能(形状により難)
なおCardboardを自作したい方は、ここで設計図をダウンロードすることができます。
https://vr.google.com/cardboard/get-cardboard/
現在配信されている設計図は6インチ画面に対応したv2になります。
筆者も自作を試みてレンズを探しましたが、設計図のものに近い直径34mmのレンズを安価で手に入れることは難しそうです。オプティクスの専門向け販売で見つけたものは最安値でも1枚3000円程度だったため、製品を購入した方が無難かもしれません。
- Google Cardboard公式サイト (https://vr.google.com/cardboard/)
3. VRのビジネスへの応用
現状では、VRヘッドセットはゲームの分野で特に注目されていますが、今後はビジネスの分野にも活用が期待されています。
Google社も出資している米国のAltspaceVR社は、「ソーシャルVR」と銘を打ち、世界中のどこからでも同じバーチャル空間に集まって一緒に映画やスポーツを観たり、会議や講義に参加することができるサービスを提供しています。
海外など離れた場所のメンバーとのテレビ会議は、現在もスカイプなどを通じて広く行われています。今後VRヘッドセットが普及してくると、遠隔地との会議はVR空間でのヴァーチャル会議が主流になってくるかもしれません。
さらに化石燃料の埋蔵量は年々少なくなっていることから、移動にかかる経費が今後さらに高騰してくるかもしれません。その結果、「出勤」という概念自体が現実の移動からヴァーチャルでの移動に変わってくる可能性があります。
ネットワークが発達している中で、近年では一部の業務で在宅勤務を認める会社も増えてきています。自宅のデスクに座りVRヘッドセットをかぶるだけでVR空間にあるオフィスのデスクに座れるようになれば、毎朝の辛い満員電車や無駄に長い通勤時間から解放されるのではないでしょうか。
社員がオフィスにいるのと同じような状態で自宅で働けるようになれば、社員側だけでなく会社側にとっても、通勤費が抑えられるというメリットがあります。
近い将来、VRオフィスにヴァーチャル出勤が普通になる時代が来るかもしれません。