• MVNOとはどんな仕組み?買い方から使い方まで、格安SIM入門

    公開日:2016年07月03日 最終更新日:2021年01月26日

    目次

    ますます私たちの生活になくてはならない存在となってきているスマートフォンですが、フィーチャーフォン(従来型の携帯電話)の頃と比べて通信料が割高になっているという悩みの声も多く聞こえてきます。そこで最近注目を集めているのが、MVNOが提供する「格安SIM」という存在です。

    今回は、格安SIMが気になってはいるけれどいまいち得体が知れない気がする方や、設定が難しそうで踏み切れない方へ、MVNOの仕組みからSIMカードの基本の選び方までをご紹介したいと思います。

    1. MVNOとは?

    MVNO(Mobile Virtual Network Operator)は、日本語では仮想移動体通信事業者」と呼ばれています。なお一般的に携帯キャリアと呼ばれているドコモやau、ソフトバンクなどはMNO(Mobile Network Operator)というカテゴリで、日本語では「移動体通信事業者」と呼ばれています。

    MNOとMVNOの違いは、「無線通信回線設備(通信インフラ)を自社で持っている」「自社で持っていない」かという点です。MNOから通信インフラを一部借り受けて、独自のサービスを加えて提供しているのがMVNOなのです。

    MVNOの存在は意外に古く「日本通信株式会社」(主要商品:b-mobile)が2001年10月から「DDIポケット」(現在のY!mobile)のPHS網を借りてサービスをスタートさせたのが始まりで、すでに15年の歴史があります。

    昨今のスマートフォンの普及により通信料が高額だと感じたり携帯型の通信端末を複数台持つ人が増えたことから、維持費の安いMVNOはデジタルガジェット好きを中心に密かに注目を集めていました。

    そんな状況のところ、MNOが回線の貸し出し料金を引き下げたり、総務省が普及に力を入れたりしたことで、一気にMVNOへ参入する事業者が増加。今では事業者数もサービスのバリエーション数も、MNO以上に多彩かつ幅広いラインナップに進化しています。

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    2. SIMカードとは?

    最近よく名前を聴く聞くようになった「SIM」ですが、そもそもどういうものなのかというと「携帯電話端末に挿し込んで使う小さいチップ」のことです。

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    そのチップには電話番号などの基本的な契約情報が載っており、挿し込むことではじめて通信ネットワークに接続できるようになるのです。

    大手携帯キャリアで契約するとお店の方がSIMの挿し替えもしてくれますが、ほとんどのMVNOではSIMの挿し替えをユーザーが自分で行う必要があります。

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    3. MVNOのSIMはどこで買えるの?

    MVNOのSIMは、大きく次のような方法で買うことができます。

    ・MVNO事業者の公式通販
    ・Amazonや家電量販店などのネット通販
    ・家電量販店の店頭

    特に設定に自信がない方は、家電量販店店頭での購入がおすすめです。
    店舗によっては売り場に専用のカウンターが併設されており、店員さんに質問したり、どうしても分からない場合は設定してもらうことができる場所もあります。

    店頭で購入することが難しくネットで購入した場合も、説明書に分からないところがあれば専用のカスタマーサポートセンターに電話すると丁寧に対応してもらえます。店頭で購入した場合も、専用のカウンターがない場合は電話で質問しましょう。

    なおこのほかにも開設には電話が必要な場合があるため、固定電話がない場合は古い契約を切らずに置いておくなど注意して下さい。

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    4. SIMはどのサイズを買えばいいの?

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    SIMには、大きい方から次の3つの種類があります。

    ・標準サイズのSIM
    ・micro SIM
    ・nano SIM

    サイズが違っていれば利用できないので、SIMを挿す予定のスマートフォンがどのサイズに適合しているかよく確認してから購入するようにしましょう。
    適合サイズは端末の説明書などで確認できるほか、製造メーカーや携帯キャリアのホームページなどで確認することができます。

    ただ機種変更した場合や万一うっかり間違えてしまったという場合は、小は大を兼ねる方法があります。

    一番小さいnano SIMはmicro SIMや標準SIMに、中間サイズのmicro SIMは標準SIMに、サイズを合わせるためのアダプターがネット通販などで販売されています。(micro SDにアダプターを付けたら標準SDカードのリーダーで読めるのと同じイメージです)

    アダプターはシンプルなプラスチック製の枠で、筆者も実用していたことがあります。数百円で購入できるので、SIMが小さすぎて困った場合は思い出してみて下さい。

    なお標準SIMをくり抜いてmicro SIMにするカッターも売られていますが、カット中にSIMが割れたという報告が多くあるようですので、カッターを買うよりは諦めてSIM自体を買い直すことをおすすめします。

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    5. 買ってきたSIMはどこにセットするの?

    SIMをセットする場所である「SIMスロット」の場所は、機種によって異なります。背面の蓋を外して電池が交換できるタイプは蓋を外した中に、外せないタイプの場合は側面にSDカードなどと同じように差し込むタイプが多いようです。

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    図の左は、蓋が外れるタイプのスマホ(F-03D)にmicro SIMが入っているところです。電池を外した内側に隠れていることが多いようです。

    右は、蓋が外れないタイプのスマホ(SO-02G)にnano SIMが入っているところです。

    差し込み口が分からない場合は、説明書に書いてあります。説明書をなくしたという場合は「(型番) 説明書」でgoogle検索すると、国内で発売されているものならほぼ全て電子版の説明書を見つけることができます。

    それでも分からない場合は「(型番) SIMスロット」で検索してみて下さい。同機種を使用している方が、ブログ等に情報を載せてくれているかもしれません。

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    6. どのプランを選べばいいの?

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    MVNOのプランには、大きく分けて次の2種類があります。

    ・音声通話SIM
    ・データ通信SIM

    さらにデータ通信SIMには「SMSサービス付き」「付いていない」ものがあります。
    この3種類は、最初に異なるタイプを購入すると後からプラン変更ができません。SIMを購入する前にどのタイプのSIMが必要か考えておくことが大切です。

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    6.1 音声通話SIM

    データ通信と音声通話ができるSIMです。またSMSもほとんどのプランで使用可能です。
    携帯キャリアのパックプランと同様に、「090」や「080」などの電話番号を持ち、ほぼ同じ使用感で使うことができます。MNP(他社に乗り換える際にこれまで使っていた電話番号を引き継ぐ)の利用も、転入/転出共に可能です。

    デメリットとしては、携帯キャリア特有のサービス(キャリアドメインのメール、ケータイ決済など)が利用できないことが挙げられます。特にキャリアのメールアドレスしか登録を受け付けないというサイトは、未だ少数ですが存在するようです。

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    6.2 データ通信SIM

    データ通信のみ行えるSIMです。通話可能なスマートフォンに挿し込んでも、インターネット接続を利用するメールやブラウジング、アプリの利用のみで、通常の音声通話を行うことはできません。(スカイプなどのアプリを用いた通話サービスは利用可能)

    従来型携帯電話との2台持ちの場合や、SIMフリーモデルのタブレット端末などを持っている場合におすすめです。通信速度を重視しない場合、使い放題が月額500円未満にまで維持費を抑えられることも。

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    6.3 データ通信SIM(SMS付き)

    上記データ通信SIMの機能に、SMS(ショートメール)を送信する機能を追加したものです。
    データ通信SIMの料金に加えて毎月300円程度の追加費用が発生しますが、LINEやFacebookなど一部アプリにはアカウント開設にSMS認証が必要な場合があります。使う予定のアプリがSMS認証必須かを確認して、付けるかどうか決定することをおすすめします。

    なお従来型携帯電話などと併用する場合は、アカウントを使用する端末と認証を行う端末が違っていても利用可能な場合もあります。ただし1番号につき1アカウントの認証しかできない場合が多いため、すでに使用済だと使うことができないのでご注意下さい。

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    7. どの端末を選べばいいの?

    SIMカードのスロットさえあれば、どの端末でも使えるというわけではありません。
    「SIMフリー端末」と銘打ってあるものを買えばほぼ問題ありませんが、携帯キャリアで購入したスマートフォンなどには他社のSIMでは使えないように「SIMロック」がかけられている場合があり、その場合は異なるMNO(携帯キャリア)から通信網を借りているMVNOのSIMは、使うことができないのです。

    たとえばドコモから通信網を借りている「b-mobile」はauから発売された端末では使用できず、auから通信網を借りている「UQ mobile」は、ドコモから発売された端末では使用できません。機械としての型番が全く同じ機種でも、ロックをかけている携帯キャリアが異なっていれば、使えるものと使えないものがあるのです。

    なおMVNOの中には、「mineo」のようにドコモ回線かau回線かを選択可能な事業者もあります。

    2015年の5月からSIMロック解除が義務化されましたが、購入から半年以上が経過していること等の制限があります。特に強い希望がない場合は、ロック解除なしで適合する機種を選択することがおすすめです。

    なおキャリア別のSIMロック解除方法や、MNOとMVNOの組み合わせ、SIMフリー端末の購入方法、MVNO比較などについては詳細を別途記事にしていますので、よろしければ関連記事をご覧下さい。

    格安SIMの仕組みと基本の選び方について、いかがでしたでしょうか。
    筆者の場合は、ドコモの従来型携帯電話とおさがりスマホ(データ通信SIM入り)の2台持ちをしていますが、今のプランにしてから合計3500円を超えた月はありません。人によりデータ通信量の違いや自宅Wi-Fi環境の有無などあるため一概にはいえませんが、キャリアの手厚いサポートがなくなる代わりにほとんどのケースで通信料の削減につながると思います。

    「格安」と聞くとどうしても質が悪かったり粗削りなイメージがついてきますが、MVNOは15年の歴史の中でサービスもかなり洗練されてきています。気になっていたけどいまいち踏み切れなかったという方は、これを機会に検討されてみてはいかがでしょうか。

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