本記事では、基本情報技術者試験の難易度を、合格率や他試験との比較でご紹介します。また実際に合格したときの勉強時間など体験談もございますので、ぜひご覧ください。
基本情報技術者試験とはどういった試験なのか詳しく知りたい方や、勉強方法や参考書などについて知りたい方は、次の記事も合わせてご確認ください。
1. 基本情報技術者試験の受験者数と合格率の推移
基本情報技術者試験は、平成21年度と、令和2年度、そして令和5年度に、試験制度の変更が行われています。それぞれの期間中の平均合格率は、次の通りです。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
平成21年度春期
~令和元年度秋期 |
1,256,000人 | 318,810人 | 25.4% |
令和2年度10月
~令和4年度下期 |
239,855人 | 98,183人 | 40.9% |
令和2年度より感染症対策のため、会場試験からCBT試験に変更されました。
そこで合格率が約25%から40%に急増しています。
さらに令和5年度より試験科目が改訂され、いつでも受験が可能になりました。
現行の試験制度になってからの合格率の推移は、次の通りです。
令和5年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和5年4月実施分 | 10,513人 | 5,928人 | 56.4% |
令和5年5月実施分 | 9,724人 | 5,322人 | 54.7% |
令和5年6月実施分 | 9,141人 | 4,802人 | 52.5% |
令和5年7月実施分 | 9,506人 | 4,712人 | 49.6% |
令和5年8月実施分 | 7,812人 | 3,779人 | 48.4% |
令和5年9月実施分 | 9,523人 | 4,542人 | 47.7% |
令和5年10月実施分 | 12,361人 | 5,235人 | 42.4% |
令和5年11月実施分 | 9,974人 | 4,472人 | 44.8% |
令和5年12月実施分 | 10,919人 | 4,556人 | 41.7% |
令和5年1月実施分 | 8,526人 | 3,737人 | 43.8% |
令和5年2月実施分 | 9,801人 | 4,390人 | 44.8% |
令和5年3月実施分 | 13,811人 | 5,803人 | 42.0% |
令和5年度合計 | 121,611人 | 57,278人 | 47.1% |
このように、現行の試験制度となった直後は50%を超える高い合格率でした。現在は徐々に下がってきており、R6年度は平均42%程度に落ち着いています。
それでも以前の会場試験に比べ、CBT試験への移行後は難易度が下がっていると考えられます。
令和6年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和6年4月実施分 | 10,394人 | 4,235人 | 40.7% |
令和6年5月実施分 | 9,132人 | 4,137人 | 45.3% |
令和6年6月実施分 | 10,435人 | 4,467人 | 42.8% |
令和6年7月実施分 | 9,296人 | 3,877人 | 41.7% |
令和6年8月実施分 | 9,950人 | 4,379人 | 44.0% |
令和6年9月実施分 | 11,570人 | 4,788人 | 41.4% |
令和6年10月実施分 | 12,716人 | 4,990人 | 39.2% |
令和6年度10月までの合計 | 73,493人 | 30,873人 | 42.0% |
なお基本情報技術者試験の申込方法などについては、次の記事で詳しくご紹介しています。
2. 基本情報技術者試験の難易度と勉強時間
基本情報技術者試験は、経済産業省が認定している情報処理技術者試験の一区分です。
情報処理技術者試験には次のような難易度の区分があり、基本情報技術者試験は「レベル2」に設定されています。
難易度 | 試験区分 |
---|---|
レベル1 | ITパスポート試験 |
レベル2 | 基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント試験 |
レベル3 | 応用情報技術者試験 |
レベル4 | 9種類の高度試験
(プロジェクトマネージャ試験、ネットワークスペシャリスト試験、情報処理安全確保支援士試験など) |
なおこの「レベル2」に相当する他のIT関連資格には、次のようなものがあります。
これが実際に受験者にとってどのぐらいの難易度に感じるのか、情報系の学習未経験者の方と経験者の方に分けて、詳しく解説します。
2.1 情報系未経験者の方には少し難しい
難易度はやや高めですが、情報系の勉強が未経験の方でも独学での合格が可能です。 筆者が新人SEの頃、基本情報未合格の同期全員で春期試験を受験しましたが、情報系以外の学科出身者のうち約半数が合格しました。(形式は会場試験のころ。期間1か月、定時後の自習時間と休日に勉強)
ただしこのケースは、SEになるほど情報系に興味を持っていたメンバーの数字になります。情報系の知識が全くないという方は、3か月~半年以上の勉強時間が必要になるケースが多いようです。
その場合は、手始めにITパスポート試験を受験してみることもおすすめです。ストラテジ系やマネジメント系などはITパスポートの知識がほぼ流用できます。テクノロジ系についてはより深い知識や応用力が必要になりますが、基本情報合格への準備運動に適した内容となっています。
なお、これから情報処理技術者試験に合格してITエンジニアを目指しているという方には、弊社が運営する就職支援付きの無料プログラミングスクール「プログラマカレッジ」もおすすめです!
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2.2 情報系の勉強をしている方は技術系以外の分野に注意
テクノロジ系については簡単といえる内容ですが、ストラテジ系やマネジメント系などは情報系の学校でも学ばない場合が多いため注意して下さい。
会場試験の時代ですが、筆者が新人SEの頃同期全員で受験した際には、期間約1か月・定時後と休日の学習で、情報系学科出身者は全員合格しました。就職活動に有効であることから学生のうちに取得する方も多い資格ですので、積極的にチャレンジしてみて下さい。
なお勉強方法については、次の記事で詳しくご紹介しています。
3. どんな問題が出題されるのか
旧午前試験(科目A試験とほぼ同内容)の過去問から、8問抜粋してご紹介します。詳細な解説は省略していますが、試験の力試しとイメージ作りにご利用下さい。
【問1】(H24春期 問1)
次の10進小数のうち、8進数に変換したときに有限小数になるものはどれか。
ア:0.3 イ:0.4 ウ:0.5 エ:0.8
【問2】(H27春期 問5)
キューに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア:最後に格納されたデータが最初に取り出される。
イ:最初に格納されたデータが最初に取り出される。
ウ:添字を用いて特定のデータを参照する。
エ:二つ以上のポインタを用いてデータの階層関係を表現する。
【問3】(H25春期 問15)
MTBFが45時間でMTTRが5時間の装置がある。この装置を二つ直列に接続したシステムの稼働率は幾らか。
ア:0.81 イ:0.90 ウ:0.95 エ:0.99
【問4】(H27秋期 問33)
IPv4にはなく、IPv6で追加・変更された仕様はどれか。
ア:アドレス空間として128ビットを割り当てた。
イ:サブネットマスクの導入によって,アドレス空間の有効利用を図った。
ウ:ネットワークアドレスとサブネットマスクの対によってIPアドレスを表現した。
エ:プライベートアドレスの導入によって,IPアドレスの有効利用を図った。
【問5】(H28春期 問39)
公開鍵暗号方式を採用した電子商取引において、認証局(CA)の役割はどれか。
ア:取引当事者間で共有する秘密鍵を管理する。
イ:取引当事者の公開鍵に対するディジタル証明書を発行する。
ウ:取引当事者のディジタル署名を管理する。
エ:取引当事者のパスワードを管理する。
【問6】(H21秋期 問52)
あるシステムを開発するための工数を見積もったところ150人月であった。現在までの投入工数は60人月で、出来高は全体の3割であり、進捗に遅れが生じている。今後も同じ生産性が続くと想定したとき、このシステムの開発を完了させるためには何人月の工数が超過するか。
ア:50 イ:90 ウ:105 エ:140
【問7】(H22春期 問66)
要件定義の段階で行う作業はどれか。
ア:新たに構築する業務とシステムの仕様を明確化し、システム化範囲を明示する。
イ:顧客が記述したニーズに合ったソフトウェアを開発する。
ウ:事業の目的、目標を達成するために必要なシステム化の方針を立案する。
エ:ソフトウェア製品の運用及び利用者に対する運用支援を行う。
【問8】(H26春秋期 問79)
著作権法によるソフトウェアの保護範囲に関する記述のうち、適切なものはどれか。
ア:アプリケーションプログラムは著作権法によって保護されるが、OSなどの基本プログラムは権利の対価がハードウェアの料金に含まれるので、保護されない。
イ:アルゴリズムやプログラム言語は、著作権法によって保護される。
ウ:アルゴリズムを記述した文書は著作権法で保護されるが、プログラムは保護されない。
エ:ソースプログラムとオブジェクトプログラムの両方とも著作権法によって保護される。
【解答】
問1:ウ、問2:イ、問3:ア、問4:ア、問5:イ、問6:ア、問7:ア、問8:エ
4. 基本情報はITエンジニアのスタート地点
基本情報技術者試験の対象者像は「高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者(IPA公式より引用)」とされており、ITエンジニアとしてのキャリアのスタートラインに位置づけられた試験です。これからITエンジニアを目指す方はITパスポート試験に留まらず、ぜひ基本情報技術者までの取得を目標としてみて下さい。
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