初めて統合開発環境(IDE)であるEclipseを使用したときに、私がまず戸惑ったのは「コンパイル」という名前の機能がない!という点でした。学校では「プログラムをコンパイルして実行ファイルを作る」と習ったのに、統合開発環境で実行ファイルを作るのは「ビルド」という機能であり、どう違うのかと混乱した覚えがあります。
そこで今回は、ビルドとコンパイルの違いから始まり、ビルドの仕組みを解説していきたいと思います。
目次
1.1 ビルドとは
1.2 コンパイルとの違い
1.3 コンパイルとは
2.1 各ソースコードの静的解析を行う
2.2 プリプロセッサで前処理を行う
2.3 各ソースコードのコンパイルを行う
2.4 各オブジェクトファイルとライブラリをリンクする
1.ビルドとは?
1.1 ビルドとは
ビルドとは、おおまかに言うと「ソースコードに問題(バグ)がないか解析を行い、問題がなければ実行できる形のファイルに変換し、組み立てること」です。ただしお使いの開発環境によって、少し内容が異なっている場もあります。
1.2 コンパイルとの違い
上記の説明を聞いて、それはコンパイルではないか?と思う方もいるかもしれません。こちらもごく簡単に表すと、コンパイルはビルド作業の中に含まれる作業の一段階です。
1.3 コンパイルとは
コンパイルとは英語で翻訳という意味であり、ソースコードを人間が読んで分かりやすいプログラミング言語から機械が読んで分かりやすい機械語に翻訳を行うことを指します。しかし単にソースコード翻訳しただけでは複雑なプログラムは動かないため、必要な付帯ファイルのセットなどをビルドで行う必要があるのです。詳しくは次の項の中で解説していきたいと思います。
2.ビルドの仕組みと流れ
ビルドの中で行われている処理の流れは、次のような図に表すことができます。
2.1 各ソースコードの静的解析を行う
ビルドを開始すると、まずソースの静的解析を行います。この静的解析では文法や構文の誤りを検出する、つまりバグを見つけるための処理が行われます。バグがあった場合はここで処理がストップし、コンパイルには進まずバグの検出箇所をお知らせして終わります。
2.2 プリプロセッサで前処理を行う
ソースコードに誤りが見つからなかったら、次は「プリプロセッサ」でコンパイルのための前処理を行います。前処理では、定数の数値への置き換えやコメントの削除、マクロの展開などが行われます。
なおこの前処理は、行う言語と行わない言語があります。プリプロセッサを用いる言語には、代表的なものとしてC言語やCOBOLなどが挙げられます。
なお逆に、通常であれば用いなくても問題ない言語であってもプリプロセッサを使用することは可能です。例えばJavaでは通常プリプロセッサは用いませんが、かつてファイルサイズの圧縮などを目的として、Java用のプリプロセッサが一部で用いられることもあったようです。
2.3 各ソースコードのコンパイルを行う
前処理が終わったら、次は「コンパイラ」でコンパイルが行われます。前述の通りコンパイルとは英語で「翻訳」という意味であり、ここで人間が書いたソースコードを機械が読んで分かりやすい言語で書かれたオブジェクトファイル(.oや.objなど)に変換します。
2.4 各オブジェクトファイルとライブラリをリンクする
コンパイルが終わったら、最後に「リンカ」で各オブジェクトファイルやライブラリのリンクが行われます。全ての部品をリンクすることで、最終的に「実行ファイル」が完成します。
3.ビルドの仕組み理解でデバッグ効率アップ
いつも何気なく押しているビルドボタンの向こう側で何が行われているのか知っておくと、エラーが出た際に原因を特定しやすいなど便利なことが多々あります。この機会に、ぜひビルドの仕組みを覚えておいて下さいね。
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