本記事では、Ruby資格「Ruby技術者認定試験」について解説いたします。
Ruby技術者認定試験とは、エンジニアはもちろん、Rubyに関わる幅広い人々を対象とした、Ruby技術者としてのスキルを認定する試験です。
Rubyについて体系的に学ぶことができるだけでなく、自分の知識のアウトプットにもなるため、スキルの定着が図りやすくなります。
また、初心者の方であれば、ゼロからコツコツ勉強した結果、「Rubyの資格を取得できた!」という自信が、エンジニアとしてのキャリアパスを考える際の助けに繋がると言えるでしょう。
1. Ruby技術者認定試験とは
Ruby技術者認定試験は、プログラミング言語Rubyの普及活動に携わる非営利団体Ruby Associationによって運営されており、Rubyの開発者まつもとゆきひろ氏が理事長として就任されています。
試験内容は、Rubyの文法をはじめ、Ruby技術者として必要な知識や能力を証明する資格で、公式サイトでは以下のように記されています。
Ruby技術者認定試験制度は、Rubyベースのシステムを設計、開発、運用するエンジニア、Rubyでシステム提案を行うコンサルタント、Rubyを教える講師及びRubyを学ぶ学生などを対象とした認定試験制度です。認定者は、Ruby技術者としての技術力を公正に評価され、高い水準のRubyによるシステム開発能力を持つことを認定されます。
引用元:Ruby技術者認定試験|Rubyアソシエーション
2. 構成とグレード
Ruby技術者認定試験は、2007年に開始されて以来、2022年現在「Silver」「Gold」の2つのレベルの試験が実施されています。
また、開始時期は未定のようですが、「Platinum」も設立される予定となっています。
※Platinumは実施未定(2022年6月時点)
試験時間などの概要は以下の通りで、Silver、Gold共に同一の内容です。 単純計算すると、1問につき2分弱で解くことが求められます。
試験時間 | 90分 |
---|---|
問題数・合格ライン | 50問/75%以上 |
試験方式 | CBT方式(コンピュータ試験) |
2.1 Silver(試験番号RY0-100)
Silverでは、Rubyについて基本的な技術内容を問う資格となっています。 システム開発者をはじめ、これからRubyを学ぶ人や学生にとっても最適なレベルとなっています。
2.2 Gold(試験番号RY0-200)
Goldでは、Silverの内容よりさらに深い知識が問われるとともに、Rubyの標準ライブラリに関する知識、かつアプリケーション設計に必要な知識について問う資格となっています。 Rubyの実務経験者や、より実践的なスキルを身に着けたい方に向いています。
なお、Gold認定を受けるには、SilverとGoldの両方に合格する必要がありますのでご注意ください。
3. 出題範囲
3.1 Silver
Ruby技術者認定試験(Silver)の出題範囲は、以下の通りとなっています。
試験名称 | Ruby Association Certified Ruby Programmer Silver version 2.1
(試験番号RY0-100) |
---|---|
出題範囲 |
1. 文法
コメント リテラル(数値、真偽値、文字列、文字、配列、ハッシュ等) 変数/定数とスコープ 演算子 条件分岐 ループ 例外処理 メソッド呼び出し ブロック メソッド定義 クラス定義 モジュール定義 多言語対応 2. 組み込みライブラリ よく使用されるクラス、モジュール (Object、数値クラス、String、Array、Hash、Kernel、Enumerable、Comparable等) 3. オブジェクト指向 ポリモルフィズム 継承 mix-in |
3.2 Gold
Ruby技術者認定試験(Gold)の出題範囲は、以下の通りとなっています。
試験名称 | Ruby Association Certified Ruby Programmer Gold version 2.1
(試験番号RY0-200) |
---|---|
出題範囲 |
1. 実行環境
コマンドラインオプション 組み込み変数/定数 2. 文法 変数と定数 演算子 ブロック 例外処理 大域脱出 キーワード引数 ラムダ式(->) 3. 組み込みライブラリ よく使用されるクラス、モジュール (Object、Module、Kernel、Enumerable、Comparable等) 数値 正規表現 4. 標準添付ライブラリ よく使用されるライブラリ(socket、date、stringio等) 5. オブジェクト指向 メソッドの詳細 メソッドの可視性 クラスの詳細 クラスの継承 モジュールの詳細 |
4. 難易度・合格率
Ruby技術者認定試験の合格率、および合格者数は、公開されていません。
しかし、これから受験しようとされている方にとっては、試験の難易度が気になるところだと思います。他の試験と比較してRuby技術者認定試験の合格率を考えてみたいと思います。
4.1 難易度はITスキル標準レベル1~2
特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会が公開している、「ITSSキャリアフレームワークと認定試験・資格の関係(ISV Map Ver11r2)」によると、Ruby技術者認定試験は
• Silver→最もエントリーレベルとされる「レベル1」
• Gold→「レベル2」
とされています。
出典:ITSSのキャリアフレームワークと認定試験・資格とのマップ Ver11r2| 特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会
このマップは全4レベルから構成されており、レベルの数字だけを見ると、比較的初心者からチャレンジできる試験であることが読み取れます。
4.2 合格率
上記のマップでは、Silverと同じ「レベル1」にあたる資格として、PHP技術者認定試験の「PHP初級」が挙げられています。
また、Goldと同じ「レベル2」としてAndroidアプリケーションベーシックが挙げられており、その合格率は2015年時点で44.6%と発表されています。
出典:平均点と合格率を一挙公開|Authorized Certification of Engineer for Android
レベル | Ruby技術者認定試験 | レベル相当 他資格 |
---|---|---|
レベル1 | Silver | PHP初級 |
レベル2 | Gold |
Androidアプリケーションベーシック(合格率44.6%/2015年)
基本情報技術者(合格率28.5%/2019年度) |
参考までに、IPAが主催する情報処理技術者試験の基本情報技術者はレベル2となっており、合格率は上記のとおりです。
上記の結果から、Silverの難易度は、全く歯が立たないレベルではないことが推測できます。
Goldに関しては、実務経験者などRubyについて深い知識が必要となりそうです。国家試験は出題傾向が異なるので一概には比較できませんが、合格率が28.5%である基本情報処理技術者試験は数値こそ低いものの、ITエンジニアにとっては登竜門とされる試験であり、しっかりと対策を行えば独学でも合格できる試験だと言われています。
このことから、Ruby技術者認定試験は、後述する公式本をはじめ、Rubyの基礎からきちんと段階を踏んで学習していくことで、初心者からでも十分合格が狙える試験であると言えるでしょう。
5. 参考書
5.1 Ruby技術者認定試験合格教本
『Ruby技術者認定試験合格教本(Silver/Gold対応)Ruby公式資格教科書』
第1章 Ruby技術者認定試験概要
第2章 実行環境
第3章 文法
第4章 オブジェクト指向
第5章 組み込みクラス
第6章 添付ライブラリ
第7章 Ruby技術者認定試験Silver演習問題
第8章 Ruby技術者認定試験Gold演習問題
Silver/Gold対応のRuby公式資格教科書(テキスト)です。各章の最初のページに、それぞれの単元がSilverかGoldどちらの範囲であるかが記載されています。模擬試験、および演習問題で試験前の腕試しが可能です。
出典:Amazon
5.2 たのしいRuby第6版
『たのしいRuby第6版』
第1部 Rubyをはじめよう
第2部 基礎を学ぼう
第3部 クラスを使おう
第4部 ツールを作ってみよう
Rubyの開発者まつもとゆきひろ氏監修で、定評あるRuby入門書となっています。
解説中に出てくるサンプルコードを実際に動かしてみる、また章末にある練習問題を解くことで、PCで実際にRubyの実行結果を確かめながら理解することができます。
この本が少々難しく感じられる方は、もう少し易しめの入門書からスタートしてみると良いでしょう。
出典:Amazon
6. 受験料と支払い方法
6.1 受験料
受験料は、以下のとおりでSilver、Goldともに同一料金となっています。
Ruby技術者認定試験では、学生を対象とした学割制度があります。
※2022年6月現在、Platinumは未実施
レベル | 受験料 | 受験料(学割) |
---|---|---|
Silver/Gold | 16,500円(税込) | 8,250円(税込) |
6.2 支払い方法
受験料の支払い方法は、4通り(クレジットカード決済・コンビニエンスストア決済・Pay-easy払い・受験チケット(バウチャー))から選ぶことができます。
7. 受験スケジュール
申し込み受付期間 | 随時 |
---|---|
試験日 | 随時(試験会場による) |
試験会場 | 全国のプロメトリック試験会場【詳細はこちら】 |
合格発表 | 試験日 即日 |
7.1 申し込み受付期間
申し込みは、プロメトリックのホームページ上から随時可能です。
7.2 試験日と試験会場
試験日と試験会場は、自分の都合に合わせて指定することができます。試験会場によって開催日が異なりますので、事前に確認することが必要です。
▶ 詳細はこちら
7.3 申し込み方法
申し込みには、プロメトリックIDが必要となります。
プロメトリックのサイトからユーザー登録を行い、ログインしてマイページ上から試験の申込を行います。
7.4 試験当日に持参するもの
試験当日持参するものは、顔写真付の身分証明書を含む2点の提示が必要です。
(1)運転免許証、パスポート、社員証、個人番号カード、住民基本台帳カードから1点(顔写真付)
(2)A:クレジットカード、パスポート、公立図書館・公的な施設利用者カードから1点
または
(2)B:健康保険証、健康保険カード、交付から3か月以内の住民票から1点
※(1)から1点 +(2)Aグループ または(2)Bグループから1点
7.5 合格発表と合格証書
合格発表は、試験日に即日スコアシートとともに結果がわかります。
認定者には、合格証書が2種類発行されます。電子証書は2週間以内に登録されたEメールアドレス宛に、紙面での証書は約1か月で登録された住所へ送付されます。
8. まとめ
Ruby技術者認定試験は、Rubyエンジニアのみならず、Ruby言語に関わる全ての人がチャレンジできる試験です。
「たのしいプログラミング」の実現を目指して作られたRubyの歴史は早くも27年を迎えましたが、今もなおWeb開発の主要言語としても急成長を続けています。今後も多くの需要が見込まれているRubyを学び、スキルアップとして、Ruby技術者認定試験を受験されてみてはいかがでしょうか。
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