この記事では、Rubyの資格「Ruby技術者認定試験」について、難易度、勉強法、おすすめの参考書まで徹底解説します。あなたのRubyエンジニアとしてのキャリアアップを支援いたしますので、ぜひご覧ください。
1. Ruby技術者認定試験とは
Ruby技術者認定試験は、プログラミング言語Rubyの普及活動に携わる非営利団体Ruby Associationによって、2007年より運営されています。Ruby Associationの理事長は、Rubyの開発者でもある「まつもとゆきひろ氏」です。
試験ではRubyの文法をはじめ、Ruby技術者として必要な知識や能力が問われます。試験の対象や認定内容について、公式サイトでは以下のように記されています。
Ruby技術者認定試験制度は、Rubyベースのシステムを設計、開発、運用するエンジニア、Rubyでシステム提案を行うコンサルタント、Rubyを教える講師及びRubyを学ぶ学生などを対象とした認定試験制度です。認定者は、Ruby技術者としての技術力を公正に評価され、高い水準のRubyによるシステム開発能力を持つことを認定されます。
引用元:Ruby技術者認定試験|Rubyアソシエーション
2. Ruby技術者認定試験のグレードは3つ
Ruby技術者認定試験には、「Silver」「Gold」の2つのレベルの試験があります。
それぞれの正式名称は、次の通りです。
Silver | Ruby Association Certified Ruby Programmer Silver version 3: |
---|---|
Gold | Ruby Association Certified Ruby Programmer Gold version 3: |
2025年8月現在の試験の対象バージョンは、「Ruby 3.1.x」です。
試験時間などの概要は以下の通りで、Silver、Gold共に同一の内容です。
単純計算すると、1問につき2分弱で解くことが求められます。
試験時間 | 90分 |
---|---|
問題数・合格ライン | 50問/75%以上 |
試験方式 | CBT方式(コンピュータ試験) |
2.1 Silver(試験番号RY0-101)
Silverでは、Rubyについて基本的な技術内容が問われます。
システム開発者をはじめ、これからRubyを学ぶ人や学生にとっても最適なレベルとなっています。
2.2 Gold(試験番号RY0-201)
Goldでは、Silverの内容よりさらに深い知識が問われるとともに、Rubyの標準ライブラリに関する知識、かつアプリケーション設計に必要な知識が問われます。
Rubyの実務経験者や、より実践的なスキルを身に着けたい方におすすめです。
なお、Gold認定を受けるには、SilverとGoldの両方に合格する必要がありますのでご注意ください。
3. Ruby技術者認定試験の出題範囲【Silver/Gold別】
3.1 Silver
Ruby技術者認定試験(Silver)の出題範囲は、以下の通りとなっています。
試験名称 | Ruby Association Certified Ruby Programmer Silver Version 3
(試験番号RY0-101) |
---|---|
出題範囲 |
1. 文法
・コメント ・リテラル(数値、真偽値、文字列、文字、配列、ハッシュ等) ・変数/定数とスコープ ・演算子 ・条件分岐 ・ループ ・例外処理 ・メソッド呼び出し ・ブロック ・メソッド定義 ・クラス定義 ・モジュール定義 ・キーワード引数 2. 組み込みライブラリ ・よく使用されるクラス、モジュール (Object、数値クラス、String、Array、Hash、Kernel、Enumerable、Comparable等) 3. オブジェクト指向 ・ポリモルフィズム ・継承 ・mix-in |
3.2 Gold
Ruby技術者認定試験(Gold)の出題範囲は、以下の通りとなっています。
試験名称 | Ruby Association Certified Ruby Programmer Gold version 3:
(試験番号RY0-201) |
---|---|
出題範囲 |
1. 実行環境
・組み込み変数/定数 2. 文法 ・リテラル ・変数と定数 ・演算子 ・ブロック ・例外処理 ・大域脱出 ・キーワード引数 ・ナンバードパラメータ ・ラムダ式(->) ・パターンマッチ ・ヒアドキュメント 3. オブジェクト指向 ・メソッドの詳細 ・メソッドの可視性 ・クラスの詳細 ・クラスの継承 ・モジュールの詳細 ・Module#prepend ・Refinements 4. メタプログラミング ・eval、define_method、instance_variable_get 等 5. 組み込みライブラリ ・よく使用されるクラス、モジュール (Object、Module、Kernel、Enumerable、Comparable等) ・数値 ・正規表現 ・Proc ・Enumerator 6. 標準添付ライブラリ ・time、date、singleton、forwardable 等 |
4. Ruby技術者認定試験対策の難易度・合格率
Ruby技術者認定試験の合格率、および合格者数は、公開されていません。
しかし、これから受験しようとされている方にとっては、試験の難易度が気になるところだと思います。他の試験と比較してRuby技術者認定試験の合格率を考えてみたいと思います。
4.1 難易度はITスキル標準レベル1~2
特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会が公開している、「ITSSキャリアフレームワークと認定試験・資格の関係(ISV Map Ver11r2)」によると、Ruby技術者認定試験は
• Silver→最もエントリーレベルとされる「レベル1」
• Gold→「レベル2」
とされています。
出典:ITSSのキャリアフレームワークと認定試験・資格とのマップ Ver11r2| 特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会
このマップは全4レベルから構成されており、レベルの数字だけを見ると、比較的初心者からチャレンジできる試験であることが読み取れます。
4.2 合格率
上記のマップでは、Silverと同じ「レベル1」にあたる資格として、PHP技術者認定試験の「PHP初級」が挙げられています。
また、Goldと同じ「レベル2」としてAndroidアプリケーションベーシックが挙げられており、その合格率は2015年時点で44.6%と発表されています。
出典:平均点と合格率を一挙公開|Authorized Certification of Engineer for Android
レベル | Ruby技術者認定試験 | レベル相当 他資格 |
---|---|---|
レベル1 | Silver | PHP初級、旧ITパスポート試験(参考) |
レベル2 | Gold |
Androidアプリケーションベーシック(合格率44.6%/2015年)
基本情報技術者(合格率28.5%/2019年度、47.1%/2023年度) |
参考までに、IPAが主催する情報処理技術者試験の基本情報技術者はレベル2となっており、合格率は上記のとおりです。令和2年度より会場試験からCBT方式に移行し、合格率が大幅に上がりました。
上記のことから、Silverの難易度は、全く歯が立たないレベルではないことが推測できます。
Goldに関しては、実務経験者などRubyについて深い知識が必要となりそうです。国家試験は出題傾向が異なるので一概には比較できませんが、移行前は合格率が28.5%だった基本情報処理技術者試験は数値こそ低いものの、ITエンジニアにとっては登竜門とされる試験であり、しっかりと対策を行えば独学でも合格できる試験だと言われています。
このことから、Ruby技術者認定試験は、後述する公式本をはじめ、Rubyの基礎からきちんと段階を踏んで学習していくことで、初心者からでも十分合格が狙える試験であると言えるでしょう。
5. Ruby技術者認定試験対策におすすめ参考書3選【レベル別】
5.1 最短突破 Ruby技術者認定試験(Silver/Gold対応) 公式テキスト
【著者名】牧俊男・小川伸一郎(著)、一般財団法人Rubyアソシエーション 前田修吾(監修)
【出版元】技術評論社
【出版日】2024年6月26日
【サイズ】A5
【ページ】552P
【価 格】3,960円(税込)
出典:技術評論社
Silver/Gold対応のRuby公式資格教科書(テキスト)です。Rubyの開発環境づくりから始まり、基礎の文法、オブジェクト指向、ライブラリの使い方まで、試験対策のためでなくてもこれからRubyを学ぶ方にも役立つ一冊となっています。
試験対策としてもSilver試験、Gold試験それぞれに準拠した練習問題(各30問)および模擬試験(各50問)が付属しており、試験を受ける方は必ず読んでおくべき一冊です。
5.2 たのしいRuby第6版
【著者名】高橋征義・後藤裕蔵(著)、まつもとゆきひろ(監修)
【出版元】SBクリエイティブ
【出版日】2019年3月16日
【サイズ】A5
【ページ】528P
【価 格】2,860円(税込)
出典:SBクリエイティブ
Rubyの開発者まつもとゆきひろ氏監修で、第1版発行から20年以上続く定番のRuby入門書です。チュートリアルから始まり、基礎から実践へと一通りの知識が網羅されています。
ただし「プログラミング初心者でも平易に解説」とありますが、オブジェクト指向など完全なプログラミング初心者には理解が難しい部分もあります。プログラミングに触れること自体が初めてという方には、次に紹介する入門書がおすすめです。
5.3 ゼロからわかる Ruby 超入門
Rubyの環境構築からとにかく丁寧に、一歩ずつ教えてくれる入門書です。図表も多く、他言語の経験がない完全な初心者の方が、初めてプログラミングを学ぶ場合にもおすすめです。
6. 受験料と支払い方法
6.1 受験料
受験料は、以下のとおりでSilver、Goldともに同一料金となっています。
Ruby技術者認定試験では、学生を対象とした学割制度があります。
レベル | 受験料 | 受験料(学割) |
---|---|---|
Silver/Gold | 16,500円(税込) | 8,250円(税込) |
6.2 支払い方法
受験料の支払い方法は、4通り(クレジットカード決済・コンビニエンスストア決済・Pay-easy払い・受験チケット(バウチャー))から選ぶことができます。
参照:Ruby技術者認定試験制度(支払方法)| プロメトリック
7. 受験スケジュール
申し込み受付期間 | 随時 |
---|---|
試験日 | 随時(試験会場による) |
試験会場 | 全国のプロメトリック試験会場【詳細はこちら】 |
合格発表 | 試験日 即日 |
7.1 申し込み受付期間
申し込みは、プロメトリックのホームページ上から随時可能です。
7.2 試験日と試験会場
試験日と試験会場は、自分の都合に合わせて指定することができます。試験会場によって開催日が異なりますので、受験を希望する試験会場へお問い合わせください。
▶ 詳細はこちら
7.3 申し込み方法
申し込みには、プロメトリックIDが必要となります。
プロメトリックのサイトからユーザー登録を行い、ログインしてマイページ上から試験の申込を行います。
7.4 試験当日に持参するもの
本人確認書類として、以下の中から1点を持参してください。
7.5 合格発表と合格証書
試験終了後、すぐに試験結果(合否)が画面に表示されます。またメールにてスコアレポートが届きます。さらに合格者には2週間以内に、登録されたメールアドレス宛に電子版認定証書が発行されます。
8. まとめ
Ruby技術者認定試験は、Rubyエンジニアのみならず、Ruby言語に関わる全ての人がチャレンジできる試験です。
「たのしいプログラミング」の実現を目指して作られたRubyの歴史は早くも30年を迎えましたが、今もなおWeb開発の主要言語としても急成長を続けています。今後も多くの需要が見込まれているRubyを学び、スキルアップとして、Ruby技術者認定試験を受験されてみてはいかがでしょうか。
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