ここ数年で急速に知名度が上がり、様々な分野で広く使われるようになったPythonですが、私たちの生活の中でどのように活用されているのでしょうか?
本記事では、Pythonの活用事例を紹介します。
実際の活用事例からPythonでできること、Pythonの得意とすることなどをみていきましょう。
1. 大注目プログラミング言語のPythonとは
PythonはAI開発のスタンダード言語として有名になり、今ではWebアプリケーション開発、IoT、分析・解析ツールなどの広い分野で利用されています。
言語的特徴としては、シンプルで文法が易しく可読性が高いことから初心者にも取り組みやすいこと、様々なOS上で動作できる移植性の高さ、C言語やC++のプログラムにPythonを埋め込むことで弱点を改善したり、機能強化が可能なことなどが挙げられます。
1.1 Pythonの強みをおさえておこう
Pythonが得意とすることはたくさんありますが、その中でも特徴的なPythonならではの強みを挙げてみます。
◆ AI開発や機械学習などに強い
他言語と比較した場合、Pythonには数値計算やデータ解析に強いライブラリが豊富にあるためAI開発や機械学習に利用されています。
◆ ライブラリ・フレームワークの豊富さ
Pythonでは、標準ライブラリをはじめとして、AI開発に必須となる数値計算・データ分析や解析のための外部ライブラリ、Webアプリケーション開発のためのWebフレームワークなどが非常に充実しており、開発のコスト削減、効率アップに役立っています。
◆ 情報を入手しやすく、学びやすい
Pythonはオープンソースのため誰でも無料でダウンロードできます。オンライン上で様々な情報を入手しやすく、開発コミュニティも充実しているため、疑問点や問題が発生した際にも調べれば解決策が見つけやすいという利点があります。
次章からは、実際にどういうサービスやシステムにPythonが活用されているかを説明していきます。
2. AI開発におけるPythonの活用事例
企業名 | Python活用事例 |
---|---|
Skyscanner | 格安航空券の検索システム |
Uber | 自動車配車ウェブサイトおよび配車サービスの提供 |
KUKA | AIを組み込んだ産業用ロボット製造 |
2.1 PythonはAI開発・機械学習に必須のプログラミング言語!
前章でも述べたように、Pythonには、機械学習ライブラリのscikit-learnや、数値計算のTensorFlowをはじめとするAI分野に特化したライブラリが充実しています。
これらのPythonをベースとしたライブラリを利用して、世界中のエンジニアや研究者たちにより機械学習やAI開発が進められています。
開発を通してAI分野に強いライブラリは日々研究されて、オープンソースソフトウェアとして公開され、研究・学習コミュニティも盛んになる、このような流れの中でPythonはAI開発に欠かせない開発言語として不動の地位を築いています。
AI開発に強いライブラリはこちらの記事でもさらに詳しく説明しています。
3. Webアプリケーション開発におけるPythonの活用事例
企業名 | Python活用事例 |
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YouTube | 世界最大の動画共有サービスサイト |
写真共有アプリケーション | |
DropBox | オンラインストレージサービスのアプリケーション |
3.1 PythonはWebアプリケーション開発にも強い!
PythonにはWebアプリケーション開発に便利なフレームワークが充実しています。
広く使われている代表的なWebフレームワークとしては、必要な機能が全て含まれたフルスタックフレームワークであるDjango、また、軽量でスピーディーな開発が実現できる小規模開発向けのマイクロフレームワークであるFlaskなどがあります。
PythonによるWebアプリケーション開発は、スピーディーさ、機能追加や変更への柔軟な対応力、品質保持などを可能にし、今日のユーザーが求める高機能・高品質のサービスに対応しています。
Webアプリケーション開発におすすめのフレームワークはこちらの記事も参考にしてみてください。
4. Pythonによるデータ分析・解析の活用事例
企業名 | Python活用事例 |
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Tableau | Pythonと連携してデータ分析・可視化を行うツール |
楽天 | ビッグデータを用いた物流戦略 |
マクロミル | マーケティングリサーチ事業 |
ぐるなび | ポータルサイト"ぐるなび" のデータ解析 |
4.1 ビッグデータにもしっかり対応!データ分析・解析が得意!
データ分析には クローリング*やスクレイピング*、データ前処理*といった工程が必要になります。
Pythonであればスクレイピングに便利なRequestsやSelenium、データ前処理にはPandasなどのライブラリを利用して、ビッグデータの分析や解析を効率よく行えます。
また、AI技術や機械学習の発展により需要が急増中のデータサイエンティストにとってもPythonのスキルを身に着けることは強みであり、データ分析の分野でもPythonの重要度が高まっています。
*クローリング:
クローラーと呼ばれるプログラムが、情報収集のためにWeb上を巡回すること。
*スクレイピング:
Webサイトからデータを抽出し、そのデータを格納・分析が可能なデータに変換する技術。
*データ前処理:
収集したデータを扱いやすいように整える一連の作業(データクレンジング、データ統合、データ変換)のこと。
5. Pythonで自動化できるタスクの事例
- ファイル管理
- Excelデータへの転記作業
- ブラウザや外部アプリとの連携操作
- テキスト読み込み書き出し
- ファイルの自動作成・結合
5.1 単調な作業はなんでも自動化!業務効率化に貢献できる
PCでやるファイル操作に関してはほぼなんでもPythonで自動化が可能であり、業務の短縮、コストカットにもつながります。
Pythonの標準ライブラリやopenpyxl、python-pptx、PyPDF2、ReportLabなどのライブラリを使えば、ExcelやPDFファイルの様々な操作を自動化できます。
6. 画像処理や画像解析でのPython活用事例
企業名 | Python活用事例 |
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Googleフォトのクラウド上での写真管理 | |
フォトクリエイト | 顔認識エンジンの"Faceee" 開発 |
ALBERT | 画像への自動タグつけ |
エルピクセル | 研究者向け画像解析システムの開発 |
6.1 画像処理や画像解析でマーケティング戦略に活かせる
Pythonであれば、画像処理や機械学習機能で有名なOpenCV(Python版)や、数値計算・解析を行うTensorFlowなどのライブラリを活用することで様々な画像処理や画像解析を可能にします。
また、顧客識別や、画像解析による商品の自動カテゴリ分け、ユーザーの嗜好にあわせた画像の表示など、マーケティングの面においても積極的に活用されています。
7. ブロックチェーン開発でのPython活用事例
企業名 | Python活用事例 |
---|---|
LINE | 仮想通貨・ブロックチェーン事業 |
OKCoin | 仮想通貨取引プラットフォーム運営 |
Kraftwerk | チケットサービス企業でのチケット転売防止 |
7.1 フィンテック業界でのブロックチェーン開発で大活躍!
Pythonは、ビットコインで知られるようになった フィンテック*業界での ブロックチェーン*開発でも注目されるようになりました。
Pythonの標準ライブラリに含まれるhashlib(ハッシュ関数)や、外部通信をするためのRequestsライブラリ、豊富な数値計算ライブラリなどを用いることでブロックチェーン開発に役立っています。
*フィンテック:
金融とテクノロジーをあわせた言葉。代表例としてビットコイン(仮想通貨)がある。
*ブロックチェーン:
ビットコインの複数の取引データ(履歴)を"ブロック" と言い、このブロックの連なりが"ブロックチェーン" であり、取引データの管理に関する技術。改ざんが難しいというメリットを生かして、株式、ローン、保険などの分野でも活用が期待されている。
8. 今後も幅広い分野での活用が期待されるPython
Pythonはオープンソースのため誰でも無料で利用でき、開発コミュニティが非常に充実しているため新しい技術や問題解決方法などの入手も簡単です。
さらに、Pythonはライブラリやフレームワークとの連携に強く、様々な分野の開発に柔軟に対応可能です。
このようなことからも、今後も広い分野での活用が期待されており、特に近年注目を集めるビッグデータの分析・解析、機械学習・ディープラーニングといった分野においてはPythonを扱えるエンジニアの需要も急増すると考えられます。
9. まとめ
上記に挙げたPythonの活用事例はほんの一例であり、Pythonを用いた開発で日々多くのサービスやシステムが新たに生み出されています。
Pythonは初心者にも学びやすいといわれていますが、関連するライブラリやフレームワークとセットで学んでいくと幅が広く奥が深い言語です。
Pythonに興味がある方であれば、Pythonで実現される技術やサービスに目を向け、"Pythonで何ができるのか、何を実現したいのか" を明確にし、必要な知識や技術を身に付けることでキャリアアップやスキルアップにつながるでしょう。