• RPAエンジニアに必要なスキルとは?仕事内容・年収・将来性まで

    公開日:2020年07月21日 最終更新日:2021年12月20日

    全業種的に人材不足が続く昨今、社員がより付加価値の高い仕事に注力するために、定型的な業務をRPAツールで自動化する需要が高まっています。
    この潮流の中で、RPAツールについての専門的知識を持つエンジニアが求められています。
    今回は、RPAエンジニアの『仕事内容』『年収』『求められるスキル』『市場動向』などについて解説していきます。

    1. RPAとは?定義・市場動向

    RPAとはロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)の略で、作業を自動化するための考え方のひとつです。

    ソフトウェアを用いたタスク自動化で、金融機関を中心に大量の定型作業が存在する業務・業種を中心に導入されています。

    たとえば三菱UFJでは、RPA導入によって2017年~2023年までに9500人相当の労働力削減を目指す計画が実施されています。

    参照元:三菱UFJフィナンシャル、RPAなどで9500人分の労働量を削減へ

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    1.1 RPAとマクロは何が違う?

    RPAには自動化の段階に応じたRPA1.0、RPA2.0、RPA3.0という考え方があります。


    • RPA1.0

    反復的な定型作業の自動化


    • RPA2.0

    AIや自然言語処理を利用した状況判断・非定型作業の自動化


    • RPA3.0

    より自律的なAIによる課題発見・戦略立案とその実行の自動化


    このうちマクロのような単純な定型作業の自動化はRPA1.0に分類されます。
    その一方で、マクロでは実現できない『状況の判断』や『非定型作業』などの自動化はRPA2.0に分類されます。
    昨今の技術革新でAIやIoTとの連携が進んだことにより、RPA2.0で対応可能な業務の幅が広がりました。

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    1.2 主なRPAツール

    多くの企業に利用されているRPAツールの中でも、とくに代表的なのが以下のふたつです。


    AI技術を組み合わせた強力な業務自動化を得意とする

    参照元:RPA ロボティック・プロセス・オートメーション


    NTTグループが開発した純国産RPAツール。操作を自動学習する

    参照元:NTTデータ

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    1.3 日本国内におけるRPAの導入事例

    東京ガスではWinActorの導入により、法人を担当する営業部およそ900名の対象業務を70%自動化し、ひとりあたり年間270時間の業務を削減しました。
    導入にあたりロボットと人の役割を明確化し、すべてをロボットに任せるのではなく、役割に応じて『ロボットと人のハイブリッド運用』を行うことで、これまで『システム化しても費用対効果がでない』と諦めていた非定型業務の自動化に成功しました。

    参照元:WinActor®導入事例【東京ガス株式会社】|NTTデータ


    また、楽天カードもWinActorを導入することで業績アップに成功しました。
    本番稼働しているシステムの保守管理を中心に、ログの抽出やデータの分析・加工業務をWinActorで自動化することで、作業工数の削減に成功しました。
    とくに『異なるファイル間の内容の転記』などをはじめとする『作業そのものは簡単でも、何百回と繰り返し行うために大きな負担となっていたタスク』は、WinActorの導入により人員的・時間的コストを大きく削減することができました。

    参照元:WinActor®導入事例【楽天カード株式会社】|NTTデータ

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    1.4 RPA市場の動向

    ミック経済研究所が2019年に行った『驚異的な拡大続くRPAソリューションの市場動向』の調査結果によると、RPA市場はここ2年間連続して前年比の200%超の成長率を見せており、2023年度まで年51.14%の成長が見込まれています。国内発のRPAツールも登場しており、NTTグループが提供するWinActorは既に1900社以上に導入が進んでいます。

    参照元:驚異的な拡大続くRPAソリューションの市場動向 2019年度版

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    2. RPAエンジニアとは?RPAエンジニアに求められるスキル

    自動化ニーズの高まりとともに導入する企業が増えていくRPAツール。
    以下では、RPAツールを専門的に扱うRPAエンジニアの仕事内容や年収、求められるスキルなどについて解説していきます。

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    2.1 RPAエンジニアとは

    RPAエンジニアとは、RPAツールによってロボットを作成し、業務自動化を行う専門的なスキルを持つ技術者のことです。

    業務自動化範囲の要件定義をして、人間が行うのと同じ挙動になるように作業自動化の設計を行ったり、実際に定型業務の自動化シナリオを制作していくのが基本的な働き方です。

    また、RPAが担う業務範囲が拡大してくると『RPAツールのロボット同士の連携』や『AI・IoTなどとの連携』も求められます。

    さらにRPAは歴史が浅く、専門的な人材がまだ少ないことから、RPAコンサルタントの業務範囲である『クライアントへの導入サポート』や『RPA導入に必要なコストの見積もり』もRPAエンジニアが一気通貫で担当するケースがあります。

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    2.2 RPAエンジニアの仕事内容

    RPAエンジニアの仕事内容は、大きく分けて以下のふたつです。


    • RPAコンサルティング
    • ロボットの構築・保守・運用

    これらについてひとつずつ紹介していきます。

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    2.2.1 RPAコンサルティング

    RPAは人間が行う全ての業務を代替する段階にはありません。そのため企業がRPAを導入するにあたっては『どこからどこまでの範囲を自動化するか』『ロボットの業務のアウトプットを、誰がどのようにダブルチェックするか』『ロボット同士の連携によって将来的に業務範囲をどこまで拡大できるか』などの事前見積もりが必要です。

    RPAコンサルティングの仕事では、RPAを導入したい企業向けに業務の棚卸し・工数整理をした上で、これらの見積もりを行います。

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    2.2.2 ロボットの構築・保守・運用

    実際のロボットの構築・保守・運用もRPAエンジニアの仕事です。
    ロボットの構築では、UiPath、WinActorなどのRPAツールを用いたシナリオの設計・製造だけではなく、VB.NETやVBScriptなどのプログラミング言語を用いたロボットの機能拡張も行います。

    また、保守運用では既に利用されているシナリオの追加・修正や、既存ロボットとの連携による業務範囲拡大などを行います。

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    2.3 RPAエンジニアの年収目安

    RPAエンジニアの平均年収はおよそ550万円です。

    とくにロボットの構築や運用フェーズだけではなく、業務内容や仕事の性質に合ったRPA導入のコンサルティングを行うことができるエンジニアや、RPAの観点から業務の流れそのものを革新する知見をもったエンジニアの年収は高い水準にあります。

    また業務に関わる人数が多い企業の案件では、RPAの開発・運用をチームで担当するため、プロジェクトリーダーの経験がある人の年収も高い傾向にあります。

    参照元:RPAの仕事の年収・時給・給料情報|求人ボックス

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    2.4 RPAエンジニアに求められるスキル

    RPAエンジニアには『プログラミングスキル』と『業務を自動化するためのコンサルティング的発想』のふたつが求められます。

    プログラミングスキルは導入するRPAツールによって異なり、UiPathであればVB.NET、WinActorであればVBScriptが用いられます。
    いずれもマイナーな言語ですが、VBAによるマクロ開発や一般的なプログラミング経験があれば十分開発可能です。

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    2.4.1 AIの知識は必要?

    AIの知識は必ずしもなくてはならないわけではありません。
    しかしRPA2.0の実現やロボットの業務範囲の拡大のために、出来る限り学んでいた方がよいです。

    人が業務上行う『入力処理』『データ連携』『状況判断』などのタスクの中でも、とくにビジネス上重要な『状況判断』は、AIの活用なしには自動化できない分野です。
    ディープラーニングの応用で高度な判断能力を備えたAIを開発できれば、人間が通常行う判断をAIに任せて、判断から実際の処理までをAIとRPAの組み合わせで自動化できるようになります。

    たとえば単なる定型作業の自動化のみを行うRPAツールでは、基幹システムになんらかのエラーが発生したときのために、常時担当者が張り付いていることがあります。
    しかしAIとの連携を行うことができれば、こういった『異常時の対応』もRPAで柔軟に行うことができます。

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    2.4.2 RPAエンジニアが学ぶべきプログラミング言語は?

    利用するRPAツールによって、必要なプログラミング言語は変わります。そのため『かならずこの言語の学習が必要』ということはありません。しかしPRAエンジニアとしてさまざまなプロジェクトで活躍するためには、VB.NETVBScriptなどのプログラミング言語を実際のRPAツールに組み込む形で実践的に使いこなせる必要があります。

    またRPAエンジニアとして更なるステップアップを目指す人は、Pythonや、PythonのAI・データ分析系フレームワークのスキルを身につけるのがおすすめです。


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    2.5 RPAエンジニア向けの資格

    RPAに関する専門的スキルを評価する『RPA技術者検定』という資格があります。
    WinActorの提供元であるNTTデータ社が実施しているこの検定に合格すれば、多くの案件でRPAエンジニアとして重宝されるので、余裕のある人は検定合格を目指すのがおすすめです。

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    3. RPAエンジニアの将来性

    RPAエンジニアの需要は今後どうなっていくでしょうか。
    『現在のニーズ』『世界的なビジネスの潮流』『さらなる市場拡大のカギ』の3つに着目して、以下で解説していきます。

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    3.1 金融機関・地方銀行など金融関連のニーズは強い

    現在、金融関連企業を中心にRPAツールの導入が加速的に進んでいます。

    たとえば愛媛県の指定金融機関である伊予銀行では、高いシェア率を誇るRPAツール『UiPath』を導入することで、『商品の販売実績やATM利用件数などの集計業務』『顧客との交渉履歴をもとにレポートを作成する業務』などを自動化しました。

    その結果削減できた業務時間は年間で2.2万時間にも及び、さらにこれまで実現できなかった『マネーロンダリング防止のためのモニタリング・レポート作成業務』を新たに始めることにも成功しました。

    このほかの地方銀行でも自動化ニーズは高まっており、RPAを導入してビジネス上の課題の解決を図ろうとするケースが増えています。

    参照元:UiPath導入事例:株式会社伊予銀行

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    3.2 雇用の機械化・自動化への置き換えは世界的に進む

    AI技術と高度なRPAツールの登場により、世界的に『雇用の機械化・自動化への置き換え』が進み始めています。

    オックスフォード大学のCarl B. Frey博士とMichael A. Osborne准教授の共著論文『THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?』では、702種類の職業についてコンピュータによる自動化の影響の受けやすさなどを分析し、その結論として『コンピュータ化の影響で全体のおよそ47%の仕事が失われるリスクがある』ということを主張しています。

    また論文では『賃金の高さや学歴の高さは、その仕事が自動化で失われるリスクとは無関係であること』も主張されており、多くの分野の仕事が自動化で影響を受けることが予測されています。

    参照元:The Future of Employment: How susceptible are…|Oxford Martin School

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    3.3 RPA2.0の早期実現が市場のさらなる拡大のカギ

    RPA市場のさらなる市場拡大の鍵は、未知の条件に対する判断を伴う『非定型作業の自動化』です。

    現場の多くのRPAはルールに基づく操作実行など、単純作業の機械化に留まっています。定型作業の自動化をマクロ的にこなすRPA1.0の領域を越えて、機械学習や自然言語処理の組み合わせによる柔軟な判断・タスク処理を行うことができるようになれば、RPAは更なる業務革新を生み出します。

    また判断を含む柔軟なタスク連携をこなすRPA2.0の先には、『タスクをこなす』という枠を越えて『自律的なAIによる課題や問題の発見・予測と、それに対する自動的な戦略立案・実行』をこなすRPA3.0があります。RPA3.0の実現にはまだ時間がかかりそうですが、技術の向上とともにRPA市場がさらに拡大していくことは確実です。

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    4. まとめ

    金融機関を中心に導入が進んでいるRPAツールは、今後さらなる需要の高まりが予測されます。またAIによる技術革新で今以上の業務自動化が可能となれば、RPA市場はさらに拡大していくでしょう。
    RPAエンジニアとして今後さらなるキャリアアップを図りたい人は、現在有力なRPAツールで利用できるVB.NETやVBScriptなどのプログラミング言語のスキルのほか、PythonなどAIに関連する技術を磨いていくのがおすすめです。

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