JavaScriptでプログラミングを行う場合、ライブラリを利用するのとしないのでは、その開発効率が大きく変わります。今回はライブラリとは何か?から始まり、フレームワークとの違いやおすすめのライブラリ5選、そしておすすめの資格や求人動向などをご紹介します。
1. JavaScriptの「ライブラリ」とは
プログラミング用語としての「ライブラリ」とは、使いまわしのきく部品をいくつか便利なセットにして、ひとつのファイルにまとめたものです。
JavaScriptの場合であれば、例えば「Node.js」を使うとサーバーサイドからフロントエンドまで一気通貫でWebアプリの開発を行えるほか、Electron(中身はNode.jsなど)を使えばデスクトップアプリの開発や、ハイブリットアプリの開発、さらにブラウザ拡張機能の開発までも行えます。
なお本記事で紹介するライブラリはごく一部であり、とても多様なライブラリが各所で提供されています。
1.1 ライブラリとフレームワークの違い
ライブラリとフレームワークは、どちらも開発において汎用的に使える機能(関数やサブルーチンなど)を再利用できるようにまとめたものです。その機能のセットを使いまわして利用することによって、開発を効率化することが可能です。ではその二つにどのような違いがあるかというと、次のような違いがあります。
■ ライブラリとは
ライブラリとは、汎用的に使える機能を「部品」にして、再利用可能にしたものをいくつかまとめてセットにしたファイルです。そのセット全てを必ず使うというものではなく、そのライブラリの中から必要なものだけ引っ張り出して使います。
■ フレームワークとは
対してフレームワークとは再利用可能な枠組みのことで、テンプレートのようなものです。テンプレートをそのままベースとして、さらなる機能を追加していくように使うイメージです。必要なものだけ一部を使うライブラリに対して、フレームワークは全体をベースとしてほぼそのまま使うという違いがあります。ライブラリに加えて「設計」も行うのがフレームワークの役目と言えるでしょう。
とはいえ、「ライブラリ」と「フレームワーク」の境目はやや曖昧です。たとえば「React」はAngularとよく比較されるライブラリですが、厳密にはReactはライブラリ、Angularはフレームワークです。とはいえ多くの技術記事でもReactを「フレームワーク」に分類することも少なくありません。
よって以下では、厳密に両者を区別することなくおすすめのものを紹介します。
2. おすすめのJavaScriptライブラリ5選
JavaScriptのライブラリのうち、人気かつ汎用性の高いおすすめライブラリを5つピックアップしてご紹介します。
2.1 jQuery
■ 概要
jQueryはマルチブラウザに対応した、とても汎用性の高い人気ライブラリです。マルチブラウザとは「複数のインターネットブラウザに対応している」という意味なのですが、実は本来のJavaScriptでは、閲覧するブラウザの種類によって同じコードでも挙動が違う場合があります。その点でマルチブラウザをうたうjQueryは、できるだけブラウザ間の違いを解消してくれているという利点があります。
さらに習得が容易であるという点からも人気を博しており、アニメーションなどの視覚効果を簡単に追加できたり、Ajaxなども簡単に実装することが可能となっています。
■ 公式サイトURL
▸ https://jquery.com/
■ ライブラリの使用例
■ インストール方法
もっとも簡単に使用する方法は、jQueryを使いたいHTMLの中でCND情報を<script>タグに記述することです。
またjQueryは、jsファイルをダウンロードしての使用にも対応しています。
▸ jQuery公式ダウンロードページ
さらに詳しい使い方については、次の記事を参考にして下さい。
2.2 React.js
■ 概要
ReactはFacebookによって開発された、ユーザーインターフェース構築のためのJavaScriptライブラリです。他のライブラリとは異なる特徴は、ユーザーインターフェースに関する機能に特化して提供しているという点です。
メモリ上にDOMの状態をキャッシュ(仮想DOM)して差分だけを再描画することで、非常に高速な描写(動作)を実現しています。その高速さから、GitHubの提供する大人気エディタ「Atom」にも、Reactが採用されています。
■ 公式サイトURL
▸ https://reactjs.org/
■ ライブラリの使用例
出典:Facebook
■ インストール方法
Reactの動作条件は、ブラウザがHTML5に対応していればOKです。 jQueryと同様に、もっとも簡単に使用する方法は、Reactを使いたいHTMLの中でCND情報を<script>タグに記述することです。
またReactは、jsファイルをダウンロードしての使用にも対応しています。
▸ React公式ダウンロードページ
2.3 Riot.js
■ 概要
React同様にユーザーインターフェースの構築に適したライブラリです。複雑化が進み、決められた手順通りにしなければならないものも多いライブラリが主流となる中で、このRiotは「反乱」と名付けられた通り、シンプルさと分かりやすさを掲げて開発されました。
シンプルながらエレガントなUIを簡単に作ることができ、かつとても軽量という特徴を持っています。
■ 公式サイトURL
▸ https://riot.js.org/ja/
■ ライブラリの使用例
Reactを使うと多機能すぎるというような、小規模かつ軽量なサイトで利用されています。
■ インストール方法
jQueryなどと同様に、もっとも簡単に使用する方法は、Riotを使いたいHTMLの中でCND情報を<script>タグに記述することです。
またRiotは、jsファイルをダウンロードしての使用にも対応しているほか、npmやbowerといったパッケージマネージャを用いたインストールにも対応しています。
詳しくは公式サイトをご確認下さい。
▸ Riot公式ダウンロードページ
2.4 Node.js
■ 概要
Node.jsは、サーバーサイドでJavaScriptを動かすことができるようにするための実行環境です。フロントエンドではなくサーバーサイドで動作するJavaScriptであることが最大の特徴。アニメーションなどの見た目を作るものではなく、非同期通信などの内部処理に特化しているため、Webサーバーの構築などに使用されています。
大量の通信の高速処理が可能であり、同時接続数の多いアプリケーションや、リアルタイム通信が必要なアプリケーションで重宝されています。
■ 公式サイトURL
▸ https://nodejs.org/ja/
■ ライブラリの使用例
出典:Yahoo!JAPAN
■ インストール方法
もっとも簡単に利用する方法は、公式サイトのインストーラーを使用する方法です。それは「nvm(Node Version Manager)」と呼ばれており、Node.jsのバージョン管理ツールでもあります。このツールはバージョンを上げるだけでなく、用途に応じてバージョンを下げることも可能で、便利です。
詳しくは、公式サイトのダウンロードページをご確認下さい。
▸ Node.js公式ダウンロードページ
2.5 Socket.IO
■ 概要
Socket.IOは、Node.jsを拡張しWebSocketというリアルタイム通信を実現するプロトコルを扱えるようにして、さらに使い易くしたライブラリです。
とにかくリアルタイム性を重視しているため、チャットや通信対戦ができるゲーム等のアプリケーションを作成する場面で、幅広く利用されています。
■ 公式サイトURL
▸ https://socket.io/
■ ライブラリの使用例
前述のようにリアルタイムのチャットや、同時に一つのドキュメントを共同編集する必要のあるアプリケーションに広く利用されています。
■ インストール方法
Socket.IOを利用するためには、まず先にNode.jsをインストールしておく必要があります。次にコマンドプロンプトを立ち上げて、「npm install socket.io
」を実行します。正常に実行されたら、インストール完了です。
3. JavaScript関連のおすすめ資格
JavaScriptに関連するおすすめ資格として、「HTML5プロフェッショナル認定試験」と「CIW JavaScriptスペシャリスト」の2つをご紹介します。
■ HTML5プロフェッショナル認定試験
HTML5プロフェッショナル認定試験は、LinuCなどの資格試験を実施していることで有名な「LPI-Japan」が提供する認定制度です。HTML5やCSS3だけでなく、JavaScriptを含めた文書構造や装飾を扱っており、広くマークアップに関する知識や技術を問われる試験となっています。
運営団体 | LPI-Japan |
---|---|
受験資格 | レベル1:特になし
レベル2:レベル1試験に認定済であること |
試験時期 | 随時 |
費用 | ¥16,500(税込) |
受験方法 | ピアソンVUEのサイトから、希望する会場と日時を指定して予約する。試験はCBT方式で行われる |
公式サイトURL | https://html5exam.jp/ |
■ CIW JavaScriptスペシャリスト
CIW JavaScriptスペシャリストは、アメリカに本社のあるCertification Partner社が提供する「CIW(Certified Internet Web Professional)試験」のうちの一つです。現在、試験問題は英語のみの対応です。日本語版はありませんがグローバルな人気試験であり、合格することでJavaScriptに関するスキルを世界に向けて証明できる試験となっています。
運営団体 | Certification Partner |
---|---|
受験資格 | 特になし |
試験時期 | 随時 |
費用 | 150USD |
受験方法 | ピアソンVUEのサイトから、希望する会場と日時を指定して予約する。試験はCBT方式で行われる |
公式サイトURL | https://www.ciwcertified.com/ciw-certifications/web-development-series/javascript-specialist |
これらの資格2件についてもっと詳しく知りたい方は、次の記事も合わせてご覧下さい。
4. JavaScript関連の求人動向
現在プロエンジニアに掲載されているフリーランスエンジニア向けのおすすめ案件をいくつかピックアップしてみました。
なお現在の求人動向としては、月額単価が高めの案件では必須スキルとしてJavaScriptやHTMLだけでなく、ライブラリが指定されているケースが多く見られました。最新に追加された案件の中では、特にReactの人気が目立っているようです。さらに安定して単価の高い案件では、JavaScriptやHTMLなどフロントエンドのスキルだけでなく、PHPやRubyなどのサーバーサイドのスキルもセットで求められる傾向にありました。
また、近年の出社率を抑えるという施策により、フリーランスは完全在宅で行える案件の割合がかなり高くなっていることも最近の特徴と言えるでしょう。
■ HTML/CSS/JavaScriptの案件
HTML/CSS/JavaScriptを用いて、転職支援サービス開発を行うエンジニアを募集する案件です。詳しくは案件情報ページをご覧下さい。
▸ 案件情報:フロントエンドエンジニア★ITエンジニア向け転職支援サービスの開発
■ JavaScript/React/HTML/CSSの案件
JavaScript/React/HTML/CSSを用いて、小説投稿システムの開発を行うエンジニアを募集する案件です。詳しくは案件情報ページをご覧下さい。
▸ 案件情報:フロントエンドエンジニア★toC向け小説投稿サイトの開発
■ JavaScript(Vue/React)/Ruby(Ruby on Rails)
JavaScript(Vue/React)/Ruby(Ruby on Rails)を用いて、多様な企業から受託開発を行うエンジニアを募集する案件です。詳しくは案件情報ページをご覧下さい。
▸ 案件情報:フロンエンドエンジニア★受託開発企業での開発
5. まとめ
今回はJavaScriptのライブラリについて、フレームワークとの違いやおすすめのライブラリ、JavaScriptに関する資格や求人動向についてご紹介しました。JavaScriptは適切なライブラリを選択することで、コーディングを段違いに効率化することができます。ぜひ積極的にライブラリを活用してみて下さいね。