Java Silver資格は、Javaの開発元であるOracle社が提供しているベンダー資格です。今回は、そんなJava Silver資格の試験概要や受験日、合格する方法、取得のメリットや資格を活かす求人動向などまで、詳しく解説します。
1. Java Silverの試験概要
Java Silver資格は、正式には「Oracle Certified Java Programmer, Silver SE 11 認定資格」という名称であり、Javaの開発元であるOracle社(合併前はSun Microsystems社)が提供しているベンダー資格です。取得することにより、Javaプログラミングに関するスキルを有することが証明されます。特にSilverグレードに合格することにより、Javaアプリケーションの開発に必要とされる基本的な知識を一通り習得したと言える状態になります。
なおJava Silverの難易度や他グレードとの比較について知りたい方には、次の記事もおすすめです。
1.1 試験時間と問題数、出題形式
Java Silverの試験時間や問題の出題数、出題形式は次の通りです。
試験時間 | 180分 | 出題数 | 80問 | 出題形式 | CBT方式による選択問題 |
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■ Java Silverの合格率の目安は?
合格率は非公開ですが、合格ラインは「63%以上の正解で合格」と公表されています。
なお経済産業省が定める「ITスキル標準(ITSS)※」によると、Java Silverの認定レベル、および同レベルに該当する主な試験は、次の通りです。このITスキル標準によると、Java SilverはITパスポート試験と同程度の難易度に分類されており、比較的容易に取得可能な資格とされています。とはいえ浅く広くなITパスポート試験と違いJavaの知識に特化した試験となっているため、Javaに関する確かな知識が必要です。
※ITスキル標準とは:経済産業省が定めるIT関連能力を体系化したスキル指標
ITスキル標準 | 同レベルの主な試験 |
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レベル0 | Java Bronze、Microsoft Technology Associate(MTA)など |
エントリレベル
(レベル1) |
Java Silver、ITパスポート試験、Ruby Silver、PHP初級、ORACLE MASTER Bronze など |
エントリレベル
(レベル2) |
Java Gold、基本情報技術者試験、Ruby Gold、PHP準上級、ORACLE MASTER Silver など |
なお情報系学科出身の筆者がJava未経験(他言語の経験あり)からJava Silverに合格した際の勉強時間は、SEの新入社員研修の時間内と定時後の自主学習(1日1~2時間程度)で約1か月弱でした。
1.2 受験日の日程は?
Java Silver認定資格は、テストセンターで受験するCBT方式で実施されています。そのため試験は基本的に毎日実施されており、テストセンターが開いている日であれば自由に受験したい日程を選べるようになっています。
■ 受験料と申し込み方法
Java Silverの受験料は、2023年2月時点で34,300円(税抜)です。
なお申し込みの流れは、次のようになります。
• Oracleアカウントを作成する(アカウントの作成なしでも受験自体は可能ですが、合否の結果確認や認定証のダウンロードにはログインが必要です)。
• ピアソンVUEのアカウントを作成する。
• ピアソンVUEで日時と会場を指定して予約する。
• 受験料の支払いを行う(テストセンター指定の支払い方法、または事前に購入したバウチャーチケットを使うことが可能)。
2. Java Silverを取得するメリット
それではJava Silverを取得することによってどんなメリットがあるのか、ご紹介します。
2.1 スキルの証明になる
Java SilverはJavaの提供元であるOracle社が運営するベンダー資格であるため、その知名度と信頼性には定評があります。特にIT関連企業における信頼度はとても高く、実際に筆者もSEの新人研修中に基本情報技術者試験と合わせて職場の指示で取得しました。
なお通常のJavaアプリケーション開発案件であれば、Java Silverレベルを習得しておくと安心して参画できるでしょう。
2.2 Java Goldの取得への足掛かりになる
さらにJava Silverを取得することは、Java Gold取得への足掛かりにもなります。Java GoldはJava関連資格における最高峰であることから、取得することでスキルとして大きなアピールポイントとなったり、企業によっては資格手当を出しているところもあります。
3. Java Silverの試験範囲
Java Silverに認定されるために必要な試験は、正確には「Java SE 11 Programmer I」という試験になります。この「Java SE 11 Programmer I」に合格することによって、Java Silverとして認定されるという流れになります。
「Java SE 11 Programmer I」の試験範囲は、次の通りです。
• Javaテクノロジと開発環境についての理解
• 簡単なJavaプログラムの作成
• Javaの基本データ型と文字列の操作
• 演算子と制御構造
• 配列の操作
• クラスの宣言とインスタンスの使用
• メソッドの作成と使用
• カプセル化の適用
• 継承による実装の再利用
• インタフェースによる抽象化
• 例外処理
• モジュール・システム
出典:Java SE 11 Programmer I(1Z0-815-JPN)試験
4. Java Silverに合格するためのおすすめ勉強法
ではJava Silverに合格するためには、どういった勉強法をとればいいのでしょうか。おすすめの勉強方法をご紹介します。
4.1 黒本
■ 徹底攻略Java SE 11 Silver問題集
著者:志賀 澄人
発行日:2019年10月18日
ページ数:605ページ
価格:3,740円(税込)
出典:Amazon
通称『黒本』と呼ばれる「徹底攻略Java SE 11 Silver問題集」は、この資格では最も定番の参考書です。筆者もこの黒本の受験当時のバージョンで合格しました。とても詳しい解説でこれ一冊あれば十分な内容ですが、ただJavaの基本用語については説明なしで登場します。そのためJavaが全くの未経験という方の場合は、先にJavaの入門書を一冊読んでから黒本へ進むことがおすすめです。
■ 「とにかく黒本を解く(目安は3周以上)」のが対策の基本
とにかくこの黒本をしっかりと理解することが合格への確実な道です。目安としては、3周以上は解いて自分の苦手分野をはっきりとさせておけば安心です。
なおJavaの実務経験が十分にあるという方は、2回分付属している模擬試験からいきなり始めてみるという方法もあります。模擬試験を解いて初見の内容が出てきたら、その分野から重点的に学習していくという手順になります。
4.2 紫本
■ オラクル認定資格教科書 Javaプログラマ Silver SE11
著者:山本 道子
発行日:2019年11月18日
ページ数:580ページ
価格:4,180円(税込)
出典:Amazon
一冊で済ませたいという方には黒本がおすすめですが、一冊では物足りない、不安があるという方には、通称『紫本』と呼ばれる「オラクル認定資格教科書JavaプログラマSilver SE11」の併用がおすすめです。こちらも黒本と同様に、本番と同じ形式の模擬試験が2回分付属しています。
5. その他のJava関連のおすすめ資格
Javaに関するスキルを証明する資格としては、Oracle社の認定資格以外に次の2つの資格があります。
• Javaプログラミング能力認定試験
• Android 技術者認定試験
■ Javaプログラミング能力認定試験
ビジネス能力認定で有名な「サーティファイ」が運営する、民間資格です。Java入門者を対象とした筆記試験の3級から始まり、より高い実務能力を問われる1級では筆記試験に加えて実技試験も実施されるという特徴があります。
■ Android 技術者認定試験
一般社団法人である「IT職業能力支援機構 Android技術者認定試験制度委員会」が運営する、民間資格です。Androidアプリ開発に特化した内容ではありますが、実質はJavaのスキルを問う内容となっています。Androidアプリ開発にJavaを利用している方や、これからAndroidアプリ開発をやってみたいという方におすすめです。
「Javaプログラミング能力認定試験」「Android 技術者認定試験」についてさらに詳しく知りたい方は、次の記事をご覧下さい。
6. Java関連の求人動向
プロエンジニアに掲載されている、フリーランスエンジニア向けのJavaおすすめ案件を3つピックアップしてみました。 なお現在の求人動向としては、やはりJavaを用いたWebアプリケーション開発の求人が多いという状況です。中にはAndroidアプリ開発や、Javaのスキルを持ったSEを募集する案件も見られます。
また、近年の出社率を抑制する施策により、特にフリーランスは完全在宅で行える案件の割合が高まっていることも特徴として挙げられます。
■ Java(Android)の案件
Javaを用いて、Androidアプリを開発するエンジニアを募集する案件です。詳しくは案件情報ページをご覧下さい。
▸ 案件情報:Androidアプリ開発エンジニア★本人確認プラットフォームの開発
■ Java(Spring boot)の案件
Javaを用いて、人材情報活用システムのバックエンド開発を行うエンジニアを募集する案件です。詳しくは案件情報ページをご覧下さい。
▸ 案件情報:バックエンドエンジニア★人材情報活用システムの開発
■ Java/SQLの案件
Java/SQLを用いて、サイトリニューアルに伴う設計を行うシステムエンジニアを募集する案件です。詳しくは案件情報ページをご覧下さい。
▸ 案件情報:システムエンジニア★サイトリニューアルに関わる決済・返金処理のWebAPI及びバッチ設計
7. まとめ
今回はJava Silver認定資格についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。資格を取得するとスキルの証明になるだけでなく、その試験勉強を通して自分の知識や技術の整理や再確認に役立つという側面もあります。普段の業務では意外に使うものが偏っているというケースもあり、一般的な機能らしいのに自分は知らなかった!というような取りこぼしを防ぐことができるのです。実際に受験せずとも知識の整理だけなら試験範囲のチェックで行えるので、一度参考書などめくってみてはいかがでしょうか。