前回の記事「ネットワークスペシャリスト試験の難易度は?合格率から勉強時間まで解説」では、ネットワークスペシャリスト試験(NW)の難易度の目安についてご説明しました。
今回は勉強の進め方について、おすすめの参考書など勉強ツールを詳しくご紹介していきたいと思います。
1. 試験合格に向けて、おすすめの勉強法
1.1 午前対策
■ 午前1対策
午前1試験については応用情報技術者試験に合格していると2年間は免除されるため、これからネットワークスペシャリスト試験を受けようと考える方の多くが免除対象なのではないでしょうか。
ブランクがあったり応用情報を飛ばして受験したりで免除でない場合の学習には、「ポケットスタディ 高度試験共通 午前1・2対応」がおすすめです。持ち歩いて隙間時間に読むことを中心に、同参考書をしっかりと覚えることだけでも合格点が取れるようになります。
午前1の問題は高度区分試験全て共通となっており、応用情報技術者試験の午前問題(小問形式)から30問ピックアップされて出題されます。ネットワークスペシャリスト試験を受けようと考えるほどの方はおそらくテクノロジ系は心配ないと思いますが、マネジメント系とストラテジ系の問題には注意して下さい。
過去問を見ると半分以上がテクノロジ系の問題に見えますが、例年では合格点にギリギリ足りない60%弱しかありません。不足分をマネジメント系やストラテジ系で十分補えるよう、捨てずに学習してみて下さい。
■ 午前2対策
午前2試験は午前1と同じ小問形式で、25問出題されます。午前1とは違い、同じ高度区分でも試験別に出題内容が変わります。出題される範囲は次の通りで、このうちネットワーク分野とセキュリティ分野の難易度については最高難度である「レベル4」が割り当てられています。
◎ ネットワーク
◎ セキュリティ
○ コンピュータ構成要素
○ システム構成要素
○ システム開発技術
○ ソフトウェア開発管理技術
出題配分は、ネットワーク分野が大半の70%(約17問)程度を占めています。
次に多いのがセキュリティ分野で、15%(約4問)程度出題されます。
残る15%は、その他4分野からまんべんなく出題されます。
こちらも午前1と同じく、上記の配分に気を付けながら高度共通のポケットスタディで学習することがおすすめです。また過去問から多く再出題されており、平成21年度の試験改定より前に実施されていた「テクニカルエンジニア(ネットワーク)」の過去問も合わせると、7割近くが再出題の問題になります。
さらにセキュリティ分野については、情報セキュリティスペシャリスト試験の午前2試験の過去問から出題されることもあります。セキュリティ分野に不安のある方は、チェックしてみて下さい。
(もっとも、ほとんどの午前2参考書が高度区分共通として発売されていますので、参考書に沿って学習していると自然に情報セキュリティスペシャリスト試験の過去問を解く流れになると思います)
1.2 午後対策
■ 午後1対策
午後からは大問形式で出題され、全3問の中から2問を選択して回答します。試験時間90分に対して問題数2と聞くと楽そうですが、実際にはここから文章問題となり、1問を解くのに時間がかなりかかるようになります。
ネットワークを扱うエンジニアが業務の中で直面する様々な場面などをテーマとした内容で、文中の空欄埋める単語を答えるほか、「○○○を○○○し、○○○する。」といった、ごく短い一文で回答が可能な問題となっています。
午後2ほどの国語力は求められませんが、参考書や過去問を学習する際には単語を暗記するのではなく「なぜここでそうするのか」を考えながら解くようこころがけることがおすすめです。
■ 午後2対策
大問形式2問から、1問を選択して回答します。午後1と比べて急に回答に必要な文字数が増えるということはありませんが、何ページも続く問題文の意図を読み解くための読解力と、指定文字数内で要点を伝えられる回答を書くための文章力が必要になります。
読解力については急に力をつけるのは難しいですが、文章力はトレーニングで補うことができます。参考書を勉強していて理解が難しいところやほか気になるところがあったら、本の説明を短く要約する練習をすることがおすすめです。
2. 試験対策におすすめの参考書
2.1 ネットワーク関連の実務未経験者におすすめの参考書
『マスタリングTCP/IP 入門編』
2.2 全ての方におすすめの参考書
『令和04年 ネットワークスペシャリスト合格教本』
2.3 持ち運びしやすい参考書
『要点早わかり ネットワークスペシャリスト ポケット攻略本』
2.4 午前対策に特化したおすすめの参考書
『ポケットスタディ 高度試験共通 午前I・II対応』
2.5 午後対策に特化したおすすめの参考書
『ネスペR3 - 本物のネットワークスペシャリストになるための最も詳しい過去問解説』
3. NWは無料で学べる勉強サイトが充実
ネットワークスペシャリスト試験は、無料で学べる勉強サイトがとても充実しています。
3.1 ネットワークスペシャリスト - SE娘の剣 -
最も詳しい過去問解説書「ネスペ」シリーズの著者である左門至峰氏による、ネットワークスペシャリスト試験の勉強サイトです。イラストを交えて分かりやすく説明されたウェブ教科書や、とても詳しい過去問解説だけでなく、たくさんの方の合格体験記も読むことができます。
3.2 ネスペイージス
出典:ネスペイージス:ネットワークスペシャリストWeb教科書、Web参考書
CCNAなどでもおなじみの、ネットワーク関連資格のWeb教科書サイトです。過去問解説などはありませんが、図を交えた説明がとにかく詳しく、紙の教科書いらずのサイトとなっています。
3.3 ネットワークスペシャリスト ドットコム
出典:ネットワークスペシャリスト過去問道場|ネットワークスペシャリスト.com
午後試験についての記事はあまりありませんが、午前2試験の過去問に特化したWebアプリ「過去問道場」が便利です。過去問300題からランダムに出題され、出題する分野を指定できるなど便利なオプション機能もあります。
4. スマホアプリや携帯ゲームで隙間時間活用
4.1 iPhone対応のスマートフォンアプリ
出典:App Store
『ネットワークスペシャリスト試験対策』
2005年から2021年までの午前試験の過去問計870問の問題と解説が収録されています。500円の有料アプリですが解説も充実しており、隙間時間の学習におすすめです。Android版もあります。
4.2 Android対応のスマートフォンアプリ
出典:Google Play
『ネットワークスペシャリスト試験 午前II』
平成27年度から平成30年度の午前2試験の過去問が収録されています。4年分のみですが、無料で全問題に詳しい解説が付いています。正答率の表示にも対応しています。
4.3 Nintendo DS対応のゲームソフト
出典:Amazon
『マル合格資格奪取! 2011年度版 情報セキュリティスペシャリスト試験・ネットワークスペシャリスト試験』
2011年度版のため過去問はそこまでしか収録されていませんが、過去問と解説だけでなくミニゲームや用語集などが収録されています。1本で、情報セキュリティスペシャリスト試験のデータも入っています。
5. 午後試験対策には文章作成練習も重要
高度区分試験の午後試験は知識があっても短く要点を伝える文章力がなければ回答できない場面が多く、難度上昇の要因となっています。日頃から解説をただ読むだけでなく、解説文を短く要約する練習などもあわせて行っておくことがおすすめです。
次回は受験の後に気になる解答速報が掲載されるサイトについて、ご紹介したいと思います。よければ合わせてご覧下さい。