企業の採用面接で、よく聞かれること、およびその回答例を解説します。書類選考は通過するも、いつも面接で緊張してしまうなど、エンジニアの就職活動における面接に自信が持てない方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.まずは会社が採用面接をする理由を知っておこう
就職、転職活動において、書類選考を通過した後は、面接の選考に移ることがほとんどです。企業によっては最終面接までに複数回の面接を実施する場合もあります。
面接官による面接のほか、実際に入社後配属となる部署の上司が直接面接を行う、社長が自ら面接を行うなど、面接スタイルは企業によっても様々です。
採用担当者は、書類選考以上に、面接選考を重視します。
その理由は、求人応募者の職歴詳細や実績、人柄まで、「この人と一緒に働いていきたいか」を確認し、ミスマッチを防ぐための大切なステップだからです。
面接では、自分が評価されると思わず、自分自身も求人に応募した企業と、相性良く働けるかどうかを考えながら、必要以上に誇張することはせず、普段通り自分らしく臨むと良いでしょう。
とはいえ、全く何も準備をしないでいては、面接選考の突破は難しくなります。
エンジニアが、面接官から聞かれるであろうことと回答を事前に想定した例文を準備し、万全の面接対策をしておくことが大切です。
2.面接のポイントは「会話のキャッチボール」
面接は、採用担当者とのコミュニケーションの場ですので、会話のキャッチボールを上手にこなすことが大切です。
採用担当者の質問事項は、必ず意図があって聞いています。
ポイントは、聞かれた内容に対して的確に回答することです。
【質問例】
「なぜ弊社への入社を希望されたのですか?」
<好ましい回答例文>
御社の〇〇システムは普段からよく利用しております。
利用する側だけではなく、〇〇システムの開発に携わりながら、より多くの人に御社のシステムを広めていきたいと思い、応募いたしました。
【回答ポイント】
この場合は、志望動機を聞かれていますので、「なぜ他ではなく当社で働きたいのか」という理由を知りたいという意図の質問です。
・質問の意図や理由を会話の中から読み取る
・質問に対して的確に回答する
ことを常に念頭に置くと良いでしょう。
<好ましくない回答例文>
「私は〇〇言語での開発経験がありますので、御社の〇〇システムの新規機能など、開発業務で生かせると思います」
この回答は「会社でどう貢献していきたいか」という自己PRのみになっています。
質問の意図である、「なぜ他ではなく当社で働きたいのか」という理由が伝わっておらず、的確な回答になっていません。
採用担当者から「コミュニケーションをする上で、相手の話のポイントを読み取れない人物」と評価されてしまう可能性があります。
3.採用担当者への回答は結論から伝える
回答は、まず結論から伝えるのがコツです。
聞かれた内容に対し、まずは明確な回答を最初に話すと、採用担当者にも伝わりやすくなります。
【質問例】
「ご自身の長所はどこですか?」
<好ましい回答例文>
「長所は、細かい部分にまで気を配れることです。前職で従事していた××の業務では・・・」
【回答ポイント】
限られた時間内での面接ですので、まずは結論を述べ、それに付随する具体駅なエピソードなどを続けて話すことで説得力を付け加えるようにします。
<好ましくない回答例文>
「前職で従事していた××の業務では、送られてくる依頼書から依頼内容を読み取り、疑問点があればそれを質問し・・・」
回答する前に、回答にたどり着くまでの経緯を長々と話を続けてしまうと、どこが焦点なのか聞き取りづらくなります。
4.面接で聞かれることは就活学生と転職者で異なる
新卒の就活と、中途採用の転職では、面接で問われる内容は異なってきます。質問にどのような違いがあるのかを把握し、ご自分に合った質問事項の回答例文を用意しておきましょう。
4.1 就活学生の場合はポテンシャルが重視される
新卒採用の場合は、まだ学生で、就職経験がないため、「熱意」「ポテンシャル」が重視されます。ですので、聞かれる内容としては人柄を知る質問が多くなります。
・志望動機(なぜその企業で働きたいのか)
・自己PR(自分の強みを活かしてどう貢献したいか)
・長所、短所(短所はそれを克服するためにどう行動しているかも含めて)
・学生時代に頑張ったこと
などが挙げられます。
新卒でエンジニアとして就職する場合、
・継続的に勉強し続けるだけの熱意があるか
・どれだけエンジニアになりたいと考えているか
と言った、「エンジニアとしての気質、ポテンシャルを持ち合わせているか」についても重視されます。
エンジニアとして活躍し続けるためには、日々進化する技術情報をキャッチして、自ら成長しようとする姿勢が何よりも大切だからです。
文系や未経験からでもエンジニア職の応募が可能な企業もあるので、新卒の場合はITの知識はさほど求められていない場合もあります。
ですが、エンジニアとして就職を希望している以上、書籍などで技術情報について触れる、または無料のプログラミング学習サイトを利用して言語の勉強に取り組むなど、少なからず自分から興味を持って自己啓発に取り組んでいるという、具体的な事例を挙げると、面接官にも熱意が伝わりやすいでしょう。
面接官、採用担当者の方から、どんな質問がきても、焦ることがないよう、回答例文を徹底的に準備して、暗記できるようにしておきましょう。
4.2 転職の場合は具体的な経験と即戦力が重視される
エンジニアの転職の場合は、企業としても即戦力を求めることがほとんどです。面接で聞かれる内容は
・志望動機(なぜその企業なのか)
・自己PR(自分の強みを活かしてどう貢献したいか)
・前職ではどのような仕事を行ってきたか
・どのような実績、経験を積んでいるか
・どのような仕事をしていきたいか
・転職する理由は何か
などが挙げられます。
エンジニアの転職採用の場合は、新卒採用のようなポテンシャル重視とは異なります。
入社後、いかに早く即戦力として活躍してくれるかを見ているので、これまでの経験から得た知識、技術、ノウハウ、応用力などが重視されます。
新しい技術に対して前向きに取り組んでいるか、将来の明確なキャリアビジョンを描けているか、そのために日々努力しているかについて評価されます。
また、就活学生とは異なり、転職の場合は「転職理由」を聞かれることもあります。
そもそもなぜ転職したいのか、その理由を徹底的に明文化しておきましょう。前職からキャリアアップしたい、さらに上流工程の業務に挑戦したいなど、前向きな転職理由を述べるようにすると好印象です。
5.実際に面接で聞かれる基本質問例文と、回答のポイント
ここでは、エンジニアの転職面接で聞かれることが多い質問事項について、その質問意図と回答を6例文用意しました。
ご自身の具体的なエピソードを加えて、オリジナルの回答例文を作成する際の参考にしてください。
5.1 (1)志望動機、当社を選んだ理由を教えてください
質問意図 | ・なぜその企業でなければいけないのか ・明確な理由、熱意を知りたい |
---|---|
回答例 | 御社が顧客密着型に徹底していることです。 開発から保守に至るまでのトータルサポートを丁寧に実施している点に、大変魅力を感じました。 大規模システムで、実装やテストなど一部だけの工程だけに携わるのではなく、使いやすさや、ユーザが欲しい機能など、ユーザ視点からの意見も踏まえて、企画からサポートにまで一貫して携わりたいと考えている私の思いと一致しており、御社を志望させていただきました。 |
【ポイント】
その企業に応募する理由(「ユーザ視点でシステム開発に一貫して携わりたい」という自分のビジョンと、企業の考えが一致していること)をアピールしています。
5.2 (2)自己PRをしてください
質問意図 | ・その人の強みを知りたい ・入社後どのように企業に貢献しようと考えているのか |
---|---|
回答例 | 私の強みは企画力です。 前職では、開発企画の部署で、システムの問題点、改善点の提案から企画にも携わりました。 仕様改善によりイニシャルコスト10%の削減が実現し、導入する顧客が増加して、自社の売上UPに繋がった経緯があります。 前職での企画力を活かし、御社システムのシェア拡大に貢献していきたいと考えております。 |
【ポイント】
自分の強み(企画力)について、数字を用いた具体的なエピソードを伝えることで、シェア拡大に貢献したいという思いに説得力がプラスされています。
5.3 (3)長所と短所を教えてください
質問意図 | ・自己分析を行っているか ・短所については改善の対策を行っているか (成長しようとする気持ちを持ち行動しているか) |
---|---|
回答例 | 私の長所は、コツコツと努力を続けることができる点です。 前職は未経験からの転職でしたが、業務の傍ら自ら勉強を続けて、最上位資格の××まで取得しました。 そのスキルを生かした、社内システムの更改プロジェクトのPMを任され、設計から全てを見直すことで、誰でも簡単にシステムを運用することが可能になりました。 短所は、慎重であることです。 新機能の設計では、慎重になりすぎるあまり、通常以上のテストケースを想定してしまうことがありました。行動する前に十分な検討や下調べをすることも必要であると考えておりますが、自分の考えだけではなく、周りのメンバーにも意見をもらいながら業務をまとめていくことを心掛けております。 |
【ポイント】
長所については、「長所は〇〇です」だけではなく、具体的なエピソードを盛り込むことで印象が変わります。
短所に関しては、営業職希望にも関わらず短所が「コミュニケーション力が低いこと」など、自分をマイナス評価する表現などは避けた方が無難です。
裏を返せば長所にもなりうる部分などを伝えると良いでしょう。
5.4 (4)最後に質問はありますか
質問意図 | ・企業分析を行っているか ・どれくらい企業に興味があるか、どのくらいやる気があるか |
---|---|
回答例 | ・ご縁をいただけた場合、身につけておくべきスキルなどはありますでしょうか ・配属先の一日の業務の流れをお聞かせ願えますでしょうか ・可能であれば、配属先の実際の職場を見学することはできますでしょうか |
【ポイント】
この質問に対しては、志望する企業に対して「特にありません」などと回答するとマイナス印象になりかねません。
また、回答が「そうですね」「違います」などで済んでしまう、会話のキャッチボールが広がらない質問や、企業のホームページで調べればすぐ分かる質問も避けた方が無難です。
この回答によって、自分がどれだけその企業で働いていきたいと考えているのか、どれだけ企業に興味があるかをアピールできる質問を準備しておきましょう。
5.5 (5)業務で失敗したこと、それをどう上手にリカバリしたか教えてください
質問意図 | ・アクシデントに対して、どう捉えて行動するか ・主体的に業務に取り組んでいるか |
---|---|
回答例 | ・〇×システムの開発において、テスト実施中に設計ミスが発覚しました。 基本設計から全ての設計を見直すことが必要になり、大幅な工数とコストオーバーになった経験があります。 これまでの開発ノウハウを全てまとめて、工程ごとに綿密なヒアリングシートとチェックシートを用意し、次工程へ進む前に現工程の検収を受けてから進めていく仕組みを検討し、導入しました。 結果として・・・ |
【ポイント】
これは転職エンジニアならではの質問です。失敗するというのは、一見ウィークポイントと捉えがちです。
しかし、挑戦しなければ失敗もしないことから、面接官としては応募者が業務に対して主体的に取り組んでいるかを把握したいという意図があります。
また、アクシデントに対してどう捉えて行動するのかは、マネジメントや管理職としてキャリアアップする上での必要な素質ですので、回答例文は自己アピールも含めて徹底的に準備しておきましょう。
5.6 (6)職歴や技術に関する質問
エンジニアは技術職ですので、面接では、どのくらいの技術力があるかを把握するために、技術的な質問をされることが多いです。
技術力を測るための質問には、以下のようなものがあります。
・これまでの経歴を簡単に説明してください
質問意図 | ・どのような経験、スキルを持っているかを知りたい ・これまでの業務内容を理解しているか ・論理的な説明ができるか |
---|---|
回答例 | 新卒の企業では、3年間システム開発に従事しました。プログラマーとして、言語は〇〇で主に開発経験があります。 その後、現在の企業に転職し、同じく開発業務でシステムエンジニアとして業務に携わっております。プログラムだけではなく、お客様とのヒアリングから保守に至るまで、システム開発の一連の業務を経験しております。 |
【ポイント】
面接の最初に、職務経歴書を見ながら聞かれることが多い質問です。長々と話すのではなく、まず経歴を簡潔に述べるようにします。
その後、経歴について、実際の開発環境(言語、フレームワークやDB等)や、簡単なツール作成であれば処理ロジックなど、具体的な技術内容について質問されます。
携わった自分の業務についての理解度や、第三者に対して論理的な説明ができるかについても、合わせて問われています。
・これまで経験した言語、〇〇の技術について教えてください
質問意図 | ・企業が欲する人材としての、スキルを持ち合わせているか ・どのような経験を積んできたか ・最新技術について触れているか |
---|---|
回答例 | 開発現場では、Java、SQL、COBOLの経験があり、最も得意な言語はJavaです。 その他、業務を円滑に進めるために自発的に作ったツールにおいて、ExcelVBA、AccessVBAを組んだ経験があります。 |
使用した言語が複数ある場合は、自分の最も得意とする言語をアピールできる機会です。エンジニアとしては、自分が得意とする言語が1つあると、強力なアピール材料になります。
例えば、システムエンジニアやプログラマーであれば、言語の文法に関する質問、オブジェクト指向やSQLに関連する質問、インフラエンジニアであれば、LinuxやCisco機器の具体的なコマンドを挙げるよう問われることもあります。
6.面接官は、面接でココを評価している
採用担当者は、面接で次のような部分をチェックしています。
・第一印象
・話し方から読み取れる人柄
・質問に対する回答の内容
・将来のビジョン、やる気や熱意
直接会って話をする場ですので、第一印象は最も重要です。
面接の第一印象次第で、合否が左右されると言っても過言ではありません。服装から髪型、持ち物に至るまで、身だしなみは念入りにチェックを行うようにします。
また面接は、その企業でどんな仕事をやっていきたいか、将来のビジョン、熱意を直接伝える場でもあります。将来の話をイキイキと語る姿は、聞く側としても気持ちの良いものです。
どれだけその企業への就職・転職を志望しているか、熱意をしっかり伝えることが求められます。
7.面接では職務経歴書の内容についてプラスαの回答を準備
面接は、履歴書と職務経歴書(スキルシート)を参考にしながら進んでいきます。
志望動機、自己PRなど書面に書かれている内容を、改めて面接で聞かれることも少なくありません。
その理由は採用担当者や面接官が、今までの経歴で疑問に思ったことを、詳しく知りたいからです。
基本的には、書面に記載した内容を再度伝えることは構いませんが、書面には書かれていない詳しい説明ができる回答を準備しておきましょう。
例)
志望動機で「御社が運用するWEBサイトを普段から利用させていただいております。利用者側の立場ではなく、それを提供する側、さらに多くの人に広める立場として働きたいと思っております」と記載している場合
【ポイント】
主に普段どんな使い方をしているか、利用した感想なども合わせて伝えると、企業への関心度が高いことが伺えます。
8.まとめ
就職や転職活動では、書類選考を通過したものの、次の面接選考をどう対策するかで頭を悩ますことがあります。
的確な回答の中に、自分らしさを盛り込んだ内容をプラスアルファすることを心掛けると、採用担当者や、面接官の記憶に残りやすいと言われています。面接対策の際には、本記事を是非参考にし、徹底的に回答例文を準備し、万全の体制で面接に挑んでみてください。
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