「ITエンジニアには年齢の限界がある」「45歳以降のフリーランス案件がない」などと耳にするIT業界。
フリーランスエンジニアを目指している方にとって"年齢" が仕事や案件を探す際にどのように影響するのか、といった不安や疑問は多いのではないでしょうか。
この記事では、フリーランスエンジニアは「何歳からでも目指せるのか?」「何歳まででも続けられるのか?」といった"年齢" にまつわる実態を調査しました。
1. フリーランスエンジニアの年齢調査
フリーランスエンジニアが活躍している年齢について、調査内容を元に確かめてみましょう。
1.1 フリーランスに多い年代は30代、40代
2つのデータから見た調査結果は次の通りです。
ランサーズが提供する「フリーランス実態調査2018結果」では、40代以上のフリーランスが全体の約半数以上を占めています。
その中でもIT・クリエイティブ系のフリーランスの人口は4番目に多く、81万人もの人がフリーランスエンジニアとして活動していることがわかりました。
調査対象の4分の1がITエンジニアとなっている「フリーランス白書2019」においては、30代、40代が全体の7割以上という結果です。
調査対象:フリーランス全般(法人経営者、個人事業主、すきまワーカー)
2. フリーランスエンジニアに年齢の限界はあるのか?
1. の調査結果では、40代以上の多くのフリーランスが活躍していることが分かります。
しかし、ITエンジニアには"35歳定年説" など、「年齢が上がるにつれてフリーランスとして案件を得ることが難しくなる」という見解が根強く存在しているため、"年齢の限界" にまつわる疑問や不安を抱く方が多いようです。
この章では、フリーランスエンジニアの年齢の限界に関するいくつかの疑問の中から、主な内容に対する見解を紹介していきたいと思います。
2.1 「年齢の限界」に関する疑問
フリーランスエンジニアの"年齢の限界" について、QAサイトに挙げられている疑問を見てみましょう。
・30代後半からでもフリーランスを目指せますか
・30代40代でも0からスクールに通ってフリーランスは目指せますか
・フリーランスには年齢的な限界がありますか
・フリーランスエンジニアとして何歳まで働けますか
・年齢によってフリーランスの案件を取れなくなってしまいますか
参考:yahoo 知恵袋
2.2 目指せる年齢の限界
◆ 0からフリーランスを目指せる年齢の限界は30代位まで
フリーランスを0から目指そうとした際、次のような理由が40代以降の人材を懸念する材料になっているようです。
・技術を吸収する力、仕事をする際の柔軟性は若い方(20代から30代前半くらいまで)がいい、と判断する会社が多い
・単純に「経験がない40代以降の方なら若手でいいのでは?」となるケースが多く、企業に採用される確率は減ってしまう
・企業に入社した際に未経験者が年上だった場合、教えにくさ(コミュニケーション面での懸念)を感じて敬遠したがる会社が多い
参考:弊社営業担当調べ
◆ エンジニア経験有では年齢の限界に支障が少ない
一方で、エンジニアとしての知見やスキルがありそれを即戦力として活かせるならば、フリーランスになる上で年齢が支障になることは少ないと言えるでしょう。
40代以降では0からフリーランスを目指している方と同様、年齢というよりも"一緒に働けるイメージを持てるか、持たせられるか" ということが、今持ち合わせているスキルに加えて必要なポイントとなるようです。
2.3 続けられる年齢の限界
◆ フリーランスを続けられる年齢の限界は限りなく無い
1. の調査結果からわかるように、40代以上や50代でも長年活躍するフリーランスエンジニアは数多く存在します。
40代、50代の年代でフリーランスエンジニアとして活躍している人の特徴を見てみましょう。
- 時代に合ったビジネス観点を理解しスキルを身に付けている
- 見た目が若々しく、コミュニケーション力が高い(いろいろな年代と交流が持てる)
- 身体管理が出来ている(健康である)
- 考え方が若い
- クラウドソーシングやエージェントを上手く利用し、継続して案件に取り組んでいる
3. 【年代別】フリーランスエンジニアのメリットとデメリット
フリーランスには、その年齢に見合った働き方があります。それぞれの年代別に見たメリットとデメリットを比較しましょう。
年代 | メリット | デメリット |
---|---|---|
20代 | ・若さなりのコミュニケーション力 ・体力がある ・コストの安さ(企業側から見たメリット) |
・経験値が浅い ・信用度が低い ・単価が低くなる |
30代 | ・若さなりのコミュニケーション力(30代前半) ・経験値が増える ・体力がある |
・経験値が浅い(30代前半) ・信用度が低い |
40代 | ・経験が豊富 ・マネジメント力が期待ができる ・技術力が高い ・人脈が増える |
・ベテランが故の扱いにくさがある ・単価が高い(企業側から見たデメリット) ・現場の人間より年上になると指示が出しにくい ・体力が低下する |
50代 | ・経験が豊富 ・マネジメント力の期待ができる ・技術力が高い ・人脈が豊富にある |
・ベテランが故の扱いにくさがある ・単価が高い(企業側から見たデメリット) ・現場の人間より年上になると指示が出しにくい ・体力的な不安がある |
◆ 20代、30代の最大の強みは若さと柔軟性
"若い方が技術を吸収する力や仕事をする際の柔軟性がある" と判断する会社は多く、20代30代前半世代にとっての「若さ」はフリーランスとして活躍出来る最大の特権と言えるでしょう。
クライアントから可愛がってもらえる存在になれば、長期にわたって継続的な仕事が保障されるかもしれません。それはフリーランスとして生きていくうえで、最大の武器となるのです。
スキルや即戦力が必須と考えられるフリーランスですが、いくら技術力が強かろうとベテランだけが良いという訳ではないことも知っておきましょう。
◆ 40代、50代の最大の強みは経験値の高さ
40代、50代にとっての大きな強みは、スキルの豊富さでしょう。
例えば複数のプログラミング言語に知見があったり、メインのスキル以外にも知識の幅が広いことや、緊急時や障害時には過去の成功例を基に良い判断へ導ける、といったベテランがゆえの経験値は有効です。
また、リーダーポジションの経験、大局的な視点からの分析力や判断力を備えたマネジメントスキル、チームメンバーの育成経験、といった点も重宝されます。
即戦力を求めるクライアントにとって、スキルが高いフリーランスは年齢に関係なく頼りがいのある存在です。
4. 【年代別】フリーランスエンジニアとして活躍する方法
4.1 20代、30代が活躍するためには
◆ 実績を積むことが大事
まだ人脈も少なく、社会経験も浅い若い世代の20代30代がフリーランスエンジニアとして活躍するためには、次のような方法がおすすめです。
1. 実績を積むための手段を見つける
フリーランスとしての実績を積むうえで必要となってくる手段にはいくつかの方法があります。自身の状況に合わせて、今取り組めるものからチャレンジしてみましょう。
- フリーランス支援があるスクールを受講する
- クラウドソーシングやエージェントを利用して、単価の低い案件から挑んでみる
- 友人・知人から仕事を紹介してもらって経験を積む
- 会社員として企業に入り社会経験とスキルを磨く
2. 自分を磨く
技術力とコミュニケーションスキルがあれば、継続して仕事を任せてもらう可能性が高まります。次のようなことを実施してみるのも良いでしょう。
- 技術習得や資格を取るための勉強をする
- Webサイトやアプリケーションを作ってみる
- ポートフォリオを作成し人に話して説明できるようにする
3. どうなりたいかイメージする
フリーランスという言葉だけに惑わされないで、次のようなポイントをしっかりと落とし込み、自分にとって最適な仕事を選んでいくことも大切です。
- 具体的にどんなことをやりたいのか
- 将来的に何をできるようになりたいのか
- 働き方のスタイル (期間・業務時間帯・勤務場所など)
4.2 40代、50代が活躍するためにに心掛けておくこととは
◆ 謙虚な姿勢と態度を示そう
40代、50代が年齢の限界なくフリーランスエンジニアとして活躍するためには、次のような行動を心がけると良いでしょう。
1. 新しいことに謙虚に取り組む姿勢
インフラ系の経験があればクラウドの知識をプラスする、Web系の経験があれば、常にトレンドのプログラミング言語やフレームワークなどに目を向ける、など最新の技術をキャッチアップし柔軟性を持ってスキルアップに挑むことを心がけましょう。特定のスキルだけにこだわっているようでは、採用される機会は減ってしまいます。
新しいことには謙虚に取り組む姿勢が大切です。
2. コミュニケーションしやすい存在でいる
現場では、上司や周りのプロジェクトメンバーが年下であることも多いでしょう。。
「話しやすい」「関わりやすい」など"若いメンバーとも対等に話せる" という印象を与えることも大切です。年齢を感じさせない柔軟なコミュニケーションを心がけてみましょう。
3. 体調管理には十分に気を使う
健康保険や有休取得などが会社員時代とは異なります。
フリーランスにとっての体調管理は、年齢を重ねるほどリスクが大きく、重要視すべきポイントです。
適度な運動、趣味を作ってリフレッシュするなどのストレスをためない環境づくりを心がけたいものです。
また、定期的な健康診断を受け、かかりつけの病院は押さえるなどして体調管理には十分に気を使いましょう。
5. フリーランスエンジニアに年齢の限界は無い!
フリーランスエンジニアとして年齢の限界無く成功するために知っておきたい情報を確認しましょう。
5.1 ITエンジニアは慢性的な人材不足
経済産業省が発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果2018」によると、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足するというデータがあることからも、フリーランスエンジニア案件は今後も増えることが予想されるでしょう。
労働力不足を補うためには、経験が浅いことによる懸念がある20代や、40代50代のシニア世代の活躍も期待されるのではないでしょうか。
5.2 年齢を意識する企業が減っている
以下の内容は、弊社のフリーランス担当者が企業への営業活動内で感じている"年齢にまつわる印象" です。
・昔よりも年齢を意識する企業が減った印象はあります。理由は純粋にエンジニア不足だと思います。
・「成果を出してくれれば、年齢不問」など、即戦力を第一と考える企業も多く存在します。
・年齢が高くても技術のアンテナを張っている方は、20代30代とさほど変わらず面談が入ります。
6. 年齢の限界知らず!クラウドソーシングやエージェントを活用するメリット
◆ クラウドソーシング活用のメリット
新規の営業が困難とされる40代50代や実績が少ない若い世代でも、案件の確保に困ったときはクラウドソーシングの利用がオススメです。
Webでのお付き合いだけで仕事が成立することも多く、クライアントの要望通りに納品物を仕上げれば採用にあたって年齢を問われることはほとんどありません。
◆ エージェントサービス活用のメリット
エージェントサービスは双方の希望や条件を事前に担当者を通じて確認し、案件のマッチングが出来るサービスです。
技術やスキル面だけではなく、所属部門のメンバー構成や上司のタイプ、一緒に働くプロジェクトメンバーの構成といった目には見えない部分を把握出来ることや、コミュニケーションスキルなども含めた双方のギャップも見極めてもらえる可能性が高まります。
年齢がネックになりがちな書類選考の通過率は飛躍的に高めらる、といったメリットもあるでしょう。
7. まとめ
年齢の制限や限界なくフリーランスエンジニアとして活躍することは、不可能ではありません。
しかし、年代やキャリアごとに活躍できる幅は異なるため、それぞれの年代に見合う活躍方法を知っておくことで、フリーランスエンジニアとして成功出来るでしょう。
技術力にプラスして、市場の中で企業やお客様が何を求めているかを理解し、それにこたえられるエンジニアであることは正社員、フリーランス問わず需要がある人材となるでしょう。
年齢の現実も真摯に捉えつつ、長く活躍できるフリーランスエンジニアを目指してみませんか。