自分自身で休暇の管理をするフリーランスには、企業に勤めていた頃のように有給休暇という概念は存在するのでしょうか。そもそも休みってどれくらい取得できる?休めば休むほど収入が減ってしまうのでは?と悩んでいる方はご一読を。フリーランスエンジニアだから実現できる、有意義な休暇の取り方をご紹介します。
1. 有給休暇とは
まずは有給休暇の概要について、詳しく知っていきましょう。
【有給休暇とは】
※正式名称は年次有給休暇。略して有給、有給休暇、年休、年次休暇などと呼ばれることも。
以下の要件を満たした労働者に年次有給休暇が付与されます。
・上記期間中における全労働日のうち8割以上の勤務
この要件を満たした労働者は、10労働日の年次有給休暇が付与され、勤続期間が増えるごとに休暇日数も増える仕組みとなっています。
ここで重要なポイントが「労働者」という言葉。有給休暇の付与には、労働基準法によって定められた「労働者」であることが第一条件となるのです。
2. フリーランスにとっての有給休暇
では、フリーランスエンジニアとして働くみなさんは、労働基準法によって定められた「労働者」であるのでしょうか?残念ながら答えは「NO」。
日本の労働基準法は「使用者の指揮命令の下で働き、その報酬として賃金を受ける者」を労働者と定義しており、自らが事業者であるフリーランスはこれに当てはまりません。
有給休暇がなく、休んだ分だけ報酬が減ってしまい休みにくいのではと、フリーランスにマイナスイメージを抱いてしまう人も少なくないでしょう。しかし、企業の従業員だった頃と比べ、報酬や勤務時間の融通が聞きやすいため、やり方次第で有給またはそれ以上の休暇を得ることもできるのです。
2.1 フリーランスの報酬
有給休暇という制度だけを見れば、前述では会社員にメリットがある印象ですが、報酬面から休暇について考えた場合、果たしてどちらにメリットがあるのでしょうか?
本サイトにて独自算出した正社員求人、フリーランス求人の年収分布をもとに考えていきましょう。
参考:2018年5月Proengineerフリーランス求人情報より算出
フリーランスエンジニアに最も多い年収層は660万、次いで780万が多く、平均年収は660~780万。会社員は最も多い年収層は平均550万。比較すると、フリーランスの年収の方が高い傾向にあることが伺えます。
以下で有給と同等の休日を取得した場合のフリーランスの年収を算出してみました。
EX )年収660万のフリーランスエンジニアが有給ではない10日の休暇をとった場合
・6,600,000円−183,000円=6,417,000円
※年収6,600,000円、一月あたり約550,000円、一日あたり約18,300円の収入と仮定する。
※上記設定の年収は10日間の休暇を差し引いてない時点での年収とする。休日・祝日などは既に差し引かれたものとする。
有給制度を使わず休暇を取得しても、フリーランスエンジニアは上記の計算方法では640万を超える年収があり、会社員の平均収入より高いことが分かりました。
また、フリーランスの最大の利点は自分で仕事を選べることにあります。相場の高いプログラミング言語をリサーチして仕事をチョイスすれば、高い報酬を得ることも可能。有給休暇と同等またはそれ以上の休暇を取得しても、報酬面でのメリットはフリーランスにあると言えるでしょう。
◆フリーランスの報酬や、言語別の単価相場に関する情報について、下記サイトも併せてご覧ください。
2.2 フリーランスが休暇を取る際のポイント
とは言いつつ、休みを取る=収入減と捉えてしまい、なかなか休みをとれない方も多いようです。
特にエンジニアのみなさんはPC作業が多いため、深夜まで作業してしまう、出先にもPCを持ち歩いて仕事から離れられないといった方が多いのでは。
収入を得るために仕事に励むことは大切ですが、健康な身体があってこそ働くことができ、充実した日々を過ごせるのです。焦らなくても大丈夫。休むことで心身ともにリフレッシュすることは、業務の効率UPにも繋がります。
次のPOINTを上手に取り入れながら、あなたの仕事と休暇のベストバランスを見つけてみてください。
【上手に休暇をとるPOINT】
- スケジュール管理をしっかりと
あらかじめ休日にしたい日を考慮し、スケジュールを調整。アプリを使えばリマインド機能もあり便利。
- 納期を明確に
クライアントの納期が最大優先事項。事前にしっかり確認し、休日をとっても納期に支障が出ないように細心の注意を。
- クライアントとの連絡方法
クライアントに事前に休みの日や緊急連絡先を伝え、休日の電話&メール対応方法を共有していただくと、お互い安心です。
- 「今日はここまで」をあらかじめ決めておく
週単位などで仕事を配分し、スケジュールのバランスを調整するのも◎。タスクで管理するとやるべきことも明確になります。
- ON/OFFの切り替え上手になる
継続案件が命のフリーランスですが、思い切って休みを取ることも大切。心身ともにリフレッシュする期間を意識的に設けましょう。
◆ タイムマネジメントに欠かせない効果的なツールや、エンジニアの集中法については、下記サイトも併せてご覧ください。
3. フリーランスの休暇の取り方
ここでは、休暇の有意義で効果的な取り方をいくつかご紹介したいと思います。ぜひ次の休暇の参考になさってください。
- 土日祝日に休みが欲しい場合
あらかじめ週末に休みが取りやすいスケジュール管理と、土日休業の企業からの仕事を受注するなどの工夫で調整が可能。企業常駐型フリーランスの方も常駐企業に合わせて週末を休みにしやすいです。
- 丸一日休みが欲しい場合
事前にクライアントや協力スタッフに休みの旨を連絡すれば、丸一日休みを作ることが可能です。電話やメールなどで緊急時のみ対応し、実作業は翌日以降になりますと対応方法を伝えておくと◎。
- 毎日の生活にゆとりが欲しい場合
日々の生活にゆとりの欲しい方は、働く日数を週6〜7日と多めに設定し、その分のんびり仕事をするのも良いでしょう。始業時間や休憩時間、終業時間をあらかじめ決めておくと◎。クライアントからも理解を得られるよう、メールの文末や留守電にアナウンスを入れておけば、心おきなく休憩できるでしょう。
- まとまった休みが欲しい場合
ある程度の目標収入を設定してクリアするまで一気に働くことで、その後数日間まとまった休みを取ることができるでしょう。ただし連日の徹夜作業などは体調にも支障をきたしがちなので要注意。
- いつが休みどきか悩みがちな場合
案件と案件の間に休暇を入れる決まりを作ることで、定期的な休みを確保しましょう。エージェント経由の常駐案件の場合でも、事前の相談によって休みを得られるのでオススメです。次の案件までに日数を空ければ長期休暇も可能。GWや祝日など込み合う時期を避ければ旅行も低コストで楽しめます。
このように自身の予定やライフスタイルに合わせて休みを調整できるのは、フリーランスだからこそ。家族のイベントに合わせて休みをとる、海外旅行のために長期休暇を計画するなど、有意義に休みを使えることがフリーランスの休暇の魅力ではないでしょうか。
4. まとめ
フリーランスエンジニアには有給休暇はありませんが、調整次第で収入面に不安を感じることなく、自由に休暇を取れることが分かりました。
大切なのは休みと仕事のバランス。希望する収入を確保しつつ計画的に休みを取得できるよう、事前にしっかりスケジュール管理をしていきましょう。
そして忘れてはならないのが、クライアントへの事前報告。クライアントとの信頼関係があってこそ、長期休暇や自身のワークスタイルに合わせた休暇が取れるのだと思います。
緊急時の連絡先や対応方法をしっかり伝えて、信頼して仕事を任せていただけるよう努めましょう。
みなさんのこれからの休暇が有意義なものとなりますように!