データサイエンティストを目指す方へ向けて、取得しておきたい資格について解説します。
インターネット・SNS・スマホなどの急速な発展やAI分野の開発が盛んな現在、多種多様な大量のデータが日々生み出されています。
データを分析するエンジニアとして需要が増すデータサイエンティストは、ITエンジニアのキャリアの中でも注目度が高まっています。
1. データサイエンティストとは
データサイエンティストは、大量のデータを収集・分析して、データの情報から様々な仮説を立てて検証することで、新たなビジネスソリューションを提案するエンジニアです。
1.1 データサイエンティストの仕事内容
データサイエンティストは、次のような業務をメインで行います。
• 要件定義
顧客が抱えている課題を明確に把握し、データ分析によって、どのようなこと実現したいのかをヒアリングします。
• データ収集・抽出、加工
必要となるデータを収集し、データベースに保管します。
収集したデータのままでは体裁が整っていないことがほとんどのため、不要な情報をカットしたり、分析しやすいようにデータの加工を行います。
ExcelやAccess、SQLのほか、PythonやLinuxコマンドによるデータ処理を行うこともあります。
• データ集計・分析
データ集計し、分析を行います。
どのような観点で集計をすればビジネスに活かせるか、集計結果から見えてくる潜在的要素について、様々な角度からの視点がカギとなります。
• 問題改善策提案
統計処理を実施してデータを見える化し、データの客観的な知見によって、顧客が抱えている問題点の解決策を導きます。
2. データサイエンティストに資格は必要?合格のメリット
実際のところ、データサイエンティストになるために資格は必要ではありません。しかし試験に合格することで、次のようなメリットがあります。
• 転職や就職の際に、スキルを客観的に証明する手段になる
• 試験勉強を通して、関連する知識の棚卸しができる
これからデータサイエンティストを目指している方の場合、資格取得がスキルの証明につながる可能性があります。
実のところ実務経験者の方にとっては実務経験の期間と内容の方が資格よりも重要な要素となるため、資格取得はあまり意味がありません。しかし日常の業務では使わない知識まで体系的に学んで整理するという経験は、大きなメリットになります。
3. データサイエンティストが取得したい資格
前述の通り、資格はデータサイエンティストになるために必須ではありませんが、勉強しておいて損はない資格を14選ご紹介します。
| 資格名 | グレード | 受験料(税込) | 難易度 |
|---|---|---|---|
| データサイエンティスト検定 | リテラシーレベル | 11,000円 | ★ |
| Python試験 | Python3エンジニア認定データ分析試験 | 11,000円 | ★★ |
| 統計検定 | データサイエンス基礎 | 7,000円 | ★ |
| 統計検定 | データサイエンス発展 | 6,000円 | ★★ |
| 統計検定 | データサイエンスエキスパート | 8,000円 | ★★★ |
| AWS認定 | AWS Certified Data Engineer - Associate | 150USD | ★★ |
| Google Cloud認定 | Professional Data Engineer | 200USD | ★★★ |
| 情報処理技術者試験 | 基本情報技術者試験 | 7,500円 | ★★ |
| 情報処理技術者試験 | 応用情報技術者試験 | 7,500円 | ★★★ |
| OSS-DB技術者認定試験 | Silver | 16,500円 | ★★ |
| OSS-DB技術者認定試験 | Gold | 16,500円 | ★★★ |
| ORACLE MASTER | Silver SQL | 37,730円 | ★★ |
| G検定 | G検定 | 13,200円 | ★ |
| E資格 | E資格 | 33,000円 | ★★ |
なお、各資格に記載している難易度(レベル)については、ITSSのITスキル標準を参考にしつつ、実際に受験した方の感想などを元に算出しています。
▶ 参考:ITSSキャリアフレームワークと認定試験・資格の関係(ISV Map Ver10r3)
3.1 DS検定(データサイエンティスト検定)
データサイエンティストを目指す方へ、入門に最適な資格が「DS検定(データサイエンティスト検定)」です。一般社団法人データサイエンティスト協会が認定するこの資格は、同協会が定義するデータサイエンティストの3つのスキル(ビジネス力、データサイエンス力、データエンジニアリング力)を総合的に評価しています。
| 資格名 | 受験前提条件 | 受験料(税込) | 難易度 |
|---|---|---|---|
| リテラシーレベル | なし | 11,000円 | ★ |
▶ 公式サイト
3.2 Python3エンジニア認定データ分析試験
Python3エンジニア認定データ分析試験は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が提供する国内の民間資格です。
人気のPython試験の中でもデータ分析に特化した資格であり、試験範囲にはデータサイエンティストを目指す方であれば習得しておきたいスキルが詰まっています。
| 資格名 | 受験前提条件 | 受験料(税込) | 難易度 |
|---|---|---|---|
| Python3エンジニア認定
データ分析試験 |
なし | 11,000円 | ★★ |
▶ 公式サイト
Python3エンジニア認定データ分析試験について詳しくは、次の記事でご紹介しています。
3.3 統計検定データサイエンス
統計検定は、統計質保証推進協会によって実施される民間試験です。日本統計学会や各種省庁からも後援を受けている、人気の試験です。
2021年よりデータサイエンスに特化した試験区分がスタートし、統計学的なアプローチからデータサイエンスを学びたい方に最適な試験となっています。
| 資格名 | 受験前提条件 | 受験料(税込) | 難易度 |
|---|---|---|---|
| データサイエンス基礎 | なし | 7,000円 | ★ |
| データサイエンス発展 | なし | 6,000円 | ★★ |
| データサイエンスエキスパート | なし | 8,000円 | ★★★ |
▶ 公式サイト
3.4 AWS Certified Data Engineer - Associate
AWS認定にも、データサイエンティスト(データエンジニア)向けの資格が用意されています。AWS Certified Data Engineer - Associateは、Amazonが提供するクラウドサービスである「AWS(Amazon Web Service)」が公式で実施するベンダー試験です。
AWSを利用するデータエンジニア向けに重点を置いて問われる内容となっており、業務でAWSを利用されている方におすすめの試験です。
| 資格名 | 受験前提条件 | 受験料(税込) | 難易度 |
|---|---|---|---|
| AWS Certified Data Engineer - Associate | なし | 150USD | ★★ |
▶ 公式サイト
AWS認定について詳しく知りたい方は、次の記事もご覧ください。
3.5 Google Cloud認定 GCP Professional Data Engineer
Google Cloud認定にも、データエンジニア向けの資格があります。Google Cloud認定 Professional Data Engineer は、Googleが提供するクラウドサービスである「Google Cloud(旧GCP)」が公式で実施するベンダー試験です。
こちらもAWS同様に、業務でGoogle Cloudを利用されている方におすすめの試験です。
| 資格名 | 受験前提条件 | 受験料(税込) | 難易度 |
|---|---|---|---|
| Professional Data Engineer | なし | 200USD | ★★★ |
▶ 公式サイト
Google Cloud認定について詳しく知りたい方は、次の記事もご覧ください。
3.6 基本情報処理技術者試験/応用情報技術者試験
データサイエンティストのみならず、ITエンジニアであればまず取得しておきたい資格として、基本情報処理技術者試験、およびその上位資格として応用情報技術者試験があります。
情報基礎理論・開発技術・プロジェクトマネジメント・SQL・プログラミングなど、試験内容はITスキルを幅広く網羅しています。 後述するデータベース関連の資格を検討する前に、ぜひ取得しておきたい資格です。
| 資格名 | 受験前提条件 | 受験料(税込) | 難易度 |
|---|---|---|---|
| 基本情報処理技術者試験 | なし | 7,500円 | ★★ |
| 応用情報技術者試験 | なし | 7,500円 | ★★★ |
▶ 公式サイト
基本情報処理技術者試験、および応用情報技術者試験の詳細については、以下の記事においても紹介していますので、是非参考にしてください。
3.7 OSS-DB技術者認定試験
OSS-DB技術者認定試験は、オープンソースデータベースに関する技術者を認定する資格です。
インフラエンジニアの資格としても有名なLinuCを主催する、特定非営利活動法人エルピーアイジャパンによる資格で、SilverとGoldの2つのレベルがあります。
データベースの資格としてはオラクルマスターが有名ですが、OSS-DB技術者認定試験はオープンソースデータベースに関連する試験である点が異なります。
| レベル | 受験前提条件 | 受験料(税込) | 難易度 |
|---|---|---|---|
| Silver | なし | 16,500円 | ★★ |
| Gold | Silverに合格していること | 16,500円 | ★★★ |
受験のみであれば、Goldを先に受験しても良いですが、Gold資格を得るためにはSilverを取得している必要があります。受験方法や試験範囲などの詳細については、公式サイトをご確認ください。
▶ 公式サイト
3.8 オラクルマスター
オラクル社が主催する、Oracle Databaseに関する資格として有名なオラクルマスターは、SEやプログラマーの間でも人気のベンダー資格です。
データベースの構築運用、SQLによるデータの抽出や、DB管理の概要を学べる世界共通の試験となっています。
データサイエンティストを目指す方には、SQLの知識全般を問う「ORACLE MASTER Silver SQL」がおすすめです。
| 資格名 | 受験前提条件 | 受験料(税込) | 難易度 |
|---|---|---|---|
| ORACLE MASTER
Silver SQL |
なし | 37,730円 | ★★ |
*ORACLE MASTER Platinum DBAについての詳細は未定となっています。
▶ 公式サイト
オラクルマスターの詳細は以下の記事で詳しく紹介していますので、合わせてご覧ください。
3.9 G検定(ジェネラリスト検定)・E資格(エンジニア資格)
G検定・E資格は、一般財団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が提供するAI分野の機械学習やディープラーニングの知識やスキルを証明する資格試験です。
| レベル | 受験前提条件 | 受験料(税込) | 難易度 |
|---|---|---|---|
| G検定 | なし | 13,200円 | ★ |
| E検定 | なし | 33,000円 | ★★ |
◆ G検定(ジェネラリスト検定)
G検定では、ディープラーニングの基礎知識をベースとし、適切な活用方針を決定して事業活用する能力や知識を有するジェネラリストとしてのスキルを測ることができます。
試験では、人工知能分野の問題・動向、機械学習の具体的手法、ディープラーニングの概要・研究分野・手法・応用などについて問われます。
▶ 公式サイト
◆ E資格(エンジニア資格)
E資格は、エンジニア向けの試験であり、ディープラーニング理論の理解や、適切な手法を選択して実装する能力や知識を測ることができます。
試験では、応用数学、機械学習、深層学習、開発・運用環境の知識などについて問われます。
なお、E資格を受験するためにはJDLA指定の認定プログラム講座を受講する必要があります。
▶ 公式サイト
G検定・E資格で身につく機械学習・ディープラーニングの知識や能力は、データサイエンティストに求められる「データサイエンス力」「データエンジニア力」の中でも非常に重要視されるスキルです。
4. データサイエンティストの将来性と実際の求人
近年、大量データを扱うSaaS企業の増加に伴い、データサイエンティストとして専門性のある人を採用する企業も増えている状況です。ビッグデータを活用する場面も増えており、市場は今後もますます拡大することが期待されています。
弊社の運営するフリーランスITエンジニア専門の案件紹介エージェント「プロエンジニア」で扱っている案件に応募する場合、次のような経験があると受注の幅が広がります。
• BIツールや Pythonなどを用いたデータ解析スキル
• SQLを用いたデータ集計スキル
• スクレイピングツールなどを活用したビッグデータの収集経験
例えば弊社プロエンジニアで扱っているフリーランス案件には、次のようなものがあります。
出典:【Python】データサイエンティスト★マンション売買サービスのデータ分析
他の案件も知りたいという方は、次のリンクより求人一覧をご確認ください。
▶ プロエンジニアの最新データサイエンティスト求人はこちら
5. データサイエンス分野を学習するための講座
オンライン上でデータサイエンスを学習できる講座を、いくつかご紹介します。
5.1 データサイエンティスト協会の「データサイエンティスト養成講座オンライン」
一般社団法人データサイエンティスト協会が実施するデータサイエンティスト養成講座は、半年にわたってデータサイエンス力を養うオンライン講座です。
2025年は5月に募集があり、6月から11月にかけて開催されました。2025年12月時点で2026年度の開催は未定のようです。興味のある方は、公式サイトをチェックしてみてください。
▶ 公式サイト
5.2 gaccoのデータサイエンス分野のオンライン講座
JMOOC(一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会)公認のgacco(ガッコ)は、無料で学べる様々なオンライン講座を提供しています。
大学教授による講義がオンラインで受講できるサービスで、データサイエンス分野の講義には、統計学、機械学習、ビッグデータ解析、大学生のためのデータサイエンス、データサイエンス分析プロジェクトの進め方などがあります。
データ分析の基本的な部分から実務で使われる実践的な分析手法までを学ぶことができます。
また、データサイエンス分野以外にもクラウド基礎構築演習やIoTとシステムズアプローチなど、ITエンジニアのスキルアップとしても有効な講義が開講されています。
公式サイトをチェックして興味のある講座は積極的に受講してみることをおすすめします。
▶ 公式サイト
5.3 Udemyのデータサイエンス関連講座
オンライン学習サイトのUdemyでは、入門者から上級者までを対象とした様々なデータサイエンス関連の講座を提供しています。
下記に人気講座の一例を紹介します。
◆【データサイエンティスト育成講座】Python初心者も歓迎!機械学習を駆使してビジネス課題を解決するためのエッセンス
出典:公式サイト
ビジネスで機械学習を活用したい方やAIを自分で作りたい方向けに、ビジネスの現場で即戦力になるデータエンジニアリング力をつけるための内容が盛り込まれています。
◆【ゼロから始めるデータ分析】 ビジネスケースで学ぶPythonデータサイエンス入門
出典:公式サイト
データサイエンスをこれから勉強する方や初心者向けにデータサイエンスの一連の流れを解説しています。
▶ 公式サイト
6. データサイエンティストの試験について:よくある質問
データサイエンティストに関連する試験について、よくある質問にお答えします。
【Q】データサイエンティストの資格には、未経験でも合格できますか?
【A】合格できます。まずはデータサイエンティスト検定のリテラシーレベルなど、範囲が広く簡単な資格から初めてみてはいかがでしょうか。
【Q】最もおすすめのデータサイエンティスト資格は何ですか?
【A】弊社で取り扱うフリーランス向けのデータサイエンティスト案件では、Python3エンジニア認定データ分析試験がおすすめです。
【Q】資格取得は転職の際に有利に働きますか?
【A】実際に転職の際にもっとも有利に働くのは、実務経験の期間と内容です。しかし実務経験の年数や内容が同条件であれば、資格取得が有利に働く場合もあります。
7. まとめ|データサイエンティストとしてのキャリア形成に
様々なスキルが必要とされるデータサイエンティスト。
これからのデータサイエンティストには、特に「データにビジネス的な価値」を見出すスキルがますます求められます。
実践的な実務経験を積むことはもちろん大切ですが、自分で積極的に知識・スキルを身につける努力も必要です。
本記事で紹介したような資格を活用して、スキルアップ・キャリアアップに役立ててみてはいかがでしょうか。
資格を取得してフリーランスのデータサイエンティストになりたい方には、プロエンジニアがおすすめです。
当サイトプロエンジニアのコンサルタントが厳選したおすすめのフリーランス案件特集はこちら
特集ページから案件への応募も可能です!
実際にフリーランスエンジニアとして活躍されている方のインタビューはこちら















