フリーランスエンジニアが、事業用口座にネット銀行を選ぶべき理由やメリット、銀行の選び方を解説します。金利や各種取引手数料、お得になる条件を比較しながら、あなたにおすすめの銀行3選をご紹介します。あなたの生活スタイルに合った銀行を賢く選んで、金銭管理を万全にしましょう!
1. フリーランスがネット銀行を選ぶメリット
フリーランス(個人事業主)として仕事をしていこうと考えている方や、今は個人口座をメイン口座として管理を行っているという方には、事業用の銀行口座を作っておくことをおすすめします。
一口に銀行口座と言っても、銀行には大きく分けて3つの種類があります。
- ネット銀行
フリーランスで働く場合、ネット銀行がおすすめです。
サラリーマンが給与を会社から月に一度振り込まれるのと違い、フリーランスの場合は報酬の支払いのタイミングがクライアントによって異なります。ネット銀行を使えば、パソコンやスマホから場所や時間を問わず確認できるため、手間がかかりません。
また、ネット銀行の場合、クラウド会計ソフトと連携できることが多く、確定申告の際に必要となる青色申告の複式簿記の記帳が楽になるなど、フリーランスにとって多くのメリットがあるのです。
【ネット銀行の主なメリット】
・預金金利が比較的高い
・提携しているATMで簡単に入出金可能
・ネット上の手続きが完結できるため時間が節約できる
・24時間365日いつでも手続きが可能
・記帳に出向く必要はなく取引記録をパソコンにダウンロードできる
・スマホでいつでも残高が確認できる
・口座維持手数料がかからないなど
・クラウド会計ソフトと連携出来ることが多い
- メガバンク
知名度が高く、取引相手に信頼を与えることができます。
また、全国どこにでもATMや支店があり、利便性が高いのも魅力ですが、口座開設の審査が厳しい点や、口座維持手数料が比較的高額な点は、フリーランスにとってはデメリットかもしれません。
- 信用金庫
信用金庫は地域密着型の金融機関として、主に個人事業主や中小企業との取引を中心に、地方経済を支えるというミッションがあるため、フリーランスであっても借入しやすくなっています。
2. ネット銀行選びのポイント
事業用口座を開設しようと考えているみなさんに、ネット銀行を選ぶ上で重視したいポイントをご紹介していきます。
2.1 金利の高い銀行を選ぶ
ネット銀行の場合、普通預金の金利が高い場合が多いため、定期預金よりも普通預金の金利に注目して選ぶことをおすすめします。普通預金の金利は、メガバンクの基本値である0.001%に比べて、0.001~0.15%と高めに設定されています。定期預金についても、メガバンクが0.01%が多いのに対し、ネット銀行は0.02%が多く、金利が高い傾向にあります。
2.2 ATM手数料&振込手数料で選ぶ
ネット銀行は、ランクやステージ、提携しているコンビニによって、ATM手数料や他銀行への振込手数料が回数制限付きで無料になることが大半です。銀行によって、無料になる回数は様々ですので、条件をチェックしてお得な銀行を選びましょう。
2.3 クラウド会計ソフトと連携できる銀行を選ぶ
最近のクラウド会計ソフトには、ネット銀行を通して行った取引内容を自動的に取り込み、帳簿に記入する機能がついています。会計ソフトによって連携している銀行が異なりますので、ご自身の利用している会計ソフトと連携できる銀行を選びましょう。
◆ 会計ソフト(確定申告ソフト)の選定がまだの方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
3. フリーランスにおすすめのネット銀行3選
普通預金の金利が高い銀行、ATM手数料や振込手数料がお得な銀行に注目して、厳選したネット銀行をご紹介します。
金利アップや、手数料がお得になる条件は銀行によって様々です。自身の生活圏内にATMがあるか、どこでよく買い物をするかなどによって、お得に使える銀行も変わってきます。ご自身の生活と照らし合わせて、利便性の高い銀行を選ぶことをおすすめします。
3.1 フリーランスに人気!楽天ユーザーなら楽天銀行がおすすめ
「楽天証券」との口座間で、資金の移動を便利にする「マネーブリッジ」サービスを利用すると、普通預金の金利が0.02%から0.10%に大幅アップするのが大きな特徴です。口座を連動させると言っても、投資などをする必要はなく、それぞれの口座を同一名義で開設すれば適用されます。
また、他行口座との取引やATMなどの利用で、楽天ポイントが貯まるので、楽天ユーザーにはメリットも多くおすすめの銀行です。
ネット銀行では数少ない、屋号付きの口座が開設できるのもフリーランスには嬉しいポイントです。
・普通預金金利:0.02~0.10%(※「楽天証券」の「マネーブリッジ」利用の適用時)
・定期預金金利:0.02%
・ATM手数料:全国約100,000台のATMで利用可能
コンビニATM出金手数料 | |||
---|---|---|---|
セブン-イレブン | ローソン | ファミリーマート (E-net) | ミニストップ (イオン銀行) |
最大月7回まで無料 |
・振込手数料:最大月3回まで無料
※「ハッピープログラム」のランクによって、ATM手数料・振込手数料の無料回数は異なります。
・屋号付き口座の開設:可(個人名に屋号を追加できます。例:氏名+屋号、屋号+氏名)
出典:楽天銀行
3.2 最大金利0.10%!イオン銀行ATMを使えば手数料完全無料
イオン銀行は、年会費無料のクレジットカード「イオンセレクトカード」を契約、「イオン銀行」のインターネットバンキングに登録、WAONオートチャージの利用など、簡単な条件を満たせば、「イオン銀行Myステージ」の「シルバーステージ」が適用され、普通預金金利が0.03%にアップします。また、WAONの利用金額に合わせて、イオン銀行スコアが付与され、ステージが上がり、金利も最大0.10%にアップします。
全国に6,000台以上あるイオン銀行のATMを利用すれば、24時間365日手数料が完全無料になるので、普段からイオン系列の店舗で買い物をする人、生活圏内にイオン系列のお店があるという人には、イオン銀行がおすすめです。
・普通預金金利:0.01~0.10%(※「イオン銀行Myステージ」の「プラチナステージ」の場合)
・定期預金金利:0.02%
・ATM手数料:24時間365日手数料完全無料のイオン銀行ATMは、全国6,000台以上。提携金融機関ATMは全国約55,000台。
コンビニATM出金手数料 | |||
---|---|---|---|
セブン-イレブン | ローソン | ファミリーマート (E-net) | ミニストップ (イオン銀行) |
取扱なし | 最大月5回まで無料 | 24時間365日 無制限 |
・振込手数料:最大月5回まで無料
※「イオン銀行Myステージ」のステージによって、ATM手数料・振込手数料の無料回数は異なります。
・屋号付き口座の開設:不可
出典:イオン銀行
3.3 各種取引手数料がお得!住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行は、各種取引手数料がお得に設定されているのが大きなポイントです。住信SBIネット銀行では、スマートプログラムのランクによって、ATM出金手数料や振込手数料の無料回数が変動しますが、最低ランクでも月2回、最大で月15回、ATM出金手数料が無料になります。他行への振込手数料も同様に最大月15回無料になり、無料回数以降も157円と他のネット銀行に比べて割安に設定されています。
ランクにもよりますが、意外と馬鹿にならない各種取引手数料を節約したいなら、住信SBIネット銀行がおすすめです。
・普通預金金利:0.001~0.01%(※SBI証券口座連動の「ハイブリッド預金」適用時)
・定期預金金利:0.02%
・ATM手数料:全国のコンビニやスーパーなどお近くのATMから24時間365日*お取引が可能
*毎週土曜日の24:00(日曜日の0:00)より数分間(システム処理のため)、当社および、提携先ATMのシステムメンテナンス時間はお取引が制限されます。
コンビニATM出金手数料 | |||
---|---|---|---|
セブン-イレブン | ローソン | ファミリーマート (E-net) | ミニストップ (イオン銀行) |
月2回~最大15回無料 |
・振込手数料:月1回~15回無料
※「スマートプログラム」のランクによって、ATM手数料・振込手数料の無料回数は異なります。
・屋号付き口座の開設:不可
出典:住信SBIネット銀行
4. フリーランスには事業用口座がある方が良い理由
フリーランス(個人事業主)で働くみなさんには、個人口座と事業用口座を分けることを強くおすすめします。その理由は、主に3つあります。
1. 財務状況が分かりやすくなる
個人用口座と事業用口座が同一のものになっていると、生活費の支出と事業の支出が混ざり、事業で儲かっているのか、赤字になってしまっているのかが分かりづらくなります。
生活用の収支と事業用の支出に分けるのも一苦労ですので、事業目的のお金の出入りを分かりやすくするためにも、個人口座と事業用口座を明確に分けて管理しましょう。
2. 簿記作成がスムーズになる
フリーランスとして開業する場合、確定申告で青色申告の複式簿記の記帳が必要となります。この時、事業用口座があると、機械的に口座に記帳されている内容を帳簿に落としていけば良いので、簿記作成がスムーズになります。
また利用するネット銀行と会計ソフトによっては、取引内容を自動的に取り込み、帳簿に記入してくれるので、より簿記作成が楽になります。
3. 税務調査対策に有効
フリーランスにとって、この「税務調査対策」が一番重要になります。税務調査とは、確定申告に対し、申告内容が正しいかどうか脱税がないか調査する作業です。
フリーランスが特に注意したいのは、個人用口座と事業用口座を混同していたばっかりに、個人的な買い物を経費に計上してしまい、指摘されるというリスクは大いにあります。こういったうっかりミスを防ぐためにも、口座は分けて管理しましょう。
5. 屋号口座を開設しよう
フリーランス(個人事業主)として開業して、事業用の口座を持つなら、屋号名で口座を開設したいという人も多いと思います。
取引相手の信頼・安心を得られるメリットがありますし、仕事に対するモチベーションのアップのためにも、屋号付き口座の開設を検討してみても良いでしょう。
屋号口座を開設する際、メガバンクなどでは、窓口のみの受付であったり、自宅や事務所から最も近い支店の口座しか開設できないなどの制約がありますが、ネット銀行であれば、自宅や事務所から手続きが行えます。
金融機関によっても異なりますが、一般的に屋号口座の開設に必要とされる書類は、以下のようなものになります。
・本人確認書類
(運転免許証やマイナンバーカードなど)
・開業届
・印鑑
・屋号を確認できる書類
(屋号の記載された賃貸契約書や公共料金の領収書。名刺やパンフレットなど)
詳細は、口座を開設する各金融機関にお問合せください。
6. まとめ
フリーランスは、経費の支払いや、クライアントからの報酬の振込など、銀行口座を使う場面が多くあります。事業上の収支を明確にするためにも、メイン口座として「事業用口座」の開設を検討してみてはいかがでしょうか。
その際は、お得に利用できる条件を細かくチェックして、ご自身の生活スタイルに合った利便性の高いサービスを提供している銀行を選びましょう。
事業用口座を開設することで「フリーランスとしてビジネスをやっていく」という仕事に対するモチベーションと責任感もアップすることでしょう。